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第13章 -1st_Wナユタの世界-
†第13章† -10話-[白竜-クラウディーナ-]
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「どうしましたか? その様子だと契約精霊の誰かから念話があったのでは?」
「クレアは察しが良いな。アクアから異世界が繋がって空間にひび割れが確認されたらしい」
「た、大変っ……ですけど水無月さんの落ち着き様からして急を要するものでは無い……んですか?」
「大型の相手が行き来出来るまで数日猶予はあるらしい。
その判断は長年異世界の侵略者相手に戦い続けた剣聖の判断だから急ぐ必要はない。
ただ、白竜の魔石は間に合わない可能性が出て来たから攻略方法を見直した方がよさそうだ……」
一瞬慌てるクレアの頭を撫でつつ落ち着かせると同時に予想よりも早い異世界の接続に頭を悩ませる。
「グリーズ。避難してもらいますよ」
『残りたいと希望する者以外は<万彩>の言う事に従いますよ』
「瘴気精霊が居なければ協力いただくところですが……」
『意思を知ったうえで足手まといと考えるならそうなのでしょう。
青も連れて行かないとも聞いていますし今回は借りとしましょう』
以前より伝えていた通り、異世界が繋がれば瘴気精霊が漏れ出てくる事となる。
流石に仲間が出て来た端から討伐するつもりだけどイレギュラーってのはどこにでもあるものだから、竜だけでなく島に住むエルダードワーフもドラゴドワーフも全員どこかに避難させる予定だ。
とはいえ、避難先がフォレストトーレになるのかアーグエングリンになるのかはラフィート王が調整してくれているだろうから後で確認しておこう。
「とりあえず島の事はアルシェ達が居るからいきなり悪化しても何とでもなる。
俺たちは今必要な事を進めよう!」
「はい!」
「「かしこまりました」」
『眷族はあちらへ戻したからいつでも繋げてくれたまえ』
では、お言葉に甘えてさっそくゲートを繋げましょうか。
* * * * *
繋げたゲートの向こうは意外な事に草原が広がっていた。
しかも気候も穏やかで避暑や休養地としては最高と言わざるを得ない。
「わぁ~!凄く見晴らしがよくて良い場所ですね!」
「クレア様。あまり先を急がないでください」
『うえへへ。クレアは可愛いなぁ』
「ソレイユ様。顔がイカれておいでですよ」
俺の後からゲートを潜ったクレアが駆け出して草原を駆ける後ろからサーニャが注意しつつ追いかけていく。
そのさらに後ろではソレイユ様がご尊顔をお崩しあそばれておられたので念の為、付いてきていない光精の側近に代わり注意しておく。
まぁ効果はないだろうけどな。
草原の草は芝生の様にかなり短く揃えられているが、別のところでは長い草が密集している事から草食の魔物でも居るんじゃないかな。そして目を引き付けられる草原の至る所にある白い物体と奥に見える光属性の天然魔石で出来た巨大な竜の巣。
「こっちは魔石、あっちは下級竜だな」
『僕たちに気付いているけど興味はないみたいだね』
『穏やかな気候ですし惰眠を貪る方が私達より大事なのでしょう』
『ほらほら、私が直々に案内してあげるのだからキビキビ歩くと良い。クレアが疲れたら私が抱き上げてあげるからね』
「あはは…、ありがとうございますソレイユ様……」
草原のあちこちに生えている魔石も異様に大きいけど明らかにデカイ生物は間違いなくアイスドラゴンと同じ下級竜だ。事前にグリーズに白竜種の位階を確認していたから多分ライトドラゴンかな?
フリューネやグリーズの言う通り傍を通る時に少し反応して顔を上げる程度で特に何かをしても来ない。
鼻先を撫でてみても臭いを嗅ぐだけで再び夢の中に旅立ってしまう。
やがてソレイユ様の先導で辿り着いた竜の巣は実際の所、洞窟に魔石がコーティングされている様な様相をしていた。
遠くから見た時は魔石だけで構成されたすかと思ったけど、よくこんな都合の良い洞窟があったもんだな。
『あまり奥行きはないからすぐにホーリーとクラウディーナが出迎えてくれるよ』
「あ、住処の広さは二の次なのね。自然魔力の噴出地点がここだったのか…」
『へぇ、良く知ってるね<万彩>』
「フリューネやグリーズの巣も精霊王の分御霊が居るところも同じだったし流石に学びますよ」
ソレイユ様の言う通り奥行きはそこまで無くすぐに最奥へと辿り着いた。
そこには左右にホーリードラゴンを侍らせて佇む美しい白いドラゴンが待ち構えていた。
『やぁやぁ我が友クラウディーナ。約束通りクレアを連れて来たよ』
『本題は精霊使いが私に会いたいという話だったでしょ?
貴女がクレアクレアとしつこいから興味を持ったのは事実ですが私も志を同じくする精霊使いに会いたかったのです』
『おや?そうだったかい?
まぁクレアのついでに精霊使いも連れて来ているから話すと良い。彼が件の精霊使い、水無月宗八だ』
ソレイユ様の雑談入りの所為で唐突なご挨拶になったけれどご紹介いただけたのであれば礼儀正しく言葉を綴ろう。
幸い今の対話からソレイユ様と違って異常者じゃないっぽいし。
「ご紹介に預かりました七精霊と契約している水無月宗八と申します。
白竜クラウディーナ様、お会い出来て光栄です」
『そのように恐縮する必要はありませんよ。
青とは友なのでしょう? 黄との関係は聞いていませんがその様子なら悪い関係ではなさそうですね』
『白が喧嘩腰でなくて助かるよ。僕は青竜フリューアネイシア。よろしく』
『私は黄竜グリュエザールです。彼は青の守護者だけれど私とも懇意にしているよ』
『今の時世に守護者が現れましたか…。やはり瘴気の増加と関係がありそうですね……。
ひとまずようこそ精霊使い。ようこそ同胞よ。私は白竜クラウディーナです、以後お見知りおきをよろしくお願いしますわ』
ソレイユ様の声掛け時点で丸まっていたクラウディーナは女性的な顔を上げたので雌かもと思ったけれど、どうやら本当に女性体の竜らしい。口調はグリーズと同じ様に丁寧な喋りをしていて尚更ソレイユ様の同類とは考えられないな…。
『そして今日の主役!いや、生涯私の主役!聖女クレシーダが彼女だよ!』
「お会い出来て光栄です。クレシーダ=ソレイユ=ハルメトリと申します。
この度はご招待いただきありがとうございました」
『えぇ、よろしくね。光精王がここまで気に入っているのだから余程光属性に適性があるのだろうと思ったけれど、なるほどね。
外に居る魔物も危険は無いし好きに見学でもしてくると良いわ。聖女なら外の世界を歩き回る事も少ないでしょう?』
「えぇと、お気遣いありがとうございます。
実は最近は破滅関係で国を出る機会も多くて今までの聖女とはちょっと違うんです。私は言われた通り従者を連れてお散歩に行ってきますのでその間、水無月さんの話を聞いてみてください」
まぁ!なんて良い子なのでしょう!
なんて内心では考えつつ今は頭を撫でる事も出来ないからとりあえず視線と表情で感謝を示してクレア達の後ろ姿を見送った。
クラウディーナもクレアの言葉を受けたからか顔だけでなく体も立ち上げ聞く態勢を整えてくれた。
その姿にまたちょっと感動する。手足はスラリとしていてフリューネやグリーズと違い格闘戦は苦手そうだし防御力は低そうだけど、とにかく美しかった。
『ソレイユからはある程度の事情を聞いていますが、瘴気に立ち向かう為に私の力添えが必要という貴方の真意をその口より聞かせてください』
それから俺はクラウディーナに語りかけた。
世界で起こる破滅の侵攻の事。それに対抗するべく戦力を集めている事。そして目下瘴気が支配する世界と繋がり戦いが始まろうとしている事をフリューネとグリードの言葉添えを交えつつ伝えた。
『貴方達の話を聞いて腑に落ちた点がいくつかありました。
最近の多発する瘴気の発生は類似する異世界の穴が開いた事や魔神族の暗躍した結果の可能性を否定は出来ませんし、何度か黒い杭を撃たれ狙われた事もありました』
「竜が人前にはあまり出来ないでしょうし人里離れたところなら人種に影響は無いでしょうが、出来る限りオベリスクは破壊しておきたいのであとで覚えのあるものだけでいいのでお教え願えますか?」
『いいでしょう。話の通りなら私が壊すことは出来なさそうですしね。
私の担う事が出来ない部分は協力致しましょう。もちろん魔石の精製だけでなく必要であれば戦力として同行も考えます』
「目下の異世界は我々も初めて体験する領域ですので今回は魔石だけご協力いただけますか?
敵のポテンシャル次第で精霊や竜は肉体を乗っ取られる可能性がありますので」
光属性の竜ならば他属性の竜に比べても瘴気に対する抵抗力は高そうだけど、それでも可能性を捨てきれないなら同行は避けたい。
こちらも鍛えてはいるし対策は立てているものの、もしギリギリの戦いになれば味方の浄化作業を挟んだことで隙になる事も考えられる。最悪、今回は偵察だけして数か月後に再び開いてから再突入という手もある。
『わかりました。では、希望の魔石の欠片は好きに持って行って構いません。
私も自分の眼で異世界の入り口を確認だけしておきたいので魔石精製の間はイエロー・ドラゴンの巣へ同行します。いいですね?』
「危険と判断すれば魔石の事は二の次に逃げてくださるなら」
『竜を相手に心配性……とは思いますが私にはない経験をしているからこそなのでしょうね。
ブルー・ドラゴンの顔に免じて貴方の言葉通りにその時が来れば逃げる様に致します』
「ありがとうございます」
うぅむ…。白竜クラウディーナが一時的に同行するのは仕方ないとはいえ本当に逃げてくれるのだろうか…。
詳しい避難マニュアルは後でアルシェも交えながら決めた方が良いかもしれない。けれど、ひとまず交渉は成功したと見ていいだろう。
大きな魔石が無くても欠片が多くあればその分みんなで分け合って使えるし何とか瘴気対策が整ってきた様に思える。
次はまたラフィートの所か……。はぁ、忙しい…。
「クレアは察しが良いな。アクアから異世界が繋がって空間にひび割れが確認されたらしい」
「た、大変っ……ですけど水無月さんの落ち着き様からして急を要するものでは無い……んですか?」
「大型の相手が行き来出来るまで数日猶予はあるらしい。
その判断は長年異世界の侵略者相手に戦い続けた剣聖の判断だから急ぐ必要はない。
ただ、白竜の魔石は間に合わない可能性が出て来たから攻略方法を見直した方がよさそうだ……」
一瞬慌てるクレアの頭を撫でつつ落ち着かせると同時に予想よりも早い異世界の接続に頭を悩ませる。
「グリーズ。避難してもらいますよ」
『残りたいと希望する者以外は<万彩>の言う事に従いますよ』
「瘴気精霊が居なければ協力いただくところですが……」
『意思を知ったうえで足手まといと考えるならそうなのでしょう。
青も連れて行かないとも聞いていますし今回は借りとしましょう』
以前より伝えていた通り、異世界が繋がれば瘴気精霊が漏れ出てくる事となる。
流石に仲間が出て来た端から討伐するつもりだけどイレギュラーってのはどこにでもあるものだから、竜だけでなく島に住むエルダードワーフもドラゴドワーフも全員どこかに避難させる予定だ。
とはいえ、避難先がフォレストトーレになるのかアーグエングリンになるのかはラフィート王が調整してくれているだろうから後で確認しておこう。
「とりあえず島の事はアルシェ達が居るからいきなり悪化しても何とでもなる。
俺たちは今必要な事を進めよう!」
「はい!」
「「かしこまりました」」
『眷族はあちらへ戻したからいつでも繋げてくれたまえ』
では、お言葉に甘えてさっそくゲートを繋げましょうか。
* * * * *
繋げたゲートの向こうは意外な事に草原が広がっていた。
しかも気候も穏やかで避暑や休養地としては最高と言わざるを得ない。
「わぁ~!凄く見晴らしがよくて良い場所ですね!」
「クレア様。あまり先を急がないでください」
『うえへへ。クレアは可愛いなぁ』
「ソレイユ様。顔がイカれておいでですよ」
俺の後からゲートを潜ったクレアが駆け出して草原を駆ける後ろからサーニャが注意しつつ追いかけていく。
そのさらに後ろではソレイユ様がご尊顔をお崩しあそばれておられたので念の為、付いてきていない光精の側近に代わり注意しておく。
まぁ効果はないだろうけどな。
草原の草は芝生の様にかなり短く揃えられているが、別のところでは長い草が密集している事から草食の魔物でも居るんじゃないかな。そして目を引き付けられる草原の至る所にある白い物体と奥に見える光属性の天然魔石で出来た巨大な竜の巣。
