システムエンジニアがとんでもない開発をはじめました。

まちがった尿道開発で世界線変わったんだけど質問ある？

システムエンジニアの開発範囲

どうすんだこれ、もうわかんねぇな……。

俺は長谷さんの息子を支えながら、ずいぶんぼんやりしていた気がする。長谷さんは一向に目的が達成できず、半ば諦めていた。体重が俺の方に乗っかっているから、多分そうなのだと感じる。

だから非常に冷静に長谷さんに質問した。

「これは何をするものなんです？」

「すおーしらないの？ 尿道開発キットだよー」

尿道……開発……？

「すみません、存じ上げないので詳しく教えていただけますか？」

「尿道の奥までー入れてー前立腺刺激するとずっとイけるんだってー」

もう酔っ払ってダメだー、と俺の腕の中で長谷さんがうなだれている。

彼の飽くなき探究心は一体どこから来るのか、1人を拗らせて尿道開発に至らしめるものは一体なんなのか。今わかっていることは長谷さんに聞いたってわからないということだけである。せめてもの親切心で言う。

「前立腺はそんな難しいことしなくても刺激できますよ……」

長谷さんはもう眠りそうだ。明日、長谷さんはどこまで覚えているだろうか。

さっき長谷さんが盛大にばら撒いてたローションを見る。半分は残ってた。

明日、長谷さんはこのことを苦に自殺するかもしれない。少なくとも俺なら死ねる。

「長谷さん、長谷さんはまだ頑張れます？ ずっと気持ちいい方法教えてあげますよ」

長谷さんはコクリと腕の中で頷く。
頷いた長谷さんのアゴを俺の手で引き上げて、横から唇を重ねた。長谷さんは少しピクッと動いたが、多分もう意識が混濁してるんだと思う。

「長谷さん、俺の性癖わかりました？」

震えるように首をわずかに振った。

「じゃあ今から教えてあげますね」

首を上にそらせているせいで半開きになっている長谷さんの口に舌を滑り込ませた。

長谷さんと舌を絡ませながら考える。

もはや好きとか嫌いとかは置いといて、もし万が一、長谷さんが今日のこの状況を思い出したとしても、俺の秘密も共有しておけば、せめて、せめて自殺は思いとどまるのではないか。

このカオスな事態を止められるポイントはいくつかあったが、俺の下心で取り返しのつかないところまで長谷さんを追い込んでしまったんだ。その償いとして秘密を共有し全身全霊で長谷さんを何度もイかせることを心に決めた。