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閑話休題 -次に向けての準備期間-
閑話休題 -76話-[黄竜と魔石と新たな武器と⑦]
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アクアの協力もあり10時間もの長い時間、3つの魔力を制御し続けるという苦行は無事完遂することが出来た。
時にはアクアが、時には俺が互いの制御力を譲渡しながら制御し続け混ぜ合わせ、10時間を少し超えた辺りでようやっとネフィリナから「もういいよ」との声が届き俺たちは成し遂げたのだ。
というか、流石にドラゴドワーフとはいえ一人で魔石とインゴットの合成は成せる物ではなかったのか、一緒に訪問したエルダードワーフのソニューザが手伝っていた姿が自然体過ぎて。それが当然、いつもやっている事のように視界に収まる二人の姿をつい見入ってしまう程に眩しい光景であった。
「はい、先に休ませてもらいます…。はぁぁぁぁ~、アクアとフリューネもお疲れ様」
『あい~~~~。アクア疲れたぁ~』
『悪いね、魔力制御に協力できなくて』
制御に集中していた所為で自然と力が入っていたアクアから力が抜け、預けていた小さな身体も少し重くなる。
アクアとフリューネを労う為頭を撫でるが俺自身も精神的に相当疲れているからしばらくはこのまま尚も作業を続ける二人を見守り続けると併せて休憩しよう…。
弦音とはまた違うハンマーと精霊鉄がぶつかり合う甲高い音は睡眠促進には丁度いい間隔で響き、やがて俺たちは微睡に飲み込まれていった。
「――はち! 宗八!」
「ふぁ!?」
誰かから複数回の呼び掛けを受けてようやっと目が覚めた俺をソニューザが覗き込んでいる。
どうやらマジで眠ってしまってから数時間は経っているのか、うつらうつらしている時は夕刻だったはずだが今は炉の火も収まり別室から漏れる囲炉裏の火がソニューザの姿を照らしていた。
「ふ…あぁぁぁぁぁぁぁ~~……! 俺たちどのくらい寝てた?」
「3時間ってところだな。俺は今夜こっちに泊まるけどお前らはどうする?」
「邪魔をする気もないから家に帰るよ」
「あそこは俺の家であってお前たちの家じゃないからな」
はいはい、ご馳走様です。胸元で眠るアクアはまだ目を覚ます様子も無いからこのまま連れ帰るかな。
ソファ代わりに使ったフリューネをポンポンと軽く叩き立ち上がるとフリューネは大あくびをしつつ起き上がって体をブルブルと盛大に震わす。犬もこういう行動するけど何の意味があるんかな?
とりあえず今日のところは魔石と精霊石を混ぜ合わせインゴットに精錬するだけで終わったらしい。
此処から数日馴染むまで寝かせ、頃合いを見てネフィリナが改めて籠手を造る予定とのこと。
ちなみにインゴットにした金属は一品物なので名前は無い。
ジト目のソニューザとネフィリナ、そしていつの間にか帰って来ていたラーツァグリアニスに挨拶をして俺たちはゲートで下山してエルダードワーフの村に帰らせてもらった。
* * * * *
翌日。
早朝訓練に付き合ってくれ朝食をあーんで食べさせ合いっこをしたアクアが俺に惜しまれつつゲートで帰る時が来てしまった。
ここに来て空き時間が出来たのであれば溜まっているやりたいことも進めておきたい。
1.アスペラルダで両腕が完治次第鍛え直しをしているバーゼラルドとフェラーご夫婦の勧誘
2.光竜との接触
3.火の国方面への進行
4.獣人国方面への進行
5.魔族領への侵入
「しばらくは島から離れてもいいみたいだし、先に籠手の手袋作成をどっかに依頼しないとなぁ」
