79 / 80
第6章 シュトラウス家の紋章
第19話 新月 ※
しおりを挟む
湿度の高い幸福な空気に、かけ流されるお湯。その柔らかに響く音で、俺は目を覚ました。
「リノ、大丈夫? 頭は痛くない?」
「痛く……ない……また俺……」
「大丈夫だよ。リノは意識がなくても俺を優しくさすってくれたし、今日はアンドリューもそうしてくれたよ」
「アンドリュー?」
ハッと、いつもと違う気配に振り返ると、シーバルの腰掛ける桶の奥で、アンドリューは湯に浸かっていた。
シーバルに指を突っ込まれているこんな姿を見られたかと思うと、途端に腿に力が入る。ギュウとシーバルの胴体を締め付けると、そこに不思議な感触が這ってきた。
「あ……」
アンドリューが俺の腿の内側に唇を這わせている。そして俺の声を拾った彼は、落ちる毛束の中からその美しい瞳を覗かせた。
「アンドリュー、ちょっとなにやって……。あぁ。リノの弱点、知られちゃったね……あんなに出したのに、またリノの前が硬くなっちゃった」
「ここがいいのか? リノ?」
「もうっ、リノがかわいそうだからやめてあげて。明日2人でやってあげるから……」
シーバルの提案を想像するだけでゾクゾクと欲望が下半身に集まってくる。その真実を腹で感じたのか、シーバルは困惑してしまった。
「アンドリュー、ちゃんと責任取って、リノを満足させてあげなよ」
その言葉に湯を落としながら立ち上がるアンドリュー。俺はその雄々しい猛りに目が釘付けになってしまう。こんなに明るい場所で見ることがなかったそれは、さっき果てたとは思えないほど反り返っていた。
アンドリューは俺の後ろに回る。そして背中に感じる温かい感触。
「リノ……きれいな背中だ……」
ヒタッと吸いつく熱い感触。その言葉と熱に、焦がれてしまう。
シーバルは指をゆっくり抜いて、そうして、受け入れられるかどうかを確かめるように入り口をほぐした。
「え……?」
「アンドリューので掻き出してもらおうね」
「そ、そんなことしたら……!」
シーバルの指と交代で、熱いものがねじ込まれる。そしてそれがある程度まで入ったところで、背中にアンドリューの体温を感じた。
「あ、アンドリュー……」
「もう一度チャンスをくれ。リノ」
耳元で囁かれると一気に体温が上昇する。そんな苦しそうな声を出されると、強い否定ができなくなってしまう。
シーバルの肩にぶら下げていた俺の腕に、アンドリューの顔が押しつけられる。そして、俺の恐れる場所のスレスレをアンドリューは責めはじめた。
「ああ……シーバルのせいで……中がすごいことになってる……」
「お互い様だよ。あ、じゃあ今度は俺がリノにキスをしてもいい?」
シーバルは言うより前に俺の唇を奪う。そして舌が絡み合うと、アンドリューが突き入れたそれの質量が増した気がした。
「本当だ……キスをするとリノの中がすごいことになる。俺が……我慢できるか……」
「あ、ほら。そこで強くしたらダメだよ。リノももう1回出したいもんね。キスをしながらこっちも擦ってあげるからね」
「もう……出ないよ……」
「アンドリュー」
シーバルの呼びかけに応えたのは、俺の中のアンドリューだった。グンと突き上げられ、思わず小さな悲鳴をあげた。
「シーバル……声……」
「ああ、かわいい。アンドリュー、今みたいになったら奥を突き上げてあげるんだよ」
「わかった……リノ……つらくないか?」
「はっ……あぁ……アンドリュー……もっと……」
2人の手で俺の体はバラバラに暴かれていく。柔らかくさまざまな場所を擦り上げられ、首も肩も背中も、唇が這い回った。
「あっ、あっ、ぁんっ、んんっ」
「ああ、もうそろそろだよ。アンドリューの気持ちいい?」
「きも、ちいい、あっ、もぅ……、ぅんっ、ひっ、あああっ、あああんっ!」
激しく突き上げられるこの光景には懐かしさすらあった。激しく、獰猛なアンドリューの欲望。それが猛り最奥の腹の中を暴く。
でもあの日とは違った。
「アン、ドリュー! アンドリュー!」
首筋に優しく落とされるキス。しかし荒々しい呼吸に唇は離れ、そうして俺をあの場所に連れて行こうとアンドリューが最後の咆哮を浴びせる。
腸壁を擦り上げる度に、繰り出される懇願のような声。短く俺を呼ぶその悲痛な声に誘われ、抗うこともできずに引きずられていく。
「ふ、アァァ────ッ! 声っ! んんん──っ!」
シーバルにしがみつき、俺は最後の咆哮を受け入れた。
「アンドリュー、もう大丈夫だよ。優しくできたね」
シーバルの慈愛に満ちた声に、アンドリューの呼吸は乱れに乱れ、猛りが一層膨らんだ時に、抽送が止まった。
「ねぇ、これからうまくやっていけそう? 3人でさ」
アンドリューも俺も、息を整えるのに精一杯なのに、シーバルはそんな大事なことを今聞く。
「見てのとおり……俺はシーバルがいないとダメだ……。リノは……あぁ……いや、シーバルは?」
「そうやってさ。アンドリューに頼られるの。なんか思った以上に嬉しくてさ。俺は毎日続けばいいと思ってる。リノは? 2人の愛を受け入れていくのは大変?」
「た、大変……」
「ふふふっ、今日は記念すべき初夜だから、2人ともはりきっちゃった。ごめんね。明日からはちゃんと配分を考えるから。リノ……いつものやつ言って……」
「本当……だよ……」
シーバルは俺の頭を抱いて、顔が見えないように配慮する。これはきっと、アンドリューにも言ってあげなさい、ということだと理解した。
「シーバルも、アンドリューも、大好き」
横と後ろから安堵の息が漏れる。月の沈む夜はこんな息で埋め尽くされるのだ。これ以上の幸福はこの世のどこにもない。
「リノ、大丈夫? 頭は痛くない?」
「痛く……ない……また俺……」
「大丈夫だよ。リノは意識がなくても俺を優しくさすってくれたし、今日はアンドリューもそうしてくれたよ」
「アンドリュー?」
ハッと、いつもと違う気配に振り返ると、シーバルの腰掛ける桶の奥で、アンドリューは湯に浸かっていた。
シーバルに指を突っ込まれているこんな姿を見られたかと思うと、途端に腿に力が入る。ギュウとシーバルの胴体を締め付けると、そこに不思議な感触が這ってきた。
「あ……」
アンドリューが俺の腿の内側に唇を這わせている。そして俺の声を拾った彼は、落ちる毛束の中からその美しい瞳を覗かせた。
「アンドリュー、ちょっとなにやって……。あぁ。リノの弱点、知られちゃったね……あんなに出したのに、またリノの前が硬くなっちゃった」
「ここがいいのか? リノ?」
「もうっ、リノがかわいそうだからやめてあげて。明日2人でやってあげるから……」
シーバルの提案を想像するだけでゾクゾクと欲望が下半身に集まってくる。その真実を腹で感じたのか、シーバルは困惑してしまった。
「アンドリュー、ちゃんと責任取って、リノを満足させてあげなよ」
その言葉に湯を落としながら立ち上がるアンドリュー。俺はその雄々しい猛りに目が釘付けになってしまう。こんなに明るい場所で見ることがなかったそれは、さっき果てたとは思えないほど反り返っていた。
アンドリューは俺の後ろに回る。そして背中に感じる温かい感触。
「リノ……きれいな背中だ……」
ヒタッと吸いつく熱い感触。その言葉と熱に、焦がれてしまう。
シーバルは指をゆっくり抜いて、そうして、受け入れられるかどうかを確かめるように入り口をほぐした。
「え……?」
「アンドリューので掻き出してもらおうね」
「そ、そんなことしたら……!」
シーバルの指と交代で、熱いものがねじ込まれる。そしてそれがある程度まで入ったところで、背中にアンドリューの体温を感じた。
「あ、アンドリュー……」
「もう一度チャンスをくれ。リノ」
耳元で囁かれると一気に体温が上昇する。そんな苦しそうな声を出されると、強い否定ができなくなってしまう。
シーバルの肩にぶら下げていた俺の腕に、アンドリューの顔が押しつけられる。そして、俺の恐れる場所のスレスレをアンドリューは責めはじめた。
「ああ……シーバルのせいで……中がすごいことになってる……」
