幽閉塔の早贄

大田ネクロマンサー

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第4部 手負いの獣に蝶と花

第30話 花に舞い降りる蝶

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 ゲーゲンバウアー家の屋敷は王都から早馬で半日。だから僕は週に2度の非番を連続して取るようにしていた。大抵は非番の前日の夜中に着いてその日はカミルと身を寄せ合って寝る。しかし今日ははやく王都を出たので、カミルの屋敷に着くや否やベッドに雪崩れ込んでしまった。


「テオ……疲れているのに無理をさせてしまいましたね……」

 僕はカミルの体にすっぽり包まれて、息を整えていた。最初の頃はこの体勢に色々思うことがあったが、この豊満な胸に包まれることが幸福で細かいことは考えなくなった。

「でも死んでしまうかと思うほど気持ちよかった……テオには私の気持ちいい場所を全て知られてしまいました……」

 カミルはこうやって男心をくすぐることを言う。それは僕の体が小さいことを気遣ってくれているのかもしれない。

 カミルの両胸を柔らかく包み、指の間から飛び出た尖りに口を寄せる。チュウと吸い付くと、カミルが弱々しく声を漏らした。逃れようとする腕を掴み、執拗に胸にしゃぶりつく。そっと下半身を寄せれば2人とも足の付け根が熱くなっていた。

 ムクムクと立ち上がるお互いの陰茎が、わずかに触れるたびに息が漏れる。口に含んだ彼の胸の先端を甘噛みしては舌で捏ねる。そしてそれが済んだら優しく舐めてあげるのだ。

「んっ……テオ……もう疲れているでしょう……?」

「寂しいのはカミルだけではありません」

「屋敷を売って王都に越します。駐屯地の宿舎はもう出られるでしょう?」

 カミルの胸を押して、仰向けになったところに覆い被さる。そして自分自身の陰茎を尻の割れ目にグイと押し付けた。

「僕の大きなお姫様はすぐに屋敷を売りたがる」

 僕は無意識のうちに自然とカミルの胸に両手を這わせる。

「テオは私の胸が好きですね……」

「大好きです。胸だけじゃない、この抱きごたえのある体。こんな大輪の美しい花が僕を待ってくれてると考えるだけで気が狂いそうです」

 カミルが両手を広げたから、僕は顔から胸に突っ込む。さっきまで意気揚々と挑もうとしていたのに、胸の熱に巻かれたら急激に意識が沈み込んだ。

「ああ、大きくて、温かくて、美しい。幸せだなぁ……」

 カミルが両手で僕を包んだら、まるで花の中に体ごと閉じこめられたような錯覚に陥る。

「カミル……屋敷を売らないでください……庭師を必ず雇います……」

「はい、売りません……だから今日はこのまま寝てください……」

「カミル、僕の大切な花……」

 彼の名を水面に置いて眠りの渦に吸い込まれる。それに抗って、フワフワと空を飛んでるみたいだった。
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