【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる

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第1章

竜使いの新人、注目と出会い

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 あの規格外の鉱石運搬依頼をこなして以来、俺を見るギルドの空気は明らかに変わった。「竜使いの新人」「無限収納のレント」――そんな呼び名と共に、俺の存在はドワーダルの冒険者たちの間で急速に広まっていた。

 ギルドを訪れるたびに、好奇や探るような視線を感じる。以前のように嘲笑する者はもはやいないが、代わりに値踏みするような目や、時には嫉妬の混じった視線が向けられることもあった。
「よう、レントとか言ったか。ちょっと話があるんだが」
「なあ、あんたのその収納スキル、どうなってんだ? 俺のパーティーに入らないか?」

 情報交換を持ちかけられたり、パーティーへの勧誘を受けたりすることも増えた。俺は基本的に単独(プルとリンドはいるが)での行動を好むため、勧誘は丁重に断ったが、情報交換には応じるようにした。おかげで、ドワーダルの地理や有力者、ギルドの内部事情、そしてやはり気になる「鉱山の異変」に関する様々な噂を耳にすることができた。異変は特定の鉱山だけでなく、複数の場所で断続的に発生しているらしい。原因について、ギルド内でも様々な憶測が飛び交っていた。

 そんなある日、ギルドに併設された酒場で一人、簡単な食事をとっていると、数人の冒険者グループが俺のテーブルに近づいてきた。見覚えのある顔だ。ギルドで何度か見かけた、赤毛の剣士を中心としたパーティー。確か「紅蓮の牙」とか名乗っていたはずだ。

「よう、あんたが噂のレントか」
 リーダーらしき赤毛の剣士――ガルバスと名乗った――が、挑むような笑みを浮かべて言った。彼は他のメンバーよりも頭一つ抜きん出た体格をしており、腰に下げた大剣がその実力を物語っているようだった。

「……何か用でしょうか?」
「ふん、鉱石運びで名を上げたそうじゃねえか。大した収納スキルを持ってるらしいな」
 ガルバスは俺の隣にどっかりと腰を下ろす。他のメンバーも俺を取り囲むように座った。
「だがな、勘違いするんじゃねえぞ。荷物運びが上手いだけじゃ、冒険者としては半人前だ。いざという時に頼りになるのは、てめえの腕と力だけだぜ?」

 明らかに挑発的な物言いだ。だが、彼の目には単なる嫉妬だけではない、実力者特有の好奇心のようなものも感じられた。
「……忠告、感謝します」
 俺は冷静に返し、食事を続ける。ここで無用な争いをするつもりはない。
「ほう……。見かけによらず、肝は据わってるらしいな。気に入ったぜ」
 ガルバスは意外そうな顔をしたが、ニヤリと笑うと、それ以上は絡んでこなかった。代わりに、鉱山の異変に関する情報をいくつか話してくれた。どうやら彼らも異変の調査に関わっているらしい。

(ライバル、か。まあ、悪い奴ではなさそうだ)

 互いに牽制しつつも、奇妙な関係性が生まれた瞬間だった。

 ギルドでの注目度が高まったことで、別の出会いもあった。俺はこれまでの戦いで手に入れた高ランク魔物の素材――特にオークチーフの硬い牙や、試練の洞窟で見つけた特殊な鉱石など――を加工してくれる腕利きの鍛冶師を探していた。ギルドで相談したところ、「それならボルガン親方が適任だろう」と紹介されたのだ。

 ボルガン親方は、ドワーダルでも指折りのドワーフ鍛冶師で、頑固一徹だが腕は超一流だという。俺は紹介状を手に、彼の工房を訪ねた。工房は街の鍛冶区画にあり、中からは激しい槌音と熱気が漏れ聞こえてくる。

「ごめんください、ボルガン親方はいらっしゃいますか?」
「……なんじゃ、ひょろっこいのが。冷やかしなら帰りな」
 出てきたのは、想像通りの頑固そうなドワーフだった。真っ白な髭をたくわえ、筋骨隆々とした体躯をしている。

「ギルドの紹介で来ました。この素材を加工していただきたくて」
 俺は【収納∞】から、オークチーフの牙や特殊な鉱石を取り出して見せた。時間停止空間に入れておいたため、素材はどれも最高の状態を保っている。

「……ほう?」
 ボルガン親方の目の色が変わった。彼は素材を手に取り、熟練の目でじっくりと鑑定し始めた。
「こいつは……上物のオークチーフの牙じゃな。それに、この鉱石は……まさか、『星屑鉄』か!? どこでこんなものを……しかも、この鮮度。どうやって持ち運んだ?」

 俺が【収納∞】の能力(時間停止含む)について簡単に説明すると、ボルガン親方は唸り声を上げ、俺の顔をじっと見つめた。
「……面白い。実に面白い! あんた、ただの若造じゃなさそうじゃな!」
 彼の職人魂に火が付いたようだった。「よし、話を聞こうじゃないか!」と、彼は俺を工房の中へと招き入れてくれた。

 俺はボルガン親方に、自分用の新しい剣の製作と、リンドの爪や鱗を保護・強化するための特注装備について相談した。彼は俺の話と持ち込んだ素材に強い興味を示し、「任せておけ! ワシの生涯最高の傑作を作ってやるわい!」と快く引き受けてくれた。どうやら、良い協力者が見つかったようだ。

 ギルドでの評判、ライバルとの出会い、そして腕利き鍛冶師との繋がり。ドワーダルでの基盤は、少しずつだが着実に固まりつつあった。
 そんな折、ギルドの依頼ボードに、新たな依頼書が張り出されているのに気づいた。それは、俺宛ての指名依頼だった。

『指名依頼:レント殿』
『依頼主:ドワーダル鉱山組合』
『内容:第伍鉱山区域にて行方不明となった調査隊員の捜索および救助。対象区域は魔物の異常発生が確認されており、極めて危険度が高い』
『ランク:C(成功時Bランク相当報酬)』

(行方不明者の捜索……。異変が起きている鉱山の、さらに奥か)

 危険な依頼であることは間違いない。だが、高額な報酬、得られるであろう経験値、そして鉱山の異変の真相に近づけるかもしれないという可能性が、俺の心を強く惹きつけた。
 ちらりと横を見ると、「紅蓮の牙」のガルバスも、同じ依頼書を険しい顔で眺めていた。

「鉱山の異変……か。ただの魔物の暴走ではなさそうだ。行く価値は、あるかもしれんな」

 俺は依頼書を手に取り、受付カウンターへと向かった。新たな挑戦への決意を、その瞳に宿して。
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