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雌伏編
第96部分 洋館事件⑥
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四人の中で一番戦いやすいのは、ローランだ。
彼女は四人の中で一番最後まで理性があった。
それは毒や催眠への耐久力の他に精神力や忠誠心も関係していたのだろう。
悪いがそれを利用させてもらう。
「ローラン、助けて!」
シャルが声を張る。
「シャルロッテ様?」
ローランは振り向き、驚いたようだ。
「ハヤテ、何のつもりだ!?」
ローランが僅かに正気へ戻った気がする。
まぁ、目の前の衝撃的な光景を見たら当たり前だ。
忠誠を尽くしてきた元王女様に半裸の男が抱きついているんだから。
まぁ、その半裸の男が俺なんだけど……
「ハヤテ、どういうつもりだ? 半裸でシャルロッテ様に抱き着くなんて、君は変態か!?」
全裸の君に言われたくないよ!?
……ヤバいヤバい。
いつものノリで突っ込みを入れるところだった。
「ローラン、ハヤテもあのお風呂に落ちてしまったんです。そしたら、こうなってしまって…………」
「なんだって!? ハヤテ、気をしっかり持つだ! 欲に負けちゃいけない!」
一体、どの口が……いや、今はよそう……
「君が代わりになるなら、シャルは解放しよう」
「私が?」
「そう、ローランの方が俺の好みだ」
言った瞬間、ローランは赤くなった。
「…………」
で、なんでシャルは俺の腕に爪を立てているの?
打ち合せ通りの言葉だよね!?
「君が俺の相手をするなら、シャルを解放しよう」
「…………分かった」
俺はローランに腕輪を投げた。
これは魔具倉庫にあった手錠と同じ効果の腕輪だ。
「抵抗されたくない。その腕輪を付けてもらおうか」
ローランは腕輪を拾い、装着した。
「付けたぞ。それで…………」
俺とシャルはローランに飛びついた。
「ごめんなさい、ローラン『束縛術式』発動」
シャルの魔法でローランの自由を奪った。
そして、ナターシャたちと同じように縄で拘束する。
「ひ、卑怯だぞ!」
「何とでも言ってくれ。俺はヤラれるわけにはいかない」
口も塞いで、空き部屋にローランを閉じ込めた。
これであと三人だ。
そして、次に狙うのは決まっている。
階段を降りたところで目標を見つけた。
「香」と俺は彼女の名前を呼ぶ。
「ハヤテ……さぁ、愛を語りましょう、体で!」
香は突進してきた。
ローランが理性と本能の間で揺れ動いていたのに、香は躊躇いがない。
どんだけ欲望に忠実なんだよ……!
俺は香の突進を躱した。
「シャル、走れ!」
「は、はい」
俺とシャルは予定の場所まで走る。
後ろからは魔物より恐ろしい存在が追いかけてくる。
「飛べ!」
俺とシャルは仕掛けに嵌らないように飛んだ。
「香は…………?」
見ると仕掛けの手前で止まっていた。
「何かありますよね?」
俺たちの動きが露骨過ぎた。
さすがに気付かれたらしい……
次の手を俺が考えていると
「ハヤテさん、ごめんなさい…………!」
シャルは俺の肩をグイッと引っ張ると頬にキスをした。
「えっ? ええっ!?」
あまりのことに俺が混乱する。
とてつもない殺気を感じた。
「なにしているんですか! この淫乱元王女!!」
香は激高して、叫ぶ。
罠だと疑ったことをすっかり忘れて突進してきた。
そして、俺たちの前で転倒する。
「なんですか、これは!?」
香は体を起こそうとするが、それは不可能だ。
床には粘着性の強い半固形のトラップを仕掛けておいた。
「どう、動けないでしょ?」と俺はあくどい笑いを浮かべる。
「こんなもの、簡単に…………!」
「よした方が…………」
俺が言う前に香は脱出の為に魔力を使う。
「はうっ…………!」
香は嬌声を漏らした。
「な、何ですか!?」
「この〝とりもち〟みたいなトラップは、魔力に反応して電気に似た反応を起こすらしいんだよ」
シャルが魔具倉庫に置いてあった薬品について詳しく助かった。
香はなお、脱出しようとするが、魔力無しでは不可能なほど粘着力は強い。
「ハヤテさん、その、ごめんなさい…………咄嗟だったとはいえ…………」
シャルは申し訳なさと恥ずかしさが混じった表情で言う。
「いや、咄嗟に判断してくれて助かったよ」
「でも、嫌でしたよね?」
シャルは心配そうに言う。
「可愛い女の子にキスされて嫌がる男はいないから安心して」
そう言ってあげるとシャルはホッとしたようだった。
「私の前でイチャイチャしないでください! こんなもの……はうっ……!」
香はまた嬌声を上げていた。
知能が低下しているとはいえ、学習能力が無さすぎではないか?
