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番外編

カレンへのプレゼント(ライル視点)

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「おい、ソルシエール! いるか!?」


 ソルシエールの店で、一見誰もいないように見える店内で声を上げる。店が開いていれば、ソルシエールはいるとカレンから聞いた。だから、恐らくいるはずなのだ。


「また来たのー? 猫ちゃん」


 ひょこっとどこからともなく顔を出したソルシエールは少し呆れたような口調だった。


「いい加減、俺のことを猫ちゃんと呼ぶのやめてくれないか?」
「えぇ、別に猫ちゃんでいいじゃん。今更変えるのめんどいよー」
「俺には一応ちゃんとした名前が……」
「それで、今日は何の用?」
「人の話は最後まで聞け!」


 相変わらずのマイペース。もう俺は猫の姿ではないのに、未だに猫ちゃんと呼ぶのはやめてもらいたいのだが。


「……この前、カレンから誕生日プレゼントをもらってな」
「ああ、誕生日だったんだってね。おめでとー」
「うむ。それでな、御守りの効果があると聞いて、俺もカレンに渡してやりたいと思ったのだ」


 危険から身を守る。そんなものがあれば、カレンにも持っていて欲しい。意外とお転婆なところがあるから、心配だし……。


「ふーん。なるほどねぇ」
「だからソルシエールの力を借りたいと思ってな」
「別に構わないけど……御守りなら既にカレンは持ってるよ」
「ん? そうなのか?」
「うん。だって僕があげたもん」
「む!?」


 いつの間にそんなことを……? ああいや、そういえばソルシエールとカレンは幼なじみだった。こいつはずいぶんカレンと仲が良いようだし、あげていてもおかしくはないか。

 しかし、そう聞くとなんだか寂しいな。俺が知り合う前から、仲が良いのだからそういうこともあるのだろうが……うむ……。


「そういうわけだからカレンに御守りは必要ないよ」
「……御守りは何をあげたのだ?」
「えっ? んっとねー、ブレスレットと髪飾りとネックレスかなぁ」
「そ、そんなに渡したのか!?」
「うん。他にも色々あげたよ?」
「なぜそんなにたくさん渡してるのだ……」
「子どもの頃からあげてるからねー。それに、これならどれか一つは絶対に身につけるじゃん?」


 む……これだと俺が渡す必要がないな。せっかくプレゼントを貰ったのだから何かお礼をしたかったのだが。なにかほかの形でする方が良いか?

 それにしても、ソルシエールはカレンに対して過保護ではないだろうか。何がなんでも守ろうとする意志を感じるぞ? もしかして、こいつもカレンが好きなのか?

 ありえる……。カレンとは仲が良さそうだし、俺に対して突っかかってきてたのもそれが原因だったのか!?


「なんか変なこと考えてない? 別に、僕はカレンのこと恋愛対象として見てないからね」
「えっ、なっ何も考えてないぞ!?」
「ふーん、まあどうでもいいけど」


 まさか考えていることを言い当てられるとは。やはりこいつは油断ならん。底の知れないやつだ。
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