妖精王の双剣-愛する兄弟のために身売りした呪われは妖精王に溺愛される

大田ネクロマンサー

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第6章 シュトラウス家の紋章

第19話 新月 ※

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湿度の高い幸福な空気に、かけ流されるお湯。その柔らかに響く音で、俺は目を覚ました。


「リノ、大丈夫? 頭は痛くない?」

「痛く……ない……また俺……」

「大丈夫だよ。リノは意識がなくても俺を優しくさすってくれたし、今日はアンドリューもそうしてくれたよ」

「アンドリュー?」


ハッと、いつもと違う気配に振り返ると、シーバルの腰掛ける桶の奥で、アンドリューは湯に浸かっていた。

シーバルに指を突っ込まれているこんな姿を見られたかと思うと、途端に腿に力が入る。ギュウとシーバルの胴体を締め付けると、そこに不思議な感触が這ってきた。


「あ……」


アンドリューが俺の腿の内側に唇を這わせている。そして俺の声を拾った彼は、落ちる毛束の中からその美しい瞳を覗かせた。


「アンドリュー、ちょっとなにやって……。あぁ。リノの弱点、知られちゃったね……あんなに出したのに、またリノの前が硬くなっちゃった」

「ここがいいのか? リノ?」

「もうっ、リノがかわいそうだからやめてあげて。明日2人でやってあげるから……」


シーバルの提案を想像するだけでゾクゾクと欲望が下半身に集まってくる。その真実を腹で感じたのか、シーバルは困惑してしまった。


「アンドリュー、ちゃんと責任取って、リノを満足させてあげなよ」


その言葉に湯を落としながら立ち上がるアンドリュー。俺はその雄々しい猛りに目が釘付けになってしまう。こんなに明るい場所で見ることがなかったそれは、さっき果てたとは思えないほど反り返っていた。

アンドリューは俺の後ろに回る。そして背中に感じる温かい感触。


「リノ……きれいな背中だ……」


ヒタッと吸いつく熱い感触。その言葉と熱に、焦がれてしまう。

シーバルは指をゆっくり抜いて、そうして、受け入れられるかどうかを確かめるように入り口をほぐした。


「え……?」

「アンドリューので掻き出してもらおうね」

「そ、そんなことしたら……!」


シーバルの指と交代で、熱いものがねじ込まれる。そしてそれがある程度まで入ったところで、背中にアンドリューの体温を感じた。


「あ、アンドリュー……」

「もう一度チャンスをくれ。リノ」


耳元で囁かれると一気に体温が上昇する。そんな苦しそうな声を出されると、強い否定ができなくなってしまう。

シーバルの肩にぶら下げていた俺の腕に、アンドリューの顔が押しつけられる。そして、俺の恐れる場所のスレスレをアンドリューは責めはじめた。


「ああ……シーバルのせいで……中がすごいことになってる……」

「お互い様だよ。あ、じゃあ今度は俺がリノにキスをしてもいい?」


シーバルは言うより前に俺の唇を奪う。そして舌が絡み合うと、アンドリューが突き入れたそれの質量が増した気がした。


「本当だ……キスをするとリノの中がすごいことになる。俺が……我慢できるか……」

「あ、ほら。そこで強くしたらダメだよ。リノももう1回出したいもんね。キスをしながらこっちも擦ってあげるからね」

「もう……出ないよ……」

「アンドリュー」


シーバルの呼びかけに応えたのは、俺の中のアンドリューだった。グンと突き上げられ、思わず小さな悲鳴をあげた。


「シーバル……声……」

「ああ、かわいい。アンドリュー、今みたいになったら奥を突き上げてあげるんだよ」

「わかった……リノ……つらくないか?」

「はっ……あぁ……アンドリュー……もっと……」


2人の手で俺の体はバラバラに暴かれていく。柔らかくさまざまな場所を擦り上げられ、首も肩も背中も、唇が這い回った。


「あっ、あっ、ぁんっ、んんっ」

「ああ、もうそろそろだよ。アンドリューの気持ちいい?」

「きも、ちいい、あっ、もぅ……、ぅんっ、ひっ、あああっ、あああんっ!」


激しく突き上げられるこの光景には懐かしさすらあった。激しく、獰猛なアンドリューの欲望。それが猛り最奥の腹の中を暴く。

でもあの日とは違った。


「アン、ドリュー! アンドリュー!」


首筋に優しく落とされるキス。しかし荒々しい呼吸に唇は離れ、そうして俺をあの場所に連れて行こうとアンドリューが最後の咆哮を浴びせる。

腸壁を擦り上げる度に、繰り出される懇願のような声。短く俺を呼ぶその悲痛な声に誘われ、抗うこともできずに引きずられていく。


「ふ、アァァ────ッ! 声っ! んんん──っ!」


シーバルにしがみつき、俺は最後の咆哮を受け入れた。


「アンドリュー、もう大丈夫だよ。優しくできたね」


シーバルの慈愛に満ちた声に、アンドリューの呼吸は乱れに乱れ、猛りが一層膨らんだ時に、抽送が止まった。


「ねぇ、これからうまくやっていけそう? 3人でさ」


アンドリューも俺も、息を整えるのに精一杯なのに、シーバルはそんな大事なことを今聞く。


「見てのとおり……俺はシーバルがいないとダメだ……。リノは……あぁ……いや、シーバルは?」

「そうやってさ。アンドリューに頼られるの。なんか思った以上に嬉しくてさ。俺は毎日続けばいいと思ってる。リノは? 2人の愛を受け入れていくのは大変?」

「た、大変……」

「ふふふっ、今日は記念すべき初夜だから、2人ともはりきっちゃった。ごめんね。明日からはちゃんと配分を考えるから。リノ……いつものやつ言って……」

「本当……だよ……」


シーバルは俺の頭を抱いて、顔が見えないように配慮する。これはきっと、アンドリューにも言ってあげなさい、ということだと理解した。


「シーバルも、アンドリューも、大好き」


横と後ろから安堵の息が漏れる。月の沈む夜はこんな息で埋め尽くされるのだ。これ以上の幸福はこの世のどこにもない。
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