6 / 62
序章
side ー サファイア 2
しおりを挟む
《sideサファイア》
「ヤァ! 次」
稽古場で騎士を倒して気合いを入れる。
兄様が花婿候補を辞める宣言をして、女性の勉強を始めた。それは喜ばしい。色々な妄想をして昨日は眠れなかった。
「サファイア様、今日は気合いはいりすぎじゃない?」
「そ~ねぇ~。ちょっとしんどいわねぇ~」
「二人とも! 次!」
「いやだよ」
「む~り~」
「もう! 気合いが足りないよ!」
私は従者をしてくれている二人の元へ声をかけに行く。騎士なのに化粧をして、派手な見た目をしたイシュア。のんびりとした口調で、おっぱいの大きなウルリ。
二人とも同い年なのにイシュアは身長が高くて大人びて見える。ウルリはおっぱいが大きくなり出して女の子らしい。
「いやいや、サファイア様が気合いはいりすぎじゃね? 何かあったん?」
「えっ?!」
兄様のことは一応内緒ということになっている。
兄様の従者であるアルファは知っているけど、アルファにも口止めをして、兄様にも誰彼構わず言ってはいけないと母様が言いつけていた。
「うっ、ううん。なんでもないよ! でも、兄様を守れるようになりたいって思って」
「あ~、マクシム様か~、マジでエロいよね」
「コラ! イシュちゃん。兄様をそんな目で見ないで!」
「え~! 無理だって、この屋敷に住んでて唯一の男子だよ。しかも、無防備で、あの容姿って反則じゃない? こっちの理性が飛びそうで必死だっての」
「そう~ねぇ~。ま~だ~私たちが子供だから我慢してるけど~、大人になったら~襲っちゃいたいわ~」
二人とも私の兄様への欲望を隠そうともしないよ。
絶対に兄様の変化を教えるわけには行かないよ。
「そうだ。サファイア様が頼めば、ワンチャン模擬戦をしてくれんじゃね?」
「そう~ねぇ~。ベガ師匠ぐらいしか、マクシム様の~相手をしていないから、サファイアちゃんなら~」
「そうかな? 頼めばしてくれるかな?」
「行ける行ける。女は度胸だぜ」
「GOGO~!」
「うん。聞いてみるよ」
私は二人に促されて兄様のお部屋へと向かった。
「兄様、訓練をするので、一緒に来られますか?」
「サファイア、部屋に入るときはノックをしないとダメだよ」
「ごめんなさい!」
怒られた! やっぱり今までと同じで冷たい目で見られて断られるのかな?
「うん。いいよ。訓練だったね」
「もっ、もちろん、兄様が良ければですが」
「構わないよ」
「あっ、ありがとうございます!」
やっぱり兄様は優しくなった。
今までなら、絶対に一緒に稽古なんてしてくれなかった。
稽古場にやってくると、イシュちゃんとウルちゃんが驚いた顔をしているのが見える。
私は自慢するように勝ち誇った顔をしてやった。
「稽古中にすまない。使わせてもらうぞ」
兄様が現れて、騎士たちが中央を空けていく。
いつものことだ。兄様が練習をするときは、黙って見学するようになる。
相手をするのはベラ騎士団長ぐらいで、今日は私が呼んできたので私が相手をする。
「ベラ騎士団長。邪魔をする」
「マクシム様のお好きなようにお使いください。ブラックウッド侯爵様より、マクシム様の好きなようにさせてほしいと、命令を受けております」
ベラ師匠は、私に厳しいけど兄様に対しては凄く優しい。
む~、私だけを見て欲しいのに、兄様が声をかけるから、みんなが嬉しそうな顔してる。
「兄様! 行きますよ!」
「ああ、サファイア。どこからでもかかってきなさい」
互いに木刀を持って稽古場の中央へ移動する。
兄様は、自分で弱いと思っているけど、そんなことはない。私はベラ師匠から剣術で一本も取れたことがない。
それなのに、兄様は巧みな剣捌きでベラ師匠と互角の乱取りができてしまう。
私は戦闘の天才と言われているけど、剣だけを見れば兄様の方が凄い。
どれだけ本気で切り付けても、兄様の防御を崩せない。
「凄い! 凄い! 兄様!」
ベラ師匠以外の人と戦っても、ここまで続くことなく勝ってしまう。
それなのにどれだけやっても勝てる気がしない。
私の方は息が切れているのに、兄様は息一つ乱していない。
「サファイア、そこまで」
むう~、兄様が本気で抵抗したら、どんな女性も勝てないと思う。
カッコ良くて、強くて、優しい兄様最高!!!
