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閑話休題 -|霹靂《へきれき》のナユタ討伐祝い休暇-
閑話休題 -90話-[ナユタの民の新天地②]
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「ラフィート王への謁見をお願いします」
「確認して参りますので少々お待ちください」
今日遊びに行くよ。そう伝えておいたの顔パスにはならずしっかりと門番に止められた。
前回と同じように顔見知りの兵士が館の中へと確認に向かうのを見送りつつ腕を揉む。
先の戦いで魔力筋肉が神力に耐えられず損傷した事が原因で筋肉痛に似た痛みが腕に残っているのだ。精霊の呼吸による超強化の弊害だな。
自然回復を待つしかないとの事なのだが歩き回るには支障はないので休暇を早めに取得する為にフォレストトーレへの移民話を持ち掛ける為にラフィートの元へとやって来た。
「中へどうぞ」
「ありがとう」
以前よりもさらに増築された元領主館。新たに増えた通路を案内された先にお馴染みの仕事部屋が存在した。
元町長のゲンマール氏や貫禄の出て来た文官達の最奥に目的のラフィートが書類に埋もれて出迎えてくれた。
「文官は育ってそうなのに何故以前にも増して書類に埋もれているんだ?」
「…旧王都の残骸から集められるだけの資料を掘り起こしたからな。その整理に人が割かれているんだ……」
「丁度1週間ほど食事なし睡眠なしで働ける果実が手に入ったから一つくらい回そうか?」
「なんだその異常な効果は!? 劇物で働くほど終わっておらんわ!」
見回してみれば確かに薄っすら隈があるものの全員ちゃんと生活は出来ているように見える。
人材登用も増築も進めてさらに王都の復興に新事業のギガファームとくればそりゃ目まぐるしい事になるだろう。文官冥利に尽きるな。
そんなずっと忙しい彼らにさらに仕事を持ち込む俺はなんて悪い奴なのか。本当に申し訳なく思うけど人材紹介でもあるし許してくれよな☆。
「今日は何の用だ? 伝言で本題を出さずに遊びに行くとだけ聞いた時は頭を抱えたぞ」
「まぁ真剣な話なんだけど……。魔神族の討伐完了の報告とその事後処理でご相談に来ました」
「わかった。ここでは狭いから多目的ホールへ移動しよう。皆も手を止め同行すると良い」
「「「「はい!」」」」
ラフィートのひと声でゲンマール氏や文官の方々は素早く机の上の資料を整理して退室していく。
一致団結。旧王都陥落から今まで協力して盛り立てて来たメンバーは絆も連携も一段と強いと感じる場面だった。
全員が退室して多目的ホールとやらに移動したのを確認してからラフィートは立ち上がり、俺と近衛の数人を引き連れてまたまた増築された通路を通って目的地へと到着した。
近衛が扉を開いてラフィート共に入室するとすでに全員が着席していたので、ラフィートも空いている席に着席し近衛は近くの壁際に待機する。
「さて、宗八は壇上に上がってくれ。さっそく話をやらを聞かせてもらいたい」
「わかりました。まず既にアスペラルダのギュンター王から霹靂のナユタ討伐の報は届いている。と考えて宜しいですか?」
「王族間通信魔道具も城の残骸から回収出来たからな…。今朝方連絡を頂いて周知済みだ」
王族間通信魔道具とはビデオ電話の様な使い方が出来る迷宮産アーティファクトの事だ。
送信機と受信機が必要で魔力を流せば動くので電気は不要。これのデチューン版が[揺蕩う唄]でもある。
「一応、報告の対象は魔神族と関わりがあってその後も協力してくれているラフィート様とゲンマール氏だけなんだけど…。
君たち文官メンバーならびに近衛メンバーも知っておいて損はない事なんだが、普通は知らせたところで[破滅の呪い]で破滅に関する危機意識の欠如や違和感の見逃しなどが起こる。
その呪いを回避するには精霊と契約するかへ待つ関連で強烈なショックを受ける必要がある」
後者の強烈なショックはゲンマール氏。前者の精霊契約がラフィートとなる。
ラフィートの側近である彼らは漏れなく無精と契約しているので呪いの対象からは外れているのでこの度報告会に参加する流れとなった。協力者が多いに越したことはない。以前であれば諜報員として秘密裏に調査・解決する事で事情を知らぬ人々を守り危険から遠ざけられると思っていたが、フォレストトーレ旧王都の戦いで否応なしに人手が必要になったので無精契約者を増員して人海戦術を取らざるを得なくなった。
ここまで大々的な事件が起きては民草に伝える必要は無いがある程度協力者の周りには伝えておく必要も出て来る。
「今日まで何度か顔を合わせていると思いますが、俺が何をしているのかわかっていない方が多いでしょう。
今日は映像で報告が出来ますのでそれを観て理解してくださると助かります。
さっそく助手を紹介します。闇精クーデルカと光精ベルトロープです」
影からスッと現れたクーとベルは手分けして全員に紙媒体の資料を配っていく。
上映しながら資料に目を通してくれれば時系列的にも登場人物に関しても着いて来られると思う。
「新しい魔法か?」
「えぇ。限定的な場所でしか上映出来なかったんですけど光魔法と合わせる事で可能になりました」
適当に茶を飲みながらの報告では無いのでついついラフィート相手でも敬語を使ってしまう。
『《夜の帳》』
『《ライトボール》』
クーの影から夜が広がっていく。床、壁、天井を次々と夜へと変えていき、天井には星が輝き、窓の外は夜の街並みへと変わっている。
この魔法は[安全地帯]の発展型だ。あれは野宿する時用の魔法だったが今は使う必要が無くなってしまったからな。この部屋だけ亜空間となり内部で起こる何もかもを外には洩らさない。
映像を見やすくする為ではあるが星明かりだけで手元の資料を読めとは言えないのでベルが申し訳程度の明かりて各員を照らしてサポートした。
『《ミラーコート》』
『《レコードリプレイ》』
「それでは上映会ならびに報告会を始めます」
木製の壁が白色に発光するモニターとして変化し、それをディスプレイにクーの魔法が発動した。
* * * * *
視点は全て俺かクーかメリーの三者の誰かとなっている。
異世界に入る前の地竜の島から始まり、突入時の戦闘、異世界の壊滅具合を目の当たりにして荒事に慣れていない文官はすでにグロッキー状態。近衛は突入時の敵の数に絶望的な印象を受けた様だが、今はフォレストトーレよりも酷い状況の異世界に唖然としていた。
「旧王都は長く見ても瘴気の影響を半年ほど受けていたことになりますが、この異世界は少なくとも一世紀から二世紀瘴気の影響を受けているので星全体がこのように高濃度の瘴気に覆われています。もちろん上空に抜けても瘴気が漂っているので綺麗な空気というのは存在していません」
「よく無事に活動出来ましたな。お仲間には妖精族の少女が居たでしょう?」
「長時間の活動は確かに厳しいですが俺たちは光魔法で浄化することが出来ますので時折浄化休憩を挟みながら進みました」
「なるほど…。光魔法は必須ですな」
ゲンマール氏はそんな中でも息を呑みながらも食い付いていた。
事後処理の瘴気の浄化活動を見学していたらしいので旧王都との差もきちんと理解した上で質問もしてくる。
うちのメンバーについても頭に叩き込んであるようだ。
「目的地は世界樹。世界が存続する中心となる楔である世界樹を破壊すればこの異世界。
ナユタの世界は崩壊し魔神族の一人を永久に葬る事が出来ると考えた結果の作戦でした」
「魔神族の成り立ちだな。星の人口が三分の一まで減ると世界樹が出現し生贄を得て守護者を創造する。
その守護者は神族と現地では呼ばれており、破滅の介入によって魔神族へと成った…か。ん?現地?」
「ラフィート様の疑問に答える為にも次の場面に移ります。
我々はフォレストトーレ旧王都の件もあった為人類は全滅していると想定していました。が、世界樹の生命力は想像以上でバリアを周囲に張って人類を生き残らせていたのです」
「……これか。人と、妖精か?魔族?」
タレア族は半魚人だ。元は魚人だと思われるが人と交じり合ったことで半魚人が大半の種族となっている。
