システムエンジニアがとんでもない開発をはじめました。

大田ネクロマンサー

文字の大きさ
上 下
49 / 53
裸族の常識と生態調査について

エピローグ

しおりを挟む
ハンティングスイーツの朝は早い。きっとスイーツらしく朝活でもしているのだろう。

今日は早めに出社したが、人が少ないオフィスの中で、いつものように山田さんはスッピンで席に座ってた。俺が席に到着したところで、山田さんは俺をチラッと見て、カタカタ何かを打ってた。自分のパソコンにメッセが届いた。


<おはようございます。今日の移動販売の弁当屋お休みみたいです。なのでツケときますね。
あと、なんか借り物の彼氏みたいじゃなくなりましたね。末永く爆ぜろください。>


俺はパソコンに向かいカタカタメッセを打った。


<昨日はありがとう。おかげさまで盛大な喧嘩になりましたけど、言ってたことはわかりました。移動販売の弁当の件、代わりといってはなんですが>


ここで俺は周りに誰も居ないのを確認しながら立ち上がり、山田さんに袋を渡した。朝、インスタ映えする駅ナカの菓子を買ってきた。

「え! めっちゃかわいい! 写真撮っていいですか?」

「うん、ありがとね。それは別腹でツケは今度払うね。来世で」

「来世!?」

山田さんはそんなことどうでもいいと、いそいそと机に敷物とか敷いて写真を撮りはじめた。

山田さんみたいに人生を楽しまなきゃな。来月、正確に言うと今月末から長谷さんは有給消化に入り事実上退職となる。長谷さんの最後の日は泣き出しそうだから、なんか対策しないと……。

それに、スタープレイヤーが居なくなるんだ。会社全体の士気も下がるだろうし、売り上げにも影響するかもしれない。近々だと昨日投げ出した仕事ですごく個人的に今日はヤバい気がする。

こういうデスマが襲ってくるたびに、俺の右肩から長谷さんの手が伸びてきたことを思い出すんだろうな……。

朝からしんみりしてたら、長谷さんが出社してきた。

俺はスイーツにスイーツ買う予定だったから今日は長谷さんより早く出てきたのだ。長谷さんがこっちを見てツカツカ歩いてきた。

「山田さん喜んでくれた?」

すげー仕事モードで話しかけられる。

「はい、もう写真撮ってますよ」

「長谷さん! おはようございます! 坊ちゃんがツケは来世で払うとかふざけたこと言ってるんですけど、お宅の教育方針はどうなってるんですか?」

「ごめんごめん、夜の時間割しかないから」

長谷さんの際どい発言にギョッとする。

「今度、授業参観に行かせてもらいます! 組体操が得意だって坊ちゃんが言ってましたよ!」

ここで長谷さんがものすごい目で俺を睨む。

なんだこの異次元の大喜利は。そしてどうすんだこれ。

「あははー! もっと喧嘩しちゃえー!」

山田さんは凶悪な捨て台詞を吐いて、顔を作りに席を立った。



長谷さんは自分の席に向かう時、俺の指輪と指を撫でた。


<裸族の常識と生態調査について編ーEND>
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話

あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ハンター ライト(17) ???? アル(20) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 後半のキャラ崩壊は許してください;;

Take On Me

マン太
BL
 親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。  初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。  岳とも次第に打ち解ける様になり…。    軽いノリのお話しを目指しています。  ※BLに分類していますが軽めです。  ※他サイトへも掲載しています。

オメガなパパとぼくの話

キサラギムツキ
BL
タイトルのままオメガなパパと息子の日常話。

【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】

彩華
BL
 俺の名前は水野圭。年は25。 自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで) だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。 凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!  凄い! 店員もイケメン! と、実は穴場? な店を見つけたわけで。 (今度からこの店で弁当を買おう) 浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……? 「胃袋掴みたいなぁ」 その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。 ****** そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています お気軽にコメント頂けると嬉しいです ■表紙お借りしました

好きなあいつの嫉妬がすごい

カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。 ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。 教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。 「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」 ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

俺の好きな男は、幸せを運ぶ天使でした

たっこ
BL
【加筆修正済】  7話完結の短編です。  中学からの親友で、半年だけ恋人だった琢磨。  二度と合わないつもりで別れたのに、突然六年ぶりに会いに来た。 「優、迎えに来たぞ」  でも俺は、お前の手を取ることは出来ないんだ。絶対に。  

【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~

綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」  洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。 子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。  人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。 「僕ね、セティのこと大好きだよ」   【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印) 【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ 【完結】2021/9/13 ※2020/11/01  エブリスタ BLカテゴリー6位 ※2021/09/09  エブリスタ、BLカテゴリー2位

処理中です...