とにかく、これで香も捕獲した。
後は…………
「ふ~~ん、魔力反応するのか。じゃあ、こうしたら、どうなる?」
香が嵌っているトラップに三本の矢が放たれた。
矢には魔力が込められていたのだろう。
「~~~~~~~~!?」
香は声にならない悲鳴を上げて、失神した。
「これであとはリスネとシャルロッテだけだ。ハヤテ、もうすぐ二人だけになれるぞ」
現れたのはリザだった。
彼女は四人の中で一番最後まで理性があった。
それは毒や催眠への耐久力の他に精神力や忠誠心も関係していたのだろう。
悪いがそれを利用させてもらう。
「ローラン、助けて!」
シャルが声を張る。
「シャルロッテ様?」
ローランは振り向き、驚いたようだ。
「ハヤテ、何のつもりだ!?」
ローランが僅かに正気へ戻った気がする。
まぁ、目の前の衝撃的な光景を見たら当たり前だ。
忠誠を尽くしてきた元王女様に半裸の男が抱きついているんだから。
まぁ、その半裸の男が俺なんだけど……
「ハヤテ、どういうつもりだ? 半裸でシャルロッテ様に抱き着くなんて、君は変態か!?」
全裸の君に言われたくないよ!?
……ヤバいヤバい。
いつものノリで突っ込みを入れるところだった。
「ローラン、ハヤテもあのお風呂に落ちてしまったんです。そしたら、こうなってしまって…………」
「なんだって!? ハヤテ、気をしっかり持つだ! 欲に負けちゃいけない!」
一体、どの口が……いや、今はよそう……
「君が代わりになるなら、シャルは解放しよう」
「私が?」
「そう、ローランの方が俺の好みだ」
言った瞬間、ローランは赤くなった。
「…………」
で、なんでシャルは俺の腕に爪を立てているの?
打ち合せ通りの言葉だよね!?
「君が俺の相手をするなら、シャルを解放しよう」
「…………分かった」
俺はローランに腕輪を投げた。
これは魔具倉庫にあった手錠と同じ効果の腕輪だ。
「抵抗されたくない。その腕輪を付けてもらおうか」
ローランは腕輪を拾い、装着した。
「付けたぞ。それで…………」
俺とシャルはローランに飛びついた。
「ごめんなさい、ローラン『束縛術式』発動」
シャルの魔法でローランの自由を奪った。
そして、ナターシャたちと同じように縄で拘束する。
「ひ、卑怯だぞ!」
「何とでも言ってくれ。俺はヤラれるわけにはいかない」
口も塞いで、空き部屋にローランを閉じ込めた。
これであと三人だ。
そして、次に狙うのは決まっている。
階段を降りたところで目標を見つけた。
「香」と俺は彼女の名前を呼ぶ。
「ハヤテ……さぁ、愛を語りましょう、体で!」
香は突進してきた。
ローランが理性と本能の間で揺れ動いていたのに、香は躊躇いがない。
どんだけ欲望に忠実なんだよ……!
俺は香の突進を躱した。
「シャル、走れ!」
「は、はい」
俺とシャルは予定の場所まで走る。
後ろからは魔物より恐ろしい存在が追いかけてくる。
「飛べ!」
俺とシャルは仕掛けに嵌らないように飛んだ。
「香は…………?」
見ると仕掛けの手前で止まっていた。
「何かありますよね?」
俺たちの動きが露骨過ぎた。
さすがに気付かれたらしい……
次の手を俺が考えていると
「ハヤテさん、ごめんなさい…………!」
シャルは俺の肩をグイッと引っ張ると頬にキスをした。
「えっ? ええっ!?」
あまりのことに俺が混乱する。
とてつもない殺気を感じた。
「なにしているんですか! この淫乱元王女!!」
香は激高して、叫ぶ。
罠だと疑ったことをすっかり忘れて突進してきた。
そして、俺たちの前で転倒する。
「なんですか、これは!?」
香は体を起こそうとするが、それは不可能だ。
床には粘着性の強い半固形のトラップを仕掛けておいた。
「どう、動けないでしょ?」と俺はあくどい笑いを浮かべる。
「こんなもの、簡単に…………!」
「よした方が…………」
俺が言う前に香は脱出の為に魔力を使う。
「はうっ…………!」
香は嬌声を漏らした。
「な、何ですか!?」
「この〝とりもち〟みたいなトラップは、魔力に反応して電気に似た反応を起こすらしいんだよ」
シャルが魔具倉庫に置いてあった薬品について詳しく助かった。
香はなお、脱出しようとするが、魔力無しでは不可能なほど粘着力は強い。
「ハヤテさん、その、ごめんなさい…………咄嗟だったとはいえ…………」
シャルは申し訳なさと恥ずかしさが混じった表情で言う。
「いや、咄嗟に判断してくれて助かったよ」
「でも、嫌でしたよね?」
シャルは心配そうに言う。
「可愛い女の子にキスされて嫌がる男はいないから安心して」
そう言ってあげるとシャルはホッとしたようだった。
「私の前でイチャイチャしないでください! こんなもの……はうっ……!」
香はまた嬌声を上げていた。
知能が低下しているとはいえ、学習能力が無さすぎではないか?
とにかく、これで香も捕獲した。
後は…………
「ふ~~ん、魔力反応するのか。じゃあ、こうしたら、どうなる?」
香が嵌っているトラップに三本の矢が放たれた。
矢には魔力が込められていたのだろう。
「~~~~~~~~!?」
香は声にならない悲鳴を上げて、失神した。
「これであとはリスネとシャルロッテだけだ。ハヤテ、もうすぐ二人だけになれるぞ」
現れたのはリザだった。
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