『アルに言っておけばじぃじ達が手配してくれると思うよぉ~』
それ採用。アクアは賢いなぁ~♪
そのついでに冒険者に復帰しているバーゼ達の現在地をギルドで教えてもらって今後の動きを決めよう。
本当は光竜の巣へ勇者を連れて行きたいところだけど、フォレストトーレ廃都を彼の実績と残すためには解決まで待つ必要がある。
「じゃあ悪いけどノイ、少しここは任せるな」
『あちこちに行くことが決まったら知らせるですよ。
この島で出来ることには限りがあるです。出来ればアスペラルダの兵たちに混ぜて訓練させた方が手が空くですよ』
「そっちも打診しとくな。行ってきます」
『いってらっしゃいです』
「《ゲート:フォレストトーレ》」
繋げたゲートはアルシェ達の天幕に繋がっているのでそのまま向こうへと移動してゲートを閉じた。
連れて来たのはアクアとフリューネ、ベルとフラムの4人。
幼いのに1週間以上姉達と離れるのはあんまりだと第一長女からクレームが入った為、末っ子共も一緒に連れて来たわけだが…。
『少し見ないうちに加階したのですね』
『まぁー!とても可愛いですわー!』
さっそく次女と三女が二人を猫っ可愛がりしているが俺も人の事を言えないので好きにさせよう。
俺は俺でアルシェ達の元へ進み1週間ぶりの再会を果たす。
しかし、なんか知らんけど足元に見覚えの無い猫が座っているのが特に気になった。
「そいつ、何?」
「瘴気が枯渇気味になったからか野生動物と魔物も戻りつつある様なのですが、
この子も例に漏れず[アルブムキャット]という猫の魔物だそうです」
『にゃ~』
アルシェの紹介に挙がった真っ白い猫が「よろしくな」とばかりに鳴く。
大飯食らいにタルが居るからお前を養う気はさらさら無いぞ。野生へ帰れ。
「その…、最近クーちゃんにアプローチしているんです」
「は”? うちの子供たちは嫁に出さねぇ‼」
「クーちゃんもお父様のお嫁さんになると言って断っているのですが、諦めずに居付いてしまって……」
『にゃ~♪』
黙れ小僧ッ!にゃ~じゃねぇよ軟派猫がぁ!ブ〇殺すぞっ‼
貴様なぞ俺様の愛剣[アクアズブレイド]で凍て尽き気付かぬまま切り捨てる事も可能なのだぞっ‼
猫系の魔物は賢いらしいからせめて念話か人語が喋れるようになってから俺様の前に現れろっ‼
ま~ぁ~、野生の魔物如きがウチの娘の旦那になることなぞ認める気はさらさら無いから無駄な努力だがなっ‼わ~っはっは!
「お兄さんの考えが手に取るように分かりますね」
「私も隊長の考えわかります。まぁ無理やりどうにかするつもりは無い様ですよ」
「クー!こいつ経験値にしていいかっ!」
『お父様といえどお止めください。
連日愛を囁かれる程度で特に実害は出ておりませんので』
あ、愛を囁くだとっ!?
この泥棒猫っ‼俺が居ないうちを狙って愛娘を誑かしおって‼
「クー、お父様の方がこの駄猫よりも愛しているからね」
『もちろん分かっておりますよ。特に気持ちに揺らぎもありませんので心配はいりません』
しかしなクーよ!NTRとはそういうものなんだっ‼
俺が気づかぬうちに堕とされる可能性ってのは0%じゃないんだよっ‼
クーちゃんどいて!そいつ殺せないっ!
「ご主人様、私がしっかり見ておりますのでご安心ください」
「こいつが経験値になれば全て解決やろがいっ!」
「大した経験値になりませんので美味しくありません。
番いになる条件で索敵などの手伝いをさせる構想もあります。むろん、番いになる未来は永劫訪れませんが」
「ふははは!メリーよ!ボロ雑巾になるまで使い潰してやれ‼」
今は真っ白でふわっふわな毛並みが泥水を吸ってべちょべちょになる姿を思い浮かべて矛を収めてやろう!
