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第二話
頼られたら、受け止めたくなるよね。
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《side フライ・エルトール》
朝、私の屋敷の扉をノックする音が響いた。
普段は誰も訪ねてこないのに、珍しいこともあるもんだと思いながら扉を開けると、そこに立っていたのは鼠人族の少女だった。
小柄な体に丸まった背中、だけど、可愛らしい大きな瞳と前歯、他の鼠人族よりも、人族の特徴が強くて、とても可愛らしい女の子が、私に向かって深々と頭を下げた。
「鼠人族のミミと申します。フライ・エルトール様、私をここで働かせてくださいっチュ!」
彼女の言葉に一瞬驚いたものの、すぐに柔らかく微笑んで応えた。
「僕のことを覚えてくれていたんだね。ようこそ、ミミ」
私は来る者拒みません。彼女がどんな理由でやってきたのか、知りませんが私を頼ってここに来たのなら受け入れるだけです。
「私たち鼠人族は、ずっと迷宮の中でしか生きられないと諦めていました。でも、フライ様が教えてくれましたっチュ。迷宮の外でも生きていける可能性があるって、だから、私、自分で外の世界を見てみたいんですっチュ!」
迷宮は薄暗くて、綺麗ではない。ただ、決められた環境で生活するというのは、安住の地であり、そこから外に出るのには勇気がいる行為だろう。
彼女はその一歩を踏み出そうとしている。それを拒む理由はなかった。
「ようこそ、君は勇者だね。ここで生活しながら、自分のやりたいことを探していこう。でも、一つだけ条件がある」
「条件っチュ?」
「僕の屋敷に来たからには、自分の力で自立する方法を学ぶこと。ここはただの安住の地じゃないんだ。僕のお小遣いの中で支援はしよう。だけど、ちゃんと勉強や仕事をすること」
ミミは真剣な表情で頷いた。その覚悟が見えた。
「ありがとうございますっチュ! 私、絶対に頑張りますっチュ!」
彼女の決意を見ていると、自然と笑みが浮かんだ。
ミミが屋敷に加わったことを、エリザベートとアイリーンにも紹介した。ミミの姿を見ると、エリザベートは頭を抱えて溜息をつく。
「フライ様、また女性ですの? 一体、どこまで増やすつもりですの?」
「いやいや、今回はそういうのじゃないよ。奴隷じゃないから、ミミは普通に僕を頼ってきてくれたんだよね? ただ、彼女には学ぶ場が必要だっただけで」
「ですが、学園都市に来てから、女性ばかりがフライ様の周りに増えていくのは事実ですわ」
う~ん、言われてしまえばそうなんだけど、ユーハイム姉妹にトア、奴隷たち加えて、ミミ。うん確かに女性ばかりだ。
「そう言われても……」
困っている人を助けるのは人として当たり前なんだよな。しかし、僕としては色々と考えがあるわけで、どうやってエリザベートに説明をすればいいかな?
考え事をしていると、アイリーンが冷静に話に入ってきた。
「エリザベート、考え方を変えましょう。この少女、ミミを活用できるかもしれません」
「活用?」
「はい。彼女は迷宮で育った鼠人族だという話ではないですか? 迷宮や地下に詳しいはずです。それなら、この学園都市における地下の情報を収集する役割を担わせることができるのでは?」
その言葉に、エリザベートはまだ納得できない顔をしていた。アイリーンがミミの働き方を考えてくれたのは意外だったけど、助け舟を出してくれたのはありがたい。
「わかりました。学園都市の迷宮は複雑ですもの、何かの助けになるでしょう」
「ミミ、どうだい? 最初の仕事として、迷宮の知識を活かして、アイリーンにこの都市の地下について教えてあげてくれるかい?」
私の問いかけに、ミミは少し戸惑ったものの、すぐに頷いた。
「はいっチュ! 私、やってみますっチュ!」
アイリーンだけでなく、ミミが暮らすようになって、トアともすぐに仲良くなった。
屋敷の庭では、トアがミミと話をしていた。トアは平民出身で虐げられていた時期もある、彼女にはミミの境遇が理解できる部分があるのだろう。
「ミミ、迷宮から出てきたって聞いたけど、大丈夫だったの?」
私もミミが一人で屋敷までやってきたことは、よく来れたと不思議に感じていた。
「はいっチュ。みんなに見送ってもらったっチュ。爺様も応援してくれたっチュ」
「そうなんですね! ミミは勇気があるんですね! 迷宮の外に出るなんて、怖くなかった?」
「怖かったっチュ。でも、フライ様が言ってたっチュ。鼠人族を尊敬しているって言ってくれっチュ。その言葉を信じたかったっチュ」
トアは満足そうに頷きながら笑った。
「凄いね」
ミミの屋敷での生活は順調に始まった。
彼女はアイリーンの指導を受けながら迷宮についての知識を整理し、時にはトアと一緒に研究と学習を続けている。
お祭り中の学園都市は、ミミにとって煌びやかな楽しさがあるようだ。
「フライ様、ミミを預けていただきありがとうございます」
「いや、アイリーンさんこそ、エリザベートへの口添えありがとう」
「ふふ、いいのですよ。私にとってはどれだけ増えても問題はありません」
「えっ?」
「いえ、こちらの話です」
ミミが持っている地下迷宮の情報はアイリーンさんにとっては必要だった情報なので、アイリーンさんが何かと世話をしてくれている。
私としては、新たな世界を始めるミミの道を作ってあげられれば良い。
