システムエンジニアがとんでもない開発をはじめました。

大田ネクロマンサー

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裸族の常識と生態調査について

エピローグ

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ハンティングスイーツの朝は早い。きっとスイーツらしく朝活でもしているのだろう。

今日は早めに出社したが、人が少ないオフィスの中で、いつものように山田さんはスッピンで席に座ってた。俺が席に到着したところで、山田さんは俺をチラッと見て、カタカタ何かを打ってた。自分のパソコンにメッセが届いた。


<おはようございます。今日の移動販売の弁当屋お休みみたいです。なのでツケときますね。
あと、なんか借り物の彼氏みたいじゃなくなりましたね。末永く爆ぜろください。>


俺はパソコンに向かいカタカタメッセを打った。


<昨日はありがとう。おかげさまで盛大な喧嘩になりましたけど、言ってたことはわかりました。移動販売の弁当の件、代わりといってはなんですが>


ここで俺は周りに誰も居ないのを確認しながら立ち上がり、山田さんに袋を渡した。朝、インスタ映えする駅ナカの菓子を買ってきた。

「え! めっちゃかわいい! 写真撮っていいですか?」

「うん、ありがとね。それは別腹でツケは今度払うね。来世で」

「来世!?」

山田さんはそんなことどうでもいいと、いそいそと机に敷物とか敷いて写真を撮りはじめた。

山田さんみたいに人生を楽しまなきゃな。来月、正確に言うと今月末から長谷さんは有給消化に入り事実上退職となる。長谷さんの最後の日は泣き出しそうだから、なんか対策しないと……。

それに、スタープレイヤーが居なくなるんだ。会社全体の士気も下がるだろうし、売り上げにも影響するかもしれない。近々だと昨日投げ出した仕事ですごく個人的に今日はヤバい気がする。

こういうデスマが襲ってくるたびに、俺の右肩から長谷さんの手が伸びてきたことを思い出すんだろうな……。

朝からしんみりしてたら、長谷さんが出社してきた。

俺はスイーツにスイーツ買う予定だったから今日は長谷さんより早く出てきたのだ。長谷さんがこっちを見てツカツカ歩いてきた。

「山田さん喜んでくれた?」

すげー仕事モードで話しかけられる。

「はい、もう写真撮ってますよ」

「長谷さん! おはようございます! 坊ちゃんがツケは来世で払うとかふざけたこと言ってるんですけど、お宅の教育方針はどうなってるんですか?」

「ごめんごめん、夜の時間割しかないから」

長谷さんの際どい発言にギョッとする。

「今度、授業参観に行かせてもらいます! 組体操が得意だって坊ちゃんが言ってましたよ!」

ここで長谷さんがものすごい目で俺を睨む。

なんだこの異次元の大喜利は。そしてどうすんだこれ。

「あははー! もっと喧嘩しちゃえー!」

山田さんは凶悪な捨て台詞を吐いて、顔を作りに席を立った。



長谷さんは自分の席に向かう時、俺の指輪と指を撫でた。


<裸族の常識と生態調査について編ーEND>
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