俺の興味が駄猫から離れたのを見計らって末っ子をメリーとマリエルが回収し、クーとニルが俺の元へ駆けつけてセラピーをしてくれた。
『『お父様~♪』』
「猫耳とウサ耳に癒されるんじゃ~♪」
「お兄さん。それで? 島でやる事がある程度済んだのですか?」
「時々顔を出す予定だけど、トワインとノイ達を置いてるから訓練と空間の監視は問題ない。
今回は籠手の手袋部分の作製依頼をどこに出すか相談しようと思って」
サンプルに渡されていた毛糸みたいな太さの素材をみんなに見せてみる。
「元は竜の魔石なんだけど魔紐って言うらしい。
一本でも強度は魔石に因るから凄いんだけどその糸をある程度束ねた紐にすることでもっと防御力に期待が出来るんだってさ」
「ご主人様、失礼します。
なるほど撚りあわせているのですね。これならば姫様のドレスを発注しているお店で対応できるでしょう」
「じゃあメリーとクーちゃんは時間が有る時にアスペラルダに戻って手配しておいて頂戴。
魔紐はいつ頃納品できるのですか?」
『ソレ用の魔石は今造っている所だからね、まぁ4日くらいで完成するかな。
その後ドラゴドワーフの娘に渡して2日くらいかな?』
確かにさらさらっと片手間に造ってこれだったもんな。
1週間もらえれば確実に渡せるだろう。あっちにはネフィリナ以外にもドラゴドワーフは居るわけだし。
「ではそのように手配しておきます」
『お任せください。お父様』
「他の御用時はありますか?」
「アニマとやっと[無精霊纏]」出来たからその性能テストがしたいかな…。
あっちじゃ流石に島に迷惑掛かっちゃうし相手もいないから」
相手としてはタルでもセプテマ氏でも良かったんだけど、普段静かな島でドンドンガンガンするのは流石に憚れた為こちらに戻った際に試そうと思っていたのだ。
一緒に戦う精霊によって伸びるステータスや特徴もあるからアニマがパートナーでもある程度方向性は想像が出来ている。
「あとはラフィート殿下…。陛下?に相談もある」
「戴冠式は出来ておりませんが各国への周知で王の名乗りは届いておりますから陛下が正しいですね。
現在はお兄さんの提案もあってフォレストトーレ王都復興に向けて大樹の街ハルカナムで町長たちと会議を繰り返しているそうです」
「陛下になったなら気軽に会いに行くわけにはいかないか…。
アルシェからアポイント取っておいてもらえるか?」
「わかりました。その間に[無精霊纏]のテストを誰かと行って居てください。
終わった頃合いをみて報告しますから」
「ありがとう」
手袋の製作手配とラフィート陛下との謁見はアルシェに任せて俺は誰に相手をしてもらおうかと思案する。
こっちに残っている間にマリエルやメリーはニルやクーと共に戦術を組み直して魔法やスキルの整理を進めていると聞いている。
久し振りにお手並み拝見と行きたい所もあるし勇者PTの戦力も気になる所。
「メリオのPTってまだゲストにおっさん入ってる?」
「クライヴさんなら入ってますよ。
隊長からの一時的な参加依頼後は自分の意思で残っているみたいです」
マリエルの回答に思案は深まった…。
魔神族や魔王は人型なので俺が本気で戦うことは良い勉強になると思うんだが、S級冒険者のクライヴ=アルバードが残っているならちょっと総合力で負けてしまうかもしれない。
マリエルやメリーは過剰戦力だし丁度良いトワインが島に行っているなら勇者PTかと思いきやおっさんは流石に辛い。
う~ん。誰にしようかな。
時にはアクアが、時には俺が互いの制御力を譲渡しながら制御し続け混ぜ合わせ、10時間を少し超えた辺りでようやっとネフィリナから「もういいよ」との声が届き俺たちは成し遂げたのだ。
というか、流石にドラゴドワーフとはいえ一人で魔石とインゴットの合成は成せる物ではなかったのか、一緒に訪問したエルダードワーフのソニューザが手伝っていた姿が自然体過ぎて。それが当然、いつもやっている事のように視界に収まる二人の姿をつい見入ってしまう程に眩しい光景であった。
「はい、先に休ませてもらいます…。はぁぁぁぁ~、アクアとフリューネもお疲れ様」
『あい~~~~。アクア疲れたぁ~』
『悪いね、魔力制御に協力できなくて』
制御に集中していた所為で自然と力が入っていたアクアから力が抜け、預けていた小さな身体も少し重くなる。
アクアとフリューネを労う為頭を撫でるが俺自身も精神的に相当疲れているからしばらくはこのまま尚も作業を続ける二人を見守り続けると併せて休憩しよう…。
弦音とはまた違うハンマーと精霊鉄がぶつかり合う甲高い音は睡眠促進には丁度いい間隔で響き、やがて俺たちは微睡に飲み込まれていった。
「――はち! 宗八!」
「ふぁ!?」
誰かから複数回の呼び掛けを受けてようやっと目が覚めた俺をソニューザが覗き込んでいる。
どうやらマジで眠ってしまってから数時間は経っているのか、うつらうつらしている時は夕刻だったはずだが今は炉の火も収まり別室から漏れる囲炉裏の火がソニューザの姿を照らしていた。
「ふ…あぁぁぁぁぁぁぁ~~……! 俺たちどのくらい寝てた?」
「3時間ってところだな。俺は今夜こっちに泊まるけどお前らはどうする?」
「邪魔をする気もないから家に帰るよ」
「あそこは俺の家であってお前たちの家じゃないからな」
はいはい、ご馳走様です。胸元で眠るアクアはまだ目を覚ます様子も無いからこのまま連れ帰るかな。
ソファ代わりに使ったフリューネをポンポンと軽く叩き立ち上がるとフリューネは大あくびをしつつ起き上がって体をブルブルと盛大に震わす。犬もこういう行動するけど何の意味があるんかな?
とりあえず今日のところは魔石と精霊石を混ぜ合わせインゴットに精錬するだけで終わったらしい。
此処から数日馴染むまで寝かせ、頃合いを見てネフィリナが改めて籠手を造る予定とのこと。
ちなみにインゴットにした金属は一品物なので名前は無い。
ジト目のソニューザとネフィリナ、そしていつの間にか帰って来ていたラーツァグリアニスに挨拶をして俺たちはゲートで下山してエルダードワーフの村に帰らせてもらった。
* * * * *
翌日。
早朝訓練に付き合ってくれ朝食をあーんで食べさせ合いっこをしたアクアが俺に惜しまれつつゲートで帰る時が来てしまった。
ここに来て空き時間が出来たのであれば溜まっているやりたいことも進めておきたい。
1.アスペラルダで両腕が完治次第鍛え直しをしているバーゼラルドとフェラーご夫婦の勧誘
2.光竜との接触
3.火の国方面への進行
4.獣人国方面への進行
5.魔族領への侵入
「しばらくは島から離れてもいいみたいだし、先に籠手の手袋作成をどっかに依頼しないとなぁ」
『アルに言っておけばじぃじ達が手配してくれると思うよぉ~』
それ採用。アクアは賢いなぁ~♪
そのついでに冒険者に復帰しているバーゼ達の現在地をギルドで教えてもらって今後の動きを決めよう。
本当は光竜の巣へ勇者を連れて行きたいところだけど、フォレストトーレ廃都を彼の実績と残すためには解決まで待つ必要がある。
「じゃあ悪いけどノイ、少しここは任せるな」
『あちこちに行くことが決まったら知らせるですよ。
この島で出来ることには限りがあるです。出来ればアスペラルダの兵たちに混ぜて訓練させた方が手が空くですよ』
「そっちも打診しとくな。行ってきます」
『いってらっしゃいです』
「《ゲート:フォレストトーレ》」
繋げたゲートはアルシェ達の天幕に繋がっているのでそのまま向こうへと移動してゲートを閉じた。
連れて来たのはアクアとフリューネ、ベルとフラムの4人。
幼いのに1週間以上姉達と離れるのはあんまりだと第一長女からクレームが入った為、末っ子共も一緒に連れて来たわけだが…。
『少し見ないうちに加階したのですね』
『まぁー!とても可愛いですわー!』
さっそく次女と三女が二人を猫っ可愛がりしているが俺も人の事を言えないので好きにさせよう。
俺は俺でアルシェ達の元へ進み1週間ぶりの再会を果たす。
しかし、なんか知らんけど足元に見覚えの無い猫が座っているのが特に気になった。
「そいつ、何?」
「瘴気が枯渇気味になったからか野生動物と魔物も戻りつつある様なのですが、
この子も例に漏れず[アルブムキャット]という猫の魔物だそうです」
『にゃ~』
アルシェの紹介に挙がった真っ白い猫が「よろしくな」とばかりに鳴く。
大飯食らいにタルが居るからお前を養う気はさらさら無いぞ。野生へ帰れ。
「その…、最近クーちゃんにアプローチしているんです」
「は”? うちの子供たちは嫁に出さねぇ‼」
「クーちゃんもお父様のお嫁さんになると言って断っているのですが、諦めずに居付いてしまって……」
『にゃ~♪』
黙れ小僧ッ!にゃ~じゃねぇよ軟派猫がぁ!ブ〇殺すぞっ‼
貴様なぞ俺様の愛剣[アクアズブレイド]で凍て尽き気付かぬまま切り捨てる事も可能なのだぞっ‼
猫系の魔物は賢いらしいからせめて念話か人語が喋れるようになってから俺様の前に現れろっ‼
ま~ぁ~、野生の魔物如きがウチの娘の旦那になることなぞ認める気はさらさら無いから無駄な努力だがなっ‼わ~っはっは!
「お兄さんの考えが手に取るように分かりますね」
「私も隊長の考えわかります。まぁ無理やりどうにかするつもりは無い様ですよ」
「クー!こいつ経験値にしていいかっ!」
『お父様といえどお止めください。
連日愛を囁かれる程度で特に実害は出ておりませんので』
あ、愛を囁くだとっ!?
この泥棒猫っ‼俺が居ないうちを狙って愛娘を誑かしおって‼
「クー、お父様の方がこの駄猫よりも愛しているからね」
『もちろん分かっておりますよ。特に気持ちに揺らぎもありませんので心配はいりません』
しかしなクーよ!NTRとはそういうものなんだっ‼
俺が気づかぬうちに堕とされる可能性ってのは0%じゃないんだよっ‼
クーちゃんどいて!そいつ殺せないっ!
「ご主人様、私がしっかり見ておりますのでご安心ください」
「こいつが経験値になれば全て解決やろがいっ!」
「大した経験値になりませんので美味しくありません。
番いになる条件で索敵などの手伝いをさせる構想もあります。むろん、番いになる未来は永劫訪れませんが」
「ふははは!メリーよ!ボロ雑巾になるまで使い潰してやれ‼」
今は真っ白でふわっふわな毛並みが泥水を吸ってべちょべちょになる姿を思い浮かべて矛を収めてやろう!
俺の興味が駄猫から離れたのを見計らって末っ子をメリーとマリエルが回収し、クーとニルが俺の元へ駆けつけてセラピーをしてくれた。
『『お父様~♪』』
「猫耳とウサ耳に癒されるんじゃ~♪」
「お兄さん。それで? 島でやる事がある程度済んだのですか?」
「時々顔を出す予定だけど、トワインとノイ達を置いてるから訓練と空間の監視は問題ない。
今回は籠手の手袋部分の作製依頼をどこに出すか相談しようと思って」
サンプルに渡されていた毛糸みたいな太さの素材をみんなに見せてみる。
「元は竜の魔石なんだけど魔紐って言うらしい。
一本でも強度は魔石に因るから凄いんだけどその糸をある程度束ねた紐にすることでもっと防御力に期待が出来るんだってさ」
「ご主人様、失礼します。
なるほど撚りあわせているのですね。これならば姫様のドレスを発注しているお店で対応できるでしょう」
「じゃあメリーとクーちゃんは時間が有る時にアスペラルダに戻って手配しておいて頂戴。
魔紐はいつ頃納品できるのですか?」
『ソレ用の魔石は今造っている所だからね、まぁ4日くらいで完成するかな。
その後ドラゴドワーフの娘に渡して2日くらいかな?』
確かにさらさらっと片手間に造ってこれだったもんな。
1週間もらえれば確実に渡せるだろう。あっちにはネフィリナ以外にもドラゴドワーフは居るわけだし。
「ではそのように手配しておきます」
『お任せください。お父様』
「他の御用時はありますか?」
「アニマとやっと[無精霊纏]」出来たからその性能テストがしたいかな…。
あっちじゃ流石に島に迷惑掛かっちゃうし相手もいないから」
相手としてはタルでもセプテマ氏でも良かったんだけど、普段静かな島でドンドンガンガンするのは流石に憚れた為こちらに戻った際に試そうと思っていたのだ。
一緒に戦う精霊によって伸びるステータスや特徴もあるからアニマがパートナーでもある程度方向性は想像が出来ている。
「あとはラフィート殿下…。陛下?に相談もある」
「戴冠式は出来ておりませんが各国への周知で王の名乗りは届いておりますから陛下が正しいですね。
現在はお兄さんの提案もあってフォレストトーレ王都復興に向けて大樹の街ハルカナムで町長たちと会議を繰り返しているそうです」
「陛下になったなら気軽に会いに行くわけにはいかないか…。
アルシェからアポイント取っておいてもらえるか?」
「わかりました。その間に[無精霊纏]のテストを誰かと行って居てください。
終わった頃合いをみて報告しますから」
「ありがとう」
手袋の製作手配とラフィート陛下との謁見はアルシェに任せて俺は誰に相手をしてもらおうかと思案する。
こっちに残っている間にマリエルやメリーはニルやクーと共に戦術を組み直して魔法やスキルの整理を進めていると聞いている。
久し振りにお手並み拝見と行きたい所もあるし勇者PTの戦力も気になる所。
「メリオのPTってまだゲストにおっさん入ってる?」
「クライヴさんなら入ってますよ。
隊長からの一時的な参加依頼後は自分の意思で残っているみたいです」
マリエルの回答に思案は深まった…。
魔神族や魔王は人型なので俺が本気で戦うことは良い勉強になると思うんだが、S級冒険者のクライヴ=アルバードが残っているならちょっと総合力で負けてしまうかもしれない。
マリエルやメリーは過剰戦力だし丁度良いトワインが島に行っているなら勇者PTかと思いきやおっさんは流石に辛い。
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