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第4章 鎺に鞘
第21話 黄金の瞳 ※
しおりを挟むシーバルの舌や指は、さっきの乱暴さとは裏腹に、とても優しかった。その辺に転がしていた薬草の残りで俺の後ろの窄まりを優しくほぐして、舌は俺の前の昂りを宥めるように触れる。
あの黄金の瞳。あんな凶暴な激情を隠して、シーバルはどうしてここまで優しくなれるのだろうか。
「ふっ……ん、ぁ……!」
また自制心のない自分が顔を出し、やめさせたいのに続けてほしい自分もいる。変な声が出るのが恥ずかしくて、拳を握り口に強く押し当てる。それを見たシーバルは俺の胸に顔を埋め、耳をパタパタと動かした。
いつもならこのまま耳を掴んで、あの真っ白な空間に投げ出されるのを待つのだろう。でも今日は手をゆっくり下に伸ばした。
悟られないようにやったつもりが、手がシーバルの腹にあたり、それを掴まれる。なにを言われるかなんてわかっていたから、先に道を塞いだ。
「シーバルが……夜に……どこに行っているか知ってる……」
シーバルは顔を上げ、そして困惑とも悲嘆ともいえる表情を浮かべた。
「リノには……見られたくないところばっかり……」
言葉を詰まらせたシーバルの顔を見ていられなかった。
「もうあそこで……ひとりで悲しまないでほしい……」
驚き、目を見広げたシーバルの瞳に、俺の輪郭がクッキリ映り込んだ。力が抜けた彼の手を柔らかく外して、俺はさらに下に手を伸ばす。そしてシーバルの足の付け根に手が届いた時、シーバルらしい熱く強靭な雄の芯に安堵を覚えた。
「これ……その……」
どう言ったらいいのかわからず、顔が熱くなる。恥ずかしくて顔を背けてしまうが、それでもわかってもらいたくてシーバルの昂りを手の甲で撫で続けた。
ハッキリ言わないと伝わらないだろうか、そう思った瞬間、その手をもう一度掴まれベッドに放り投げられた。まるで、はしたないと、床に投げ出された気分だった。
久しぶりに味わう惨めさに、瞼を下ろす。
絶望の暗闇の中、シュルシュルと布が擦れる音が響く。それに驚くと、今度は薬草のすり鉢の陶器が投げ出される音が響き渡った。
両足を掴まれ大きく広げられたことに驚き、彼に視線を戻す。
シーバルの垂れ下がる髪の合間から伏せた目と鼻筋が見えた。俺はまたよくわからない衝動が腰に集まり、窄まりに押し当てられた熱い杭に神経が集中する。
「シーバル……は、あ、あっ──! アアアアァ──ッ!」
ゆっくりと沈められていく巨大な熱が深部に到達した時、もどかしさから解放された快感が駆け抜ける。
「ああっ! はぁ、あ、あぁっ、なんでっ?」
「リノ……、痛くない……?」
苦悶に満ちたシーバルの表情に、また疼きが下半身に集まってくる。
「こんなのっ、はじめてでっ、あぁ、シーバル、お願い……! お願い──!」
こんな快感を知らなかった。巨大な質量と衝撃に痛みに似た押し出され方しか知らなかったのに。こんなうわずった声をあげ、懇願する自分が信じられない。でも、その先が知りたくて我慢ができない。
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