「こっちは魔石、あっちは下級竜だな」
『僕たちに気付いているけど興味はないみたいだね』
『穏やかな気候ですし惰眠を貪る方が私達より大事なのでしょう』
『ほらほら、私が直々に案内してあげるのだからキビキビ歩くと良い。クレアが疲れたら私が抱き上げてあげるからね』
「あはは…、ありがとうございますソレイユ様……」
草原のあちこちに生えている魔石も異様に大きいけど明らかにデカイ生物は間違いなくアイスドラゴンと同じ下級竜だ。事前にグリーズに白竜種の位階を確認していたから多分ライトドラゴンかな?
フリューネやグリーズの言う通り傍を通る時に少し反応して顔を上げる程度で特に何かをしても来ない。
鼻先を撫でてみても臭いを嗅ぐだけで再び夢の中に旅立ってしまう。
やがてソレイユ様の先導で辿り着いた竜の巣は実際の所、洞窟に魔石がコーティングされている様な様相をしていた。
遠くから見た時は魔石だけで構成されたすかと思ったけど、よくこんな都合の良い洞窟があったもんだな。
『あまり奥行きはないからすぐにホーリーとクラウディーナが出迎えてくれるよ』
「あ、住処の広さは二の次なのね。自然魔力の噴出地点がここだったのか…」
『へぇ、良く知ってるね<万彩>』
「フリューネやグリーズの巣も精霊王の分御霊が居るところも同じだったし流石に学びますよ」
ソレイユ様の言う通り奥行きはそこまで無くすぐに最奥へと辿り着いた。
そこには左右にホーリードラゴンを侍らせて佇む美しい白いドラゴンが待ち構えていた。
『やぁやぁ我が友クラウディーナ。約束通りクレアを連れて来たよ』
『本題は精霊使いが私に会いたいという話だったでしょ?
貴女がクレアクレアとしつこいから興味を持ったのは事実ですが私も志を同じくする精霊使いに会いたかったのです』
『おや?そうだったかい?
まぁクレアのついでに精霊使いも連れて来ているから話すと良い。彼が件の精霊使い、水無月宗八だ』
ソレイユ様の雑談入りの所為で唐突なご挨拶になったけれどご紹介いただけたのであれば礼儀正しく言葉を綴ろう。
幸い今の対話からソレイユ様と違って異常者じゃないっぽいし。
「ご紹介に預かりました七精霊と契約している水無月宗八と申します。
白竜クラウディーナ様、お会い出来て光栄です」
『そのように恐縮する必要はありませんよ。
青とは友なのでしょう? 黄との関係は聞いていませんがその様子なら悪い関係ではなさそうですね』
『白が喧嘩腰でなくて助かるよ。僕は青竜フリューアネイシア。よろしく』
『私は黄竜グリュエザールです。彼は青の守護者だけれど私とも懇意にしているよ』
『今の時世に守護者が現れましたか…。やはり瘴気の増加と関係がありそうですね……。
ひとまずようこそ精霊使い。ようこそ同胞よ。私は白竜クラウディーナです、以後お見知りおきをよろしくお願いしますわ』
ソレイユ様の声掛け時点で丸まっていたクラウディーナは女性的な顔を上げたので雌かもと思ったけれど、どうやら本当に女性体の竜らしい。口調はグリーズと同じ様に丁寧な喋りをしていて尚更ソレイユ様の同類とは考えられないな…。
『そして今日の主役!いや、生涯私の主役!聖女クレシーダが彼女だよ!』
「お会い出来て光栄です。クレシーダ=ソレイユ=ハルメトリと申します。
この度はご招待いただきありがとうございました」
『えぇ、よろしくね。光精王がここまで気に入っているのだから余程光属性に適性があるのだろうと思ったけれど、なるほどね。
外に居る魔物も危険は無いし好きに見学でもしてくると良いわ。聖女なら外の世界を歩き回る事も少ないでしょう?』
「えぇと、お気遣いありがとうございます。
実は最近は破滅関係で国を出る機会も多くて今までの聖女とはちょっと違うんです。私は言われた通り従者を連れてお散歩に行ってきますのでその間、水無月さんの話を聞いてみてください」
まぁ!なんて良い子なのでしょう!
