BL短編集

花園桃李

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毒の血

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愛する人の血は甘いらしい。それは俺にも言える事なのか?
神山紅かみやまこうはふとそう思った。紅の血は特殊で、吸血鬼には害がある。今までに何人もの吸血鬼を苦しめ、殺してしまった。
最近吸血鬼の恋人が出来たのだ。彼は俺の血を飲みたがっているが、もう他の吸血鬼を苦しませるわけにはいかない。どうしたらいいか。
すると、彼、白銀しろがねあうるが紅の部屋のドアを思いっきり開けて、飛び込んで抱きついてきた。
「こーうー!!」
「うわ!びっくりした、あうるか!」
その勢いで、あうるに押し倒されてしまった。あうるは耳元でこう言った。
「血、飲ませてくれないの?」
うるうる目で紅に問う。紅は首を振って言った。
「前にも言っただろう?俺の血は毒で・・・。」
「いっつもそれ言う。」
あうるは急に暗い顔でそう言って、紅の首を舌でなぞった。
「おい!あうる、ほんとにやめろ!死ぬぞ!!」
紅の言葉を聞かず、首に噛みついた。
「っあ・・・。」
あうるは紅の血を吸い、首から口を離した。彼は目をキラキラさせ、言った。
「美味しい・・・。こんな血初めて。」
「・・・っ!」
もう一度紅の首に歯をあて、血を味わった。



数日後、あうるの様子がおかしかった。顔色が悪く、呼吸が荒い。
「おい、あうる!どうしたんだ!?」
「ゲホッガハッ!!」
急に吐血し倒れてしまった。黒い血が口から溢れる。
「あうる、あうる!俺の血を飲んだから・・・!」
「こ、う」
「ち、のませ、て」
冷たくなりかけているあうるが紅に言った。
「何を言ってるんだ!早く病院に!」
「ぼく、もうしぬ、さいご、に、すきな、ひとのち、のみたい、」
震える体で紅の首に歯をあてた。
「・・・っ!あうる。」
弱々しく紅の血を吸い、首から口を離す。紅はあうるの唇にキスを落とした。
「すき・・・。」
あうるはその言葉を残し、息を引きとった。


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