幽閉塔の早贄

大田ネクロマンサー

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第4部 手負いの獣に蝶と花

第24話 濡れる花芯 ※

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 僕はブランケットを首側からゆっくりとめくって、そこに現れた肉体に感嘆のため息を漏らす。震えを抑えながら盛り上がった胸に手を這わせる。大きな二つの丘陵を両手で包んだら、自然と言葉が溢れた。

「カミルも着痩せするタイプですね……」

 短く息を漏らしたカミルは顔を逸らした。気に障っただろうか、と心配して胸を掴んでいた両手をそっと離す。

「だ、抱いてください……」

 唐突な言葉に僕は戸惑いを覚える。しかし僕が彼の盛り上がった筋肉を撫でたことで、肉体への劣等感を刺激したのだろう。

 僕は上物を脱ぎ捨てる。そして彼の手を僕の胸に添えた。彼が震えながら僕の胸を撫でている間に、履物を下ろす。彼の手を掴み、それをゆっくり下ろし、自分自身にあてがった。

 恥ずかしいほどに熱く膨れ上がったそれに触れた時、カミルは息を漏らした。

「もう、ずっとこうなのです。貴方を抱きたいと毎晩こうなっていました」

 カミルは納得できたのか僕のそれをしばらく触っていた。僕はジルにもらった容器をあけて中身を確かめる。軟膏のような粘性のあるものだった。

 カミルのブランケットを完全に取り去って、両足を左右に開き、その中央に座った。長い足が綺麗で、僕は太腿の内側に何度かキスをする。その間に容器から軟膏を取り出し、彼の足の付け根のその奥にある窄まりにゆっくりと塗り込んだ。

「ふっ……うぅっ、う、う」

 窄まりに軟膏を塗り込むたびに彼は声を漏らす。塗るとしてはこんなものでいいとは思うが、彼が気持ちよさそうなので声の出る方へどんどんと指を差し入れた。

 つっと指が一本挿入された時、彼は腰を浮かせて仰け反った。彼の花芯から蜜が溢れていたので、僕はそれをもう片方の手で掬い上げてゆっくりと動かす。

 彼の前はもう限界そうだった。少しの刺激で膨らんだり縮んだりを繰り返している。しかし後ろの指を増やすとそれが収まることから、きっと後ろの方はまだ快感には値しないのだろうと思う。

 ほぐす意味もあって指を増やそうと中で指を折り曲げた時、急にカミルが悲鳴をあげた。

「痛かったですか!?」

 引っ掻いてしまったりしていないだろうかと気が気じゃなくなり、摩るようにさっきの場所を確かめる。そうされるカミルは途端にシーツを握りしめて我慢をしはじめた。

「カミル?」

「そこ……そこ……」

 顔を真っ赤にして恥ずかしがるカミルを見たら、それが痛いのではないと理解できた。それと同時に僕の理性が吹き飛んだ。軟膏をこれでもかというほど自身に塗りたくり、そして彼の窄まりに突きつける。彼がシーツを握りしめていた両手を上から掴んで、ゆっくりゆっくり侵入していった。


 途中気が緩み、ズルっと一気に押し込んでしまう。トンと奥についた時、カミルはボタボタと白濁を溢した。

 僕は安堵を覚える。僕ではカミルを悦ばせることができないのではないかと思っていたのだ。彼の両腿を持ち引き抜こうと思ったら、カミルが両手を掴んだ。

「ま……だ……」

 僕の手を足の付け根にあてがわれる。それは白濁を溢したのにも関わらず、まだ足りないと固く震えていた。

 耳のすぐそばで、心臓が鳴っているみたいだった。僕はさっきカミルが声を漏らした場所を撫でてあげたいと、彼の両足を肩にかけた。そしてそのまま上に向かって自分自身を突き入れる。

「あ、ああんっ! ああっ!」

 拒否に似た声を出すが、彼の中は熱く吸い付いて僕を離さなかった。グズグズと彼を抉る音が響いて、声がどんどんと上ずっていく。眼下でで苦しそうに震える彼の陰茎を掴み、2、3度扱いたら、今度は激しく白濁を吐き出した。その光景が僕の理性を奪っていく。

 僕は彼の両足を下ろし、腰ごと前に突き出した。彼の熱い腹の壁が自分自身の先端にまとわりつく。

「ああ、ああ。カミル……優しくできそうにありません……ここに、注いで、カミルを……」

 僕のものにしたい。そう思った瞬間噴き出した汗を腕で拭う。カミルは震えながら僕の手を引っ張っていた。

 カミルに深く挿入しながら、お互いの顔を寄せる。彼の手が僕の両頬を掴んで何度も頷いた。だから僕は唇を奪いながら、腰を入れカミルの奥を味わう。時々離れる唇からお互いの息が漏れるのがなんとも心地よかった。

 カミルだけではなく、僕も声を漏らしながら、高みに上り詰める。

「はっ、ああ、カミル!」

 カミルは僕がボタボタと落とす汗を愛おしそうに拭いながら、何度も頷く。カミルは静かに、でも小さな悲鳴をあげながらも僕を優しく受け入れてくれた。

ーー優しくしろって言われたのに!

 自制が焼き切れてカミルの美しい顔に、胸に、僕の汗が落ちる。それが一瞬ゆっくり見えた。そうしたら、腹が捩れそうなほどの疼きから解放された。ドクドクと僕の精液が無遠慮に流し込まれていく。僕の先から伝わる触覚と妄想が体を震わせて、最後の一滴までカミルの奥に注いだ。

「んんっ……テオ……」

「ああ、はい。カミル。ごめ……」

 暴れ出した欲望を制御できなかったことを謝ろうとしたら、カミルの熱い猛りがそり返り僕の腹を打っていた。

「薬の……せいでは……ありません……。テオ、客がいつも……私に言わせようと……したことを言ってもいいですか……?」

「はっ……え……? はい」

「壊れるくらい……テオの肉棒がほしい……」

 そんなことを言わされていたのかという怒りよりも、欲情の方が勝った。さっき果てたのにも関わらずムクムクと芯を持ち始めている自分が恥ずかしい。

「非番の日にまた来てほしい……それまで寂しいから……もっと私に注いでほしい……」

「客に言わされたのですか?」

「いいえ……だから薬を……」

 思い出したくもないが、確かにあの紳士はジルに向かってカミルの感度がどうのとか言っていた。カミルは僕を喜ばせようと必死なのだ。

「カミル、もう一度言ってくださいと言ったら、僕のことを軽蔑しますか?」

「テオ……今触れているそこを……乱暴にしてください……」

「そんなことを客に言わなくてよかった。一晩中喘がされて、気を失うまで抱き潰されましたよ」

 カミルの腰を掴んで、欲しいと望んだ奥に体重を傾ける。

「あぁっ……!」

「カミル、もしよければそういう声を我慢せずにもっと聴かせてください。そうしたら、ここを!」

「んんっ!」

「ここを乱暴にします」

 そこから僕の記憶が途切れ途切れだった。あんなに望み焦がれたのに、彼の嬌声と僕が腰を突き入れる音のみが繰り返され、時間軸がよくわからなくなってしまったのだ。
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