41 / 84
41.猫になった婚約者とお金
しおりを挟む
「ともかく、依頼人については分かりましたわ」
ライルを猫にした相手もその理由も判明した。
探していた魔女もへクセだと分かった。
「……それで、ライル様のことなんですけれど」
「猫ちゃん?」
「俺を人間に戻してくれ!」
「……だそうですわ」
ライルがへクセに飛びついた。今度はキャッチして、バランスを崩すことは無かった。
ライルをわしゃわしゃと撫でながら、へクセは考える素振りを見せる。
「んー……それはいいけど……本来ならもう呪いは解けているはずなんだよねー」
「な、なに!?」
「どういうことですの?」
「僕さ、猫ちゃんに呪いをかけた時、自動的に三日で元に戻るようにしておいたはずなんだよね……」
へクセは三日で解けるように呪いをかけていた?
だが、ライルは一ヶ月経った今も猫のままだ。呪いは解けていないのは明白。
「……俺は猫のままだぞ?」
「だよねぇ……おかしいなぁ」
「お前が呪いをかけたんだろう!?」
「そうなんだけどさぁ……」
へクセ自身も不可解な様子だ。ライルを触り続けながら、んー? と言ったりうー? と言ったりしている。
「そもそも、どうして三日なんですの?」
「だって……流石に王子に呪いをかけるのはやばいし……三日くらいなら悪い夢を見たで済むかなぁって……」
「ごまかそうとしてたのか!?」
王子に呪いをかけるのはやばいと思っている割に、その当の本人に明かしているがいいのだろうか。
持ち上げてみたりその辺に寝っ転がさせたりもしている。
もしかして、へクセはあれで呪いを確認でもしているのだろうか。
最初来た時もライルを撫で回していたし、話の内容を当てたのも、ライルを触って正体に気づいていたから?
魔女が呪いをかけた相手に触れると、魔女にしか分からない何かが分かる……ということなのだろうか。
「やっぱり失敗した様子はないなぁ……僕がどこか間違えたわけでもないし……」
ぼそぼそとなにやら呟いている。
「なぁ、俺に呪いをかけるのがやばいと思っているくせになぜその依頼を引き受けたんだ? 断ればいいだろう」
「だって……お金いっぱいくれるって言うから……」
ライルをベタベタ触り続けながら言う。声色が少しだけ申し訳なさそうだ。
怒る気もなくなったのか、ライルは大人しくへクセに触られ続け、特に口も挟まなかった。
「お金に困っていらしたの?」
「困ってはないけど……すっごい大金だったから……あと土地もくれるって言われて……つい」
生活には困ってはいなくても、へクセは決して裕福とは言えない。
つい目が眩んでしまうのも仕方ないといえば仕方ない。
「お前って奴は……」
ため息混じりにライルが呟いた。その声は怒ってはいなかったが、呆れているようだった。
ライルを猫にした相手もその理由も判明した。
探していた魔女もへクセだと分かった。
「……それで、ライル様のことなんですけれど」
「猫ちゃん?」
「俺を人間に戻してくれ!」
「……だそうですわ」
ライルがへクセに飛びついた。今度はキャッチして、バランスを崩すことは無かった。
ライルをわしゃわしゃと撫でながら、へクセは考える素振りを見せる。
「んー……それはいいけど……本来ならもう呪いは解けているはずなんだよねー」
「な、なに!?」
「どういうことですの?」
「僕さ、猫ちゃんに呪いをかけた時、自動的に三日で元に戻るようにしておいたはずなんだよね……」
へクセは三日で解けるように呪いをかけていた?
だが、ライルは一ヶ月経った今も猫のままだ。呪いは解けていないのは明白。
「……俺は猫のままだぞ?」
「だよねぇ……おかしいなぁ」
「お前が呪いをかけたんだろう!?」
「そうなんだけどさぁ……」
へクセ自身も不可解な様子だ。ライルを触り続けながら、んー? と言ったりうー? と言ったりしている。
「そもそも、どうして三日なんですの?」
「だって……流石に王子に呪いをかけるのはやばいし……三日くらいなら悪い夢を見たで済むかなぁって……」
「ごまかそうとしてたのか!?」
王子に呪いをかけるのはやばいと思っている割に、その当の本人に明かしているがいいのだろうか。
持ち上げてみたりその辺に寝っ転がさせたりもしている。
もしかして、へクセはあれで呪いを確認でもしているのだろうか。
最初来た時もライルを撫で回していたし、話の内容を当てたのも、ライルを触って正体に気づいていたから?
魔女が呪いをかけた相手に触れると、魔女にしか分からない何かが分かる……ということなのだろうか。
「やっぱり失敗した様子はないなぁ……僕がどこか間違えたわけでもないし……」
ぼそぼそとなにやら呟いている。
「なぁ、俺に呪いをかけるのがやばいと思っているくせになぜその依頼を引き受けたんだ? 断ればいいだろう」
「だって……お金いっぱいくれるって言うから……」
ライルをベタベタ触り続けながら言う。声色が少しだけ申し訳なさそうだ。
怒る気もなくなったのか、ライルは大人しくへクセに触られ続け、特に口も挟まなかった。
「お金に困っていらしたの?」
「困ってはないけど……すっごい大金だったから……あと土地もくれるって言われて……つい」
生活には困ってはいなくても、へクセは決して裕福とは言えない。
つい目が眩んでしまうのも仕方ないといえば仕方ない。
「お前って奴は……」
ため息混じりにライルが呟いた。その声は怒ってはいなかったが、呆れているようだった。
0
お気に入りに追加
137
あなたにおすすめの小説
そんなにその方が気になるなら、どうぞずっと一緒にいて下さい。私は二度とあなたとは関わりませんので……。
しげむろ ゆうき
恋愛
男爵令嬢と仲良くする婚約者に、何度注意しても聞いてくれない
そして、ある日、婚約者のある言葉を聞き、私はつい言ってしまうのだった
全五話
※ホラー無し
側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。
とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」
成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。
「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」
********************************************
ATTENTION
********************************************
*世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。
*いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。
*R-15は保険です。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
あなたが「消えてくれたらいいのに」と言ったから
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
「消えてくれたらいいのに」
結婚式を終えたばかりの新郎の呟きに妻となった王女は……
短いお話です。
新郎→のち王女に視点を変えての数話予定。
4/16 一話目訂正しました。『一人娘』→『第一王女』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる