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第4章 鎺に鞘
第22話 耳を塞いで ※
しおりを挟むシーバルは眉間に皺を寄せながら、俺の懇願に応える。一度抜かれた時、失った熱で腹の内側が悶え、もう一度埋められた時、熱に歓喜する。
「アァ──ッ! アアアアァ──ッ!」
シーバルが急に動きを止め、俺の胸に顔を埋める。きっと痛がっていると勘違いしたのだろう。しかしこの痙攣は懇願であって痛みではない。
「ふっ、ぅ、シーバル……! やめ、ないでっ」
「リノ、耳を」
「やめ、ないで……」
「リノ、耳を塞いで。そうじゃなきゃ……」
俺はシーバルの巨大な影に包まれる。そしてその影が顔へと近づいてきた。俺は彼の耳を塞がなかった。
最初は上唇同士が触れ、それをシーバルの下唇が摘んだ。そして形を確かめるように顔を傾けたシーバル唇に、唇全体を覆われる。
初めての感触に息を漏らすと、その隙間からシーバルの熱い舌が差し込まれた。彼が探す前に在り処を教える舌に、辿々しく混じりあう2人の熱。
お互いが熱い舌に夢中になって息も忘れて絡み合った。息継ぎのように唇を離しても、離れ難くて舌を伸ばす。もう離れないようにと首に手を回すと、シーバルは熱い杭を突き上げた。
「んんんん──っ!」
腹に飛沫を感じてか、シーバルは体を起こしてしまう。その瞳がわずかに黄金に輝いていた。
「は、ぁぁっ、シーバル、俺、おかしくて、こんなに、あぁっ、まだやめないでっ!」
シーバルの黄金の瞳に手を伸ばすと、シーバルはそれを掴んで唇に押し当てた。その苦悩に満ちた顔が、腹の中の疼きに拍車をかける。
シーバルはそのまま俺の両手を掴んで、杭を突き入れる。それは罰ではない、享受の悦びだった。
「は、ああああっ! あっ! あっ!」
腹の奥に到達するたびに声が飛び出し制御ができない。そして制御ができないのは声だけではなかった。何度目かに突き入れられた時、白濁が宙を舞った。
「ぃ、ああっ、シーバル! シーバル!」
シーバルの昂りが質量を増す時、腹の中の熱が急激に沸騰して、白濁が噴き上げる。俺の声が声でなくなり、宙を舞う白濁が白いのかどうかもわからなくなった時、シーバルは俺の唇を求めて上体を倒した。
荒々しい息に、パタパタと落ちてくる汗。シーバルが細める瞳から溢れる黄金は、彼の限界を物語っていた。
「は……ぁ……はずか、しいから……声……」
キスをしてほしい、素直にそう言えない俺の気持ちを汲んで、シーバルは頷くように唇を覆ってくれた。
そして、それまでとは比べ物にならない衝撃を何度か味わったら、彼の愛が俺に注ぎ込まれた。
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