幽閉塔の早贄

大田ネクロマンサー

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1部番外編

ジルの非番(3)※

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僕がしばらく黙っていると、ジルは心配そうに僕の顔を覗き込んだ。だから僕はジルの唇にゆっくり近づいて、キスをした。

これ以上の言葉は不要だった。僕はジルをどれだけ愛しているか、言葉ではなく行動で示す以外に誓いようがない。ジルだけを愛するといえば彼は苛み、2人を愛するといえば寂しがるからだ。

ジルのズボンの紐に手をかけると、咄嗟に手を掴まれる。でも僕はそれに構わずどんどんと紐を解いていく。そうしてジルの中心が外の空気に触れる頃にはそこはとても熱くなっていた。僕は触るか触らないかのスレスレのところで、ジルを撫でる。

「ああ……ルイス……ダメだ……兄様はお前の手が……んっ……」

ジルが最も弱い僕の手に気を取られている間に、先端を頬張った。僕はジルが気持ちいいと感じるところを全て知っている。そこを丹念に焦らせば彼の息が荒くなることも。

「ルイス……兄様を情けない男にさせないでくれ……」

ジルの悲哀を帯びた懇願に僕は口を離して顔を見上げる。

「兄様は、僕に愛されることが情けないですか?」

「違う……ルイス……」

「じゃあ、家に帰ったら僕を抱いてくれますか?」

ジルは黙って思いつめた顔をした。だから僕は慌てて言う。

「意地悪なことを言ってごめんなさい。僕がジルをどんなに好きかわかってもらいたいのです。情けないなんて、そんな悲しいことを言わないでください」

僕はニッコリ笑って、もう一度ジルの雄々しい昂りを口に含む。丁寧に、でも激しく手を動かしたら、ジルの震える手が僕の頭に添えられた。そして彼の激しい呼吸が一瞬止まったと同時に僕の口に性液が流し込まれる。

「はっ……あぁ……ルイス……」

嚥下したあともジルの昂りの余韻に浸りたくて、丹念に舐める。

「ルイス……やはり家に帰ったら……抱かせてくれ……だからもう手と口を離してくれ……」

「本当ですか? いっぱい可愛がってくれますか?」

「ああ、そんなに可愛い顔をして……」

僕は嬉しさのあまりジルの胸に飛び込む。ジルはそれを受け止めて、抱きしめてくれた。




「帰ったら兄様が可愛がるんじゃなかったのか?」

家に戻るなり僕たちは風呂に入り、そしてジルの部屋に直行した。僕を抱えて歩くジルの姿をハンスが横目で追っていたから、きっと察して人払いをしてくれたのだと思う。やけに静かな部屋に、僕に股がられているジルの声はいつもより響いた。

「ルークと約束したんです」

「そうか。でも兄様にも可愛がらせてくれ。ほら、ここを舐めさせてくれ」

ジルが僕の胸に手を這わせて催促する。上体を倒す間も惜しいのか、ジルが大きな舌を伸ばして待ち受ける光景が、僕の情欲を一気に掻き立てる。僕の下半身の熱が、胸をつけるより前に伝わってしまい、それが恥ずかしくて顔を背けた。

「んっ……ジル……」

「なにを恥ずかしがってるんだ。お前が上に乗っているんだから可愛がって欲しい場所を近づけるんだ」

もう待てなくなったジルは僕の腕を引いて、胸の先端に吸い付いた。見慣れぬ光景に羞恥が顔を燻す。

「ふっ……ジル……!」

僕がジルの感じる場所を全て知っているように、ジルだって僕を知り尽くしている。見えるように何度も吸い付いては離れ、大きな舌と指で僕の2つの尖りを、更に硬く敏感にさせていく。

「今日は兄様がどれだけ好きか教えてくれると言っていたな」

熱いジルの手が僕の下半身で暴れている敏感な部分に触れる。

「上に乗ってここを可愛がらせてくれ」

「そ……そんなこと……!」

「兄様が嫌いか?」

そう問いながらも、答えを聞かずに腰を持って僕の下半身をジルの顔に寄せる。

「どれだけ兄様が好きか、ルイスが動いて教えてくれ」

「そんなこと……できません……」

「ほら、こっちも可愛がってやるから、兄様を悲しませないでくれ」

さっき風呂で軟膏を塗りたくられた後ろの蕾を、太い指でやわやわと撫でられる。僕が迷ってる間にもジルは口を開けて待っている。ジルの指がつっと指を入れた途端、腰全体を押されて前のめりになる。

「ルイス、兄様が嫌いか?」

「ジル……ジル……」

僕はジルの顔の横に両手をついて、ゆっくり自分自身を唇に近づけた。

「そうだ、ルイス。教えてくれ」

そう言い残し、ジルは僕を飲み込んでいく。それと同時にジルは僕の窄まりに入れた指をぐるっとかき回す。

「ううっ……ジル……こんなことしなくたって……好きなことわかってくれませんか……」

それに拒否をする様に、ジルはもう一方の手で僕の腰を押す。

「ああっ……ジル待って!」

いつも入れられるばかりの受動的な行為を、能動的に行う違和感で頭がパニック状態だった。でもそんな混乱も意に介さずジルは後ろの指も腰を押す手も止めなかった。何度かそうされているうちに息が上がってきて、ジルは心配そうの僕の腰を撫でた。

「ジルが好き……後でちゃんとしてくれますか……?」

ジルは僕の下で大きく頷く。だから僕は必死で腰を振った。後ろから入れられた指のせいで自分が今何をしているのかもわからなかった。

ジルが好きだと腰を振り下ろしているうちに、快楽が腰から脳天に迫り上がってくる。

「ジル……ジルにしてもらいたい……ジルぅ!」

もうこれ以上はダメだ、そう思って腰を一気に抜いたらジルの指が深く刺さる。

「あぁあっ! だめぇ!」

僕は慌てて自分自身を握る。ジルが指を止めてくれたのに僕はボタボタと涙を流してしまった。

「ジルが……好きなのに……ごめんなさい……もう出ちゃう……ジルが欲しい……」

「ルイス……意地悪が過ぎた」
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