なんて内心では考えつつ今は頭を撫でる事も出来ないからとりあえず視線と表情で感謝を示してクレア達の後ろ姿を見送った。
クラウディーナもクレアの言葉を受けたからか顔だけでなく体も立ち上げ聞く態勢を整えてくれた。
その姿にまたちょっと感動する。手足はスラリとしていてフリューネやグリーズと違い格闘戦は苦手そうだし防御力は低そうだけど、とにかく美しかった。
『ソレイユからはある程度の事情を聞いていますが、瘴気に立ち向かう為に私の力添えが必要という貴方の真意をその口より聞かせてください』
それから俺はクラウディーナに語りかけた。
世界で起こる破滅の侵攻の事。それに対抗するべく戦力を集めている事。そして目下瘴気が支配する世界と繋がり戦いが始まろうとしている事をフリューネとグリードの言葉添えを交えつつ伝えた。
『貴方達の話を聞いて腑に落ちた点がいくつかありました。
最近の多発する瘴気の発生は類似する異世界の穴が開いた事や魔神族の暗躍した結果の可能性を否定は出来ませんし、何度か黒い杭を撃たれ狙われた事もありました』
「竜が人前にはあまり出来ないでしょうし人里離れたところなら人種に影響は無いでしょうが、出来る限りオベリスクは破壊しておきたいのであとで覚えのあるものだけでいいのでお教え願えますか?」
『いいでしょう。話の通りなら私が壊すことは出来なさそうですしね。
私の担う事が出来ない部分は協力致しましょう。もちろん魔石の精製だけでなく必要であれば戦力として同行も考えます』
「目下の異世界は我々も初めて体験する領域ですので今回は魔石だけご協力いただけますか?
敵のポテンシャル次第で精霊や竜は肉体を乗っ取られる可能性がありますので」
光属性の竜ならば他属性の竜に比べても瘴気に対する抵抗力は高そうだけど、それでも可能性を捨てきれないなら同行は避けたい。
こちらも鍛えてはいるし対策は立てているものの、もしギリギリの戦いになれば味方の浄化作業を挟んだことで隙になる事も考えられる。最悪、今回は偵察だけして数か月後に再び開いてから再突入という手もある。
『わかりました。では、希望の魔石の欠片は好きに持って行って構いません。
私も自分の眼で異世界の入り口を確認だけしておきたいので魔石精製の間はイエロー・ドラゴンの巣へ同行します。いいですね?』
「危険と判断すれば魔石の事は二の次に逃げてくださるなら」
『竜を相手に心配性……とは思いますが私にはない経験をしているからこそなのでしょうね。
ブルー・ドラゴンの顔に免じて貴方の言葉通りにその時が来れば逃げる様に致します』
「ありがとうございます」
うぅむ…。白竜クラウディーナが一時的に同行するのは仕方ないとはいえ本当に逃げてくれるのだろうか…。
詳しい避難マニュアルは後でアルシェも交えながら決めた方が良いかもしれない。けれど、ひとまず交渉は成功したと見ていいだろう。
大きな魔石が無くても欠片が多くあればその分みんなで分け合って使えるし何とか瘴気対策が整ってきた様に思える。
次はまたラフィートの所か……。はぁ、忙しい…。
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