「はは! 凄いよ、兄様。最近は、誰も私の剣を受け止められないんだよ」
「サファイア。勘違いをしてはいけないよ」
「勘違い?」
「そうだ。皆、努力をしていることは同じだ。だが、ただ強いだけを誇ってはいけない。騎士である以上、心を強く育てることこそ大切なんだ」
「心を育てる?」
兄様の教えは初めてだ。
私に何かをしなさいというのは初めて、女性を知りたいと勉強を始めたばかりの兄様。
だからこそ、人の気持ちをわかろうとしていることが伝わってくる。
「人を大切に思うようにしなさい。仲間を大切にしなさい。慈しみと思いやりを持って相手を敬いなさい」
「人を大切に思う。仲間を大切にする。慈しみと思いやりを持って相手を敬う。わかりました! 兄様の教えを守ります」
私が反復して口にすると、兄様が頭を撫でてくれた。
絶対に忘れない! 私、兄様の教えを守ります。
あっ、兄様が笑っている。
ヤバいヤバイヤバイ!!!! カッコイイ!
「ああ、サファイアは良い子だね」
兄様がギュッと私を抱きしめてくれた。
でへっ、ヤバい最高。
「あ~あ、メッチャだらしない顔してるし」
「マクシム様が~、稽古場を立ち去っても~、しばらくはダメそうだねぇ~」
「うわっ! こいつヨダレ出して、鼻血出してるぞ!」
「まぁ、男性から抱きしめられるとか~、ヤバいよねぇ~」
「マクシム様、メッチャいいこと言ってたのに台無しだな」
「台無しだねぇ~」
私は二人が何か言っているのも聞こえないぐらい、絶頂の彼方へ意識を飛ばしていた。
「ヤァ! 次」
稽古場で騎士を倒して気合いを入れる。
兄様が花婿候補を辞める宣言をして、女性の勉強を始めた。それは喜ばしい。色々な妄想をして昨日は眠れなかった。
「サファイア様、今日は気合いはいりすぎじゃない?」
「そ~ねぇ~。ちょっとしんどいわねぇ~」
「二人とも! 次!」
「いやだよ」
「む~り~」
「もう! 気合いが足りないよ!」
私は従者をしてくれている二人の元へ声をかけに行く。騎士なのに化粧をして、派手な見た目をしたイシュア。のんびりとした口調で、おっぱいの大きなウルリ。
二人とも同い年なのにイシュアは身長が高くて大人びて見える。ウルリはおっぱいが大きくなり出して女の子らしい。
「いやいや、サファイア様が気合いはいりすぎじゃね? 何かあったん?」
「えっ?!」
兄様のことは一応内緒ということになっている。
兄様の従者であるアルファは知っているけど、アルファにも口止めをして、兄様にも誰彼構わず言ってはいけないと母様が言いつけていた。
「うっ、ううん。なんでもないよ! でも、兄様を守れるようになりたいって思って」
「あ~、マクシム様か~、マジでエロいよね」
「コラ! イシュちゃん。兄様をそんな目で見ないで!」
「え~! 無理だって、この屋敷に住んでて唯一の男子だよ。しかも、無防備で、あの容姿って反則じゃない? こっちの理性が飛びそうで必死だっての」
「そう~ねぇ~。ま~だ~私たちが子供だから我慢してるけど~、大人になったら~襲っちゃいたいわ~」
二人とも私の兄様への欲望を隠そうともしないよ。
絶対に兄様の変化を教えるわけには行かないよ。
「そうだ。サファイア様が頼めば、ワンチャン模擬戦をしてくれんじゃね?」
「そう~ねぇ~。ベガ師匠ぐらいしか、マクシム様の~相手をしていないから、サファイアちゃんなら~」
「そうかな? 頼めばしてくれるかな?」
「行ける行ける。女は度胸だぜ」
「GOGO~!」
「うん。聞いてみるよ」
私は二人に促されて兄様のお部屋へと向かった。
「兄様、訓練をするので、一緒に来られますか?」
「サファイア、部屋に入るときはノックをしないとダメだよ」
「ごめんなさい!」
怒られた! やっぱり今までと同じで冷たい目で見られて断られるのかな?
