23 / 43
第22話 魔法使いとファザコン
しおりを挟む
あれから1週間、玲音は外では無闇やたらにキスはしなくなった。大抵の場合、俺を先に寝かせるために魔力を少し吸う。そのためにキスをする、そんな感じだった。
それ以外も顔が近づくたびにすきあらば求めてきたが、日を追うごとに内容がおかしくなっていった。
今日も寝る段になって、さっさと魔力を吸えばいいのに、もう長いことベッドの上に2人座ってキスをし続けている。直近3日はなぜか舌を突っ込まれ、エロいキスをしている。
そして一番問題なのは、そうしている間ずっと胸が痛むことだった。俺はこの痛みをよく知っている。それは玲音があの男を見ていた時の痛みそのものだった。その痛みが俺の心を複雑にしていた。
「玲音……こういうのは……」
玲音の口が離れた隙を狙って言った。
「こういうのって?」
玲音はいつもこうやってはぐらかす。
「こういうのはちゃんと……」
好きな人とやれ、そうちゃんと言えばいいのに、あの男の影がチラついてこれ以上言えない。
玲音の中で俺が父親認定されてるのならばそれでいい。ただ、父親にこんなことしないだろ。それが言えなかった。玲音がされてきたことを思うと、どうしてもそれが言い出せないのだ。
「陰キャは細かいことをガタガタと」
玲音は俺が言い出しそうなことをわかっているんだと思う。また口を塞ごうとする玲音の肩を掴んだ。その手を玲音が掴んだ。
「冬馬だって気持ちいいくせに」
そう言い放たれた瞬間、俺は法縄を力の限り横に引っ張り、玲音をベッドから落とした。
玲音はベッドから立ち上がるなり俺めがけて飛びかかってベッドに押し倒した。そのまま俺を噛みちぎる勢いで乱暴に俺の唇と意識を奪った。
殺されるかと思った。
次の日、俺に玲音が絡まってた。そして玲音は目を覚ましていた。しばらく2人無言で見つめあっていたが、俺が折れた。
「ごめん……」
確かにあの瞬間、法縄を持ち出したのは反省しているし、心の底から申し訳ないと思った。でもその意味は全然伝わってなかったようで、朝から熱烈なエロいキスをする羽目になる。
玲音が飽きるまで待ったが突然、玲音が唇を離して、目を反らした。次はなんなんだよ! そう思って玲音を見ると、耳まで真っ赤だった。
原因はすぐわかった。俺の息子が勃ってたからだ。いや、別に朝だし。普通だよね? 今まで毎朝勃ってましたよね? 玲音が勃ってる時だってありましたよね?
玲音は難しい。キスとはそういう意味ではなかったのか。俺は心配しすぎたのかな? そう思って玲音を抱き寄せた。
「こっちの方がいいんだけどな」
俺は率直な感想を言った。
玲音が俺の胸の中で微動だにしなくなったので、今度はなんだよ、そう思って顔を覗こうしたら、乱暴にベッドから出て行った。
全くもって理解ができなかった。
母が朝ごはんだと俺たちを呼んでいる。
今日、学校から帰ってきたら神狩さん(化石ジジイ)の所へ行く。こんな調子で大丈夫なのかな?
それ以外も顔が近づくたびにすきあらば求めてきたが、日を追うごとに内容がおかしくなっていった。
今日も寝る段になって、さっさと魔力を吸えばいいのに、もう長いことベッドの上に2人座ってキスをし続けている。直近3日はなぜか舌を突っ込まれ、エロいキスをしている。
そして一番問題なのは、そうしている間ずっと胸が痛むことだった。俺はこの痛みをよく知っている。それは玲音があの男を見ていた時の痛みそのものだった。その痛みが俺の心を複雑にしていた。
「玲音……こういうのは……」
玲音の口が離れた隙を狙って言った。
「こういうのって?」
玲音はいつもこうやってはぐらかす。
「こういうのはちゃんと……」
好きな人とやれ、そうちゃんと言えばいいのに、あの男の影がチラついてこれ以上言えない。
玲音の中で俺が父親認定されてるのならばそれでいい。ただ、父親にこんなことしないだろ。それが言えなかった。玲音がされてきたことを思うと、どうしてもそれが言い出せないのだ。
「陰キャは細かいことをガタガタと」
玲音は俺が言い出しそうなことをわかっているんだと思う。また口を塞ごうとする玲音の肩を掴んだ。その手を玲音が掴んだ。
「冬馬だって気持ちいいくせに」
そう言い放たれた瞬間、俺は法縄を力の限り横に引っ張り、玲音をベッドから落とした。
玲音はベッドから立ち上がるなり俺めがけて飛びかかってベッドに押し倒した。そのまま俺を噛みちぎる勢いで乱暴に俺の唇と意識を奪った。
殺されるかと思った。
次の日、俺に玲音が絡まってた。そして玲音は目を覚ましていた。しばらく2人無言で見つめあっていたが、俺が折れた。
「ごめん……」
確かにあの瞬間、法縄を持ち出したのは反省しているし、心の底から申し訳ないと思った。でもその意味は全然伝わってなかったようで、朝から熱烈なエロいキスをする羽目になる。
玲音が飽きるまで待ったが突然、玲音が唇を離して、目を反らした。次はなんなんだよ! そう思って玲音を見ると、耳まで真っ赤だった。
原因はすぐわかった。俺の息子が勃ってたからだ。いや、別に朝だし。普通だよね? 今まで毎朝勃ってましたよね? 玲音が勃ってる時だってありましたよね?
玲音は難しい。キスとはそういう意味ではなかったのか。俺は心配しすぎたのかな? そう思って玲音を抱き寄せた。
「こっちの方がいいんだけどな」
俺は率直な感想を言った。
玲音が俺の胸の中で微動だにしなくなったので、今度はなんだよ、そう思って顔を覗こうしたら、乱暴にベッドから出て行った。
全くもって理解ができなかった。
母が朝ごはんだと俺たちを呼んでいる。
今日、学校から帰ってきたら神狩さん(化石ジジイ)の所へ行く。こんな調子で大丈夫なのかな?
0
お気に入りに追加
34
あなたにおすすめの小説
目立たないでと言われても
みつば
BL
「お願いだから、目立たないで。」
******
山奥にある私立琴森学園。この学園に季節外れの転入生がやってきた。担任に頼まれて転入生の世話をすることになってしまった俺、藤崎湊人。引き受けたはいいけど、この転入生はこの学園の人気者に気に入られてしまって……
25話で本編完結+番外編4話


【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

僕のために、忘れていて
ことわ子
BL
男子高校生のリュージは事故に遭い、最近の記憶を無くしてしまった。しかし、無くしたのは最近の記憶で家族や友人のことは覚えており、別段困ることは無いと思っていた。ある一点、全く記憶にない人物、黒咲アキが自分の恋人だと訪ねてくるまでは────
【完結】はじめてできた友だちは、好きな人でした
月音真琴
BL
完結しました。ピュアな高校の同級生同士。友達以上恋人未満な関係。
人付き合いが苦手な仲谷皇祐(なかたにこうすけ)は、誰かといるよりも一人でいる方が楽だった。
高校に入学後もそれは同じだったが、購買部の限定パンを巡ってクラスメートの一人小此木敦貴(おこのぎあつき)に懐かれてしまう。
一人でいたいのに、強引に誘われて敦貴と共に過ごすようになっていく。
はじめての友だちと過ごす日々は楽しいもので、だけどつまらない自分が敦貴を独占していることに申し訳なくて。それでも敦貴は友だちとして一緒にいてくれることを選んでくれた。
次第に皇祐は嬉しい気持ちとは別に違う感情が生まれていき…。
――僕は、敦貴が好きなんだ。
自分の気持ちに気づいた皇祐が選んだ道とは。
エブリスタ様にも掲載しています(完結済)
エブリスタ様にてトレンドランキング BLジャンル・日間90位
◆「第12回BL小説大賞」に参加しています。
応援していただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。
ピュアな二人が大人になってからのお話も連載はじめました。よかったらこちらもどうぞ。
『迷いと絆~友情か恋愛か、親友との揺れる恋物語~』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/416124410/923802748
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる