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裸族の常識と生態調査について
裸族の食卓
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今日の夕ご飯は長谷さんが作ってくれるらしい。今日仕事を手伝ってくれたお礼とのことだった。俺も来週分の常備菜を作りたかったから、一緒に近所にスーパーに行って食材を買った。道中すごく嬉しくて俺は叫び出しそうだった。
今日は帰ったらもう1回できるんですよ! かわいい長谷さんと!
自然に笑みが溢れる。長谷さんは帰り道、買い忘れたものを買うと言ってスーパーに引き返した。俺も行くと言ったが、それなら荷物を持って帰ってくれと言われて、ちょっと寂しかったが1人で家に帰った。
俺は常備菜を作り始めたが、長谷さんの帰りがやけに遅かった。今日の夕飯のメニューは秘密だと言っていたが、一体どこまで買いに行ったんだろうか……。
19時になってちょっと心配になったのでLINEしてみたら、その時に玄関が開いた。長谷さんはぐったりしていた。
「一体どこまで行ってたんですか!?」
「ごめん、今から作るから待ってて」
手伝うと言ってるのに、いいから待っててと俺は部屋に押し込められた。昨日は風邪で倒れてたのに今日は朝からこんな幸せで……そう思いながらソファベッドに横たわった。少し目を瞑るつもりがいつの間に寝てしまった。
服を着た長谷さんに起こされてダイニングに行ってみると、驚きの光景が広がってた。どこぞのシェフが作ったんだよ、という立派なイタリアンがテーブルに所狭しと配置されていた。おまけにワインとワイングラスもあった。
「え……長谷さんが作ったんですか……!?」
ワイングラスなんて家になかっただろ!
もしかしてこのために今日買いに戻ったんですか!?
「すおー、座って!」
俺は驚きを隠せないまま椅子に座る。え、長谷さんの料理のデフォルトってこれなの?
長谷さんは俺のグラスに手馴れた手つきでワインを注ぐ。俺は恐縮して、長谷さんのボトルを受け取って、長谷さんのグラスに注ごうかと思ったが長谷さんはそのまま自分のグラスに注いだ。
「会社じゃないんだから」
長谷さんはそう言うとふふっと笑って、グラスを持ち上げた。
「すおー、誕生日おめでとう」
俺はびっくりしてカレンダーを見る。確かに今日誕生日だった。ブラック企業で昼も夜もなしに働いていたせいで、誕生日という概念そのものを忘れていた。
長谷さんが傾けたワイングラスに自分のグラスを当てて乾杯する。
「遅くなってごめん」
時計を見ると21時だった。
「そんな……こんな立派な料理作ってくれて……」
長谷さんが食べて? と促すので、カルパッチョから頂いた。っていうかカルパッチョって家で作れるのかよ!
「うっめええええええ! まじでうまいんですけど! え? 素人がこんな風に作れるの?」
あまりの美味しさに思わず敬語が外れてしまった。ワインもうめぇ。これ絶対高いやつだろ。長谷さんどんだけ奮発してるんだよ。
「今日は仕事手伝わせちゃって本当にごめん、いろいろ予定が狂っちゃって」
多分、昨日俺が風邪で寝込んだからだろう。それなのにちゃんと用意してくれて……。
「長谷さん、俺……すげー嬉しいです。今日忙しかったのに、2回もしてごめんなさい」
今日は誕生日だから俺のわがまま聞いてくれたのかな……。
「あんな風にしてもらえたの、俺も嬉しかった……」
長谷さんが超絶かわいいんだが! ねえ、今日一日長谷さんがかわいかったのは誕生日限定なの!? 俺はフォークとナイフを机に立てながら震えていた。
「もっと食べよう? はい、あーん」
そう言って長谷さんは生ハムで包まれたサラダを俺の口のまで運んでくれる。今この光景を録画したいって言ったらドン引きされるだろうか……。食事中そんな葛藤と戦いながら、豪華すぎるディナーを堪能した。
今日は帰ったらもう1回できるんですよ! かわいい長谷さんと!
自然に笑みが溢れる。長谷さんは帰り道、買い忘れたものを買うと言ってスーパーに引き返した。俺も行くと言ったが、それなら荷物を持って帰ってくれと言われて、ちょっと寂しかったが1人で家に帰った。
俺は常備菜を作り始めたが、長谷さんの帰りがやけに遅かった。今日の夕飯のメニューは秘密だと言っていたが、一体どこまで買いに行ったんだろうか……。
19時になってちょっと心配になったのでLINEしてみたら、その時に玄関が開いた。長谷さんはぐったりしていた。
「一体どこまで行ってたんですか!?」
「ごめん、今から作るから待ってて」
手伝うと言ってるのに、いいから待っててと俺は部屋に押し込められた。昨日は風邪で倒れてたのに今日は朝からこんな幸せで……そう思いながらソファベッドに横たわった。少し目を瞑るつもりがいつの間に寝てしまった。
服を着た長谷さんに起こされてダイニングに行ってみると、驚きの光景が広がってた。どこぞのシェフが作ったんだよ、という立派なイタリアンがテーブルに所狭しと配置されていた。おまけにワインとワイングラスもあった。
「え……長谷さんが作ったんですか……!?」
ワイングラスなんて家になかっただろ!
もしかしてこのために今日買いに戻ったんですか!?
「すおー、座って!」
俺は驚きを隠せないまま椅子に座る。え、長谷さんの料理のデフォルトってこれなの?
長谷さんは俺のグラスに手馴れた手つきでワインを注ぐ。俺は恐縮して、長谷さんのボトルを受け取って、長谷さんのグラスに注ごうかと思ったが長谷さんはそのまま自分のグラスに注いだ。
「会社じゃないんだから」
長谷さんはそう言うとふふっと笑って、グラスを持ち上げた。
「すおー、誕生日おめでとう」
俺はびっくりしてカレンダーを見る。確かに今日誕生日だった。ブラック企業で昼も夜もなしに働いていたせいで、誕生日という概念そのものを忘れていた。
長谷さんが傾けたワイングラスに自分のグラスを当てて乾杯する。
「遅くなってごめん」
時計を見ると21時だった。
「そんな……こんな立派な料理作ってくれて……」
長谷さんが食べて? と促すので、カルパッチョから頂いた。っていうかカルパッチョって家で作れるのかよ!
「うっめええええええ! まじでうまいんですけど! え? 素人がこんな風に作れるの?」
あまりの美味しさに思わず敬語が外れてしまった。ワインもうめぇ。これ絶対高いやつだろ。長谷さんどんだけ奮発してるんだよ。
「今日は仕事手伝わせちゃって本当にごめん、いろいろ予定が狂っちゃって」
多分、昨日俺が風邪で寝込んだからだろう。それなのにちゃんと用意してくれて……。
「長谷さん、俺……すげー嬉しいです。今日忙しかったのに、2回もしてごめんなさい」
今日は誕生日だから俺のわがまま聞いてくれたのかな……。
「あんな風にしてもらえたの、俺も嬉しかった……」
長谷さんが超絶かわいいんだが! ねえ、今日一日長谷さんがかわいかったのは誕生日限定なの!? 俺はフォークとナイフを机に立てながら震えていた。
「もっと食べよう? はい、あーん」
そう言って長谷さんは生ハムで包まれたサラダを俺の口のまで運んでくれる。今この光景を録画したいって言ったらドン引きされるだろうか……。食事中そんな葛藤と戦いながら、豪華すぎるディナーを堪能した。
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