放課後の図書室で

花園桃李

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1話 出会い

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 「鶴見、今日から補習だ。成績が危ういぞ。」
 今日の昼休み、先生からそう言われた。正直めんどくさい。琉生は机に突っ伏したまま気だるげに返事をした。
「はいはい、わかりました~」
「お前ほんとに危ないぞ。わかっているのか?」
「はーい」

 放課後、補習を受けるため教室を移動する。先生には散々怒られるわ友人には馬鹿にされ、笑われるわで最悪な気分だった。
「あ~。めんどくせぇ。」
 早く終わらせて帰ろう。そう思い教室の席に着いた。

 約五十分の授業を終え、教室を出る。放課後のため人は全くと言っていいほどいなかった。ここは旧校舎で普段なかなか来ることはない。琉生は目の前にある図書室が気になり、そこへ向かうことにした。

 扉を開け、図書室に入ると一人、本を読んでいる人物がいた。彼は艶々の黒髪に華奢な身体。可愛らしい顔立ちをしていた。琉生は思わず彼を見つめた。

「本の貸出でしたらどうぞ。」
 琉生に気づいた彼は本を読む手を止め、笑顔で声をかけた。しかし琉生は急に声をかけられ驚いてしまう。
「だ、大丈夫だ!失礼しました!」
 駆け足で図書室から去っていった。

 その日の帰り。
「図書室のあの子可愛かったな。誰だろ。明日また行くか。」
 そう言い帰路に着いた。
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