63 / 66
第62話 果たされる約束 ※
しおりを挟む私をベッドに沈めると、ランダは急に起き上がった。動作が機敏で、心がついていかない。
驚きで見開いた目の前で、ランダはガバッと服を脱いで、美しい体を晒した。そしてベッドに上がりなおすついでに履物も脱ぎ去った。男らしい動作に見惚れていていると、ランダは得意げに笑った。
「ダグラスお墨付きだ」
香油の入っている小さな壺を自慢げに見せるランダに、申し訳ないのだが笑ってしまった。
「ああ、ミカの笑顔が一番、股間が痛むな」
「ランダは経験者だと思っていたぞ。なぜ否定しなかったんだ?」
「男はそういうものだろ? でも大丈夫。前々からダグラスにご高説いただいて、経験者と遜色はない。だからミカは安心して俺に体を預けろ」
だからダグラスとよく出かけていたのか。その時に私は男色趣味ではないとダグラスに咎められたのだろう。
「ローズ姫は男らしいな」
ランダは私の大好きな笑顔で近づき、唇に熱風を巻きおこす。最初はぎこちなかったそれも、これまでの旅で欲望に忠実になった口づけ。
お互い焦らされた欲望が、口の隙間から吐息となって漏れだす。私はひとつも溢したくないと必死にランダの舌に吸いついた。
私の執念に痺れを切らしたランダの両手が、夜着の前合わせを乱暴にむしっていく。そうして晒された肌に、重ねられるランダの熱い肌。見ずともわかるお互いの熱が擦れ合うたび、二人の隙間から吐息が漏れだした。
ランダがなにか言おうと、耳元に唇を寄せる。ショールは邪魔だったのか剥ぎ取ろうとした。
「ランダ……このショールはしたままがいい……。恥ずかしがっているわけではないんだ……」
ランダは不思議そうに私の顔を覗き見る。だから私はショールの端を握って、顔に寄せた。恥ずかしいわけではないと言いながら、本心を言うには少し照れ臭かった。ランダは安心したように息を吐き、笑って私を受け入れてくれる。
「そんなに気に入ってくれたか?」
「うん。これをしてると、素直になれる……」
素直に、ランダが望む私になれる気がする。
「まだ素直には、なれていないか?」
ランダは嬉しそうに私の頬に吸いつき答えを待っていた。しかし私は待ちきれなかった。
「ランダに抱かれたくて、準備をしていたんだ。ダグラスに教わったらしいが、それは不要だ。だから……今日は……もう……」
ランダは驚いた顔で、急に起き上がった。本心を曝けだしすぎただろうか。
「ああ……どうせダグラスなんてつまらない抱き方しかしないからな……」
笑顔を咲き誇らせたランダに、下っ腹がキュッと締め付けられる。
「もう欲しい……ランダ……」
「可愛い声を出して……もっと聞かせてくれるか?」
ランダは私の両足を持ち上げ、大きく開かせる。それに息を飲む音に顔を背けると、ランダは嬉しそうに息を弾ませた。そうして母に造らされた無駄な性器に、ランダの熱い切先があてがわれた。
「ぁっ……ん……んんっ」
母の遺品である棒とは比べ物にならないほどの存在感。それは太さや長さといった比較ではない。血管の浮き出たランダの造形は、ゆっくり沈め込まれるたびに腸壁を複雑に刺激する。
「声を殺すならばそのショールを剥ぎ取るぞ」
「ぁ……ランダ……ランダ……アアッ……」
「そうだ。本当に痛くはないか?」
「はやく……もう待てなっ……!」
突然、奥までねじ込まれ、声を失ってしまった。突き抜けるような快楽で、しばらく激しい息しか吐き出せなかった。ランダの喜ぶ声を出そうにも、想像を超える快楽がそれを拒む。
「はぁっ、はっ……。ラ……ンダ……? ランダは大丈夫か……?」
「大丈夫なように見えるか? ミカ、ダグラスのようには優しくできないぞ!」
「私が……ダグラスと寝たことがあるように言うな!」
「ははっ」
大好きな笑顔はパッと咲いたらすぐに散って、真剣な顔に変わる。入れられているだけで息の上がる凄まじい男根。それが一度引き抜かれ、さらに奥に叩き込まれた。
「あぁああああ──っ!」
0
お気に入りに追加
50
あなたにおすすめの小説

うるせぇ!僕はスライム牧場を作るんで邪魔すんな!!
かかし
BL
強い召喚士であることが求められる国、ディスコミニア。
その国のとある侯爵の次男として生まれたミルコは他に類を見ない優れた素質は持っていたものの、どうしようもない事情により落ちこぼれや恥だと思われる存在に。
両親や兄弟の愛情を三歳の頃に失い、やがて十歳になって三ヶ月経ったある日。
自分の誕生日はスルーして兄弟の誕生を幸せそうに祝う姿に、心の中にあった僅かな期待がぽっきりと折れてしまう。
自分の価値を再認識したミルコは、悲しい決意を胸に抱く。
相棒のスライムと共に、名も存在も家族も捨てて生きていこうと…
のんびり新連載。
気まぐれ更新です。
BがLするまでかなり時間が掛かる予定ですので注意!
人外CPにはなりません
ストックなくなるまでは07:10に公開
3/10 コピペミスで1話飛ばしていたことが判明しました!申し訳ございません!!

君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿

フローブルー
とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。
高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。

天使の声と魔女の呪い
狼蝶
BL
長年王家を支えてきたホワイトローズ公爵家の三男、リリー=ホワイトローズは社交界で“氷のプリンセス”と呼ばれており、悪役令息的存在とされていた。それは誰が相手でも口を開かず冷たい視線を向けるだけで、側にはいつも二人の兄が護るように寄り添っていることから付けられた名だった。
ある日、ホワイトローズ家とライバル関係にあるブロッサム家の令嬢、フラウリーゼ=ブロッサムに心寄せる青年、アランがリリーに対し苛立ちながら学園内を歩いていると、偶然リリーが喋る場に遭遇してしまう。
『も、もぉやら・・・・・・』
『っ!!?』
果たして、リリーが隠していた彼の秘密とは――!?
【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。
桜月夜
BL
前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。
思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。
すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる