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3部 王のピアノと風見鶏
第34話 王の寵愛 ※
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「ノアの言いそうな言葉だな。しかしさっきのピアノの音の方が、よっぽどお前の言葉だった」
王は俺の頬を撫で、伏し目で呟く。俺は受け取ってくれなかった紙をそっと胸に戻して、恐る恐る王の髪に手を伸ばした。
「そうだ。お前の心が知りたい。誰かの言葉ではなく、リアムの心が知りたい」
少し髪を引っ張ると、王は俺の唇に吸いついた。
「そうだ。お前の可愛い声が聴きたい」
王の声が胸に響くと、反対側に投げ出した爪先から足の付け根まで、一気に甘い痺れが駆け上がる。恥ずかしさから目を瞑り、しかし抗うこともできずに自身の昂りを王の腹に擦りつける。こんなはしたないことをする自分自身が情けなくて、眉をひそめ息を漏らした。
「ああ、その顔で十分だ。リアム。大切にする。今日も名を呼んでくれ」
声なき声で名前を呼ぶ。今度は髪を引っ張らずとも、王の舌が俺の口に入ってきた。王に口を犯されている間も、恥ずかし気もなく自分の昂りを押し付けてしまう。それを宥めるように王の手が裾から腿を這ってくる。しかし王の手が目指した場所は俺が押し付けている場所ではなかった。
指がその窄まりに到達した時、王の口を離して息を漏らしてしまう。
「ああ、柔らかい……ここに欲しいか?」
唇をかすめることも厭わず、王は俺に質問をする。だから俺もその距離のまま「欲しい」と王の唇に言った。窄まりを撫でていた指がわずかに差し入れられる。焦らすようなその指遣いに、自分の意思とは関係なく腰が動き出してしまう。
「ああ、リアム。いつからそんなにいい子になったのだ」
王は指を抜いて慌ただしく俺を担ぎ上げる。俺の服を引き剥がした拍子に紙が散らかろうと、お構いなしだった。剥いた俺を柔らかくベッドに沈めたと思えば、水差しの中身を乱暴に溢す。王のやっていることが支離滅裂で、恐怖すら感じた。だから髪を掴んだ。
王は呻き声のようなものをあげながら、俺に顔を寄せる。俺はこの時まで、男の顔というものがどのようなものか、意識したことがなかった気がする。冷酷なのに優しく、しかしその奥には押し込められた欲望が光る。王は男だった。
「ノアは自分の魔法で補正している。そう俺が教えた。もう、待てない。リアム、俺を」
王が急に口を貪り、そうして俺の腹を強く押す。唐突な行動に全身に力が入った、その時、王が俺の中心を貫き、そして湖に落ちた。
俺は王に引き裂かれて死んだのかと思った。そのくらい唐突に、湖に落ちた衝撃を感じた。真っ逆さまに湖に落ちていく。2度目の死はまさかこんな意味のわからない形で唐突におとずれるとは思わなんだ。
「大丈夫だ」
王の言葉に目を見開く。しかし目を開けたところで今自分が置かれている状況を正しく理解することは不可能だった。
王は俺に覆い被さっている。しかし体全体が水の中に落ちていく感覚で、今も自分の背中に湖底の奥底から湧き上がる気泡を感じ、そしてそれが体をくすぐっていくのだ。
王が俺の腰を掴み深々とその昂りを突き刺す。自分の腹の奥底にこんな快感が眠っているなんて知らなかった。背を仰け反らせ、爪先に力が入り膝が立つ。その体全体を湖底からの気泡が俺を包んでは離れていく。快感に抗えず、俺は自然と浮いた腰を少し動かした。
「ああ、そうだ。そうやってねだるのだ。リアム、いくらでも褒美をやろう」
王はさらに深く、腹の奥を突いた。周りの水が波立ち、さらに快楽の水流が渦巻く。
「リアム、気持ちがいいな」
王の甘い声と、奥を突き刺す快楽で、返事をする間に、自身の精液が腹に飛び出した。長く白い筋が自分の腹の上を走る。
「素直な体だ」
王が体を引こうとした。だから俺は震える手で王の髪を掴み、首を横に振った。
まだ、足りない。
俺は背中で感じていたのだ。俺が沈んでいく湖の奥底に、鈍く光る感情のようなものがある。王はそれに触れてもらいたがっている。それがわかったのだ。
王は俺の頬を撫で、伏し目で呟く。俺は受け取ってくれなかった紙をそっと胸に戻して、恐る恐る王の髪に手を伸ばした。
「そうだ。お前の心が知りたい。誰かの言葉ではなく、リアムの心が知りたい」
少し髪を引っ張ると、王は俺の唇に吸いついた。
「そうだ。お前の可愛い声が聴きたい」
王の声が胸に響くと、反対側に投げ出した爪先から足の付け根まで、一気に甘い痺れが駆け上がる。恥ずかしさから目を瞑り、しかし抗うこともできずに自身の昂りを王の腹に擦りつける。こんなはしたないことをする自分自身が情けなくて、眉をひそめ息を漏らした。
「ああ、その顔で十分だ。リアム。大切にする。今日も名を呼んでくれ」
声なき声で名前を呼ぶ。今度は髪を引っ張らずとも、王の舌が俺の口に入ってきた。王に口を犯されている間も、恥ずかし気もなく自分の昂りを押し付けてしまう。それを宥めるように王の手が裾から腿を這ってくる。しかし王の手が目指した場所は俺が押し付けている場所ではなかった。
指がその窄まりに到達した時、王の口を離して息を漏らしてしまう。
「ああ、柔らかい……ここに欲しいか?」
唇をかすめることも厭わず、王は俺に質問をする。だから俺もその距離のまま「欲しい」と王の唇に言った。窄まりを撫でていた指がわずかに差し入れられる。焦らすようなその指遣いに、自分の意思とは関係なく腰が動き出してしまう。
「ああ、リアム。いつからそんなにいい子になったのだ」
王は指を抜いて慌ただしく俺を担ぎ上げる。俺の服を引き剥がした拍子に紙が散らかろうと、お構いなしだった。剥いた俺を柔らかくベッドに沈めたと思えば、水差しの中身を乱暴に溢す。王のやっていることが支離滅裂で、恐怖すら感じた。だから髪を掴んだ。
王は呻き声のようなものをあげながら、俺に顔を寄せる。俺はこの時まで、男の顔というものがどのようなものか、意識したことがなかった気がする。冷酷なのに優しく、しかしその奥には押し込められた欲望が光る。王は男だった。
「ノアは自分の魔法で補正している。そう俺が教えた。もう、待てない。リアム、俺を」
王が急に口を貪り、そうして俺の腹を強く押す。唐突な行動に全身に力が入った、その時、王が俺の中心を貫き、そして湖に落ちた。
俺は王に引き裂かれて死んだのかと思った。そのくらい唐突に、湖に落ちた衝撃を感じた。真っ逆さまに湖に落ちていく。2度目の死はまさかこんな意味のわからない形で唐突におとずれるとは思わなんだ。
「大丈夫だ」
王の言葉に目を見開く。しかし目を開けたところで今自分が置かれている状況を正しく理解することは不可能だった。
王は俺に覆い被さっている。しかし体全体が水の中に落ちていく感覚で、今も自分の背中に湖底の奥底から湧き上がる気泡を感じ、そしてそれが体をくすぐっていくのだ。
王が俺の腰を掴み深々とその昂りを突き刺す。自分の腹の奥底にこんな快感が眠っているなんて知らなかった。背を仰け反らせ、爪先に力が入り膝が立つ。その体全体を湖底からの気泡が俺を包んでは離れていく。快感に抗えず、俺は自然と浮いた腰を少し動かした。
「ああ、そうだ。そうやってねだるのだ。リアム、いくらでも褒美をやろう」
王はさらに深く、腹の奥を突いた。周りの水が波立ち、さらに快楽の水流が渦巻く。
「リアム、気持ちがいいな」
王の甘い声と、奥を突き刺す快楽で、返事をする間に、自身の精液が腹に飛び出した。長く白い筋が自分の腹の上を走る。
「素直な体だ」
王が体を引こうとした。だから俺は震える手で王の髪を掴み、首を横に振った。
まだ、足りない。
俺は背中で感じていたのだ。俺が沈んでいく湖の奥底に、鈍く光る感情のようなものがある。王はそれに触れてもらいたがっている。それがわかったのだ。
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