妖精王の双剣-愛する兄弟のために身売りした呪われは妖精王に溺愛される

大田ネクロマンサー

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第5章 眠る月

第9話 満ちる月 ※

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「な、な、なにを! リノッ!」


肩を掴まれたから顔を上げる。俺はシーバルを愛すると決めた。その決意にシーバルは困惑を嚥下する。

だから俺は彼の履き物を解いて、露わになった熱源に頬を寄せる。随分と楽しみにしていたことがわかるそれは、血管が浮き出し今にも弾けそうだった。


「は……ぁ……あ……リノ……!」


腹の奥底を暴いて愛を注ぐそれは、よくこんなものが体内に入るものだと感嘆を溢すほどだ。すべてを上から飲み込むことはできないと観念し、顔を傾けて側面に舌を伸ばす。

頬で触れた時とは違う、舌で触れる感覚。触れれば反り返り、上から吐息が降り注ぐ。丹念に鑑賞するように、右左と唇を寄せる。宥めることができないほど揺れはじめた熱の天辺に、唇を押し当てる。そこからは苦く甘い液が溢れていた。

それを拭うように、彼を口に迎え入れる。驚いたように息を飲んだシーバルは、それ以上に息を漏らした。

喉の奥の我慢ができない場所まで、シーバルを深く愛する。彼の息遣いが俺の律動の同調した時、急に肩を掴んで引っ張り上げられた。


「ぁ……リノ、気持ちいいん、だけど……俺……」


なにを言いたいのかなんて、瞳に満ちる黄金で理解ができた。だから自分の前を開け、服を脱ぎ落とす。そして彼の逞しい太腿の間に収まる前に、右足、左足と履き物も脱ぎ落とした。


「リノ……リノ……」


腫れ物に触るかのように、震える指で俺の肌に触れるシーバル。その手を握って俺は彼の太腿の上に座った。2人の腹の間で震える肉棒が触れあう。

俺は練った薬草を掬って、それを自分の尻にあてがった。


「リノ、それは俺にやらせて……!」


シーバルの懇願も無視して、そのまま指を熱い体内に突き入れていく。恥辱に満ちたあの頃の暗い雰囲気は無い。それが嬉しくて少し笑うと、シーバルは目を細めた。

俺の手の甲にシーバルの掌が重なる。そして俺の指を伝って、彼の指もまた体内に入り込んできた。


「ぅんっ……ふっ、んっ、んっ」

「リノ、痛くない?」

「シーバル……」


このままだとまた彼の慈愛に飲み込まれてしまう。だから俺は椅子に膝立ちになり、彼の体を抱いた。そして肌を寄せあいながら、腰を下ろしていく。


「はっ……え……? リノ……待って……!」


入り口を押し当てたシーバルの肉棒は、従順に俺を待っていた。硬く反り返らせて、俺に飲み込まれるのを待ってくれていたのだ。

シーバルの肩に顔を埋めながら、ゆっくりと腰を下ろしていく。そして最奥まで受け入れたら、再び膝を支点に腰を上げる。そうして彼の熱が俺に移り始めた頃、両腿を押さえつけられた。

シーバルの肩から顔を上げ、瞳を覗き込めば、それは黄金で満ち満ちて、滴り落ちそうなくらいだった。


「きれい……」


両手でシーバルの頬を掴み、鼻を寄せる。


「ひとりじめしたい」

「俺は全部……リノのものだよ……!」

「俺も……本当だよ……」

「待ってリノ! 待って……本当はその先も聞きたいけどっ……お願い……! まだ……こうしていたいんだ……!」

「俺もずっと、こうしていたい……」


上唇同士がくっついたら、シーバルは俺の口を優しく覆う。お互いの吐息を隠すかのように、ずっとずっと求めあった。


月が沈むよりも、もっと深くまで求めあって、今日の夜を照らし続ける。

誰のものでもない、誇り高き王に満ちる黄金。それを求めて一晩中愛しあった。

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