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砂漠の国編
第174部分 ボードゲーム②
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勝手に先行を取られたことに対しては文句がある。
しかし、後攻が無条件で不利なわけではない。
「後攻の場合、初めから札を一枚を引くことが出来る、で良いんだよな?」
ルールを確認した時に記載されていた先行有利を無くす為の決まりだ。
『そうだ、一枚札を引け』
俺は札を一枚、引く。
さて、こっちの番だな。
そういえば、自動で動くくらいの仕掛けはあると思ったが、巨大な蛇人は自分の右手で駒を動かした。
…………えっ、もしかして、俺たちも自力で動かすの?
「第二歩兵隊、一歩前に……」
俺が指示を出しても駒は動かなかった。
なんでそこは人力なんだ。
ファンタジーなら勝手に動いてくれよ!
「私が下に降りて動かしてみる」
「いや、あんなでかい駒を動かすのは無理だよ」
出来るとしたら…………
「フィールレイ、起きてくれ!」
叫んでみたが、まったく起きる気配はなかった。
『どうした? 駒を動かさないなら、汝の負けだ』
巨大な蛇人が宣告する。
「いや、待ってくれって…………」
こんなの人間に動かせるわけないだろ。
フィールレイに協力してもらわないと無理だ。
「こんな方法が効くか分からないけど…………」
俺は召喚盤を展開して、カード化していたアイラの服と縄を取り出した。
縄に服を縛り付けて、フィールレイの元へ投げる。
するとすぐに反応があった。
「アイラ!?」
フィールレイはアイラの服に飛びついた。
取られる寸前で縄を思いっきり引っ張った。
「おい、その服を渡せ!」
おい、さっきまで昏睡していただろ。
フィールレイは寝起きとは思えないほどハキハキしていた。
クレイジーサイコレズ…………
そんな言葉を言いかける。
さすがにそんな言葉を言うわけにはいかない。
「渡したら、後で俺が怒られそうだよ。これ、アイラのお気に入りの服なんだ」
「大丈夫だ、堪能したら、返す」
「このクレイジーサイコレズ!」
アイラへの執着が異常なんだよ!
でも、そうだな、その執着を利用しようか。
「ハヤテ、今、凄く悪い顔をしているよ」とナターシャが言う。
「フィールレイ、もし協力してくれたら、アイラの服を一着、内緒であげるよ」
「本当か!? 何をすればいい!?」
「…………」
せめて内容くらい聞いたらどうだろうか?
まぁ、協力してくれるのはありがたいけどさ。
「前衛の右から二つ目の駒を一つ前に出してくれ」
「前衛……右から二つ目……これか?」
フィールレイは俺が指定した駒を指差した。
俺は頷く。
「分かった」と言い、フィールレイは軽々と駒を持ち上げた。
そして、一つ前のマスに置く。
「結構、重いな」
「大丈夫そうか?」
「問題ない」
これで駒は問題なく動かせる。
あとはこの勝負に勝つだけだ。
俺は後攻として引いたカードを見る。
《緊急札・防壁》
相手はこの手番で司令官を討ち取れない。
単純だが、強力な札だ。
一ターンの間、詰みを回避できる。
ただし、さすがにまだ使いどころは無さそうだな。
『第三歩兵隊を前に……』
最序盤は特にぶつかることなく、進んでいく。
初めて駒同士のぶつかり合いがあったのは俺の五回目の手番だった。
俺の第一竜騎兵隊が相手の第四歩兵隊をノーリスクで攻撃できる。
相手はまだカードを持っていない。
この攻撃は通る。
「フィールレイ、第一竜騎兵隊を四マス右斜めに前進させてくれ」
「分かった。だが、そこには敵の駒がある」
そういえば、どうすればいいんだ?
「私に任せてくれるか?」
「いいけど、どうするんだ?」
「こうする」
フィールレイには何か妙案があるのかと思ったが、やったのは簡単な力技だった。
まず第一竜騎兵隊の駒を持ち上げ、目的の駒の前まで進む。
そして、第一竜騎兵隊の駒を相手の第四歩兵隊の駒に叩きつけた。
相手の駒は砕け、消滅する。
「それって大丈夫なのか?」
反則負けとかにならないだろうな、と思っていると山札の一番上の札が光った。
引けと言うことだろう。
どうやら、これであっていたようだ。
俺と相手は一枚ずつ札を引く。
これで俺が一歩リードしたはずだ。
そう思ったのだが、
『我は札を使用する』
「いきなりかよ」
ちなみに俺が引いた札は《自発札》だったので、使うことが出来る札はない。
『我は《自発札・兵種変更》を第二騎兵隊を対象に発動。これは駒の一つを司令官と英雄以外の駒にへ変更できる。騎兵隊の駒を砲兵隊へ変更する』
「なっ!?」
砲兵隊の射程なら、竜騎兵隊に届く。
今引きでそれって、イカサマじゃないのか!?
第二騎兵隊の駒が砲兵隊へ変化した。
巨大な蛇人はその砲兵隊の駒を移動させて、こちら側の竜騎兵を打ち砕く。
駒が破壊されたのでまた札を引く。
「これは…………俺は《緊急札・戦線復帰》を発動。これの効果でこのターンの取られた駒を初期位置に復活させる!」
俺が宣言すると竜騎兵隊が初期位置に出現した。
これで数的有利はまだこっちにある。
しかも、駒の力では同じ騎兵隊を砲兵隊に変えたので残っている駒の力でもこちらが有利だ。
[さて、無暗に飛び込むべきじゃないよな…………」
大駒を動かして、さっきみたいにやられたら、まずい。
歩兵隊で様子を見るべきだろう。
カードゲームとチェスを同時にやっている気分だ。
頭が痛くなってくる。
しかし、後攻が無条件で不利なわけではない。
「後攻の場合、初めから札を一枚を引くことが出来る、で良いんだよな?」
ルールを確認した時に記載されていた先行有利を無くす為の決まりだ。
『そうだ、一枚札を引け』
俺は札を一枚、引く。
さて、こっちの番だな。
そういえば、自動で動くくらいの仕掛けはあると思ったが、巨大な蛇人は自分の右手で駒を動かした。
…………えっ、もしかして、俺たちも自力で動かすの?
