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ご『“友だち”の有効活用/なれる夏』
8 1秒先はルーレットでも決められない
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「あ! サキちゃん、来てくれた~! ささどうぞどうぞ~」
喫茶エッグプラントに一人で訪れたサキは、のどかに手招きされ前回と同じテーブルについた。
「手紙、ありがとうございます」
小さく会釈するサキへ親指をグッと突き立て、お茶目にウィンクを返すのどかは厨房へ向かった。
まだ昼前だからあまり人がいなくて居心地が良い。一人になったサキはソファにゆったりと寄りかかった。
厨房から戻ってきたのどかは、まだなにも注文していないサキの前にフレンチトーストを置いた。
「あたし作ったやつだから、サービス。嫌いだった?」
「いえ、嬉しいです……!」
「よかった! じゃ、ゆっくりしてってね。あ、飲み物もあった方がいいか。気が利かねーなー」
また厨房へ向かうのどかを見送り、フレンチトーストと向き合うサキはたまらずナイフを入れた。甘く香ばしい香りが湯気となって、少女へ幸せを運ぶ。
「はぁ~……いただきます……!」
フレンチトーストを食べるのは初めてに近い。粉砂糖がかかっているだけで、なんとも贅沢な気持ちになる。
こんがりと焼き目のついた、厚みのあるパンの中はフワッフワ。噛むとホカホカの甘い液がジュワッと染み出て、これがハチミツと合わさるとさらに濃厚な味わいに。
「結構うまいっしょ?」
「はい、凄く美味しいです!」
「はは、ありがと。最近ハマっててさ、フレンチトーストばっか作ってんだよね~。ちょっと甘かったかな」
「わたしは好きです!」
「もう~可愛いなぁ~」
サキはのどかが持ってきたドリンクに手を伸ばす。氷の入った透明な液体に、薄い輪切りのレモンが一枚浮かんでいて、その上に小さなミントが添えられている。
「レモネードなんだけど、甘いと思って甘さ控え目にしたんだ」
「あっ、酸っぱい……」
「サキちゃんは甘い方がよかったか。シロップ持ってくる?」
「あ、でも、これと一緒だとちょうどいいかも……」
レモンの酸味がフレンチトーストの甘さを蹴散らす。甘味が少ない分、わずかに苦味を感じるが、後味はすっきり爽やか。ミントはいらない。
「これってなんですか?」
サキが指を差したのは、灰皿横に置いてある、ティーカップにドーム型のフタを被せたプラネタリウムのような球体の置物。
「これねぇ、おみくじ」
側面には12星座のイラストが描かれ、その下にレバーが一つ。フタの部分は透明になっていて、カジノにあるルーレットと似たものがカップにはめ込まれているのが見える。
興味津々に見つめるサキに、
「……ちょっとやってみようか」
のどかはエプロンのポケットから小銭を取り出し、描かれた12星座から誕生日の星座を選んで、それぞれの上部に空いた横長の穴に小銭を一枚入れた。
「いけーい」
レバーを横へ引くと上のルーレットが回転し、レバーの下から透明な薄いケースに収められた円柱型の紙がポンと転がって出てきた。
「……大って書いてない!?」
ルーレットはまだ回っているが、出てきた紙にはおみくじの内容が記載されていて、その結果は開かなくても透けて見えた。
「大吉です!」
「イエーイ」
おみくじをのどかに渡す。
「このルーレットはなんですか?」
「それはね~」
巻物のようにクルクルと巻かれたおみくじを広げると、これが意外と長い。
紙の中央に『ルーレット占い 今週の運勢』と表記されていて、下半分がルーレットで選ばれた番号による占いの結果となる。
「何番だっけ?」
ルーレットを確認すると、銀色の球は22番の窪みにはまっている。
「『感情が高ぶり易い今は我慢が吉』。これ本当に大吉? ずっと我慢してるっての……」
のどかは自分のおみくじを「あげる」とサキへ渡し「捨てといて」と続けた。
丸まる紙を広げたサキが、なんとなしに見た『愛情』の欄に『仲が深まる恋の兆し』と書いてあって、後ろめたさを感じながらも羨ましく思った。
「そろそろあの二人くるかも」
ポケットからチラリと出した腕時計を確認するのどか。
「あのオジサンにつかまると面倒なんだよなぁ……」
「そういえば、出禁がどうのこうのって……」
「出禁? ……あ~田儀さん? あたし的には助かったんだけどねー、マスターが出禁にしちゃってさぁ」
「なにしたんですか?」
「何年も前の話なんだけどね。その頃働いてた新人の子が嫌な客に絡まれちゃって。新人なんだから最初は出来なくて当たり前なのにすっごい文句つけてくんの。何て言うの? 新人いびりってやつ? で、私も頭来たから蹴り飛ばしてやろうと思ってそいつんとこ行って『調子のんなよ』つって。そしたらそいつ店中に聞こえるように大声で言い始めて『この店は店員の指導がなってない』だの言うわけ。じゃあオメェはどうなんだ! 事あるごとに新人呼びつけて無茶な注文しやがるオメェはどういう教育受けて」
「の、のどかさん……」
「え? ああ、ごめん。思い出したらまたムカついてきちゃった、てへ! で、なんだっけ? あ、そうそう、私とその客と口論になって……」
「それで田儀さんが巻き込まれたんですか?」
「巻き込まれたっていうか、自ら巻き込まれに来た」
「え?」
「止めに入ったのよ。ああ見えて正義感強いから」
サキはひったくり犯と間違えられた話を思い出した。
「『お客は神様じゃない』って。『お金を払ってるからってなにしてもいいわけじゃない。お金を払って提供してもらっているんだから、ウィンウィンでなければいけない』とかなんとか言ってさ」
「でもどうして出禁に……?」
「いやそれが……」
周りを気にするのどかは上体を屈め小声で言った。
「……殴った……!?」
「相手が納得しなくて取っ組み合いになってねぇ。ほらあの馬鹿力でしょ? そりゃあもう……」
のどかは首を横へ振り、サキは納得してうなずく。
「で、そこにちょうどよくマスターが」
「いらっしゃいました」
驚いた二人が声の方へ振り向くと、田儀は手をヒョイとあげ「よっ」と軽く挨拶する。
「なんだぁ? ふたりして俺の噂話か~? モテる男はツラいねぇ」
のどかは田儀の後ろを気にして覗く。
「あれ? 波瀬さんは?」
「いきなりアイツかい。後で合流する」
それを聞いたサキは小さくはにかむ。
「お嬢さん、相席よろしいですか?」
うなずくサキの座るテーブル席へ田儀は腰を下ろすが、
「の前にちょいとションベン」
「いちいち言わんでいい」
「遠慮するなよ」
と、呆れるのどかの尻をポンと叩き奥のトイレへ向かった。
「あんのセクハラゴリラ……! あたしのかわいいお尻をなんだと思ってんのよ……! ほんっとデリカシーがないよね」
「……でもちょっと羨ましいです」
「どえ!? ……え、サキちゃんそっち?」
「そっち……?」
のどかはまたサキの耳元へ顔を近づけ、その意味をコソッと教えた。
「ちち違いますっ……たぶん……。わたしはただ、仲が良くていいなぁって……」
「どこがぁ!? 全然良くないし!」
「あのー……」
突然聞こえた覇気のない物腰柔らかな声に、サキとのどかは厨房を振り返る。
「のどかさん、まだ大丈夫ですか……?」
厨房から顔を覗かせる青年の言葉に、のどかは時計を確認する。
「ゲ、上がる時間過ぎてる……。遅刻したらあのオッサンのせいだわ」
「どこか行くんですか?」
「んー? ……ンフッ、これからデートなの」
のどかはニコリと微笑み、エプロンのヒモをほどきながら急ぎ足でバックヤードへ消えた。
再び一人きりになったサキはおみくじ器に目を向けた。やってみたかった。
周囲をチェックしたサキは、小銭入れからコッソリと取り出した一枚の小銭を、素早くさそり座の穴に入れ、レバーをクンと引いた。勢いよくルーレットが回り、飛び出したのは、のどかの白いおみくじとは違うミントカラーのおみくじ。
すでに見える結果は(末吉……)だった。
一番重要な中を確認しようとケースに手を掛けた時「あれ? ここで無駄口叩いてた奴は?」と、田儀が戻ってきた。
「今日はお昼までだそうです。用事があるみたいで……」
「用事ぃ?」
田儀が席につく前に、サキはおみくじをサッとテーブルの下へ隠し、気づかれないうちにポケットにしまった。
私服に着替えたのどかがバックヤードから戻ってくるやいなや、田儀は声をかけて急ぐ足を引き止めた。
「用事ってなんだよ」
「は? 愚問。美人女子の用事っつったらデートに決まってんじゃん」
「嘘つけお前」
「触んないでよ、ちゃんと手ぇ洗った?」
「疑うのか? だったら嗅げ」
「やだ」
「コノヤロウ……!」
二人が喧嘩寸前の会話をしている隙に、サキは横目でルーレットの番号を確認する。
(14……14……)
忘れないように頭の中で繰り返しながら、今日も知らない顔の彼を待つ。
喫茶エッグプラントに一人で訪れたサキは、のどかに手招きされ前回と同じテーブルについた。
「手紙、ありがとうございます」
小さく会釈するサキへ親指をグッと突き立て、お茶目にウィンクを返すのどかは厨房へ向かった。
まだ昼前だからあまり人がいなくて居心地が良い。一人になったサキはソファにゆったりと寄りかかった。
厨房から戻ってきたのどかは、まだなにも注文していないサキの前にフレンチトーストを置いた。
「あたし作ったやつだから、サービス。嫌いだった?」
「いえ、嬉しいです……!」
「よかった! じゃ、ゆっくりしてってね。あ、飲み物もあった方がいいか。気が利かねーなー」
また厨房へ向かうのどかを見送り、フレンチトーストと向き合うサキはたまらずナイフを入れた。甘く香ばしい香りが湯気となって、少女へ幸せを運ぶ。
「はぁ~……いただきます……!」
フレンチトーストを食べるのは初めてに近い。粉砂糖がかかっているだけで、なんとも贅沢な気持ちになる。
こんがりと焼き目のついた、厚みのあるパンの中はフワッフワ。噛むとホカホカの甘い液がジュワッと染み出て、これがハチミツと合わさるとさらに濃厚な味わいに。
「結構うまいっしょ?」
「はい、凄く美味しいです!」
「はは、ありがと。最近ハマっててさ、フレンチトーストばっか作ってんだよね~。ちょっと甘かったかな」
「わたしは好きです!」
「もう~可愛いなぁ~」
サキはのどかが持ってきたドリンクに手を伸ばす。氷の入った透明な液体に、薄い輪切りのレモンが一枚浮かんでいて、その上に小さなミントが添えられている。
「レモネードなんだけど、甘いと思って甘さ控え目にしたんだ」
「あっ、酸っぱい……」
「サキちゃんは甘い方がよかったか。シロップ持ってくる?」
「あ、でも、これと一緒だとちょうどいいかも……」
レモンの酸味がフレンチトーストの甘さを蹴散らす。甘味が少ない分、わずかに苦味を感じるが、後味はすっきり爽やか。ミントはいらない。
「これってなんですか?」
サキが指を差したのは、灰皿横に置いてある、ティーカップにドーム型のフタを被せたプラネタリウムのような球体の置物。
「これねぇ、おみくじ」
側面には12星座のイラストが描かれ、その下にレバーが一つ。フタの部分は透明になっていて、カジノにあるルーレットと似たものがカップにはめ込まれているのが見える。
興味津々に見つめるサキに、
「……ちょっとやってみようか」
のどかはエプロンのポケットから小銭を取り出し、描かれた12星座から誕生日の星座を選んで、それぞれの上部に空いた横長の穴に小銭を一枚入れた。
「いけーい」
レバーを横へ引くと上のルーレットが回転し、レバーの下から透明な薄いケースに収められた円柱型の紙がポンと転がって出てきた。
「……大って書いてない!?」
ルーレットはまだ回っているが、出てきた紙にはおみくじの内容が記載されていて、その結果は開かなくても透けて見えた。
「大吉です!」
「イエーイ」
おみくじをのどかに渡す。
「このルーレットはなんですか?」
「それはね~」
巻物のようにクルクルと巻かれたおみくじを広げると、これが意外と長い。
紙の中央に『ルーレット占い 今週の運勢』と表記されていて、下半分がルーレットで選ばれた番号による占いの結果となる。
「何番だっけ?」
ルーレットを確認すると、銀色の球は22番の窪みにはまっている。
「『感情が高ぶり易い今は我慢が吉』。これ本当に大吉? ずっと我慢してるっての……」
のどかは自分のおみくじを「あげる」とサキへ渡し「捨てといて」と続けた。
丸まる紙を広げたサキが、なんとなしに見た『愛情』の欄に『仲が深まる恋の兆し』と書いてあって、後ろめたさを感じながらも羨ましく思った。
「そろそろあの二人くるかも」
ポケットからチラリと出した腕時計を確認するのどか。
「あのオジサンにつかまると面倒なんだよなぁ……」
「そういえば、出禁がどうのこうのって……」
「出禁? ……あ~田儀さん? あたし的には助かったんだけどねー、マスターが出禁にしちゃってさぁ」
「なにしたんですか?」
