283 / 411
閑話休題 -次に向けての準備期間-
閑話休題 -87話-[フォレストトーレ鎮魂式②]
しおりを挟む
—For LafitteSide
「はっ、はっ、はっ……」
「陛下!先行し過ぎですっ!もう少し速度を…っ……」
悪いなブロセウス。国民だけでなく俺にとっても千載一遇のチャンスなんだっ!
父王が愛し守って来た国を放蕩息子であった俺が今後舵取りをするのだ。志し半ばで倒れた父上に俺の想いをしっかりと伝え安心していただかなければ父上はこの地に縛られ続ける可能性があると宗八は語っていた。
奪還作戦途中で教えてもらった父上の御霊は赤黒く染まっていたと、悪霊にしか見えなかったと聞いた。
それに弟…アーノルド……っ!お前の栄えある未来、王として立った暁には王族に相応しくない俺がお前の力になりたいと考えていたというのにっ…!
「時間は有限なのだっ!貴様たちが今は無理をしてでも速度を上げよっ!」
一時間。魔法を発動する宗八の精霊が幼く、また天候の操作制御が難しいこともあっての制限時間…。
それに懸念事項として電子で構成された御霊は基本無表情であり声が聞こえない代わりに心の起伏を感じ取る事が出来るが多くの時間を確保しても御霊が成仏するラインがわからない事が挙げられた。他に今回は無理やりチャンネルを合わせているとかなんとか宗八は口上を並べていたが詳しくはわからなんだ。
「はっ…はっ…見えたっ!父上!アーノルド!」
瓦礫が最も高く積み重なった王城が城下に入ってからずっと目に入っていたが目的の御霊がそこに居てくれるかに関しては一抹の不安があった。しかし、今確かに二人の御霊がおそらく玉座の間があったと思われる瓦礫の頂上に佇んでいる姿が視認出来たっ!
大声で呼び掛けてみても宗八の言う通り無反応でこちらに視線を向ける事もなかった……。
「へ、陛下っ!瓦礫がいつ崩れるかもわかりませんっ!下から声を掛けるに留めてくださいっ!」
「馬鹿を言うな!想いを伝えるだけではない!その姿を目に焼け付ける為にも俺が傍に寄らずしてどうするっ!
王都を落とされ国民に顔向けが出来ないほどの後悔をした俺に、さらに後悔を重ねろとでも言うのかっ!」
城の中には姿絵も数点あったがこの惨状で無事とは思えない。
何よりも二人の最後の姿は正に今、御霊の姿なのだ。これが正真正銘、看取りの時。
時々瓦礫が崩れ兵士や侍女の御霊も労いの声を掛けつつ通り過ぎなんとか近くまで登った時、二人と程近い場所に勇者PTのヒューゴとフェリシアが佇んでいる事に気が付いた。
声を掛けてみるか少し悩んだもののラフィートは勇者メリオ達が来ることを予測して、また自身がそれほど二人と打ち解けていなかった事も鑑みてあえて声は掛けず目的の父と弟と向き合う選択をした。
「はっ、はっ、はっ、すぅ………………はあ~~~っ。お久しぶりでございます、父上、アーノルド」
先王と補佐をしていつも傍に控えていた弟の前で生前と同じ様に跪きご挨拶をすると無表情ながらも二人ともこちらに顔を向けてくれた事に涙腺が緩みそうになった。出来れば普段の穏やかな表情で迎えていただきたかった気持ちもあるけれど、反応を示してくださっただけでもありがたい。
父上は以前の赤黒い姿から変わっており多少赤さは残っているものの危うさは段違いに柔らかい印象を受ける。
「此度の魔神族による瘴気を用いた王都陥落に付きまして、王都から離れ外からの視点を持ちながら力になれなかった事は慙愧に耐えません。また、父王と次期国王となられるはずであったアーノルド様に於かれましては国の先々に考えを巡らせより良き国づくりを予定していた事でしょう。今後の王国の行く末は暫定的に不肖の子、ラフィートが国王としてオルヘルム教皇に戴冠を頂きました事ご報告いたします」
俺の報告を無表情で受けた二人にそれでも反応は見受けられなかった。
言葉が聞こえていない以上それは当然なのだろう。しかし、いつもなら笑み呆れが混じりつつ返ってきた返事はなく、そんな父王の態度を窘める弟の声も聞こえない事に涙が溢れてくる。
御霊を相手に言葉を、想いを伝える事のなんと難しくなんと歯がゆい事か…。目の前にいるのに……この距離が届かないのか……。
「……っ!?」
その時、目端に映る父王と弟のつま先に動きがみられた。
驚き視線を上げると顔だけを向けていた二人が体まで俺に向けてくださっていた。
何かが届いたっ!想いの一部でもっ!誓いの一部でも良い!
「父上とっ……アー…ノルドのっ!政治方針は守りつつっ……復興をするだけでっ…俺の代は終わるでしょうっ!
ですが、必ず……かな…らず……二人の意思はっ…後世に繋げ、……っ……民の為の政を…忘れぬよう……伝えていきますっ!もちろんっ!俺自身も……っ…王族として二人に劣るなりにっ……誠心誠意努めさせていただきますっ‼」
* * * * *
—For PurumerioSide
「メリオっ!あれってラフィート様ではないか?」
「だろうね。あれだけ兵士が固まって動く人物ならラフィートしかいないだろうさ」
マクラインから声を掛けられる前から。それこそ彼が走り始めた光景を瞳に捉えてから俺たちも続いて駆け始めたのだし…。
流石に俺たちはある意味[別れ]を済ませる時間があった。だからラフィートや被害者たち程の必死に駆られてもいないから邪魔にならない程度に身を小さくして街を駆け抜ける。
涙も流した。懺悔もした。後悔を胸に先へ進む覚悟も決めた。
そんな俺たちが何故ヒューゴとフェリシアを探して王都に入ったかと言うと、俺たちは彼らに言いたいこと伝えたい事を口にしていたけど彼らに届いていたかは当時御霊が視認出来ていなかったからわからない。つまり彼らの御霊が成仏しているかの確認の為にラフィートの後をこそこそ付いて行っている状態なのだ。
「この位置って凄く居心地が悪いね」
「仕方ないわよ、目的への必死さが違うんですもの。
ラフィート陛下は国王とアーノルド王子殿下との再会と誓いの為に走っているのに対して彼らの邪魔にならないように走っている私達じゃ浮くのは仕方ないわ」
前方には護衛が後に続くラフィート達が周囲には悲痛な顔で御霊に語り掛け涙を流す被害者や失意の表情で想い人の名前を呼ぶ方々が走り回っている状況の中でこんな気持ちで混じる事の居心地の悪さは最悪だ。
その気持ちはミリエステにも感じ取れているらしく苦笑いはしつつも念の為周囲に目を配らせて二人の御霊を探している。
フォレストトーレへの思い入れはそこまでは無い。何しろ[エクスカリバー]を手に入れる為に観光気分で寄り道しただけだったからな……。それでも此処で二人が死んでしまったから死んだ場所に残っている可能性が高い…と、……思う。
やがて遠目からも王城跡の瓦礫に生前の王様とラフィートの弟の御霊が佇む姿が見えた。
ラフィートも必死に瓦礫を登り始めたのを見てから俺たちは王城跡の周囲を回る事にして二人を探すと半周したところで座り込んでいる二人の御霊を発見した。
「どうして座っているんだ?」
「……、もしかしたら死んだことに気付いていないのかもしれない」
「気付いていない!?そんなことあるの?」
俺だって詳しくは知らないけどあの姿は魔力が抜ける前に見た生前の最後の姿だ。
今もフェリシアはきっと魔力全損の恐怖に震え、ヒューゴは己の弓を敵が意に返さない事に絶望しているのだろう。
あの時は戦う事に必死で二人を気遣う余裕が俺にはなくて、ミリエステもマクラインも二人を鼓舞させる為に強い言葉を投げかけるしか出来なかった。このままでは良い結果には繋がらないという直感を頼りに俺たちも瓦礫を登って二人に近づく。
「フェリシア、ヒューゴ……」
視線を合わせる為に三人で囲むようにしゃがみ込んで声を掛けると二人が反応を示して膝に隠していた顔を持ち上げる。
その表情はいつもの自信に満ち溢れたものとは乖離した見たことも無い恐怖と絶望で埋め尽くされた……そんな表情だった。
「戦いは終わったよ…。俺たちの勝ちで、もう、終わったんだ……。
二人にも危険な目に遭わせてしまって悪かった。もう大丈夫なんだ…、だから……」
「ヒューゴ。君は自分の弓を信じて疑わなかったな…、それでも瘴気被害者の救出の際に俺たちと同じく力不足を感じたんだろう?
勇者の仲間という事も君が一番誇り、気負っていた様に今では思うよ……。だからこそ水無月殿の手を取らず鍛錬のみでメリオを助けようとしていたんだろう」
「フェリシア、貴女とは一度も意見が合わなかったわね…。同じ魔法使い、でも得意属性は正反対で性格も正反対。
だから近い性格のヒューゴと力を合わせて自分達だけで成果を出そうとしてしまった……。私が水無月さんに頼る事を提案したから頑なになっちゃった?
最後の貴女を埋め尽くした恐怖は同じ攻撃を受けていない私には分からないわ。でも、あの時、立ち上がって一緒に戦えていれば未来は違ったと思うの……」
俺が早くも声が震えたのを見計らった様にマクラインとミリエステがそれぞれヒューゴとフェリシアに声を掛け始める。
二人の話を聞きながらまた俺の頭は意味の無いことを考え始めた…。あの時どうするのが正解だったんだろうって、もっと戦闘を訓練を積んでいれば良かったのか?二人を説得して水無月さんの提案に乗っておくべきだった?
二人を守れなかった俺も力不足だったし自衛出来なかった二人も力不足だった。いろんな事が積み重なって二人は死んだ。それを悔やんで悔やんで…何度悔やんでも後悔の答えはいつも出ない……。
二人と話すことが出来れば良かったのになぁ…。
姿が見える分俺たちの思いが伝わっているのか歯痒い気持ちが募る。
でも、今日が最初で最後のチャンスなんだ。時間いっぱいを使ってでも二人には此処から離れてもらう為に色んな事を話してみよう。
「はっ、はっ、はっ……」
「陛下!先行し過ぎですっ!もう少し速度を…っ……」
悪いなブロセウス。国民だけでなく俺にとっても千載一遇のチャンスなんだっ!
父王が愛し守って来た国を放蕩息子であった俺が今後舵取りをするのだ。志し半ばで倒れた父上に俺の想いをしっかりと伝え安心していただかなければ父上はこの地に縛られ続ける可能性があると宗八は語っていた。
奪還作戦途中で教えてもらった父上の御霊は赤黒く染まっていたと、悪霊にしか見えなかったと聞いた。
それに弟…アーノルド……っ!お前の栄えある未来、王として立った暁には王族に相応しくない俺がお前の力になりたいと考えていたというのにっ…!
「時間は有限なのだっ!貴様たちが今は無理をしてでも速度を上げよっ!」
一時間。魔法を発動する宗八の精霊が幼く、また天候の操作制御が難しいこともあっての制限時間…。
それに懸念事項として電子で構成された御霊は基本無表情であり声が聞こえない代わりに心の起伏を感じ取る事が出来るが多くの時間を確保しても御霊が成仏するラインがわからない事が挙げられた。他に今回は無理やりチャンネルを合わせているとかなんとか宗八は口上を並べていたが詳しくはわからなんだ。
「はっ…はっ…見えたっ!父上!アーノルド!」
瓦礫が最も高く積み重なった王城が城下に入ってからずっと目に入っていたが目的の御霊がそこに居てくれるかに関しては一抹の不安があった。しかし、今確かに二人の御霊がおそらく玉座の間があったと思われる瓦礫の頂上に佇んでいる姿が視認出来たっ!
大声で呼び掛けてみても宗八の言う通り無反応でこちらに視線を向ける事もなかった……。
「へ、陛下っ!瓦礫がいつ崩れるかもわかりませんっ!下から声を掛けるに留めてくださいっ!」
「馬鹿を言うな!想いを伝えるだけではない!その姿を目に焼け付ける為にも俺が傍に寄らずしてどうするっ!
王都を落とされ国民に顔向けが出来ないほどの後悔をした俺に、さらに後悔を重ねろとでも言うのかっ!」
城の中には姿絵も数点あったがこの惨状で無事とは思えない。
何よりも二人の最後の姿は正に今、御霊の姿なのだ。これが正真正銘、看取りの時。
時々瓦礫が崩れ兵士や侍女の御霊も労いの声を掛けつつ通り過ぎなんとか近くまで登った時、二人と程近い場所に勇者PTのヒューゴとフェリシアが佇んでいる事に気が付いた。
声を掛けてみるか少し悩んだもののラフィートは勇者メリオ達が来ることを予測して、また自身がそれほど二人と打ち解けていなかった事も鑑みてあえて声は掛けず目的の父と弟と向き合う選択をした。
「はっ、はっ、はっ、すぅ………………はあ~~~っ。お久しぶりでございます、父上、アーノルド」
先王と補佐をしていつも傍に控えていた弟の前で生前と同じ様に跪きご挨拶をすると無表情ながらも二人ともこちらに顔を向けてくれた事に涙腺が緩みそうになった。出来れば普段の穏やかな表情で迎えていただきたかった気持ちもあるけれど、反応を示してくださっただけでもありがたい。
父上は以前の赤黒い姿から変わっており多少赤さは残っているものの危うさは段違いに柔らかい印象を受ける。
「此度の魔神族による瘴気を用いた王都陥落に付きまして、王都から離れ外からの視点を持ちながら力になれなかった事は慙愧に耐えません。また、父王と次期国王となられるはずであったアーノルド様に於かれましては国の先々に考えを巡らせより良き国づくりを予定していた事でしょう。今後の王国の行く末は暫定的に不肖の子、ラフィートが国王としてオルヘルム教皇に戴冠を頂きました事ご報告いたします」
俺の報告を無表情で受けた二人にそれでも反応は見受けられなかった。
言葉が聞こえていない以上それは当然なのだろう。しかし、いつもなら笑み呆れが混じりつつ返ってきた返事はなく、そんな父王の態度を窘める弟の声も聞こえない事に涙が溢れてくる。
御霊を相手に言葉を、想いを伝える事のなんと難しくなんと歯がゆい事か…。目の前にいるのに……この距離が届かないのか……。
「……っ!?」
その時、目端に映る父王と弟のつま先に動きがみられた。
驚き視線を上げると顔だけを向けていた二人が体まで俺に向けてくださっていた。
何かが届いたっ!想いの一部でもっ!誓いの一部でも良い!
「父上とっ……アー…ノルドのっ!政治方針は守りつつっ……復興をするだけでっ…俺の代は終わるでしょうっ!
ですが、必ず……かな…らず……二人の意思はっ…後世に繋げ、……っ……民の為の政を…忘れぬよう……伝えていきますっ!もちろんっ!俺自身も……っ…王族として二人に劣るなりにっ……誠心誠意努めさせていただきますっ‼」
* * * * *
—For PurumerioSide
「メリオっ!あれってラフィート様ではないか?」
「だろうね。あれだけ兵士が固まって動く人物ならラフィートしかいないだろうさ」
マクラインから声を掛けられる前から。それこそ彼が走り始めた光景を瞳に捉えてから俺たちも続いて駆け始めたのだし…。
流石に俺たちはある意味[別れ]を済ませる時間があった。だからラフィートや被害者たち程の必死に駆られてもいないから邪魔にならない程度に身を小さくして街を駆け抜ける。
涙も流した。懺悔もした。後悔を胸に先へ進む覚悟も決めた。
そんな俺たちが何故ヒューゴとフェリシアを探して王都に入ったかと言うと、俺たちは彼らに言いたいこと伝えたい事を口にしていたけど彼らに届いていたかは当時御霊が視認出来ていなかったからわからない。つまり彼らの御霊が成仏しているかの確認の為にラフィートの後をこそこそ付いて行っている状態なのだ。
「この位置って凄く居心地が悪いね」
「仕方ないわよ、目的への必死さが違うんですもの。
ラフィート陛下は国王とアーノルド王子殿下との再会と誓いの為に走っているのに対して彼らの邪魔にならないように走っている私達じゃ浮くのは仕方ないわ」
前方には護衛が後に続くラフィート達が周囲には悲痛な顔で御霊に語り掛け涙を流す被害者や失意の表情で想い人の名前を呼ぶ方々が走り回っている状況の中でこんな気持ちで混じる事の居心地の悪さは最悪だ。
その気持ちはミリエステにも感じ取れているらしく苦笑いはしつつも念の為周囲に目を配らせて二人の御霊を探している。
フォレストトーレへの思い入れはそこまでは無い。何しろ[エクスカリバー]を手に入れる為に観光気分で寄り道しただけだったからな……。それでも此処で二人が死んでしまったから死んだ場所に残っている可能性が高い…と、……思う。
やがて遠目からも王城跡の瓦礫に生前の王様とラフィートの弟の御霊が佇む姿が見えた。
ラフィートも必死に瓦礫を登り始めたのを見てから俺たちは王城跡の周囲を回る事にして二人を探すと半周したところで座り込んでいる二人の御霊を発見した。
「どうして座っているんだ?」
「……、もしかしたら死んだことに気付いていないのかもしれない」
「気付いていない!?そんなことあるの?」
俺だって詳しくは知らないけどあの姿は魔力が抜ける前に見た生前の最後の姿だ。
今もフェリシアはきっと魔力全損の恐怖に震え、ヒューゴは己の弓を敵が意に返さない事に絶望しているのだろう。
あの時は戦う事に必死で二人を気遣う余裕が俺にはなくて、ミリエステもマクラインも二人を鼓舞させる為に強い言葉を投げかけるしか出来なかった。このままでは良い結果には繋がらないという直感を頼りに俺たちも瓦礫を登って二人に近づく。
「フェリシア、ヒューゴ……」
視線を合わせる為に三人で囲むようにしゃがみ込んで声を掛けると二人が反応を示して膝に隠していた顔を持ち上げる。
その表情はいつもの自信に満ち溢れたものとは乖離した見たことも無い恐怖と絶望で埋め尽くされた……そんな表情だった。
「戦いは終わったよ…。俺たちの勝ちで、もう、終わったんだ……。
二人にも危険な目に遭わせてしまって悪かった。もう大丈夫なんだ…、だから……」
「ヒューゴ。君は自分の弓を信じて疑わなかったな…、それでも瘴気被害者の救出の際に俺たちと同じく力不足を感じたんだろう?
勇者の仲間という事も君が一番誇り、気負っていた様に今では思うよ……。だからこそ水無月殿の手を取らず鍛錬のみでメリオを助けようとしていたんだろう」
「フェリシア、貴女とは一度も意見が合わなかったわね…。同じ魔法使い、でも得意属性は正反対で性格も正反対。
だから近い性格のヒューゴと力を合わせて自分達だけで成果を出そうとしてしまった……。私が水無月さんに頼る事を提案したから頑なになっちゃった?
最後の貴女を埋め尽くした恐怖は同じ攻撃を受けていない私には分からないわ。でも、あの時、立ち上がって一緒に戦えていれば未来は違ったと思うの……」
俺が早くも声が震えたのを見計らった様にマクラインとミリエステがそれぞれヒューゴとフェリシアに声を掛け始める。
二人の話を聞きながらまた俺の頭は意味の無いことを考え始めた…。あの時どうするのが正解だったんだろうって、もっと戦闘を訓練を積んでいれば良かったのか?二人を説得して水無月さんの提案に乗っておくべきだった?
二人を守れなかった俺も力不足だったし自衛出来なかった二人も力不足だった。いろんな事が積み重なって二人は死んだ。それを悔やんで悔やんで…何度悔やんでも後悔の答えはいつも出ない……。
二人と話すことが出来れば良かったのになぁ…。
姿が見える分俺たちの思いが伝わっているのか歯痒い気持ちが募る。
でも、今日が最初で最後のチャンスなんだ。時間いっぱいを使ってでも二人には此処から離れてもらう為に色んな事を話してみよう。
11
お気に入りに追加
758
あなたにおすすめの小説

初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。

愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜
白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。
舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。
王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。
「ヒナコのノートを汚したな!」
「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」
小説家になろう様でも投稿しています。
結婚しても別居して私は楽しくくらしたいので、どうぞ好きな女性を作ってください
シンさん
ファンタジー
サナス伯爵の娘、ニーナは隣国のアルデーテ王国の王太子との婚約が決まる。
国に行ったはいいけど、王都から程遠い別邸に放置され、1度も会いに来る事はない。
溺愛する女性がいるとの噂も!
それって最高!好きでもない男の子供をつくらなくていいかもしれないし。
それに私は、最初から別居して楽しく暮らしたかったんだから!
そんな別居願望たっぷりの伯爵令嬢と王子の恋愛ストーリー
最後まで書きあがっていますので、随時更新します。
表紙はエブリスタでBeeさんに描いて頂きました!綺麗なイラストが沢山ございます。リンク貼らせていただきました。

【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる