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第6章 シュトラウス家の紋章
第18話 三日月と満月 ※
しおりを挟むアンドリューはしばらく顔を上げなかった。それは俺の果てない昂りを腹で感じているからだろう。アンドリューのうねりのある髪の毛に触れて、そのまま両手で頭を抱く。
そこにシーバルの大きな手が被さってきた。
「アンドリュー、すごく優しくできてたよ。あとは任せて」
シーバルは簡単にアンドリューを持ち上げて、2人の繋がりを解いていく。そして腕に気を使いながら、俺の横に彼を寝転がした。
「リノ、今日はアンドリュー頑張ったから。アンドリューの耳を撫でてあげて」
今度は俺がシーバルにひっくり返され、アンドリューを跨ぐ形で寝転がされた。息を整えるアンドリューの顔に急に近づき、その表情を目の当たりにする。
「アンドリュー……?」
俺はこの表情の意味するところがわからなかった。まるで少年のような澄んだ瞳に、無感情ともいえる表情。
「リノ……明日はもっとうまくやるから……」
伸びてきた片手が俺の頬に到達する。それがどうしてだか、子どもの頃のアンドリューが帰ってきてくれた気がして、目頭が熱くなった。
「うん……」
差し出された手に手を重ねて、アンドリューの唇に近づく。自分からするというのはいつだって勇気が必要だ。でも、彼はそれを乗り越えて俺の手の甲にキスをしてくれたのだ。
俺はひっそりと唇を寄せる。アンドリューの唇はクッキリと尖っていて、その頂点からピッタリと重ねることができた。
「リノ、今日はアンドリューに口を塞いでもらってね」
「んぇっ、待って……シー……!」
シーバルを呼ぼうとする口を、アンドリューが塞ぐ。いつの間に回されたアンドリューの片腕で後頭部を押さえつけられ、身動きがとれない。
「んっ、ぅんっ……んんんっ!」
腰を持ち上げたシーバルは、前触れも無しに、凶暴な熱源を突き入れていく。
「あぁ、リノ。アンドリューに気持ちよくさせてもらって。もう我慢できなさそうだね」
「んんっ! んんっ! シー……ッ!」
アンドリューは熱心に俺の口の中を味わい、少し顔を離そうとするだけで、片腕で頭を押さえつけて逃がそうとしない。
「アンドリュー、リノはすごくかわいくて、気持ちがいいと全然我慢ができないんだ。でも1回出しちゃうと、コツが必要なんだよ」
宙吊りになるほどにシーバルは俺の腰を持ち上げる。そして俺の心に嫌な予感が広がった。
「こうやってね、ここの浅いところを優しく擦ってあげてね……」
「ふっ、シーバゥッ──! あっ、やめっ───!」
シーバルの熱源はいつもよりもずっと高温で、熱せられた鋼のようだった。その焼きなました鋼が、ジュウジュウと俺が恐れるスレスレの場所を通過する。もどかしさと鋼の熱にあてられて、全身からジワジワと汗が染み出していった。
「それで、リノが我慢ができなくて、こうやって汗が出てきたらね……───!」
「っひ、ぃアアアアァ────! んんっ!」
「こうやって、腹側の奥をっ、ああっ! リノ、もう、我慢できなさそうだね! 我慢しないでっ!」
放り出されたら理性を失う場所を、シーバルはとてつもない質量で突き入れる。内臓が驚くようなその感触も、慣らされてしまった快楽。
「ダ……めええぇ────!」
俺の口が急に自由になって、驚いたのも束の間。アンドリューは器用に俺の腕をかわして、その手を下に伸ばしていく。シーバルが腰を持ち上げているせいで、肘をつくのに精一杯で、手を動かせない。俺がもがいている間に、アンドリューの手が俺の前を掴んだ。その感触に頭が真っ白になる。
「ひぃやああぁぁあっ────! やめっ! だめぇえええっ!」
「ありがとう、アンドリュー! これからこうやって! リノを愛していこうね!」
叫んで仰け反ったせいで、シーバルの強靭な刃が、俺の最奥に衝突する。自業自得を反省する理性は白濁とともに飛び出していってしまった。
「はっ、はっ、はっ、シー、バル! もっ! と!」
「あぁ、リノがかわいくなった。アンドリュー。こうなるとリノは抵抗しなくなるんだ。でもちょっと事情があって、リノを反対側にするよ」
「いやだぁ──!」
「ああ、かわいい。もっといっぱい出そうね。アンドリューにも手伝ってもらおうね」
「リノの目がどこを見ているかわからないぞ。本当に大丈夫なのか?」
「じゃあほら。これでアンドリューもリノ触りやすいでしょ。胸とかさっきみたいに吸ってあげてよ。下も時々擦ってあげて。意地悪すると、もっとかわいいリノが見られるよ」
「ああ、本当だ。よだれを垂らしてしまってるぞ。ふふっ。リノ、気持ちいいか?」
「ああ、上手に出せたね、リノ。アンドリューにしてもらえて気持ちがいいね。こんなにかわいいリノも久しぶりだよ」
「嬉しいな。リノ、もっと出していいんだぞ」
「あぁ、アンドリューにキスしてもらうと中がすごいことになる」
「明日、俺もリノをこんな風にしたい」
「アンドリューならできるよ。さっき教えたみたいに、最初にリノが出しちゃうのを我慢させるだけで、結構違うから……」
「シーバルも目がおかしいぞ。大丈夫か?」
「ううん、もうダメそう。そろそろ出そうだから……ああ、リノ、大好きだよ……リノ!」
記憶は途切れ途切れだが、自分の悲鳴以外はよく聞こえていた気がする。それは3人で挑むことに少し不安を抱いていたからだろう。しかしそんな憂いも不要なほど、2人はあの日の2人だった。
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