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まちがった尿道開発で世界線変わったんだけど質問ある?
尿道開発というパワーワード
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長谷さんの家は相変わらず極端に物が少なく、座るところはベッドしかなかった。
長谷さんはどこかからかちゃぶ台を持ってきて、俺の座ってるベッドの前にドンと置く。
「ビールでいい?」
俺が頷くと、長谷さんは冷蔵庫から缶ビールを2本持ってきて、1本を無言で俺に差し出す。
受け取ったビールを開けている時に長谷さんは床に座りながら口を開いた。
「なんで尿道開発の道具、持って帰ったの?」
ビール飲んでなくてよかった。飲んでたら吹き出してた。長谷さんの口から飛び出す尿道開発という単語のインパクトよ。
そして……後で何度も何度も後悔する選択肢。
俺は何も答えられなかった。
あの日、長谷さんは寝たと思ってたけど、キットを元に戻そうとバタバタといろんなところ開けてたの、聞かれたのかな……。
長谷さんの中での俺は、自分を凌辱し、さらに隠し持っていた尿道開発キットを目敏く見つけて、盗んでいった変態野郎になっているのだろうか。
もう……それでいいような気がした。
「なんで俺が持って帰ったことバレたんですか?」
俺はちょっとヤケになって笑ってたと思う。
「なんでって……朝、ベッドからそれだけ無くなってたら、そう思うだろ……なんで持って帰ったの?」
長谷さんが困惑した声色でそう言う。
朝! ベッドから!?
俺はビールを持ったままフリーズしていた。シミュレータは作動しなかった。なぜならば、「長谷さんはあの日のことを全部覚えてる」それ一択だからだ。
あの時の俺には考えも及ばなかったことだが、俺が墓まで持っていくと決めた秘密は長谷さんに知られており、なおかつ俺に凌辱された、という堪え難いダブルコンボだった。
俺は微動だにせずにビールを温め続けていた。永遠とも思える沈黙が俺と長谷さんを包んだ。
「ごめん、こんな尋問みたいなことして……」
長谷さんはポツリと呟いた。
「少しでも望みがあればと、思って……」
長谷さんの声は消え入りそうだった。
「何でもするから……」
肩を縮めて、声も震えている。
「一度でもいいから、抱いてくれないかな……」
えええええええええ!?
なんでそうなるのーーーー!!??
雷に打たれたような衝撃が俺を襲う。
今日の長谷さんはメガネをしているから、俯くと表情が全くわからなかった。でも絶対的に何かを勘違いしてるし、相当消耗している。
なんとかして今すぐに長谷さんを安心させたかった。
「長谷さん、ちょ、ちょっとこっち来てください」
言ってるそばから待ちきれなくてビールをちゃぶ台に置いて、長谷さんに手を伸ばす。立ち上がった長谷さんの腕を掴んで俺の片方の膝に座らせた。
「長谷さん?」
顔を覗き込む。眼鏡越しでもわかるくらい目が潤んでた。
なんでこんな顔するの!! なんで!!!
俺はオロオロしながら長谷さんの顔に手を当てる。長谷さんはつらそうな顔を手に押し当てて、目を固く閉じた。涙が頬を伝う。
たまらず長谷さんの片腕を引き寄せて抱きしめる。
おおおお俺が長谷さんにこんな顔をさせてるのか!?
長谷さんはどこかからかちゃぶ台を持ってきて、俺の座ってるベッドの前にドンと置く。
「ビールでいい?」
俺が頷くと、長谷さんは冷蔵庫から缶ビールを2本持ってきて、1本を無言で俺に差し出す。
受け取ったビールを開けている時に長谷さんは床に座りながら口を開いた。
「なんで尿道開発の道具、持って帰ったの?」
ビール飲んでなくてよかった。飲んでたら吹き出してた。長谷さんの口から飛び出す尿道開発という単語のインパクトよ。
そして……後で何度も何度も後悔する選択肢。
俺は何も答えられなかった。
あの日、長谷さんは寝たと思ってたけど、キットを元に戻そうとバタバタといろんなところ開けてたの、聞かれたのかな……。
長谷さんの中での俺は、自分を凌辱し、さらに隠し持っていた尿道開発キットを目敏く見つけて、盗んでいった変態野郎になっているのだろうか。
もう……それでいいような気がした。
「なんで俺が持って帰ったことバレたんですか?」
俺はちょっとヤケになって笑ってたと思う。
「なんでって……朝、ベッドからそれだけ無くなってたら、そう思うだろ……なんで持って帰ったの?」
長谷さんが困惑した声色でそう言う。
朝! ベッドから!?
俺はビールを持ったままフリーズしていた。シミュレータは作動しなかった。なぜならば、「長谷さんはあの日のことを全部覚えてる」それ一択だからだ。
あの時の俺には考えも及ばなかったことだが、俺が墓まで持っていくと決めた秘密は長谷さんに知られており、なおかつ俺に凌辱された、という堪え難いダブルコンボだった。
俺は微動だにせずにビールを温め続けていた。永遠とも思える沈黙が俺と長谷さんを包んだ。
「ごめん、こんな尋問みたいなことして……」
長谷さんはポツリと呟いた。
「少しでも望みがあればと、思って……」
長谷さんの声は消え入りそうだった。
「何でもするから……」
肩を縮めて、声も震えている。
「一度でもいいから、抱いてくれないかな……」
えええええええええ!?
なんでそうなるのーーーー!!??
雷に打たれたような衝撃が俺を襲う。
今日の長谷さんはメガネをしているから、俯くと表情が全くわからなかった。でも絶対的に何かを勘違いしてるし、相当消耗している。
なんとかして今すぐに長谷さんを安心させたかった。
「長谷さん、ちょ、ちょっとこっち来てください」
言ってるそばから待ちきれなくてビールをちゃぶ台に置いて、長谷さんに手を伸ばす。立ち上がった長谷さんの腕を掴んで俺の片方の膝に座らせた。
「長谷さん?」
顔を覗き込む。眼鏡越しでもわかるくらい目が潤んでた。
なんでこんな顔するの!! なんで!!!
俺はオロオロしながら長谷さんの顔に手を当てる。長谷さんはつらそうな顔を手に押し当てて、目を固く閉じた。涙が頬を伝う。
たまらず長谷さんの片腕を引き寄せて抱きしめる。
おおおお俺が長谷さんにこんな顔をさせてるのか!?
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