幽閉塔の早贄

大田ネクロマンサー

文字の大きさ
上 下
141 / 240
2部 焼け落ちる瑞鳥の止まり木

第61話 明日の髪型(アシュレイ視点)※

しおりを挟む
「アシュレイ! だめぇ!」

ノアの目が左右に激しく揺れる。

「ノア! 俺にはやく触れてくれ! 俺がどんなに待ち望んでいたかわかっているだろう!」

「あっ、あっ、あっ、だめぇ!」

強情に気を使うノアの小さな陰茎を掴んでいた手で擦りあげる。

「そん、そんなことしたら!」

「迎えに来い! ノア!」

今日は何度もノアを悦ばすことはできそうになかった。ノアが俺のためだけに洗い、待ち望んだ場所に自身を、自身の欲望をなすりつける。

ノアが細く高く鳴く。その声で心にまた西日が差し込んで、全てをぐちゃぐちゃにかき乱すのだ。

髪の生え際から汗がじわじわ滲み出し、腰を深く突き入れるたびに、堪えきれずにボタ、ボタとノアの胸に落ちる。

「ノア、お願いだ……」

自分の声も細くなっていく。ノアは逃れようとしてか、体を揺らしシーツを握りしめる。その手で俺に触れて欲しい。

そう思った時、握っていた小さな陰茎が激しく脈打った。視界の端に何度も白い飛沫が飛び込む。目で追いかけると、ノアの腹を白濁が縦に飛び散っていた。その光景に心の奥を掴まれ、俺はノアの中に自身の欲望を吐き出してしまった。

「あ……あぁ……」

ノアの呻き声で慌てて顔を覗き見ると、ノアは今まで見たこともない恍惚とした表情を浮かべていた。

「そうか……塔ではないから……」

「アシュレイ……アシュレイ……」

その表情がいつものノアからはかけ離れていて、少し不安になった。

「どうした……? 痛かったか?」

慌てて自分の陰茎を引っこ抜こうとしたら、さっきまでシーツを握っていたその手で俺の腕を掴まれる。

「器から出た……その水は……僕にもあった……触れられて……嬉しい……」

吐息の間でノアが絶え絶えに呟く。

「アシュレイ、もう少しだけこうしていたい」

返事のかわりに額と唇とにキスを落とす。悦びで震えるノアの肩を抱き、ノアの白濁の温度を腹で感じる。

「アシュレイと……ずっと一緒にいたい……」

「ノアが王になったら、俺は衛兵になるぞ。きっとジルとルークも一緒についてくる」

「なんで……」

「なんで?」

「そうやって、僕が嬉しいと思うこと、言うの?」

「俺がしたいことだ。王都に行くのだって、衛兵になるのだって、俺がそうしたいと思っている。いてもたってもいられないのだ」

「僕も、僕も、アシュレイとずっと、ずっと一緒にいられるようにしたい」

「ああ、嬉しいな」

「どうしたらわかってくれる?」

「わかっているから、大丈夫だ」

ノアを抱いたまま、起き上がった。そして汗で濡れてしまったシーツを片手で引き抜き、2人をそれで包んだ。

「なんで?」

「このまま風呂に行こう。明日からは始末の方法を考えなければな。塔とは違うと忘れていた」

ノアが黙ったので、俺は顔を覗き込んで目配せした。こんな小さなことでひとときでも憂いて欲しくないのだ。しかしノアは予想外に驚いた顔をする。

「か、かっこいい……」

「明日は違う服が用意されているらしいぞ。服も似合っていたが、今日のノアの髪型は格好良かった。もしリクエストしてもいいのならば、明日も今日のように結って欲しいな」

ノアは目を潤ませる。そして口をキュッと結んだ。予想どおりの顔に、今度ばかりは吹き出してしまった。突然大笑いをする俺に困惑するノアを担いで風呂に向かう。

途中、使用人が俺たちの姿にびっくりしていたが、どうでもよかった。今日からしばらくはこれが日常になるのだ。
しおりを挟む
口なしに熱風| ふざけた女装の隣国王子が我が国の後宮で無双をはじめるそうです

口なしの封緘

皇帝に追放された騎士団長の試される忠義
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い

兄たちが弟を可愛がりすぎです

クロユキ
BL
俺が風邪で寝ていた目が覚めたら異世界!? メイド、王子って、俺も王子!? おっと、俺の自己紹介忘れてた!俺の、名前は坂田春人高校二年、別世界にウィル王子の身体に入っていたんだ!兄王子に振り回されて、俺大丈夫か?! 涙脆く可愛い系に弱い春人の兄王子達に振り回され護衛騎士に迫って慌てていっもハラハラドキドキたまにはバカな事を言ったりとしている主人公春人の話を楽しんでくれたら嬉しいです。 1日の話しが長い物語です。 誤字脱字には気をつけてはいますが、余り気にしないよ~と言う方がいましたら嬉しいです。

処理中です...