「うん。いいよ。訓練だったね」
「もっ、もちろん、兄様が良ければですが」
「構わないよ」
「あっ、ありがとうございます!」
やっぱり兄様は優しくなった。
今までなら、絶対に一緒に稽古なんてしてくれなかった。
稽古場にやってくると、イシュちゃんとウルちゃんが驚いた顔をしているのが見える。
私は自慢するように勝ち誇った顔をしてやった。
「稽古中にすまない。使わせてもらうぞ」
兄様が現れて、騎士たちが中央を空けていく。
いつものことだ。兄様が練習をするときは、黙って見学するようになる。
相手をするのはベラ騎士団長ぐらいで、今日は私が呼んできたので私が相手をする。
「ベラ騎士団長。邪魔をする」
「マクシム様のお好きなようにお使いください。ブラックウッド侯爵様より、マクシム様の好きなようにさせてほしいと、命令を受けております」
ベラ師匠は、私に厳しいけど兄様に対しては凄く優しい。
む~、私だけを見て欲しいのに、兄様が声をかけるから、みんなが嬉しそうな顔してる。
「兄様! 行きますよ!」
「ああ、サファイア。どこからでもかかってきなさい」
互いに木刀を持って稽古場の中央へ移動する。
兄様は、自分で弱いと思っているけど、そんなことはない。私はベラ師匠から剣術で一本も取れたことがない。
それなのに、兄様は巧みな剣捌きでベラ師匠と互角の乱取りができてしまう。
私は戦闘の天才と言われているけど、剣だけを見れば兄様の方が凄い。
どれだけ本気で切り付けても、兄様の防御を崩せない。
「凄い! 凄い! 兄様!」
ベラ師匠以外の人と戦っても、ここまで続くことなく勝ってしまう。
それなのにどれだけやっても勝てる気がしない。
私の方は息が切れているのに、兄様は息一つ乱していない。
「サファイア、そこまで」
むう~、兄様が本気で抵抗したら、どんな女性も勝てないと思う。
カッコ良くて、強くて、優しい兄様最高!!!
「はは! 凄いよ、兄様。最近は、誰も私の剣を受け止められないんだよ」
「サファイア。勘違いをしてはいけないよ」
「勘違い?」
「そうだ。皆、努力をしていることは同じだ。だが、ただ強いだけを誇ってはいけない。騎士である以上、心を強く育てることこそ大切なんだ」
「心を育てる?」
兄様の教えは初めてだ。
私に何かをしなさいというのは初めて、女性を知りたいと勉強を始めたばかりの兄様。
だからこそ、人の気持ちをわかろうとしていることが伝わってくる。
「人を大切に思うようにしなさい。仲間を大切にしなさい。慈しみと思いやりを持って相手を敬いなさい」
「人を大切に思う。仲間を大切にする。慈しみと思いやりを持って相手を敬う。わかりました! 兄様の教えを守ります」
私が反復して口にすると、兄様が頭を撫でてくれた。
絶対に忘れない! 私、兄様の教えを守ります。
あっ、兄様が笑っている。
ヤバいヤバイヤバイ!!!! カッコイイ!
