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第25話 魔法使いと従者の関係
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玲音がものすごい力で俺の腕を引っ張ってジジイの洋館の外を出てもなお、どんどん歩いて行った。その手を振りほどこうとしたが全然かなわなかった。堪られずに叫んだ。
「どうしたっていうんだよ! 玲音!」
玲音は振り向きもしない。
「円華ちゃんびっくりしてただろ! おい、いい加減にしろよ!」
割と強めに怒鳴った。だが全然止まらなかった。
「玲音! 円華ちゃんは多分、本当に友達いないんだぞ! せっかく……」
そこまで言ったら玲音が振り向いて言った。
「関係ねーよ!」
関係ないって……どういう神経してるんだよ……。本気で引いて黙ってると、玲音は続けて言った。
「陰キャはちょっと褒められれば、すぐ惚れて……みっともないんだよ!」
しばらく言葉が出なかった。本気でどういう神経してるんだよ。今そういう話してないだろ。みっともないって、俺のこと言ってんのか?
「おい、どういう意味だよ」
玲音は少し目をそらして、俺の腕を掴んでた手を離した。
「お前みたいなリア充じゃないと、女の子と友達になっちゃいけないのかよ」
いや、論点はそこじゃない。
「人とどう接したらいいかわからない円華ちゃんが勇気出して連絡先聞いてくれたんだよ、おい玲音こっち向け!」
だけど玲音は目を合わせなかった。その不遜な態度に俺は激昂して怒鳴った。
「どうしてお前は人の気持ちがわからないんだよ!」
胸が激しく痛む、玲音が傷ついてるのはわかった。ただ、これはあまりにもおかしいだろ!
急に玲音が動いて、俺の顔の前まできた。顔を寄せてきたけど俺は玲音の肩を掴んで阻止した。胸が痛み出したからなにをしようとしたか、わかった。
こんな時に、こんな場所で、なにをしようとしてるんだよ、玲音は!
俺は玲音を押しのけた。めげずに俺の手を掴もうと玲音が伸ばした手を払って怒鳴った。
「もうやめろ! お前は俺になにを求めてるんだよ!」
玲音は俺の顔を見上げた。胸が今まで感じたことないほど壮絶に痛かったし、玲音の目が信じられないくらい揺れてたけど、気がついた時には、もう怒鳴ってしまっていた。
「今まで玲音に告白してきた女の子も! 円華ちゃんも! みんな、今、お前が感じてるように傷ついてるんだよ! 自分だけが傷ついてるとでも思ってるのかよ!」
玲音はしばらく俺を見つめていた。目の動きが尋常じゃなかったから、ここで俺は言い過ぎたことに気がついた。
「と……」
か細い声で玲音がなにかを言い出そうとして、その言葉を飲み込むのと同時に玲音は俯いた。
最後のは本当に言い過ぎた。玲音の心の痛みと同列に扱う問題じゃなかった。でも言ってしまった今、なかったことにもできないし、取り繕うこともできなかった。
玲音の呼吸が浅く、早かった。
胸が痛い。
軽々しくキスをするなとか、父親に執着する心とそういう行為は分けて考えろとか、少しずつ解決しなければならないことを全部ぶつけてしまった。俺の優柔不断な態度で溜めた玲音のすべての問題を今、全て投げ出してしまった。
契約が解除できないとわかった時の玲音の表情。あんなことの後に俺は玲音になにを言ったんだ!
「言い過ぎた……玲音……ごめん……」
玲音は俯きながら、今まで聞いたこともないようなか細く、かすれた声で言った。
「あ……やまらない……で……」
その声にびっくりして俺は玲音の顔を覗き込もうと近寄ったら、玲音はそのまま走り出してしまった。
強靭な肉体で走る玲音に追いつくはずもなく。途中で追うことを諦めて、一瞬神狩さんのところに戻ろうかと考えたが、玲音が心配だったので歩いて家に帰った。
「どうしたっていうんだよ! 玲音!」
玲音は振り向きもしない。
「円華ちゃんびっくりしてただろ! おい、いい加減にしろよ!」
割と強めに怒鳴った。だが全然止まらなかった。
「玲音! 円華ちゃんは多分、本当に友達いないんだぞ! せっかく……」
そこまで言ったら玲音が振り向いて言った。
「関係ねーよ!」
関係ないって……どういう神経してるんだよ……。本気で引いて黙ってると、玲音は続けて言った。
「陰キャはちょっと褒められれば、すぐ惚れて……みっともないんだよ!」
しばらく言葉が出なかった。本気でどういう神経してるんだよ。今そういう話してないだろ。みっともないって、俺のこと言ってんのか?
「おい、どういう意味だよ」
玲音は少し目をそらして、俺の腕を掴んでた手を離した。
「お前みたいなリア充じゃないと、女の子と友達になっちゃいけないのかよ」
いや、論点はそこじゃない。
「人とどう接したらいいかわからない円華ちゃんが勇気出して連絡先聞いてくれたんだよ、おい玲音こっち向け!」
だけど玲音は目を合わせなかった。その不遜な態度に俺は激昂して怒鳴った。
「どうしてお前は人の気持ちがわからないんだよ!」
胸が激しく痛む、玲音が傷ついてるのはわかった。ただ、これはあまりにもおかしいだろ!
急に玲音が動いて、俺の顔の前まできた。顔を寄せてきたけど俺は玲音の肩を掴んで阻止した。胸が痛み出したからなにをしようとしたか、わかった。
こんな時に、こんな場所で、なにをしようとしてるんだよ、玲音は!
俺は玲音を押しのけた。めげずに俺の手を掴もうと玲音が伸ばした手を払って怒鳴った。
「もうやめろ! お前は俺になにを求めてるんだよ!」
玲音は俺の顔を見上げた。胸が今まで感じたことないほど壮絶に痛かったし、玲音の目が信じられないくらい揺れてたけど、気がついた時には、もう怒鳴ってしまっていた。
「今まで玲音に告白してきた女の子も! 円華ちゃんも! みんな、今、お前が感じてるように傷ついてるんだよ! 自分だけが傷ついてるとでも思ってるのかよ!」
玲音はしばらく俺を見つめていた。目の動きが尋常じゃなかったから、ここで俺は言い過ぎたことに気がついた。
「と……」
か細い声で玲音がなにかを言い出そうとして、その言葉を飲み込むのと同時に玲音は俯いた。
最後のは本当に言い過ぎた。玲音の心の痛みと同列に扱う問題じゃなかった。でも言ってしまった今、なかったことにもできないし、取り繕うこともできなかった。
玲音の呼吸が浅く、早かった。
胸が痛い。
軽々しくキスをするなとか、父親に執着する心とそういう行為は分けて考えろとか、少しずつ解決しなければならないことを全部ぶつけてしまった。俺の優柔不断な態度で溜めた玲音のすべての問題を今、全て投げ出してしまった。
契約が解除できないとわかった時の玲音の表情。あんなことの後に俺は玲音になにを言ったんだ!
「言い過ぎた……玲音……ごめん……」
玲音は俯きながら、今まで聞いたこともないようなか細く、かすれた声で言った。
「あ……やまらない……で……」
その声にびっくりして俺は玲音の顔を覗き込もうと近寄ったら、玲音はそのまま走り出してしまった。
強靭な肉体で走る玲音に追いつくはずもなく。途中で追うことを諦めて、一瞬神狩さんのところに戻ろうかと考えたが、玲音が心配だったので歩いて家に帰った。
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