トアと共に将来的には、成長していく姿が見れるといいね。イベントが始まるので、私としても祭りを楽しみます。
朝、私の屋敷の扉をノックする音が響いた。
普段は誰も訪ねてこないのに、珍しいこともあるもんだと思いながら扉を開けると、そこに立っていたのは鼠人族の少女だった。
小柄な体に丸まった背中、だけど、可愛らしい大きな瞳と前歯、他の鼠人族よりも、人族の特徴が強くて、とても可愛らしい女の子が、私に向かって深々と頭を下げた。
「鼠人族のミミと申します。フライ・エルトール様、私をここで働かせてくださいっチュ!」
彼女の言葉に一瞬驚いたものの、すぐに柔らかく微笑んで応えた。
「僕のことを覚えてくれていたんだね。ようこそ、ミミ」
私は来る者拒みません。彼女がどんな理由でやってきたのか、知りませんが私を頼ってここに来たのなら受け入れるだけです。
「私たち鼠人族は、ずっと迷宮の中でしか生きられないと諦めていました。でも、フライ様が教えてくれましたっチュ。迷宮の外でも生きていける可能性があるって、だから、私、自分で外の世界を見てみたいんですっチュ!」
迷宮は薄暗くて、綺麗ではない。ただ、決められた環境で生活するというのは、安住の地であり、そこから外に出るのには勇気がいる行為だろう。
彼女はその一歩を踏み出そうとしている。それを拒む理由はなかった。
「ようこそ、君は勇者だね。ここで生活しながら、自分のやりたいことを探していこう。でも、一つだけ条件がある」
「条件っチュ?」
「僕の屋敷に来たからには、自分の力で自立する方法を学ぶこと。ここはただの安住の地じゃないんだ。僕のお小遣いの中で支援はしよう。だけど、ちゃんと勉強や仕事をすること」
ミミは真剣な表情で頷いた。その覚悟が見えた。
「ありがとうございますっチュ! 私、絶対に頑張りますっチュ!」
彼女の決意を見ていると、自然と笑みが浮かんだ。
ミミが屋敷に加わったことを、エリザベートとアイリーンにも紹介した。ミミの姿を見ると、エリザベートは頭を抱えて溜息をつく。
「フライ様、また女性ですの? 一体、どこまで増やすつもりですの?」
「いやいや、今回はそういうのじゃないよ。奴隷じゃないから、ミミは普通に僕を頼ってきてくれたんだよね? ただ、彼女には学ぶ場が必要だっただけで」
「ですが、学園都市に来てから、女性ばかりがフライ様の周りに増えていくのは事実ですわ」
う~ん、言われてしまえばそうなんだけど、ユーハイム姉妹にトア、奴隷たち加えて、ミミ。うん確かに女性ばかりだ。
「そう言われても……」
困っている人を助けるのは人として当たり前なんだよな。しかし、僕としては色々と考えがあるわけで、どうやってエリザベートに説明をすればいいかな?
考え事をしていると、アイリーンが冷静に話に入ってきた。
「エリザベート、考え方を変えましょう。この少女、ミミを活用できるかもしれません」
「活用?」
「はい。彼女は迷宮で育った鼠人族だという話ではないですか? 迷宮や地下に詳しいはずです。それなら、この学園都市における地下の情報を収集する役割を担わせることができるのでは?」
その言葉に、エリザベートはまだ納得できない顔をしていた。アイリーンがミミの働き方を考えてくれたのは意外だったけど、助け舟を出してくれたのはありがたい。
「わかりました。学園都市の迷宮は複雑ですもの、何かの助けになるでしょう」
「ミミ、どうだい? 最初の仕事として、迷宮の知識を活かして、アイリーンにこの都市の地下について教えてあげてくれるかい?」
私の問いかけに、ミミは少し戸惑ったものの、すぐに頷いた。
「はいっチュ! 私、やってみますっチュ!」
アイリーンだけでなく、ミミが暮らすようになって、トアともすぐに仲良くなった。
屋敷の庭では、トアがミミと話をしていた。トアは平民出身で虐げられていた時期もある、彼女にはミミの境遇が理解できる部分があるのだろう。
「ミミ、迷宮から出てきたって聞いたけど、大丈夫だったの?」
私もミミが一人で屋敷までやってきたことは、よく来れたと不思議に感じていた。
「はいっチュ。みんなに見送ってもらったっチュ。爺様も応援してくれたっチュ」
「そうなんですね! ミミは勇気があるんですね! 迷宮の外に出るなんて、怖くなかった?」
「怖かったっチュ。でも、フライ様が言ってたっチュ。鼠人族を尊敬しているって言ってくれっチュ。その言葉を信じたかったっチュ」
トアは満足そうに頷きながら笑った。
「凄いね」
ミミの屋敷での生活は順調に始まった。
彼女はアイリーンの指導を受けながら迷宮についての知識を整理し、時にはトアと一緒に研究と学習を続けている。
お祭り中の学園都市は、ミミにとって煌びやかな楽しさがあるようだ。
「フライ様、ミミを預けていただきありがとうございます」
「いや、アイリーンさんこそ、エリザベートへの口添えありがとう」
「ふふ、いいのですよ。私にとってはどれだけ増えても問題はありません」
「えっ?」
「いえ、こちらの話です」
ミミが持っている地下迷宮の情報はアイリーンさんにとっては必要だった情報なので、アイリーンさんが何かと世話をしてくれている。
私としては、新たな世界を始めるミミの道を作ってあげられれば良い。
トアと共に将来的には、成長していく姿が見れるといいね。イベントが始まるので、私としても祭りを楽しみます。
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