どちらかと言えば妖精の部類とは考えているけれど異世界の住人だからその成り立ちも異なり現状は獣人などの亜人類と処理される事だろう。
「確認して参りますので少々お待ちください」
今日遊びに行くよ。そう伝えておいたの顔パスにはならずしっかりと門番に止められた。
前回と同じように顔見知りの兵士が館の中へと確認に向かうのを見送りつつ腕を揉む。
先の戦いで魔力筋肉が神力に耐えられず損傷した事が原因で筋肉痛に似た痛みが腕に残っているのだ。精霊の呼吸による超強化の弊害だな。
自然回復を待つしかないとの事なのだが歩き回るには支障はないので休暇を早めに取得する為にフォレストトーレへの移民話を持ち掛ける為にラフィートの元へとやって来た。
「中へどうぞ」
「ありがとう」
以前よりもさらに増築された元領主館。新たに増えた通路を案内された先にお馴染みの仕事部屋が存在した。
元町長のゲンマール氏や貫禄の出て来た文官達の最奥に目的のラフィートが書類に埋もれて出迎えてくれた。
「文官は育ってそうなのに何故以前にも増して書類に埋もれているんだ?」
「…旧王都の残骸から集められるだけの資料を掘り起こしたからな。その整理に人が割かれているんだ……」
「丁度1週間ほど食事なし睡眠なしで働ける果実が手に入ったから一つくらい回そうか?」
「なんだその異常な効果は!? 劇物で働くほど終わっておらんわ!」
見回してみれば確かに薄っすら隈があるものの全員ちゃんと生活は出来ているように見える。
人材登用も増築も進めてさらに王都の復興に新事業のギガファームとくればそりゃ目まぐるしい事になるだろう。文官冥利に尽きるな。
そんなずっと忙しい彼らにさらに仕事を持ち込む俺はなんて悪い奴なのか。本当に申し訳なく思うけど人材紹介でもあるし許してくれよな☆。
「今日は何の用だ? 伝言で本題を出さずに遊びに行くとだけ聞いた時は頭を抱えたぞ」
「まぁ真剣な話なんだけど……。魔神族の討伐完了の報告とその事後処理でご相談に来ました」
「わかった。ここでは狭いから多目的ホールへ移動しよう。皆も手を止め同行すると良い」
「「「「はい!」」」」
ラフィートのひと声でゲンマール氏や文官の方々は素早く机の上の資料を整理して退室していく。
一致団結。旧王都陥落から今まで協力して盛り立てて来たメンバーは絆も連携も一段と強いと感じる場面だった。
全員が退室して多目的ホールとやらに移動したのを確認してからラフィートは立ち上がり、俺と近衛の数人を引き連れてまたまた増築された通路を通って目的地へと到着した。
近衛が扉を開いてラフィート共に入室するとすでに全員が着席していたので、ラフィートも空いている席に着席し近衛は近くの壁際に待機する。
「さて、宗八は壇上に上がってくれ。さっそく話をやらを聞かせてもらいたい」
「わかりました。まず既にアスペラルダのギュンター王から霹靂のナユタ討伐の報は届いている。と考えて宜しいですか?」
「王族間通信魔道具も城の残骸から回収出来たからな…。今朝方連絡を頂いて周知済みだ」
王族間通信魔道具とはビデオ電話の様な使い方が出来る迷宮産アーティファクトの事だ。
送信機と受信機が必要で魔力を流せば動くので電気は不要。これのデチューン版が[揺蕩う唄]でもある。
「一応、報告の対象は魔神族と関わりがあってその後も協力してくれているラフィート様とゲンマール氏だけなんだけど…。
君たち文官メンバーならびに近衛メンバーも知っておいて損はない事なんだが、普通は知らせたところで[破滅の呪い]で破滅に関する危機意識の欠如や違和感の見逃しなどが起こる。
その呪いを回避するには精霊と契約するかへ待つ関連で強烈なショックを受ける必要がある」
後者の強烈なショックはゲンマール氏。前者の精霊契約がラフィートとなる。
ラフィートの側近である彼らは漏れなく無精と契約しているので呪いの対象からは外れているのでこの度報告会に参加する流れとなった。協力者が多いに越したことはない。以前であれば諜報員として秘密裏に調査・解決する事で事情を知らぬ人々を守り危険から遠ざけられると思っていたが、フォレストトーレ旧王都の戦いで否応なしに人手が必要になったので無精契約者を増員して人海戦術を取らざるを得なくなった。
ここまで大々的な事件が起きては民草に伝える必要は無いがある程度協力者の周りには伝えておく必要も出て来る。
「今日まで何度か顔を合わせていると思いますが、俺が何をしているのかわかっていない方が多いでしょう。
今日は映像で報告が出来ますのでそれを観て理解してくださると助かります。
さっそく助手を紹介します。闇精クーデルカと光精ベルトロープです」
影からスッと現れたクーとベルは手分けして全員に紙媒体の資料を配っていく。
上映しながら資料に目を通してくれれば時系列的にも登場人物に関しても着いて来られると思う。
「新しい魔法か?」
「えぇ。限定的な場所でしか上映出来なかったんですけど光魔法と合わせる事で可能になりました」
適当に茶を飲みながらの報告では無いのでついついラフィート相手でも敬語を使ってしまう。
『《夜の帳》』
『《ライトボール》』
クーの影から夜が広がっていく。床、壁、天井を次々と夜へと変えていき、天井には星が輝き、窓の外は夜の街並みへと変わっている。
この魔法は[安全地帯]の発展型だ。あれは野宿する時用の魔法だったが今は使う必要が無くなってしまったからな。この部屋だけ亜空間となり内部で起こる何もかもを外には洩らさない。
映像を見やすくする為ではあるが星明かりだけで手元の資料を読めとは言えないのでベルが申し訳程度の明かりて各員を照らしてサポートした。
『《ミラーコート》』
『《レコードリプレイ》』
「それでは上映会ならびに報告会を始めます」
木製の壁が白色に発光するモニターとして変化し、それをディスプレイにクーの魔法が発動した。
* * * * *
視点は全て俺かクーかメリーの三者の誰かとなっている。
異世界に入る前の地竜の島から始まり、突入時の戦闘、異世界の壊滅具合を目の当たりにして荒事に慣れていない文官はすでにグロッキー状態。近衛は突入時の敵の数に絶望的な印象を受けた様だが、今はフォレストトーレよりも酷い状況の異世界に唖然としていた。
「旧王都は長く見ても瘴気の影響を半年ほど受けていたことになりますが、この異世界は少なくとも一世紀から二世紀瘴気の影響を受けているので星全体がこのように高濃度の瘴気に覆われています。もちろん上空に抜けても瘴気が漂っているので綺麗な空気というのは存在していません」
「よく無事に活動出来ましたな。お仲間には妖精族の少女が居たでしょう?」
「長時間の活動は確かに厳しいですが俺たちは光魔法で浄化することが出来ますので時折浄化休憩を挟みながら進みました」
「なるほど…。光魔法は必須ですな」
ゲンマール氏はそんな中でも息を呑みながらも食い付いていた。
事後処理の瘴気の浄化活動を見学していたらしいので旧王都との差もきちんと理解した上で質問もしてくる。
うちのメンバーについても頭に叩き込んであるようだ。
「目的地は世界樹。世界が存続する中心となる楔である世界樹を破壊すればこの異世界。
ナユタの世界は崩壊し魔神族の一人を永久に葬る事が出来ると考えた結果の作戦でした」
「魔神族の成り立ちだな。星の人口が三分の一まで減ると世界樹が出現し生贄を得て守護者を創造する。
その守護者は神族と現地では呼ばれており、破滅の介入によって魔神族へと成った…か。ん?現地?」
「ラフィート様の疑問に答える為にも次の場面に移ります。
我々はフォレストトーレ旧王都の件もあった為人類は全滅していると想定していました。が、世界樹の生命力は想像以上でバリアを周囲に張って人類を生き残らせていたのです」
「……これか。人と、妖精か?魔族?」
タレア族は半魚人だ。元は魚人だと思われるが人と交じり合ったことで半魚人が大半の種族となっている。
どちらかと言えば妖精の部類とは考えているけれど異世界の住人だからその成り立ちも異なり現状は獣人などの亜人類と処理される事だろう。
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