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領地経営スタート
初戦闘
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緊張で手が震えている……。
自分で言い出したことだが、今から俺たちは魔物と初めて戦うことになる。奇しくも、村にゴブリンが出たという知らせが届いたのだ。
ゴブリンとは、緑色の肌をした醜悪な顔の小鬼だ。繁殖力が高く、一匹見つければ、根絶やしにするまで増え続けると言われているため、村人と協力して討伐に乗り出すことになった。
夕方から夜にかけて活動を開始するゴブリン。本来なら冒険者ギルドに依頼を出すべきなのだが、あいにくこんな辺境の村には冒険者が来てくれるはずもない。ミギとヒリのコンビは護衛として同行してくれたが、ゴブリン退治までは付き合ってくれない。
何より、冒険者を求めている間にゴブリンの数が増えてしまう恐れがある。だから、これは領主と領民が力を合わせて解決しなければならない緊急の案件だ。
「大丈夫か?」
「お前こそ」
俺に声をかけたブラフも、体がガタガタと震えている。
「もちろんだ。これまで訓練はしてきたからな」
「そうかよ。なら、これは領主として、領民を守る初仕事だ。気合いを入れろよ」
「ああ、トオルだって気をつけろよ。ゴブリンは魔物の中では弱いと言われるが、油断すれば危険な相手だ」
「わかってる」
俺たちは互いに発破をかけ合い、村を捜索する。最初に見つかったゴブリンは二体だった。その時はハンスが上手く倒してくれたらしい。
だが、一匹いれば根絶やしにしなければならないゴブリン。もし巣を作られていたら、村が全滅する危険がある。すぐに行動を開始した。
俺はカタログ召喚を使い、必要なカタログを事前に召喚して、ブラフに使い方を説明した。普段から、カタログ召喚の熟練度を上げるために、元の世界の品物のカタログを取り寄せたりしていたが、召喚には魔力が消費される。召喚したカタログは一時間ほどで消えてしまうのだ。
「ゴブリンだ!」
村人の声に、俺たちは顔を見合わせ、現場に急行した。そこでは五匹のゴブリンが村人と戦っていた。
「いやー!」
それを見たブラフが、ゴブリンの背後から剣を振るった。さすがは元王子、覚悟ができている。
俺は喧嘩慣れしていたが、命のやり取りまでは経験がない。ここは、命をかけた戦場だ。
息を深く吐き、覚悟を決める。だが、俺が躊躇している間に、ゴブリンがブラフの背後に迫っていた。
「ブラフ!」
無我夢中で俺はゴブリンに槍を突き立てた。槍が肉に刺さる感触が伝わり、背筋に悪寒が走る。
「くっ!」
「ありがとう、トオル!」
「おう! どんどんいくぞ!」
威勢良く答えたものの、足が震えている。情けない。こんなにも情けない自分が、悔しかった。
しかし、ブラフは三体のゴブリンを倒し、この場にいたゴブリンは全滅した。
「大丈夫か?」
「おう、余裕だぜ」
俺は一匹、ブラフは三匹のゴブリンを倒した。村人の中には怪我をした者もおり、武器を持っていた者たちも下がっている。
村の子供や女性たちは家の中で待機しているが、村の外へ出ればゴブリンに襲われる可能性がある。だからこそ、村で迎え撃つしかなかった。村人たちは三人一組で編成し、自分たちを守らせている。俺たちは二人だが、ブラフが剣を使えるのは頼もしい。
「ゴブリンが群れで襲ってきたぞ!」
村人の声に目を向けると、十体以上のゴブリンがこちらに向かってきていた。
「こちらの戦力を見極めて、集団で襲ってくるつもりだな!」
ブラフの言葉に、俺は覚悟を決めた。
「ブラフ、カタログの召喚をする」
「今か?」
「ああ、とっておきの切り札だ。村のみんな! 一箇所に集まってくれ! ゴブリンを引き付けて防御を固めろ!」
俺の呼びかけに、24名の男たちが集まり、木の板で壁を作り始めた。
「ブラフ!」
「具現化魔法よ!」
「よし、貸せ!」
ブラフが作り出した三つのピンを抜き、俺はゴブリンに向かって投げつけた。
「目を瞑って、身を屈めろ!」
俺の指示に従い、全員が身を屈める。すると、空中で閃光弾が炸裂し、ゴブリンの視界を奪った。
「よし! 今だ、かかれ!」
俺の号令に応じ、ブラフを先頭に村人たちは、視界を奪われて混乱するゴブリンたちに襲いかかる。俺は逃げるゴブリンがいないか確認するため、あたりを見渡す。二匹のゴブリンが逃げていくのを見つけ、追いかけた。
「トオル!」
ブラフの声で振り向くと、一匹目のゴブリンに槍を突き立てた俺の背後に、もう一匹のゴブリンが迫っていた。
「ありがとうな、ブラフ!」
ゴブリンの棍棒を避け、槍で肩を傷つける。そのまま突き刺し、二匹目も仕留めた。
「ふぅ、なんとかなったな」
「大丈夫か?」
「ああ、ギリギリだった。ありがとう」
座り込んだ俺にブラフが手を差し出し、立ち上がる。
「全く、無茶をするなよ」
「悪いな。お前の勇敢な姿に刺激されたらしい」
俺たちはゴブリンの後始末を村人に任せ、屋敷に戻ることにした。村人たちが討伐したゴブリンも合わせて、30匹弱を倒したことになる。ブラフによると、群れを形成するゴブリンはこの程度の数だという。
「なぁ、ブラフ。俺の鑑定をしてくれないか?」
「鑑定?」
「ああ、知りたいことがあるんだ。もしも魔力が枯渇するなら、今じゃなくてもいい」
「そういえば、ゴブリンを倒してからは魔力切れの感覚がないな」
「……できそうか?」
「やってみるよ」
俺はワクワクしながら鑑定結果を待った。
「おや? すごい! なんだこれ?」
続きはこちらです:
「何だよ! 教えてくれ!」
「全ての数値が上がってるんだ。ほら、見てくれ」
そう言ってブラフが書き出してくれた鑑定結果には、俺のレベルが上がり、全てのステータスが上昇していることが明確に示されていた。
「よし!」
特に嬉しかったのは、**火の魔法(熟練度初級)**が新たに追加されていたことだ。
「どういうことなんだ?」
「おそらく、ゴブリンを倒したことで経験値が溜まったんだ。レベルが上がったことで、魔法のスキルが増えたんだと思う」
「なるほどな。これで俺もついに魔法が使えるようになるってわけか!」
ずっと憧れていた魔法が、ついに俺の手に入る時が来た。火の魔法なんて、まさに剣と魔法の異世界にふさわしいスキルだ。今すぐ試してみたい気持ちでいっぱいだったが、身体中に疲労が溜まっていることも感じていた。
「……でも、今はさすがに休もう。体も限界だし、明日試してみるか」
ブラフも頷き、二人でゆっくりと屋敷に戻ることにした。今日のゴブリン討伐は村人たちとの初めての共同戦線であり、成功を収めたのは良い結果だった。これからも俺たちは協力しながら、この領地を守っていく必要がある。
「明日も頑張ろうな、ブラフ」
「ああ、トオル。お互いに力を合わせて、この領地をもっと良くしていこう」
こうして、俺たちは疲れた身体を引きずりながらも、少しだけ明るい未来を思い描き、眠りについた。
翌朝、俺は目が覚めると、火の魔法を試す準備を始めた。今度こそ、剣と魔法の異世界ファンタジーを存分に楽しむ時が来たんだと思うと、胸が高鳴っていた。
自分で言い出したことだが、今から俺たちは魔物と初めて戦うことになる。奇しくも、村にゴブリンが出たという知らせが届いたのだ。
ゴブリンとは、緑色の肌をした醜悪な顔の小鬼だ。繁殖力が高く、一匹見つければ、根絶やしにするまで増え続けると言われているため、村人と協力して討伐に乗り出すことになった。
夕方から夜にかけて活動を開始するゴブリン。本来なら冒険者ギルドに依頼を出すべきなのだが、あいにくこんな辺境の村には冒険者が来てくれるはずもない。ミギとヒリのコンビは護衛として同行してくれたが、ゴブリン退治までは付き合ってくれない。
何より、冒険者を求めている間にゴブリンの数が増えてしまう恐れがある。だから、これは領主と領民が力を合わせて解決しなければならない緊急の案件だ。
「大丈夫か?」
「お前こそ」
俺に声をかけたブラフも、体がガタガタと震えている。
「もちろんだ。これまで訓練はしてきたからな」
「そうかよ。なら、これは領主として、領民を守る初仕事だ。気合いを入れろよ」
「ああ、トオルだって気をつけろよ。ゴブリンは魔物の中では弱いと言われるが、油断すれば危険な相手だ」
「わかってる」
俺たちは互いに発破をかけ合い、村を捜索する。最初に見つかったゴブリンは二体だった。その時はハンスが上手く倒してくれたらしい。
だが、一匹いれば根絶やしにしなければならないゴブリン。もし巣を作られていたら、村が全滅する危険がある。すぐに行動を開始した。
俺はカタログ召喚を使い、必要なカタログを事前に召喚して、ブラフに使い方を説明した。普段から、カタログ召喚の熟練度を上げるために、元の世界の品物のカタログを取り寄せたりしていたが、召喚には魔力が消費される。召喚したカタログは一時間ほどで消えてしまうのだ。
「ゴブリンだ!」
村人の声に、俺たちは顔を見合わせ、現場に急行した。そこでは五匹のゴブリンが村人と戦っていた。
「いやー!」
それを見たブラフが、ゴブリンの背後から剣を振るった。さすがは元王子、覚悟ができている。
俺は喧嘩慣れしていたが、命のやり取りまでは経験がない。ここは、命をかけた戦場だ。
息を深く吐き、覚悟を決める。だが、俺が躊躇している間に、ゴブリンがブラフの背後に迫っていた。
「ブラフ!」
