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第33話 魔法使い星を探して
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夜の草原に立っていた。もう俺はこのまま三途の川を渡るのか、それともこれは俗にいう走馬灯なんだろうか。
ここは前に玲音の記憶で見た丘に似ていた。以前見たように振り返ってみると、玲音の本当の父親と俺の父が楽しそうに話しながらこっちに歩いてきていた。
この時に、ああこれは夢なんだな、そう、夢の中で夢を認識した。
父たちの後ろで俺の母も嬉しそうに歩いていた。三途の川じゃなくてよかった。そう安堵した時に、玲音がいないことに気がつく。
あたりを見渡すと、玲音は俺のすぐ横に立っていた。玲音の後ろの木立が星を揺らしていた。玲音は優しい眼差しで父達と母を見ていた。
俺の視線に気がついて玲音は俺の方を見る。さっきまでの優しい視線とは違い、俺をまっすぐ見つめていた。
この視線で、俺は自分の勘違いに気がついた。
玲音は俺に父親なんて求めてなかったんだ。
ただ、俺を見つめてくれていたのに。
俺は父親達を見ながら思う。
玲音が父親を欲する気持ちを否定してたのは、玲音のためではなく、自分のためだったんだ。俺だけを見てもらいたい……なんてこどもじみた欲求なんだろう。
玲音の気持ちを考えるフリして、俺はそういった幼稚な気持ちをずっと隠してきたんだ。何度も何度も、そのこどもじみた感情が表に出そうになると、母に泣きついて。
玲音を見た。
玲音の髪が丘の風で揺らめいている。言葉で表現できないくらい、玲音が綺麗だった。
ああ、俺は玲音が好きなんだな……。
そこで一気に風景が遠くで閉じて、暗闇の中で目を覚ました。
病院特有の機械の音があちこちから聞こえた。目を開けたが体が全然動かなかった。喉が異様に渇いて声が出せない。
夢の中同様、夜だった。月明かりが差し込む窓は開け放たれていているのか、カーテンが少し揺れてたような気がした。
ベッドの端で玲音と母が立っていた。そんなに遠いわけでもないのに声が全く聞こえなかった。
母は青白く光る、俺と玲音の法縄を取り出していた。俺はそれだけは引き止めたくて、動かない体の中で必死に暴れた。だけど指一本、呻き声1つ上げることもできずに、母が俺と玲音の法縄を引きちぎるのを見た。
胸がすっと軽くなった。だけどそこに悲しみがどっと流れ込んで、まるで牢獄のような体の中で何度も何度も、行かないで、と叫んで暴れた。
しかしそれは届かなかった。
玲音と母は、俺を見ることもなく、俺だけを残して静かに病室から出て行った。
俺が玲音に怒鳴った時、玲音もこの絶望を感じたんだ。そう思って呼吸が乱れた。
玲音は生きた。日常を必死で生きた。
でも耐えられなかったんだ。だからあの男の元に帰った。
涙が目の端から1粒こぼれたら、もう止めることができなかった。玲音の名前を心の中で何度も呼んだ。
でも最後に、これから玲音のいない日常を生きるんだと思い至り、絶望の中眠りに落ちた。
ここは前に玲音の記憶で見た丘に似ていた。以前見たように振り返ってみると、玲音の本当の父親と俺の父が楽しそうに話しながらこっちに歩いてきていた。
この時に、ああこれは夢なんだな、そう、夢の中で夢を認識した。
父たちの後ろで俺の母も嬉しそうに歩いていた。三途の川じゃなくてよかった。そう安堵した時に、玲音がいないことに気がつく。
あたりを見渡すと、玲音は俺のすぐ横に立っていた。玲音の後ろの木立が星を揺らしていた。玲音は優しい眼差しで父達と母を見ていた。
俺の視線に気がついて玲音は俺の方を見る。さっきまでの優しい視線とは違い、俺をまっすぐ見つめていた。
この視線で、俺は自分の勘違いに気がついた。
玲音は俺に父親なんて求めてなかったんだ。
ただ、俺を見つめてくれていたのに。
俺は父親達を見ながら思う。
玲音が父親を欲する気持ちを否定してたのは、玲音のためではなく、自分のためだったんだ。俺だけを見てもらいたい……なんてこどもじみた欲求なんだろう。
玲音の気持ちを考えるフリして、俺はそういった幼稚な気持ちをずっと隠してきたんだ。何度も何度も、そのこどもじみた感情が表に出そうになると、母に泣きついて。
玲音を見た。
玲音の髪が丘の風で揺らめいている。言葉で表現できないくらい、玲音が綺麗だった。
ああ、俺は玲音が好きなんだな……。
そこで一気に風景が遠くで閉じて、暗闇の中で目を覚ました。
病院特有の機械の音があちこちから聞こえた。目を開けたが体が全然動かなかった。喉が異様に渇いて声が出せない。
夢の中同様、夜だった。月明かりが差し込む窓は開け放たれていているのか、カーテンが少し揺れてたような気がした。
ベッドの端で玲音と母が立っていた。そんなに遠いわけでもないのに声が全く聞こえなかった。
母は青白く光る、俺と玲音の法縄を取り出していた。俺はそれだけは引き止めたくて、動かない体の中で必死に暴れた。だけど指一本、呻き声1つ上げることもできずに、母が俺と玲音の法縄を引きちぎるのを見た。
胸がすっと軽くなった。だけどそこに悲しみがどっと流れ込んで、まるで牢獄のような体の中で何度も何度も、行かないで、と叫んで暴れた。
しかしそれは届かなかった。
玲音と母は、俺を見ることもなく、俺だけを残して静かに病室から出て行った。
俺が玲音に怒鳴った時、玲音もこの絶望を感じたんだ。そう思って呼吸が乱れた。
玲音は生きた。日常を必死で生きた。
でも耐えられなかったんだ。だからあの男の元に帰った。
涙が目の端から1粒こぼれたら、もう止めることができなかった。玲音の名前を心の中で何度も呼んだ。
でも最後に、これから玲音のいない日常を生きるんだと思い至り、絶望の中眠りに落ちた。
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