「第二歩兵隊、一歩前に……」
俺が指示を出しても駒は動かなかった。
なんでそこは人力なんだ。
ファンタジーなら勝手に動いてくれよ!
「私が下に降りて動かしてみる」
「いや、あんなでかい駒を動かすのは無理だよ」
出来るとしたら…………
「フィールレイ、起きてくれ!」
叫んでみたが、まったく起きる気配はなかった。
『どうした? 駒を動かさないなら、汝の負けだ』
巨大な蛇人が宣告する。
「いや、待ってくれって…………」
こんなの人間に動かせるわけないだろ。
フィールレイに協力してもらわないと無理だ。
「こんな方法が効くか分からないけど…………」
俺は召喚盤を展開して、カード化していたアイラの服と縄を取り出した。
縄に服を縛り付けて、フィールレイの元へ投げる。
するとすぐに反応があった。
「アイラ!?」
フィールレイはアイラの服に飛びついた。
取られる寸前で縄を思いっきり引っ張った。
「おい、その服を渡せ!」
おい、さっきまで昏睡していただろ。
フィールレイは寝起きとは思えないほどハキハキしていた。
クレイジーサイコレズ…………
そんな言葉を言いかける。
さすがにそんな言葉を言うわけにはいかない。
「渡したら、後で俺が怒られそうだよ。これ、アイラのお気に入りの服なんだ」
「大丈夫だ、堪能したら、返す」
「このクレイジーサイコレズ!」
アイラへの執着が異常なんだよ!
でも、そうだな、その執着を利用しようか。
「ハヤテ、今、凄く悪い顔をしているよ」とナターシャが言う。
「フィールレイ、もし協力してくれたら、アイラの服を一着、内緒であげるよ」
「本当か!? 何をすればいい!?」
「…………」
せめて内容くらい聞いたらどうだろうか?
まぁ、協力してくれるのはありがたいけどさ。
「前衛の右から二つ目の駒を一つ前に出してくれ」
「前衛……右から二つ目……これか?」
フィールレイは俺が指定した駒を指差した。
俺は頷く。
「分かった」と言い、フィールレイは軽々と駒を持ち上げた。
そして、一つ前のマスに置く。
「結構、重いな」
「大丈夫そうか?」
「問題ない」
これで駒は問題なく動かせる。
あとはこの勝負に勝つだけだ。
俺は後攻として引いたカードを見る。
《緊急札・防壁》
相手はこの手番で司令官を討ち取れない。
単純だが、強力な札だ。
一ターンの間、詰みを回避できる。
ただし、さすがにまだ使いどころは無さそうだな。
『第三歩兵隊を前に……』
最序盤は特にぶつかることなく、進んでいく。
初めて駒同士のぶつかり合いがあったのは俺の五回目の手番だった。
俺の第一竜騎兵隊が相手の第四歩兵隊をノーリスクで攻撃できる。
相手はまだカードを持っていない。
この攻撃は通る。
「フィールレイ、第一竜騎兵隊を四マス右斜めに前進させてくれ」
「分かった。だが、そこには敵の駒がある」
そういえば、どうすればいいんだ?
「私に任せてくれるか?」
「いいけど、どうするんだ?」
「こうする」
フィールレイには何か妙案があるのかと思ったが、やったのは簡単な力技だった。
まず第一竜騎兵隊の駒を持ち上げ、目的の駒の前まで進む。
そして、第一竜騎兵隊の駒を相手の第四歩兵隊の駒に叩きつけた。
相手の駒は砕け、消滅する。
「それって大丈夫なのか?」
反則負けとかにならないだろうな、と思っていると山札の一番上の札が光った。
引けと言うことだろう。
どうやら、これであっていたようだ。
俺と相手は一枚ずつ札を引く。
これで俺が一歩リードしたはずだ。
そう思ったのだが、
『我は札を使用する』
「いきなりかよ」
ちなみに俺が引いた札は《自発札》だったので、使うことが出来る札はない。
『我は《自発札・兵種変更》を第二騎兵隊を対象に発動。これは駒の一つを司令官と英雄以外の駒にへ変更できる。騎兵隊の駒を砲兵隊へ変更する』
「なっ!?」
砲兵隊の射程なら、竜騎兵隊に届く。
今引きでそれって、イカサマじゃないのか!?
第二騎兵隊の駒が砲兵隊へ変化した。
巨大な蛇人はその砲兵隊の駒を移動させて、こちら側の竜騎兵を打ち砕く。
駒が破壊されたのでまた札を引く。
「これは…………俺は《緊急札・戦線復帰》を発動。これの効果でこのターンの取られた駒を初期位置に復活させる!」
俺が宣言すると竜騎兵隊が初期位置に出現した。
これで数的有利はまだこっちにある。
しかも、駒の力では同じ騎兵隊を砲兵隊に変えたので残っている駒の力でもこちらが有利だ。
[さて、無暗に飛び込むべきじゃないよな…………」
大駒を動かして、さっきみたいにやられたら、まずい。
歩兵隊で様子を見るべきだろう。
カードゲームとチェスを同時にやっている気分だ。
頭が痛くなってくる。
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