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部活動に必要なあれやこれ

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男子応援団を始動していく上で色々とやらなければならいことが多かった。


1、どうやって応援する女子を決めるのか?


これに関してはセイヤが男子応援団のSNSを創設してくれることが決まり、管理も任せることになった。

活動内容もnew tuneであげたりもするそうだ。


2、ユニフォームは?


応援団というだけあり、俺の中では学ランをイメージしていた。
しかし、俺が出した案にヨウヘーが待ったをかけた。


「古臭い」


と一言でバッサリ切られてしまったので、学ランをアレンジした衣装が夏用冬用で衣装チェンジが考案された。


これに関しては手芸部に頼んで作ってもらうことになった。


3、応援歌は?


これも俺のイメージでは、和太鼓か大太鼓を叩いて、トランペットなどの管楽器で盛り上げるというイメージを伝えたところ。


「う~ん。それは面白いけど。音が単調過ぎるね。アレンジしておくよ。イメージがあるのは、いいね」


これは意外にヨウヘーから好評を得た。


なので、思いつく曲調を五、六個ほど歌ってみた。


「うん。ヨルの低い声が腹に響く。それに歌の前に言う言葉?もいいね」


「前口上な。これは俺も必要だと思うんだ」


ユニフォームと応援歌作りに取り組むようになって、ヨウヘーとはよく話すようになった。


芸術系のヨウヘーは好きなことに関しては熱心な奴で妥協しない奴だった。


・応援相手
・衣装
・応援歌


など応援団としての活動が本格化していく間に、期末テストなどの行事が終わってしまった。


男子はテスト結果はあまり関係ないので、異常な熱気を発するクラスから逃れるように部活部屋に入り浸るようになっていた。


「お疲れ~テストも終わって、そろそろユニフォームが出来る頃だと思うから受け取りに行ってきてくれない?」


テストも終わって、部活動が本格的に開始されるようになり一週間ほどが経つ。
セイヤからユニフォームが完成したと連絡がきた。


ユニフォームを頼んだのは同じ1年A組で手芸部に所属している天宮樹里さんだ。


趣味で手芸とコスプレが好きだと言っていた気がする。


出会いの苺パンツが思い出される。


「すいません。男子応援団の黒瀬夜です」


手芸部の扉を開く。


部活見学の際に料理部は料理を始めたばかりで興味があったが、手芸部は見学にも来ていない。
初めて来る部活の雰囲気がわからないで、恐る恐る扉を開いた。


「本日ご予約のモデルさん来られました!!!」


「「「ありがとうございます!!!」」」


扉が開くと、見た目ギャルの天宮樹里さんが扉の前に立っており出迎えてくれた。


天宮樹里の声に応えるように手芸部の部員達から一斉にお礼を言われる。


「えっえっえっ?」


「黒瀬夜様、本日は我が手芸部にお越し頂きありがとうございます。本日はご注文頂いた衣装を、我々なりにデザイン、アレンジしたものを数着ご用意しております。

そのため更衣室をご用意しておりますので、よろしければ衣装を着て我々にお姿をお見せ頂けないでしょうか?」


どうやらヨウヘーが発注した衣装に、彼女たちの手心が加えられているそうだ。


「えっと、俺が決めて良いのか?」


「もちろんです。緑埜君からは、すでにデザインについてはOKを頂いております。あとは団長である黒瀬君の決断に委ねるとおつしゃられておりました」


すでにデザイン担当のヨウヘー。経費担当のセイヤが許可を出して、後は俺のGOサインで決定するそうだ。


「わかったよ。よろしくお願いします」


俺はすぐに後悔することになった。


案内された更衣室には、様々な衣装がズラリとかけられていた。


「えっ!これ全部?」


「はい。全部です。ご注文にあった学ランの改良版だけでなくパーカーやラッシュガードなど、用途に応じてご用意させて頂きました。
ここからは黒瀬夜様の着心地や要望に応じて改良していきたいと思います」


「とりあえず着てみるよ」


一着目は学ランの改良版で、短ランとブカブカのズボンのセットで、イメージに一番近かった。


「どうかな?」


更衣室が出ると、いつの間に作ったのかランウェイが出来上がっていた。


「さぁさぁ、こちらをお進みください」


言われるがままにランウェイを歩いていく。


スポットライトが当てられ、ランウェイを囲むように女子がギラギラした目で俺を見る。


服を見ているのか、俺を見ているのか?


最初こそ恥ずかしかったが、10着、20着と着替えが進んでいくと恥かしさもどこかへ消えてしまった。


テンションが上がったと言っておこう。


10着、20着までは自分なりに考えながら着替えていたのを覚えている。


私服なのかユニフォームなのかわからない服まで着ていくうちに何が何やらわからなくなって、とりあえず着替えてポーズを取り、中央で見ている審査員らしき五人の前でターンをする。


「ハァハァハァ、疲れた」


途中水着みたいな半裸に近い服もあったけど大丈夫かな?大事なところは隠れていたから大丈夫だと思うけど、まぁ考えても仕方ない。


「天宮さん。服が終わったから終わってもいいよね?」


いつの間にか2時間ほど経過していた。
外は暗くなっていて、自分が集中していたことを知る。


「天宮さん?」


呼びかけてやっと天宮さんが顔を出す。


「クッ黒瀬君、呼びましたか?」


「うん?鼻血出てるけど大丈夫?」


「だっ大丈夫です。一生の宝にします。あっいえ、今日はありがとうございました。本日わかったことを修正して、すぐにユニフォームをお届けします。本日はお疲れさまでした。どうぞお帰りはこちらからお願いします」


天宮さんに案内されて、更衣室から廊下への出て行く。
教室にどうやってランウェイを作ったのかわからないが、ランウェイ会場の方は全く見えなかった。


「あっあの。黒瀬君。よかったら私のことはジュリと呼んでください」


「えっえっうん。ジュリ」


「はい!!!ありがとうございます。黒瀬君の服《コスプレ》は絶対に私が担当しますから!!!」


鼻血を出しながら迫ってくるギャルの圧力に負けて名を呼んでしまった。
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