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過去との邂逅
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しおりを挟む「それで、最初の実習はうまく進んだのか?」
最初の五日の訓練が終わり、風花は学園に戻って来ていた。
実習と実習の間の二日間は、寮での休息が認められている。
戻って来た風花を迎えたのは、いつもの如く窓を叩く小石だった。
週に二回はあった訪れ。
実習期間の貴重な休みを返上してまで会いに来てくれるライルの几帳面さに、風花は堪えきれずに笑みをこぼした。
カーテンの向こうに飛び降りる動作が、いつもよりも弾んでいるように思える。
ライルは微笑んで、腕を広げて待っていた。
ライルの肩に顔を埋めて、纏う素養をゆっくりと吸い込む。
ああ、ライルだ。
風花は堪能するようにライルにすり寄った。
いつもの木陰に移動して、この一週間のことを報告する。
ライルは二学年のため、風花たち初学年の生徒よりも厳しい実習が始まったようだ。
疲れているだろうに、会いに来てくれたことが単純に嬉しい。
「んー……駄目駄目かなぁ。担当魔騎士に反抗しちゃったから、あの後俺だけ何も指示されなかったんだー」
木咲は良くも悪くも甘くない人間だということがわかった。
規律重視の真っ直ぐな態度。
他人にも厳しいが、自分にも厳しいタイプであるのが見て取れた。
たしかに、魔騎士団は基本的に団体行動だ。一人の規律の乱れが、全体に影響を及ぼすことも少なくない。
“ヨン”は規律を乱した者として、“隊長”に指導された。それだけのことだ。
風花は木咲に対して、良い指導者だと感心した。
命令に忠実にあることだけが全てではない。
木咲は、風花がどのように動くのかを見ていた。
「ふぅは? それで何もしなかったわけではないだろう?」
「もちろん」
ライルは楽しげに風花に問いかけた。
ふぅ。
その響きが心地よい。
風花は微笑みで返した。
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