無我夢中で俺はゴブリンに槍を突き立てた。槍が肉に刺さる感触が伝わり、背筋に悪寒が走る。
「くっ!」
「ありがとう、トオル!」
「おう! どんどんいくぞ!」
威勢良く答えたものの、足が震えている。情けない。こんなにも情けない自分が、悔しかった。
しかし、ブラフは三体のゴブリンを倒し、この場にいたゴブリンは全滅した。
「大丈夫か?」
「おう、余裕だぜ」
俺は一匹、ブラフは三匹のゴブリンを倒した。村人の中には怪我をした者もおり、武器を持っていた者たちも下がっている。
村の子供や女性たちは家の中で待機しているが、村の外へ出ればゴブリンに襲われる可能性がある。だからこそ、村で迎え撃つしかなかった。村人たちは三人一組で編成し、自分たちを守らせている。俺たちは二人だが、ブラフが剣を使えるのは頼もしい。
「ゴブリンが群れで襲ってきたぞ!」
村人の声に目を向けると、十体以上のゴブリンがこちらに向かってきていた。
「こちらの戦力を見極めて、集団で襲ってくるつもりだな!」
ブラフの言葉に、俺は覚悟を決めた。
「ブラフ、カタログの召喚をする」
「今か?」
「ああ、とっておきの切り札だ。村のみんな! 一箇所に集まってくれ! ゴブリンを引き付けて防御を固めろ!」
俺の呼びかけに、24名の男たちが集まり、木の板で壁を作り始めた。
「ブラフ!」
「具現化魔法よ!」
「よし、貸せ!」
ブラフが作り出した三つのピンを抜き、俺はゴブリンに向かって投げつけた。
「目を瞑って、身を屈めろ!」
俺の指示に従い、全員が身を屈める。すると、空中で閃光弾が炸裂し、ゴブリンの視界を奪った。
「よし! 今だ、かかれ!」
俺の号令に応じ、ブラフを先頭に村人たちは、視界を奪われて混乱するゴブリンたちに襲いかかる。俺は逃げるゴブリンがいないか確認するため、あたりを見渡す。二匹のゴブリンが逃げていくのを見つけ、追いかけた。
「トオル!」
ブラフの声で振り向くと、一匹目のゴブリンに槍を突き立てた俺の背後に、もう一匹のゴブリンが迫っていた。
「ありがとうな、ブラフ!」
ゴブリンの棍棒を避け、槍で肩を傷つける。そのまま突き刺し、二匹目も仕留めた。
「ふぅ、なんとかなったな」
「大丈夫か?」
「ああ、ギリギリだった。ありがとう」
座り込んだ俺にブラフが手を差し出し、立ち上がる。
「全く、無茶をするなよ」
「悪いな。お前の勇敢な姿に刺激されたらしい」
俺たちはゴブリンの後始末を村人に任せ、屋敷に戻ることにした。村人たちが討伐したゴブリンも合わせて、30匹弱を倒したことになる。ブラフによると、群れを形成するゴブリンはこの程度の数だという。
「なぁ、ブラフ。俺の鑑定をしてくれないか?」
「鑑定?」
「ああ、知りたいことがあるんだ。もしも魔力が枯渇するなら、今じゃなくてもいい」
「そういえば、ゴブリンを倒してからは魔力切れの感覚がないな」
「……できそうか?」
「やってみるよ」
俺はワクワクしながら鑑定結果を待った。
「おや? すごい! なんだこれ?」
続きはこちらです:
「何だよ! 教えてくれ!」
「全ての数値が上がってるんだ。ほら、見てくれ」
そう言ってブラフが書き出してくれた鑑定結果には、俺のレベルが上がり、全てのステータスが上昇していることが明確に示されていた。
「よし!」
特に嬉しかったのは、**火の魔法(熟練度初級)**が新たに追加されていたことだ。
「どういうことなんだ?」
「おそらく、ゴブリンを倒したことで経験値が溜まったんだ。レベルが上がったことで、魔法のスキルが増えたんだと思う」
「なるほどな。これで俺もついに魔法が使えるようになるってわけか!」
ずっと憧れていた魔法が、ついに俺の手に入る時が来た。火の魔法なんて、まさに剣と魔法の異世界にふさわしいスキルだ。今すぐ試してみたい気持ちでいっぱいだったが、身体中に疲労が溜まっていることも感じていた。
「……でも、今はさすがに休もう。体も限界だし、明日試してみるか」
ブラフも頷き、二人でゆっくりと屋敷に戻ることにした。今日のゴブリン討伐は村人たちとの初めての共同戦線であり、成功を収めたのは良い結果だった。これからも俺たちは協力しながら、この領地を守っていく必要がある。
「明日も頑張ろうな、ブラフ」
「ああ、トオル。お互いに力を合わせて、この領地をもっと良くしていこう」
こうして、俺たちは疲れた身体を引きずりながらも、少しだけ明るい未来を思い描き、眠りについた。
翌朝、俺は目が覚めると、火の魔法を試す準備を始めた。今度こそ、剣と魔法の異世界ファンタジーを存分に楽しむ時が来たんだと思うと、胸が高鳴っていた。
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