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第4部 手負いの獣に蝶と花
第13話 兄の色気(ルイス視点)
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最近は研究に没頭するあまり、アシュレイが塔に来ない日はそのまま宿直室に泊まることが多い。だけど今日は兄様たちが相談があると真剣な顔で頼むから、3人で馬で帰った。常歩での道中、テオの切実な想いを聞いて心を打たれた。
「相手もその道のプロであれば、あまり演技などをしない方が良いのではないのでしょうか?」
「その道のプロって……単なる倒錯趣味の客だぞ?」
「ルークはこの相談をネタに、僕が兄様たちを誘惑する姿を見たいだけでしょう?」
図星だったのかルークは喉から変な音を立てて黙ってしまった。
「ジルのような一見色恋とは無縁そうな人の方が、そういった客は興味をそそられるのではないのでしょうか?」
「なんだ、兄様は色気がないか? でもアシュレイみたいな一部変わり者には人気だぞ」
「アシュレイもジルのそういうところに惹かれるのではないですか? 色気がない者の本性を暴きたいという、そういった……」
「ルイスもそういう欲望があるのか?」
ジルは驚いたように僕を見る。
「ありますよ。それに兄様たちが兄様の仮面を外してくれる時、すごく嬉しいですよ。でもテオの見たような客は違います。彼らは性という商品を買っているのです」
だからテオは例え想いが通じなくともカミルを助け出したいと思うのだろう。僕がノアに感じたそれとまったく同じ感情だ。
「僕もテオの手助けになりたい。ジルができなさそうであれば僕が囮になります」
「それはダメだ」
兄様2人が声を揃えてピシャリと言う。それがおかしくて笑ってしまった。
「じゃあ、家に帰ったら作戦会議を開きましょう」
ジルの才能は思った以上だった。
「兄さん、兄さん……!」
「ああ、ルークがこんなに固くしています。ジル、大成功ですよ!」
3人とも服を着て演技をしているのにもかかわらず、この成果は驚くべきことだった。
「なんだ、ルーク。やっぱり俺を抱きたいのか?」
「やめろやめろやめろ!」
「アシュレイの冗談を本気にして立ちはだかっていたものな。安心しろ。俺もルイスもルークしか愛していない」
「やめろといっているんだ! なぜ!? ルイスの可愛い誘惑を期待していたのに! なんでこうなるんだ!?」
「ジル、ルークがそろそろ可哀想なので、2人で愛してあげましょう。ルーク、我慢をさせてごめんなさい。僕たちを置いて出ていかないで」
「私はルイスの……!」
ルークはまだ怒り足りなそうだったが、ジルがベッドに押し倒して口を塞いでくれた。手をバタバタさせていたがジルがそれも封じてくれたので、僕は下の履物を下ろしてさっきから固く暴れていたそれを頬張った。
「おいジル! やめろ!」
ルークの口から真実味のある怒声が飛び出る。ジルは無表情でルークを眺めたら、握っていた手をも緩めた。
「少し調子に乗りすぎたようだな。ルイスだけでルークを愛してあげなさい」
くぐもった声で、手を離し上体を起こすと、ルークは慌ててジルの首根っこを掴んだ。
「やるならちゃんとやれ!」
そう言うと、ルークは体を起こしてジルの唇に優しく吸い付いた。何度か啄んだら、ジルが息を漏らす。その間を縫ってルークの舌が滑り込んだ。
ジルは最近、ルークの操縦が上手い。彼を寂しがらせずに愛することは難しいのに、上手く僕たちを愛してくれる。僕はルークから体を起こして、兄様たちのキスを眺める。僕には少しだけ彼らが愛し合っているところを見たいという欲望があった。
ジルが僕に気づいてルークの唇を剥がした。
「ルイスは兄様たちがキスしているところを見てこんなにさせているのか? 悪い子だ」
「なんだ? ルイスも変な趣味に目覚めたようだな。兄様たちがお仕置きしてあげる」
巨大な兄様がゆらりと近づいてきて、僕の両耳に吸い付いた。
「相手もその道のプロであれば、あまり演技などをしない方が良いのではないのでしょうか?」
「その道のプロって……単なる倒錯趣味の客だぞ?」
「ルークはこの相談をネタに、僕が兄様たちを誘惑する姿を見たいだけでしょう?」
図星だったのかルークは喉から変な音を立てて黙ってしまった。
「ジルのような一見色恋とは無縁そうな人の方が、そういった客は興味をそそられるのではないのでしょうか?」
「なんだ、兄様は色気がないか? でもアシュレイみたいな一部変わり者には人気だぞ」
「アシュレイもジルのそういうところに惹かれるのではないですか? 色気がない者の本性を暴きたいという、そういった……」
「ルイスもそういう欲望があるのか?」
ジルは驚いたように僕を見る。
「ありますよ。それに兄様たちが兄様の仮面を外してくれる時、すごく嬉しいですよ。でもテオの見たような客は違います。彼らは性という商品を買っているのです」
だからテオは例え想いが通じなくともカミルを助け出したいと思うのだろう。僕がノアに感じたそれとまったく同じ感情だ。
「僕もテオの手助けになりたい。ジルができなさそうであれば僕が囮になります」
「それはダメだ」
兄様2人が声を揃えてピシャリと言う。それがおかしくて笑ってしまった。
「じゃあ、家に帰ったら作戦会議を開きましょう」
ジルの才能は思った以上だった。
「兄さん、兄さん……!」
「ああ、ルークがこんなに固くしています。ジル、大成功ですよ!」
3人とも服を着て演技をしているのにもかかわらず、この成果は驚くべきことだった。
「なんだ、ルーク。やっぱり俺を抱きたいのか?」
「やめろやめろやめろ!」
「アシュレイの冗談を本気にして立ちはだかっていたものな。安心しろ。俺もルイスもルークしか愛していない」
「やめろといっているんだ! なぜ!? ルイスの可愛い誘惑を期待していたのに! なんでこうなるんだ!?」
「ジル、ルークがそろそろ可哀想なので、2人で愛してあげましょう。ルーク、我慢をさせてごめんなさい。僕たちを置いて出ていかないで」
「私はルイスの……!」
ルークはまだ怒り足りなそうだったが、ジルがベッドに押し倒して口を塞いでくれた。手をバタバタさせていたがジルがそれも封じてくれたので、僕は下の履物を下ろしてさっきから固く暴れていたそれを頬張った。
「おいジル! やめろ!」
ルークの口から真実味のある怒声が飛び出る。ジルは無表情でルークを眺めたら、握っていた手をも緩めた。
「少し調子に乗りすぎたようだな。ルイスだけでルークを愛してあげなさい」
くぐもった声で、手を離し上体を起こすと、ルークは慌ててジルの首根っこを掴んだ。
「やるならちゃんとやれ!」
そう言うと、ルークは体を起こしてジルの唇に優しく吸い付いた。何度か啄んだら、ジルが息を漏らす。その間を縫ってルークの舌が滑り込んだ。
ジルは最近、ルークの操縦が上手い。彼を寂しがらせずに愛することは難しいのに、上手く僕たちを愛してくれる。僕はルークから体を起こして、兄様たちのキスを眺める。僕には少しだけ彼らが愛し合っているところを見たいという欲望があった。
ジルが僕に気づいてルークの唇を剥がした。
「ルイスは兄様たちがキスしているところを見てこんなにさせているのか? 悪い子だ」
「なんだ? ルイスも変な趣味に目覚めたようだな。兄様たちがお仕置きしてあげる」
巨大な兄様がゆらりと近づいてきて、僕の両耳に吸い付いた。
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