「お互い様だよ。あ、じゃあ今度は俺がリノにキスをしてもいい?」
シーバルは言うより前に俺の唇を奪う。そして舌が絡み合うと、アンドリューが突き入れたそれの質量が増した気がした。
「本当だ……キスをするとリノの中がすごいことになる。俺が……我慢できるか……」
「あ、ほら。そこで強くしたらダメだよ。リノももう1回出したいもんね。キスをしながらこっちも擦ってあげるからね」
「もう……出ないよ……」
「アンドリュー」
シーバルの呼びかけに応えたのは、俺の中のアンドリューだった。グンと突き上げられ、思わず小さな悲鳴をあげた。
「シーバル……声……」
「ああ、かわいい。アンドリュー、今みたいになったら奥を突き上げてあげるんだよ」
「わかった……リノ……つらくないか?」
「はっ……あぁ……アンドリュー……もっと……」
2人の手で俺の体はバラバラに暴かれていく。柔らかくさまざまな場所を擦り上げられ、首も肩も背中も、唇が這い回った。
「あっ、あっ、ぁんっ、んんっ」
「ああ、もうそろそろだよ。アンドリューの気持ちいい?」
「きも、ちいい、あっ、もぅ……、ぅんっ、ひっ、あああっ、あああんっ!」
激しく突き上げられるこの光景には懐かしさすらあった。激しく、獰猛なアンドリューの欲望。それが猛り最奥の腹の中を暴く。
でもあの日とは違った。
「アン、ドリュー! アンドリュー!」
首筋に優しく落とされるキス。しかし荒々しい呼吸に唇は離れ、そうして俺をあの場所に連れて行こうとアンドリューが最後の咆哮を浴びせる。
腸壁を擦り上げる度に、繰り出される懇願のような声。短く俺を呼ぶその悲痛な声に誘われ、抗うこともできずに引きずられていく。
「ふ、アァァ────ッ! 声っ! んんん──っ!」
シーバルにしがみつき、俺は最後の咆哮を受け入れた。
「アンドリュー、もう大丈夫だよ。優しくできたね」
シーバルの慈愛に満ちた声に、アンドリューの呼吸は乱れに乱れ、猛りが一層膨らんだ時に、抽送が止まった。
「ねぇ、これからうまくやっていけそう? 3人でさ」
アンドリューも俺も、息を整えるのに精一杯なのに、シーバルはそんな大事なことを今聞く。
「見てのとおり……俺はシーバルがいないとダメだ……。リノは……あぁ……いや、シーバルは?」
「そうやってさ。アンドリューに頼られるの。なんか思った以上に嬉しくてさ。俺は毎日続けばいいと思ってる。リノは? 2人の愛を受け入れていくのは大変?」
「た、大変……」
「ふふふっ、今日は記念すべき初夜だから、2人ともはりきっちゃった。ごめんね。明日からはちゃんと配分を考えるから。リノ……いつものやつ言って……」
「本当……だよ……」
シーバルは俺の頭を抱いて、顔が見えないように配慮する。これはきっと、アンドリューにも言ってあげなさい、ということだと理解した。
「シーバルも、アンドリューも、大好き」
横と後ろから安堵の息が漏れる。月の沈む夜はこんな息で埋め尽くされるのだ。これ以上の幸福はこの世のどこにもない。
0
お気に入りに追加
113
あなたにおすすめの小説
【完結】雨降らしは、腕の中。
N2O
BL
獣人の竜騎士 × 特殊な力を持つ青年
Special thanks
illustration by meadow(@into_ml79)
※素人作品、ご都合主義です。温かな目でご覧ください。

モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中
risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。
任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。
快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。
アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——?
24000字程度の短編です。
※BL(ボーイズラブ)作品です。
この作品は小説家になろうさんでも公開します。

この道を歩む~転生先で真剣に生きていたら、第二王子に真剣に愛された~
乃ぞみ
BL
※ムーンライトの方で500ブクマしたお礼で書いた物をこちらでも追加いたします。(全6話)BL要素少なめですが、よければよろしくお願いします。
【腹黒い他国の第二王子×負けず嫌いの転生者】
エドマンドは13歳の誕生日に日本人だったことを静かに思い出した。
転生先は【エドマンド・フィッツパトリック】で、二年後に死亡フラグが立っていた。
エドマンドに不満を持った隣国の第二王子である【ブライトル・ モルダー・ヴァルマ】と険悪な関係になるものの、いつの間にか友人や悪友のような関係に落ち着く二人。
死亡フラグを折ることで国が負けるのが怖いエドマンドと、必死に生かそうとするブライトル。
「僕は、生きなきゃ、いけないのか……?」
「当たり前だ。俺を残して逝く気だったのか? 恨むぞ」
全体的に結構シリアスですが、明確な死亡表現や主要キャラの退場は予定しておりません。
闘ったり、負傷したり、国同士の戦争描写があったります。
本編ド健全です。すみません。
※ 恋愛までが長いです。バトル小説にBLを添えて。
※ 攻めがまともに出てくるのは五話からです。
※ タイトル変更しております。旧【転生先がバトル漫画の死亡フラグが立っているライバルキャラだった件 ~本筋大幅改変なしでフラグを折りたいけど、何であんたがそこにいる~】
※ ムーンライトノベルズにも投稿しております。

完結·助けた犬は騎士団長でした
禅
BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。
ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。
しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。
強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ……
※完結まで毎日投稿します

不本意にも隠密から婚約者(仮)にハイスピード出世をキメた俺は、最強執着王子に溺愛されています
鳴音。
BL
東方のある里より、とある任務遂行の為カエラム王国を訪れたヨト。
この国の王子である、ルークの私室に潜り込んだものの、彼はあっさりと見つかってしまう。
捕縛されてしまったヨトは「密告者として近衛兵に渡される」「自分の専属隠密になる」どちらか好きな方を選べという、究極の選択に迫られた。
更にヨトを気に入ったルークは、専属隠密では飽き足らず、速攻で彼を婚約者へとしてしまう。
「常に傍に居ろ」というルークからの積極的なアプローチが不思議と落ち着く⋯そんなカエラム王国での平和な第2の人生生活を送っていたヨト。
そんな時、ヨトがこのカエルムに派遣された理由でもある「奇跡の鉱物タルスゼーレ」をめぐって、何やら良からぬ行動を取る連中が現れたという。
幼少期の因縁の相手でもある「黒龍」が召喚され、平和だったヨトの生活は、この先どうなってしまうのか⋯!?

【完結】乙女ゲーの悪役モブに転生しました〜処刑は嫌なので真面目に生きてたら何故か公爵令息様に溺愛されてます〜
百日紅
BL
目が覚めたら、そこは乙女ゲームの世界でしたーー。
最後は処刑される運命の悪役モブ“サミール”に転生した主人公。
死亡ルートを回避するため学園の隅で日陰者ライフを送っていたのに、何故か攻略キャラの一人“ギルバート”に好意を寄せられる。
※毎日18:30投稿予定
精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる
風見鶏ーKazamidoriー
BL
秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。
ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。
※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。
左遷先は、後宮でした。
猫宮乾
BL
外面は真面目な文官だが、週末は――打つ・飲む・買うが好きだった俺は、ある日、ついうっかり裏金騒動に関わってしまい、表向きは移動……いいや、左遷……される事になった。死刑は回避されたから、まぁ良いか! お妃候補生活を頑張ります。※異世界後宮ものコメディです。(表紙イラストは朝陽天満様に描いて頂きました。本当に有難うございます!)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる