元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています

星乃びこ

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18. 元婚約者の弟と正式に婚約しました

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「…ったく、本当にひどいよなぁ~。懸命に聞き込みをしていた俺にエレノアが見つかったって連絡の1つもよこさないなんてさ」


客間のソファに腰を下ろし、ブツブツと文句を言っているのはアルバートだ。


「だから、悪かったって言ってるだろ。しつこいな」


そして、淡々と言葉を返すのは少し不機嫌そうなノエル。

「全然心こもってないし!なんなら、ちょっと不機嫌そうな態度やめてくんない!?…確かに俺もちょっとタイミング悪かったのは謝るけど」


「…ほんとにな」


「…ノエル!アル、ごめんなさい。私のこと心配して色々動いてくれてありがとね」


イライラを抑えきれないノエルを嗜め、私はアルバートにお礼を述べた。


ちなみに、なぜこんなにもノエルが不機嫌かというと…きっかけは、数十分前に遡る――。





――バンッ。


『…おい!エレノア見つかったって…!ジェームズから聞いたんだ…けど…』


勢いよく、客間の扉が開き、焦ったようなアルバートが室内に飛び込んできたのは、ちょうど、私がノエルに好きだと思いを伝えたタイミングだった。


アルバートは、抱き合う私とノエルを見て固まり。


『アル!?ちょっと…ノエル。アルが見てるから離して』

知り合いに見られる恥ずかしさから、私は慌ててノエルから身体を離し、距離をとる。

『……空気読めよ』

焦る私とは対象的に、ノエルはボソッとアルに向かってそう呟いたのだった。





「空気読めよって言われたって…。そんなのわかるわけないし!つか、素直にこっちは謝ってんのにさ…エレノアもそう思うよな?」


ノエルに邪険にされ、すっかり拗ねてしまったアルバートは、私に向かって同意を求めてくる。


「…えっと…あはは、そう、ね?」


確かに気の毒ではあるけど、私に同意を求められるのも困るわ…。


とりあえず、曖昧な笑みを浮かべ、どっちとも取れるような相槌を打った。


「あのさ、アルバート。エレノア困らせるのやめてくれる?」


「…は?別に俺は困らせてないし。そもそも、エレノアは、お前が不機嫌そうにしてるから気を遣ってるんだろ!」


室内にピリピリとした空気が流れ、私は今すぐにでも部屋を出ていきたい衝動に駆られる。


その時だった。
 
バンッ!


またしても、客間の扉が勢いよく開く。

「エレノアお嬢様!ご無事ですか~!?どこもケガしてないですよね!?」

青い顔をして私に飛びついてきたのはルーナだった。

「ルーナ?大丈夫だから…お、落ち着いて!」

彼女は、私の頭からつま先までケガがないか入念にチェックしだす。

そして、私にケガがないことを確認し終わると。


「本当に…よかったです。アリスに話を聞いたときは心臓が止まるかと…っ、ふぇ」


ホッとしたのか、今度はボロボロと泣き出す始末。


「ルーナ!?なにも泣かなくても…」


ノエルもアルバートもそんな彼女の登場に呆気にとられたようで、2人して顔を見合わせていた。


「エレノアお嬢様、ノエル様、それにアルバート様も…申し訳ありません、取り乱してしまって。お嬢様が誘拐されたと聞いて…本当に生きた心地がしなかったものですから…」


ようやく落ち着きを取り戻したルーナは、私、ノエル、アルバートに向かって深々と頭を下げ、恥ずかしそうに身を竦める。


「いや、エレノアがビクター家の使用人達からどれだけ大事にされてるかわかったよ…。なぁ、ノエル?」

「あぁ。アリスといい、エレノアの周りには良い使用人たちがいて僕も安心だ」


「お二人にそう言っていただけて、ビクター家の使用人の一人として恐縮ですわ」

ふふっと、小さく笑うルーナはどことなく嬉しそうだ。

「ま、なんだかんだあったけど、エレノアも無事だったし、ノエルの想いもようやく実を結んだし?一件落着ってやつだな!」


アルバートがうんうんと、頷きながら私とノエルの肩を叩く。


すると、ほぼ同じタイミングで。


「…アルバート、ちょっと黙ろうか?」


「…え?アルバート様…!?今のはどういう意味ですの!?」


ノエルとルーナが、アルバートに詰め寄った。


「…いや、えっと…!その、あれだ!」


ノエルには凄まれ、ルーナには食い気味に質問攻めに合うアルバートは、視線で私に助けを求めてくる。


アルって時々、一言多かったりするのよね。


そんな彼に苦笑いを浮かべつつ。


「ルーナ、とりあえず私達はそろそろお暇しましょう?お父様にもご報告しないといけないことがいっぱいあるわ」


そうルーナに声をかけた。


「そうですね…。旦那様も心配しておりましたし早くお嬢様の元気なお姿を見せて安心していただかないと…」


まだまだ話を聞き足りないのか、ルーナは、チラチラとアルバートの方を名残惜しそうに見ながらも、私の意見に同意する。


「そうそう!ビクター伯爵も心配されてるだろうし、早く帰らないとだな!」


ルーナから解放されたアルバートは、ホッとしたようにコクコクと力強く相槌を打っていた。


そんな対照的な二人に思わず、笑みを浮かべた時。


「エレノア、僕も一緒にいいかな?伯爵にも色々、誤解を招くような行動もしてしまったし…。それに、今回は再度正式に挨拶をさせてもらいたいんだ」


今まで黙っていたノエルが突然、そんなこと言い出して、今度は私がギョッとする。

「ノ、ノエル…?今日じゃなくても、後日でいいのよ…?」

「いや、伯爵に誤解されたままっていうのも嫌だし…。それに、早くエレノアと式の日取りも決めたいしね?」

「…ッ」

その言葉に、私は思わず赤面してしまう。


なんか、ノエル…態度と言葉に色々出しすぎててこっちが恥ずかしくなるわ。


「あらあら、まぁまぁ!ノエル様承知いたしました!旦那様にすぐ確認の連絡をいたしますわ。お待ち下さいませ!」

慌てたように客間を後にするルーナの表情が若干緩んでいるように見えて、私はハッとする。

おそらく、早馬でお父様と連絡を取るつもりだろうけど…後でルーナから質問攻めに合うのは避けられないだろう。

私は、そんな自分の未来を想像しながら、苦笑いを浮かべたのだった。





それから数週間後。

「エレノアお嬢様…。すっごく、お綺麗です…!」

「はい!お嬢様最高です!!」

目の前には、感極まるルーナと満面笑顔のアリス。

そして。

「…っエレノア…。お前もとうとう私から旅立ってしまうのか…寂しいが、お前が幸せならそれでいい」

涙を堪えて呟く父の姿があった。


そう。今日は私とノエルの結婚式。

…なんだか、あっという間でまだ実感がわかないわね。

私がそう感じるのも無理はない。


お父様に挨拶をしたいと、約束を取り付けたあの日。

『伯爵と二人で話をさせてほしい』

と言い出したノエル。

『…わかった。私の書斎に通してくれ』

お父様も了承したため、しばらく二人きりで話をすることとなったわけなのだが…。

一体どんな魔法を使ったのかと疑いたくなるほどノエルと話終えたお父様は。

『エレノア、結婚式の日取りを早急に決めようじゃないか!いやぁ、一時は心配したが…ノエルくんなら安心してお前を任せられる』

あれほど怒っていたのが嘘のように態度が一変していたのだ。

ノエルに聞いても内容自体は、はぐらかすだけで教えてくれないし…。

まぁ、お父様も喜んでくれてるから、結果的には良かったのだけれど。

若干、有耶無耶にされて気にはなるが、男同士の秘密というやつなのだろうと、こちらから聞くのは諦めつつある。

「ルーナ、今日も素敵にしてくれてありがとう。やっぱり、ルーナの腕は確かだわ」

ルーナが選んでくれた白のレースを基調としたAラインドレス。

胸元には細かい刺繍が施されており、腰の辺りには大きめのリボンがついている。シンプルだが、可愛らしいデザインで私も気に入っている。


「お嬢様の衣装やらメイク全般は、私の仕事ですもの!」


誇らし気にそう言うルーナは嬉しそうに目を細めた。


「さぁさぁ!ノエル様にもお嬢様の花嫁姿見せに行きましょう。この前の試着の時はご覧になっていないのでしょう?きっと、待っていらっしゃるはずです」


アリスに急かされて私も「そうね」と小さく頷き、彼女たちと共に控え室を後にする。


「ルーナさん、ノエル様の反応楽しみですね!」

「うふふ、ちゃーんとノエル様のポイントは押さえてあるわ!絶対きにいってくださるはずよ」


キャッキャと、盛り上がる二人を横目に私もフフッと微笑む。

アリスもすっかり馴染んだみたいで安心したわ。これも、ルーナのおかげね。

手紙事件後、屋敷内で少し浮いていたアリスを1番気にかけていたのはルーナだった。

なんだかんだ、彼女は面倒見が良いのだ。

そうこうしているうちに、私達はノエルの控え室の前に到着する。

…なんだか、き、緊張してきたわ。


ルーナが選んでくれたドレスや施してくれたメイクに間違いはないが、ノエルがどんな反応をしてくれるのか正直、気になるところ。


昔は、そんなこと気にもとめなかったのに…。

まさか、自分がノエルに対しそんな感情を抱くようになるなんてちょっと前までは思いもしなかった。


「…や、やっぱりノエルが出てくるの待ちましょうか?」

やや尻込みして、中々扉を開けられない私は、そんな提案をしてみるも。


「ささ、エレノアお嬢様」


「早く早く!」


と、ルーナとアリスは有無を言わさず、扉を開けるように促してくる。


「わ、わかったから…。ちょっと静かに…!」


急かす二人を宥めつつ、私は再度息を整えた。


そして。


コンコン。


と控え室の扉をノックする。


「あ、あの…ノエル、準備できた?入ってもいいかしら」

ドキドキと高鳴る気持ちを抑え、控え目に扉の前から声をかけた。


「エレノア?どうぞ」


ノエルから、そんな返答があり。


「…失礼します」


小さい声でそう呟き、カチャと、ドアノブを回した私はゆっくりと控え室に足を踏み入れる。


…っ!


「ね、アリス!私が言ったとおりでしょ~ノエル様は黒がお似合いだわ。エレノア様の白いドレスと対になって良い感じね!」


「ルーナさんのセンスは抜群です!白タキシードも捨てがたいな~って思ってましたけど、これは黒で正解です!」


扉の隙間からノエルの姿を見ながら、二人共、納得したように頷いていた。


…確かに、とっても似合ってるわ。


そりゃ、昔からカッコいいと思ってはいたけど…。

元々、キリッとした顔立ちのノエルは、淡い色よりもハッキリとした色合いが似合うのは私も理解していた。

うん、確かに黒タキシードは、本当に彼によく似合っている。

似合っているんだけれど…。

…なんか、私…負けてる気がするわ。


女性側からすると、余りの完成度の高さに自分が不釣り合いなのではと落ち込むレベルだ。

そんな私の気持ちを知ってか知らずか、ジッと、ノエルは私の姿を見つめている。


…な、なんか言ってよ…。


その時。


「ほら、アリス。私達はノエル様の衣装も確認できたし、後は二人きりにさせてあげないと…ということでお嬢様、私達は先に会場に行きますので。ごゆっくり」


ふふっと、ルーナは、笑顔で私に耳打ちすると、アリスを伴ってサッサと控え室を後にする。


そんな気の遣い方今は、いらないんだけど…!

二人がいなくなると、急にシーンと静まり返る控え室。

しかも、なぜかノエルは、黙ったままで難しそうな表情を浮かべている。

ど、どうしよう…。なんか、私から声をかけるべき??

そう考え、声をかけようとした時だった。

「…エレノア、そのドレス…」

今まで、考え込んでいたノエルが重い口を開く。

…ドレスが何…?

もしかして、似合ってない…?

そんな不安な気持ちが顔に出ていたのだろう。

「言っとくけど…似合ってないとかじゃないから。寧ろ逆、似合いすぎてて困るよ本当。エレノアのそんな綺麗な姿、他人に見せたくないな」
 
そう言葉を付け足して、私を見つめた。


…!?


意味を理解した瞬間、カアッと頬に熱が集中するのを感じる。

そんな私にお構い無しでゆっくりと、近づいてくるノエル。

そして、目の前までやってくると、胸ポケットから取り出したのは小さな箱。


…え?それって。


驚いて目を見開く私に。


「エレノア、好きだよ。一生大事にするから君もこれから先、僕の側にいてくれる?」


そう言って、ノエルは箱の蓋を開く。


中には、シルバーを基調に、宝石があしらわれた指輪が入っていて…。


「…ノエルはせっかちね。結婚式、今からなのに」


思わず、クスッと笑みがこぼれた。


「色々あって、ちゃんとプロポーズできてなかったから。それに、二人きりの時にちゃんと言いたかったしね。で、返事は…?」


「……私もノエルのことが好きよ。だから、これからもずっと側にいさせてね」


「当たり前…。もう離さない」


その瞬間、ノエルは私の身体を優しく引き寄せ、キスを落とした。


優しく触れるだけのキス。


それだけでとても幸せな気持ちになれるのは、きっと相手がノエルだからだろう。


しばらくキスの余韻に浸り、私が幸せを噛み締めていると。


「…ねぇ、エレノア。僕、黒髪の君ももちろん好きだけどたまには金髪の君にも会いたいな」


ニコッと素敵な笑顔を浮かべたノエルの口から信じられない言葉が飛び出した。


「…え!?ノエル?嘘でしょ、もしかして最初から…」


ノアが私だってこと気づいて…?

パチパチと目を瞬かせ、あまりの驚きで上手く言葉が出てこない私。

けど。

「心外だな。僕がちょっと髪の毛の色が違うからって…エレノアのことわからないわけないだろ?まぁ、一生懸命正体を隠そうとしてるのが可愛いから、今まで黙ってたんだけど…やっぱり夫婦間に隠し事は良くないし、ね?」

悪びれた風もなくサラッとそんなことを言ってのけるノエル。


「……」


じゃあ、必死に変装してエレノアだと気づかれないようにしてた私の努力って一体何だったの?


結婚前最後にして、今さらこんな爆弾発言を繰り出す彼に私はちいさく肩を落としたのだった。


*END*
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