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1部 ヤギと奇跡の器
第20話 枕の下(ルイス視点)
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兄様たちの興奮がおさまったら、先週と同じように食事を4人分作り始めた。今日は兄様たちが食材を買ってきてくれた。これは親切心ではなく、作ってもらいたい料理があるだけという兄様たちらしい図らいだ。
料理の時間になるとノアが手伝いにくるから、まとわりつく兄様たちを牽制していた。でも今日は料理が半分出来上がってもノアが降りてこない。
「兄様、鍵は開けてくれたんですよね?」
「もちろんだ」
ルークがそういうなら間違いがないだろうとは思うが、少し心配になって扉に向かう。鍵は開いていた。ついでだと思ってそのまま扉を開けた。
「ちょっとノアを呼んできます」
兄様たちは何かを話し始めたので扉を閉めてそのまま1人で階段を登っていく。ノアの部屋の前に立つが兄様たちの話し声がうるさくて中の様子がわからなかった。
「ノア、入るよ」
扉を開けたら部屋は真っ暗だった。部屋の灯をつけたら、ベッドに横たわるノアが見えた。しかしなにか違和感を覚える。扉をそっと閉めて、近づいていったが、ノアの状態を見たら走り出してしまった。
頭に被ったブランケットやら枕やらを取り除く。
「ノア!?」
「う……ん……ルイス……?」
「なんでこんな……」
ノアになぜこんなことをしたのか聞こうとしたときに、階下から兄の声が響いてきた。ジルの声だった。続いてルークの声がする。なぜなんて問わずとも答えを理解して絶句する。
「ルイス……ごめん……眠っちゃった……」
上半身だけを起こしたノアの目が真っ赤だった。
「ノア……泣いていたの……?」
「え? 泣いてないよ……?」
泣かずして目が充血するわけがない。兄の声は会話こそ聞き取れないがどちらかが喋っているのかわかるくらいには鮮明だった。
「食事の用意……しないと……」
「ノア……」
僕の呼びかけにノアはその赤い目でただ一点を見つめ続けた。僕とは目が合っていない。
「ノア? 大丈夫?」
「うん……大丈夫……」
「今日は兄様たちが……来ているから……一緒に食べよう?」
ノアはさっきから一点を見つめ続け、僕の問いには答えなかった。一度起き上がる素振りを見せたが、そのままの姿勢で動かなくなった。
「ルイス……ごめんなさい……やっぱり調子が悪くて……ちょっと横になっててもいい……?」
「うん、無理しないで。後で食事持ってくるから」
「ルイスの兄様たちに……謝っておいてください……」
ノアはそのままゆっくりと体をベッドに沈めて僕とは反対側を向いた。
この時、自分の胸に罪悪と後悔の念が暴れ出した。
料理の時間になるとノアが手伝いにくるから、まとわりつく兄様たちを牽制していた。でも今日は料理が半分出来上がってもノアが降りてこない。
「兄様、鍵は開けてくれたんですよね?」
「もちろんだ」
ルークがそういうなら間違いがないだろうとは思うが、少し心配になって扉に向かう。鍵は開いていた。ついでだと思ってそのまま扉を開けた。
「ちょっとノアを呼んできます」
兄様たちは何かを話し始めたので扉を閉めてそのまま1人で階段を登っていく。ノアの部屋の前に立つが兄様たちの話し声がうるさくて中の様子がわからなかった。
「ノア、入るよ」
扉を開けたら部屋は真っ暗だった。部屋の灯をつけたら、ベッドに横たわるノアが見えた。しかしなにか違和感を覚える。扉をそっと閉めて、近づいていったが、ノアの状態を見たら走り出してしまった。
頭に被ったブランケットやら枕やらを取り除く。
「ノア!?」
「う……ん……ルイス……?」
「なんでこんな……」
ノアになぜこんなことをしたのか聞こうとしたときに、階下から兄の声が響いてきた。ジルの声だった。続いてルークの声がする。なぜなんて問わずとも答えを理解して絶句する。
「ルイス……ごめん……眠っちゃった……」
上半身だけを起こしたノアの目が真っ赤だった。
「ノア……泣いていたの……?」
「え? 泣いてないよ……?」
泣かずして目が充血するわけがない。兄の声は会話こそ聞き取れないがどちらかが喋っているのかわかるくらいには鮮明だった。
「食事の用意……しないと……」
「ノア……」
僕の呼びかけにノアはその赤い目でただ一点を見つめ続けた。僕とは目が合っていない。
「ノア? 大丈夫?」
「うん……大丈夫……」
「今日は兄様たちが……来ているから……一緒に食べよう?」
ノアはさっきから一点を見つめ続け、僕の問いには答えなかった。一度起き上がる素振りを見せたが、そのままの姿勢で動かなくなった。
「ルイス……ごめんなさい……やっぱり調子が悪くて……ちょっと横になっててもいい……?」
「うん、無理しないで。後で食事持ってくるから」
「ルイスの兄様たちに……謝っておいてください……」
ノアはそのままゆっくりと体をベッドに沈めて僕とは反対側を向いた。
この時、自分の胸に罪悪と後悔の念が暴れ出した。
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