俺の嫁が可愛すぎるので、とりあえず隣国を滅ぼすことにした。

イコ

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第四話

崩壊のヨンク

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 夜の王都は、どこか冷たく、静かだった。

 石畳の上を、フードを深くかぶった私の足音が響く。

 その隣にはアカネがいて、少し後方にバルトの影がある。私たちは、ジルベルト殿下の指示した裏道を通って、城下の外れを目指していた。

 王国を、抜け出すために。

「……本当に、よろしいのですか?」

 アカネが囁くように問う。

「はい……けれど、それでも、まだ気がかりなことがあるの」

 胸にしまった手紙の断片。あの内容が、すべて嘘だったわけではない。

 そして、ジルベルト殿下からもたらされた最後の情報が、私の心を重たくしていた。

『貴女の父上、フィアステラ侯爵は、第一王子の命によって王宮地下に幽閉されています。王国に従わなかった罪で』

 私は、目を閉じて、その面影を思い出す。

 いつも厳格で、優しいとは言い難い人だった。

 けれど、私が王都を追われたあの日、ただ一人、目を伏せて何も語らなかった姿は、私の中で“抗えなかった”という苦しみの証にも見えていた。

「父上が……生きて、囚われている」

 私を守るために口を閉ざし、何も言えなかった父。

 王国を出れば、私はもう娘ではなくなる。けれど、それでも。

「助ける術が、まだないなら……私が今できることを果たして、必ず、もう一度来る」

 私は誓った。

 ヨンクの子供たちを救うこと。

 そして、父を必ず助けるということ。

「門はすでに開いています。南の使者門。ジルベルト殿下が“王宮外からの巡察騎士”として権限を偽装しました」

 バルトが、草の陰にしゃがみながら合図を出す。

「急ぎましょう。追手が来る前に、王国を離れます」

 私は、最後に王国の空を振り返った。

 美しく、静かだった。けれど、そこには“自由”がなかった。

 私は今、自由の中で歩いているのだ。

 エルド様が待つヨンクへ。

 愛する人と、大切な人々が生きる、あの場所へ。

「……さようなら、王都」

 もう一度、来ると決めたからこそ、今は背を向けられる。

 逃げではない。誓いの上での一時の後退。

 私の意思で、私は進む。

 愛する人のもとへ。

 先行するアルヴィが聖水を、ヨンクに届けてくれているはずだ。

 そして、私はエルド様に会いたい。

「お父上のこと、よかったのですか?」

 アカネの言葉に、私は、ただ、王都を見つめることしかできなかった。

 そして、ヨンクに帰りついた私が見た者は、破壊されたヨンクの街だった。

「どうしてこんなことに?」

 私はただただ立ち尽くすことしかできなかった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あとがき

どうも作者のイコです。

第四話終了です。

 
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