幽閉塔の早贄

大田ネクロマンサー

文字の大きさ
上 下
10 / 240
1部 ヤギと奇跡の器

第8話 ブラウアー兄弟(1)※

しおりを挟む
あれから一週間以上、アシュレイはこの塔に訪れなかった。それは僕がきちんと責務を果たせている証拠で喜ばしいことのはずなのに、心中は複雑だった。

ご家族が病気だとルイスが言っていた。ここに来ないということはご家族の容態が芳しくないのだろう。看病に忙しいことも心配だったが、なによりもアシュレイが心を砕くご家族のことが心配だった。

僕には家族がいないが、アシュリーが家族だと思えば、心が休まらない彼の心情は理解ができた。アシュリーが成人を前に孤児院を出たとき、寂しさが先に立って素直に喜べなかった。先立たれるというのはああいう絶望なのだろうと思いを馳せる。

その時に塔の階下から扉の開く音が聞こえた。風のない日は階下の音がよく響く。

僕は緊張した。アシュレイが来たのだ。

アシュレイの訪問に複雑な気持ちになる要因はもう一つあった。相変わらず手淫が上手くできず、ルイスに手伝ってもらってばかりだった。そしてその最中、塔の幽霊が教えてくれたようにアシュレイが体を触ってくれる想像をして責務を果たしていた。

ルイスにあの魔人の言うことに耳を傾けてはダメと言われたが、一度そうと思ってしまったらやめることができない。それに罪悪感を感じていたのだ。

来なければ来ないで憂いがあり、来たら来たで憂いがある。

ビクビクと部屋の戸を開かれるのを待っていたが、一向に開かれる気配がない。しばらくしてもドアが開かれなかったので僕は立ち上がり戸を開けようとした瞬間、階下から悲鳴のような声が聞こえた。

聞き間違いかと思い耳を澄ましたが話し声に動物の鳴き声が混ざっているような音が響いた。

塔の中は自由に歩き回れると許可をもらっていた。しかし客人だった場合に失礼にあたるかと思い、静かに足音を立てず階下に降りて行く。ルイスの宿直室がわずかに開いていたので、そこから中をそっと覗くと信じられない光景が広がっていた。

戸を開け放ち、なだれ込もうと思った瞬間、ルイスの声が頭に響いた。

「にいさまっ……! にいさまっ……ああっ」

「なんだ、ルイス。久しぶりで痛いのか?」

「ちがぁ……ああっ! 上に人が……いるんです……!」

「アシュレイの許可は取ったし、今日こうしてルイスを愛することも包み隠さず話したぞ。それともなにか? アシュレイの方がいいのか?」

「ちがい……ます……あっあっ、ああぁっ」

ルイスは美しい肢体を全て曝け出し、2人の魔人の間で息を切らしていた。僕は暴漢に襲われているのかと思ったが、兄と呼ぶ2人の顔も、ルイスの顔もそんな様相を呈してなどいなかった。

「ああ、ルークの肉棒がそんなにいいのか? そんな顔をして。にいさまではなく名を呼んでくれ」

「ああっ……ジル……ジル……!」

向かい合ってルイスを抱く男は、彼を愛おしそうに抱き寄せ口づけをする。

「ジル! 私が抱いているのだぞ!ルイス、私の名も呼んでくれ」

ルイスを背中を大きな舌で舐めあげていた男が低く唸るように言う。よく見ると、下半身がルイスと繋がっており、ゆっくりとした律動でルイスを震わせていた。

「はっはっ、ああっ、ルーク……! もう限界が……やぁあ!」

「ああ、かわいいルイス。ルイス、ここがいいだろう? ほら、もうこんなに熱くして……こうして欲しかっただろう?」

「ひっん……ずっと……ああんっ……待ってました……にいさまぁ! お願い……もう、もたないよぉ……!」

「ルイス、ほら、握っててあげるから。こっちも好きだろう?」

向かいあっているジルと呼ばれる兄がそう言うと、体をわずかに離し、ルイスの陰茎を握り込んだ。その拍子に胸の先端ごと舌で舐めあげ、ルイスの声が一層細く高くなる。

「あっ、ああんっ! はっ……にいさま……お願い……あっあっ」

「ルイス、じゃあ私を選んでくれるのかい? ジル、手を離せ」

「ちがぁうぅ……やめないで……ああっあっあっ、にいさまぁ!」

「ああ、なんてかわいいんだ……ルーク、そろそろ許してやってくれ……かわいそうに……もう前が爆発しそうだぞ」

「ああ、言われなくてもそんなかわいい声で鳴かれたら限界だ……ルイス少しだけ辛抱しておくれ……」

後ろからルイスを突き上げるルークと呼ばれる兄の動きが一層激しくなる。ルイスは目の前のジルに口を塞がれ、くぐもった悲鳴が彼の口の中に響く。突き上げている方の兄の呻き声が何回か響いたら、ルイスが激しく痙攣し始めた。

「ああ……ルイス……こんなに震えて……気持ちよかったかい……?」

ルイスが涙をこぼしながら頷く。顔はなんの液体か判別つかないほど濡れてぐちゃぐちゃだった。

「久しぶりだったから痛かったのではないか? 俺はもういいから、このまま吐き出しなさい」

向かいのジルが寂しそうに言うと、ルイスはしがみついて首を横に振る。

「ルイスはジルに似て優しい子だね。ほら、ジルにお願いしてごらん」

「はっ、はぁっ……ジルのも……僕にください……」

「ああ、ルイス。もう一度だけキスをしていいか?」

「ジルの……全部……僕にください……」

感極まったジルがルイスの唇を吸う。遠くから見ていても唇同士の隙間から舌が絡み合っているのがわかった。そうしている間にルークの驚くべき大きさの肉棒が引き抜かれた。
しおりを挟む
口なしに熱風| ふざけた女装の隣国王子が我が国の後宮で無双をはじめるそうです

口なしの封緘

皇帝に追放された騎士団長の試される忠義
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~

さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。 そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。 姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。 だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。 その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。 女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。 もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。 周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか? 侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?

処理中です...