「何年も前の話なんだけどね。その頃働いてた新人の子が嫌な客に絡まれちゃって。新人なんだから最初は出来なくて当たり前なのにすっごい文句つけてくんの。何て言うの? 新人いびりってやつ? で、私も頭来たから蹴り飛ばしてやろうと思ってそいつんとこ行って『調子のんなよ』つって。そしたらそいつ店中に聞こえるように大声で言い始めて『この店は店員の指導がなってない』だの言うわけ。じゃあオメェはどうなんだ! 事あるごとに新人呼びつけて無茶な注文しやがるオメェはどういう教育受けて」
「の、のどかさん……」
「え? ああ、ごめん。思い出したらまたムカついてきちゃった、てへ! で、なんだっけ? あ、そうそう、私とその客と口論になって……」
「それで田儀さんが巻き込まれたんですか?」
「巻き込まれたっていうか、自ら巻き込まれに来た」
「え?」
「止めに入ったのよ。ああ見えて正義感強いから」
サキはひったくり犯と間違えられた話を思い出した。
「『お客は神様じゃない』って。『お金を払ってるからってなにしてもいいわけじゃない。お金を払って提供してもらっているんだから、ウィンウィンでなければいけない』とかなんとか言ってさ」
「でもどうして出禁に……?」
「いやそれが……」
周りを気にするのどかは上体を屈め小声で言った。
「……殴った……!?」
「相手が納得しなくて取っ組み合いになってねぇ。ほらあの馬鹿力でしょ? そりゃあもう……」
のどかは首を横へ振り、サキは納得してうなずく。
「で、そこにちょうどよくマスターが」
「いらっしゃいました」
驚いた二人が声の方へ振り向くと、田儀は手をヒョイとあげ「よっ」と軽く挨拶する。
「なんだぁ? ふたりして俺の噂話か~? モテる男はツラいねぇ」
のどかは田儀の後ろを気にして覗く。
「あれ? 波瀬さんは?」
「いきなりアイツかい。後で合流する」
それを聞いたサキは小さくはにかむ。
「お嬢さん、相席よろしいですか?」
うなずくサキの座るテーブル席へ田儀は腰を下ろすが、
「の前にちょいとションベン」
「いちいち言わんでいい」
「遠慮するなよ」
と、呆れるのどかの尻をポンと叩き奥のトイレへ向かった。
「あんのセクハラゴリラ……! あたしのかわいいお尻をなんだと思ってんのよ……! ほんっとデリカシーがないよね」
「……でもちょっと羨ましいです」
「どえ!? ……え、サキちゃんそっち?」
「そっち……?」
のどかはまたサキの耳元へ顔を近づけ、その意味をコソッと教えた。
「ちち違いますっ……たぶん……。わたしはただ、仲が良くていいなぁって……」
「どこがぁ!? 全然良くないし!」
「あのー……」
突然聞こえた覇気のない物腰柔らかな声に、サキとのどかは厨房を振り返る。
「のどかさん、まだ大丈夫ですか……?」
厨房から顔を覗かせる青年の言葉に、のどかは時計を確認する。
「ゲ、上がる時間過ぎてる……。遅刻したらあのオッサンのせいだわ」
「どこか行くんですか?」
「んー? ……ンフッ、これからデートなの」
のどかはニコリと微笑み、エプロンのヒモをほどきながら急ぎ足でバックヤードへ消えた。
再び一人きりになったサキはおみくじ器に目を向けた。やってみたかった。
周囲をチェックしたサキは、小銭入れからコッソリと取り出した一枚の小銭を、素早くさそり座の穴に入れ、レバーをクンと引いた。勢いよくルーレットが回り、飛び出したのは、のどかの白いおみくじとは違うミントカラーのおみくじ。
すでに見える結果は(末吉……)だった。
一番重要な中を確認しようとケースに手を掛けた時「あれ? ここで無駄口叩いてた奴は?」と、田儀が戻ってきた。
「今日はお昼までだそうです。用事があるみたいで……」
「用事ぃ?」
田儀が席につく前に、サキはおみくじをサッとテーブルの下へ隠し、気づかれないうちにポケットにしまった。
私服に着替えたのどかがバックヤードから戻ってくるやいなや、田儀は声をかけて急ぐ足を引き止めた。
「用事ってなんだよ」
「は? 愚問。美人女子の用事っつったらデートに決まってんじゃん」
「嘘つけお前」
「触んないでよ、ちゃんと手ぇ洗った?」
「疑うのか? だったら嗅げ」
「やだ」
「コノヤロウ……!」
二人が喧嘩寸前の会話をしている隙に、サキは横目でルーレットの番号を確認する。
(14……14……)
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