「ああ、サファイアは良い子だね」
兄様がギュッと私を抱きしめてくれた。
でへっ、ヤバい最高。
「あ~あ、メッチャだらしない顔してるし」
「マクシム様が~、稽古場を立ち去っても~、しばらくはダメそうだねぇ~」
「うわっ! こいつヨダレ出して、鼻血出してるぞ!」
「まぁ、男性から抱きしめられるとか~、ヤバいよねぇ~」
「マクシム様、メッチャいいこと言ってたのに台無しだな」
「台無しだねぇ~」
私は二人が何か言っているのも聞こえないぐらい、絶頂の彼方へ意識を飛ばしていた。
1
お気に入りに追加
163
あなたにおすすめの小説
男女比1:10000の貞操逆転世界に転生したんだが、俺だけ前の世界のインターネットにアクセスできるようなので美少女配信者グループを作る
電脳ピエロ
恋愛
男女比1:10000の世界で生きる主人公、新田 純。
女性に襲われる恐怖から引きこもっていた彼はあるとき思い出す。自分が転生者であり、ここが貞操の逆転した世界だということを。
「そうだ……俺は女神様からもらったチートで前にいた世界のネットにアクセスできるはず」
純は彼が元いた世界のインターネットにアクセスできる能力を授かったことを思い出す。そのとき純はあることを閃いた。
「もしも、この世界の美少女たちで配信者グループを作って、俺が元いた世界のネットで配信をしたら……」
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
男女比1:10。男子の立場が弱い学園で美少女たちをわからせるためにヒロインと手を組んで攻略を始めてみたんだけど…チョロいんなのはどうして?
悠
ファンタジー
貞操逆転世界に転生してきた日浦大晴(ひうらたいせい)の通う学園には"独特の校風"がある。
それは——男子は女子より立場が弱い
学園で一番立場が上なのは女子5人のメンバーからなる生徒会。
拾ってくれた九空鹿波(くそらかなみ)と手を組み、まずは生徒会を攻略しようとするが……。
「既に攻略済みの女の子をさらに落とすなんて……面白いじゃない」
協力者の鹿波だけは知っている。
大晴が既に女の子を"攻略済み"だと。
勝利200%ラブコメ!?
既に攻略済みの美少女を本気で''分からせ"たら……さて、どうなるんでしょうねぇ?
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
金貨1,000万枚貯まったので勇者辞めてハーレム作ってスローライフ送ります!!
夕凪五月雨影法師
ファンタジー
AIイラストあり! 追放された世界最強の勇者が、ハーレムの女の子たちと自由気ままなスローライフを送る、ちょっとエッチでハートフルな異世界ラブコメディ!!
国内最強の勇者パーティを率いる勇者ユーリが、突然の引退を宣言した。
幼い頃に神託を受けて勇者に選ばれて以来、寝る間も惜しんで人々を助け続けてきたユーリ。
彼はもう限界だったのだ。
「これからは好きな時に寝て、好きな時に食べて、好きな時に好きな子とエッチしてやる!! ハーレム作ってやるーーーー!!」
そんな発言に愛想を尽かし、パーティメンバーは彼の元から去っていくが……。
その引退の裏には、世界をも巻き込む大規模な陰謀が隠されていた。
その陰謀によって、ユーリは勇者引退を余儀なくされ、全てを失った……。
かのように思われた。
「はい、じゃあ僕もう勇者じゃないから、こっからは好きにやらせて貰うね」
勇者としての条約や規約に縛られていた彼は、力をセーブしたまま活動を強いられていたのだ。
本来の力を取り戻した彼は、その強大な魔力と、金貨1,000万枚にものを言わせ、好き勝手に人々を救い、気ままに高難度ダンジョンを攻略し、そして自身をざまぁした巨大な陰謀に立ち向かっていく!!
基本的には、金持ちで最強の勇者が、ハーレムの女の子たちとまったりするだけのスローライフコメディです。
異世界版の光源氏のようなストーリーです!
……やっぱりちょっと違います笑
また、AIイラストは初心者ですので、あくまでも小説のおまけ程度に考えていただければ……(震え声)
貞操観念が逆転した世界に転生した俺が全部活の共有マネージャーになるようです
卯ノ花
恋愛
少子化により男女比が変わって貞操概念が逆転した世界で俺「佐川幸太郎」は通っている高校、東昴女子高等学校で部活共有のマネージャーをする話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる