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2話 瞬と琉生
しおりを挟む翌日。補習終了後、彼に会うため急いで図書室へ向かった。図書室の扉の前まで来ると中から何やら声が聞こえてきた。琉生は扉の硝子の部分から中の様子をうかがった。
「中野ぉ。本なんか読んでないで俺らと遊ぼうぜ。お前かわいいなと思っていつも見てたんだぞ。」
彼は男子三人に囲まれていた。腕を強引に引かれている。
「や、やめてください・・・。」
彼の目には涙が溜まっており、身体は恐怖で震えている。琉生は放っておけず勢いよく図書室の扉を開け、彼のもとへ走った。
「怖がってるだろ。手を離せ。」
「あ?なんだお前」
三人のうち一人が琉生を睨みつけた。彼の手を離す気はないようでそれどころか先程よりも強く腕を掴んでいた。
「い、痛い!」
「てめぇ。」
琉生は彼の腕を掴んでいる男子の足に思いっきり蹴りを入れた。尻もちをつき、三人は走り去って行った。
「助けてくれてありがとうございます。僕は中野瞬と言います。あなたは?」
「俺は鶴見琉生だ。腕、大丈夫だったか?」
「少し痛みますけど大丈夫です。」
瞬は笑顔で答えたが、掴まれたところが少し赤くなってしまっている。
「腕赤くなってるじゃないか。保健室から冷やすもの貰ってくるから待ってろ。」
そう言って図書室から出た。走りながら、
「あと、もうダチだから敬語禁止なー!」
そう叫んで去って行った。
「・・・。」
瞬は黙ったまま走り去って行った琉生の背中を見つめていた。
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