魔法使いの大三角

大田ネクロマンサー

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第22話 魔法使いとファザコン

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あれから1週間、玲音は外では無闇やたらにキスはしなくなった。大抵の場合、俺を先に寝かせるために魔力を少し吸う。そのためにキスをする、そんな感じだった。
それ以外も顔が近づくたびにすきあらば求めてきたが、日を追うごとに内容がおかしくなっていった。

今日も寝る段になって、さっさと魔力を吸えばいいのに、もう長いことベッドの上に2人座ってキスをし続けている。直近3日はなぜか舌を突っ込まれ、エロいキスをしている。

そして一番問題なのは、そうしている間ずっと胸が痛むことだった。俺はこの痛みをよく知っている。それは玲音があの男を見ていた時の痛みそのものだった。その痛みが俺の心を複雑にしていた。

「玲音……こういうのは……」

玲音の口が離れた隙を狙って言った。

「こういうのって?」

玲音はいつもこうやってはぐらかす。

「こういうのはちゃんと……」

好きな人とやれ、そうちゃんと言えばいいのに、あの男の影がチラついてこれ以上言えない。
玲音の中で俺が父親認定されてるのならばそれでいい。ただ、父親にこんなことしないだろ。それが言えなかった。玲音がされてきたことを思うと、どうしてもそれが言い出せないのだ。

「陰キャは細かいことをガタガタと」

玲音は俺が言い出しそうなことをわかっているんだと思う。また口を塞ごうとする玲音の肩を掴んだ。その手を玲音が掴んだ。


「冬馬だって気持ちいいくせに」


そう言い放たれた瞬間、俺は法縄ほうじょうを力の限り横に引っ張り、玲音をベッドから落とした。
玲音はベッドから立ち上がるなり俺めがけて飛びかかってベッドに押し倒した。そのまま俺を噛みちぎる勢いで乱暴に俺の唇と意識を奪った。

殺されるかと思った。

次の日、俺に玲音が絡まってた。そして玲音は目を覚ましていた。しばらく2人無言で見つめあっていたが、俺が折れた。

「ごめん……」

確かにあの瞬間、法縄を持ち出したのは反省しているし、心の底から申し訳ないと思った。でもその意味は全然伝わってなかったようで、朝から熱烈なエロいキスをする羽目になる。

玲音が飽きるまで待ったが突然、玲音が唇を離して、目を反らした。次はなんなんだよ! そう思って玲音を見ると、耳まで真っ赤だった。

原因はすぐわかった。俺の息子が勃ってたからだ。いや、別に朝だし。普通だよね? 今まで毎朝勃ってましたよね? 玲音が勃ってる時だってありましたよね?

玲音は難しい。キスとはそういう意味ではなかったのか。俺は心配しすぎたのかな? そう思って玲音を抱き寄せた。

「こっちの方がいいんだけどな」

俺は率直な感想を言った。
玲音が俺の胸の中で微動だにしなくなったので、今度はなんだよ、そう思って顔を覗こうしたら、乱暴にベッドから出て行った。

全くもって理解ができなかった。
母が朝ごはんだと俺たちを呼んでいる。

今日、学校から帰ってきたら神狩さん(化石ジジイ)の所へ行く。こんな調子で大丈夫なのかな?

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