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まちがった尿道開発で世界線変わったんだけど質問ある?
ブルータス、お前もか
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自分の暗澹たる気分を沼田さんにぶつけている間に、俺の死角から俺の目の前をキラーパスがすり抜ける。
「長谷さん! 周防は長谷さん信者なんですよ!」
ブルータス、お前もか。
長谷さんの方を見られない。もうこれ以上喋るな、諜報部員、頼む……。
「こいつ暇さえあれば長谷さんが前に作ったプログラム研究してて、どの案件が長谷さんのかもすぐわかるんですよ!」
そうですよ、そのストーカー気質の信者がこの前、酔っ払った長谷さんを凌辱したことになってますよ。どうしたらいいかもうわからない、自分の皿を見つめて時が過ぎるのを待つしか……。
咄嗟に諜報部員が俺の肩を掴んで長谷さんの方に向かせた。
「そうなんだ、ありがとう」
柔和な声で、しかし全く興味なさそうな顔で言う長谷さんを直視した。
初めて長谷さんと話した時と同じ顔だった。
「周防のソースもダイナミックでいいけどね」
そういうと長谷さんは興味がない顔のまま自分の酒に視線を落とした。
「え? 長谷さん周防の案件も見てるんですか!?」
「何回か仕事してるから」
諜報部員がまた足を小突いて俺を呼んだ。振り返って下を見るとGJのジェスチャーをしていた。
この時ばかりは帰ってきた沼田さんに感謝した。入れ替わりで俺が席を立つ。
個室のトイレで思う。
プログラムの話でよくわかった。
長谷さんは、長谷さんだ。
俺はバカだ。好きな人のくだりで俺は責められているような気になっていたけど。
長谷さんは俺を責めるために、あんな話をするような人じゃない。
聞こえるように悪口を言う人ではないんだ。
長谷シンパはほとんどが男性で構成されているから、今まで聞き出せなかっただけで、女性が聞き出せたのがたまたま今日だったんだ。
自分の犯した過ちで、長谷さんの人間性を疑うような見方は、長谷さんに失礼すぎる。
俺があの時、長谷さんの秘密を背負って墓まで持っていくと決めたんだ。それと俺が長谷さんにしてしまったことは別問題なんだ。
ずっとこの問題に目をそらし続けたのは、秘密を背負わされているという責任転嫁からだ。
責任とは責務を全うすること。
秘密は墓まで持っていき、俺は長谷さんにしてしまったことを誠意を持って謝罪しなければならないんだ。
長谷さんがその話をしたくないというのであれば、それを受け入れずっと罪を背負っていく。もし謝罪のチャンスをもらえるのならば、謝罪する。
それだけだ。
トイレを出て、顔も洗って席に戻る。
その後の飲み会は自分の心の整理がついたせいか、和やかになった。さっきまでこわばってただろう表情も、多分上手に笑えてたと思う。
長谷さんとも上手に話せてたと思う。
そうして飲み会の席の時間が来たので、お開きになった。解散! という段になって長谷シンパ諜報部員がトイレから出てこなかった。
長谷さんの新鮮なネタが入り、その喜びで飲みすぎたのか……。
店の人から退店のプレッシャーが強かったので、俺が行きます、と周りに言って、みんなには店を出てもらうことにした。トイレに行ったら諜報部員はトイレから出てはいたが完璧に1人で歩けなくなっていた。
「長谷さん! 周防は長谷さん信者なんですよ!」
ブルータス、お前もか。
長谷さんの方を見られない。もうこれ以上喋るな、諜報部員、頼む……。
「こいつ暇さえあれば長谷さんが前に作ったプログラム研究してて、どの案件が長谷さんのかもすぐわかるんですよ!」
そうですよ、そのストーカー気質の信者がこの前、酔っ払った長谷さんを凌辱したことになってますよ。どうしたらいいかもうわからない、自分の皿を見つめて時が過ぎるのを待つしか……。
咄嗟に諜報部員が俺の肩を掴んで長谷さんの方に向かせた。
「そうなんだ、ありがとう」
柔和な声で、しかし全く興味なさそうな顔で言う長谷さんを直視した。
初めて長谷さんと話した時と同じ顔だった。
「周防のソースもダイナミックでいいけどね」
そういうと長谷さんは興味がない顔のまま自分の酒に視線を落とした。
「え? 長谷さん周防の案件も見てるんですか!?」
「何回か仕事してるから」
諜報部員がまた足を小突いて俺を呼んだ。振り返って下を見るとGJのジェスチャーをしていた。
この時ばかりは帰ってきた沼田さんに感謝した。入れ替わりで俺が席を立つ。
個室のトイレで思う。
プログラムの話でよくわかった。
長谷さんは、長谷さんだ。
俺はバカだ。好きな人のくだりで俺は責められているような気になっていたけど。
長谷さんは俺を責めるために、あんな話をするような人じゃない。
聞こえるように悪口を言う人ではないんだ。
長谷シンパはほとんどが男性で構成されているから、今まで聞き出せなかっただけで、女性が聞き出せたのがたまたま今日だったんだ。
自分の犯した過ちで、長谷さんの人間性を疑うような見方は、長谷さんに失礼すぎる。
俺があの時、長谷さんの秘密を背負って墓まで持っていくと決めたんだ。それと俺が長谷さんにしてしまったことは別問題なんだ。
ずっとこの問題に目をそらし続けたのは、秘密を背負わされているという責任転嫁からだ。
責任とは責務を全うすること。
秘密は墓まで持っていき、俺は長谷さんにしてしまったことを誠意を持って謝罪しなければならないんだ。
長谷さんがその話をしたくないというのであれば、それを受け入れずっと罪を背負っていく。もし謝罪のチャンスをもらえるのならば、謝罪する。
それだけだ。
トイレを出て、顔も洗って席に戻る。
その後の飲み会は自分の心の整理がついたせいか、和やかになった。さっきまでこわばってただろう表情も、多分上手に笑えてたと思う。
長谷さんとも上手に話せてたと思う。
そうして飲み会の席の時間が来たので、お開きになった。解散! という段になって長谷シンパ諜報部員がトイレから出てこなかった。
長谷さんの新鮮なネタが入り、その喜びで飲みすぎたのか……。
店の人から退店のプレッシャーが強かったので、俺が行きます、と周りに言って、みんなには店を出てもらうことにした。トイレに行ったら諜報部員はトイレから出てはいたが完璧に1人で歩けなくなっていた。
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