特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重

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閑話休題 -次に向けての準備期間-

閑話休題 -75話-[黄竜と魔石と新たな武器と⑥]

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 戦士たちと地竜たちの顔合わせから1週間が経過した。
 竜と共に過ごした少しの間に彼らから魔力を吸収し、
 それを元に初期型の魔石は完成していたけれどここからさらに品質向上の為、
 各竜たちは人化したり体を縮めたりと工夫してドカイ図体をどうにかして各員に同行を続けてもらっている。

 セプテマ氏の鈍った身体も度重なる訓練で感を取り戻しつつあり、
 契約精霊のファレーノも退化は免れることは出来なかったが想定通りの位階で卵から孵った。
 同じく竜の魔石製作には取り掛かっているので落ちた位階分は魔石でリカバリーも出来るだろう。

「ディテウスもエルダードワーフ達も良い感じに仕上がって来たな」
「1日中訓練漬けですからね。
 剣の振りだけでも見本となる剣聖けんせいに丁寧に魔法関係を教えてくれる姉弟子も居ますし」
「あれ、俺は?」
水無月みなづきさんは訓練中の要求が軽い口調の割に重いですね…。
 俺より年下のマリエルや殿下があそこまで戦える秘密を知って震えています」

 フォレストトーレの浄化作業がかなり進んでいたこともあって、
 トワインとディテウスはそのままこちら預かりで訓練をさせまくった結果、何故かディテウスが懐いてくれない。
 トワインに関しては元から完成度の高いエレメンタルアーチャーだったのでそこまで伸びてはいないが、
 目に見えて強くなったディテウスとエルダードワーフの面々と打ち合うと嬉しくなってくる。
 なのにディテウスは俺を前にすると緊張するようになってしまった。

「クランリーダーのおかげで確かに自分の殻を破った実感はありますよ。
 それでもセーバー達を相手にしてもまだまだ歯が立ちませんよね?」
「そりゃあ歳も経験も上なんだから勝てないだろうさ」
「隊長がそれを言いますか…?」

 いや、この世界の冒険者は訓練とかあまりやってないじゃない?
 下地がしっかりした上で剣術だけでなく魔法もござれとなればそりゃ早い段階で追いつく部分も出るさ。
 魔法が無い状態なら俺もセーバーに押し負けることもあるくらいだから、冒険者としてはB~Aってところのはず。
 ギルドの仕事を全くしていないから実際ランクはFのままだけど。

「そういえば隊長。先日アーグエングリンの王都に着いたと言っていましたが、
 フォレストトーレに居る兵士たちを送らなくていいんですか?」
「もう今のメンバーで最後までやり切りたいって話になったらしいからな。
 浄化作業が終わったらゲートで届けるって部分に変更はないからもう2~3週ってとこだな」

 現時点でフォレストトーレの浄化は残り数週間で終わる目途が付いていて、
 瘴気に敏感な精霊たちが城下町全域を虱潰しで浄化残しがないか確認を進めると同時に退却準備も各国は進めている。
 ニルの話では住人たちの魂は3分の1以上昇天したらしいから、
 各国が退却する最後の日に合わせてフォレストトーレ城下町で生活していた方々の遺族を集めて[Omegaの瞳]を付与して供養をする予定もある。

宗八そうはち、そろそろネフィリナのところに行く時間だぞ」
「はいはい。じゃあトワイン、後はお願いね」
「しっかり務めて来てくださいね、隊長」

 村長代理のソニューザが出発の準備を整え俺に声掛けをして来たことで雑談は終了となった。
 これから俺たちはドラゴドワーフの村に移動をして数日に渡って籠手製作の手伝いをすることになっている。
 やる事は多いが、異世界結合現象の観測は土精ウォルベズやタルテューフォが時々見回ってくれており、
 常時この島に俺が張り付いている必要もないっちゃない。
 光精王ソレイユ様も光竜の住処の当たりは付けてくれたそうだし近いうちに勇者でも伴って訪問したいところだ。


 * * * * *
「よく来たね青の守り人。あ、ソニューザは適当に寛いでくれていいよ。
 今からアンタの持ち込んだ青竜の魔石とこっちで見繕ったインゴットの合成から始めるよ!」
「あの、鍛冶は携わったことはないので素人なんですけど…」
「アンタとブルードラゴンの魔力を魔石とインゴットの[つなぎ]にするだけだから、
 実際はこっちが作業する横で魔力を注いでくれればいいよ」
「はぁ……それだけでいいなら…。
 ちなみにこのインゴットってなんて鉱石ですか? 精霊石に似てますけど……」

 ドラゴドワーフの村民はあまり働かない割に一家にひとつ鍛冶場を持っている。
 今回はすでに現場入りしていたネフィリナさんを訪ねるとすぐに作業を始めようと説明が始まった。

「アンタが知っている精霊石がさらに長い時間で硬化した鉱石が精霊鉄だよ。
 この島でも出土も採掘も少ない希少鉱石なんだけど、
 まぁ使う機会も無いし今回はサービスってことにしてあげるよ」
「ありがとうございます」

 精霊石は全属性に対応できる鉱物だったが、
 魔石の代わりにしようにも人の世では希少過ぎてそれなりの大きさを保つ物が手に入らないし、
 剣にしようにも結局アイテムとしては宝石の類なので硬度が戦いに着いて来れないから諦めていた。
 しかし、まさか精錬まで済んだ鉄が存在するとは驚いた。

「ちなみにそれなりに精霊鉄ってありますか?」
「あー、そうだねぇ。
 私のところは爺様がどっかから持ち込む鉱石があったから暇つぶしに精錬してそれなりにあるよ。
 他の家にも蓄えはあるだろうけど、何? 他にも依頼を持ってくる気?」
「予定として俺は六色分何か造ってもらおうかと思ってます。
 あとは造れるだけ造ってもらいたいです」
「籠手だけでも結構インゴット使うからねぇ。
 宝の持ち腐れだから私は気にしないけど他家にも協力してほしいなら筋は通しなよ」

 俺以外でアルシェ達が一属性ずつ創るだろ。
 勇者たちにも渡しておきたいし……クランメンバーにも……。
 早いうちに各国を回って国一番の菓子折りを持ってご挨拶回りをしておこう。

「作業の説明に入るよ。
 私はスキルで魔石を溶かしながら精霊鉄と混ぜて再度インゴットに再精錬するから、
 その間アンタと青いのには魔力を流し続けてもらうよ。もちろんそっちも綺麗に混ぜ合わせてね」
「俺とフリューネの魔力を混ぜるんですか!? つなぎってそういう事!?」

 状況としては俺と娘たちで行った専用核作製と同じだ。
 しかし、フリューネとは契約の繋がりもないから[シンクロ]が使用出来ない。
 それに魔力量も精霊使いとはいえ所詮人間の俺と竜では格差がひど過ぎて分量のバランスを取るのも難しい…。

「混ざり具合とか分量の指示って貰えますか?」
「そりゃバンバン言うよ!じゃないと希少な鉱石がダメになるじゃないさ!」

 なら制御力をどうにか調達すればなんとかなるかもな。
 他属性の魔力を含むことは出来ないから力を貸してもらうのは一人だけになるけど、
 魔法に関しては天才的だともっぱら評判だしなんとかなるだろう。

「ちょっとうちの娘に協力を要請します。
 だいたいどのくらい拘束されますか?」
「へぇ、娘が居るんだ。
 拘束は10時間は見ておいて。あ、休憩は出来ないからそのつもりで」

 フォレストトーレはある程度終息に目途が立っているし、
 今更アクアが抜けたところで痛くもかゆくもないはずだから問題はない、と思う。
 どちらかと言えば俺の我儘に付き合わされるアクアがお礼に何を要求してくるか、そして俺が応えられる内容か。
 それが問題だ。

『どうせ僕は魔力制御は下手だし宗八そうはちも制御力足りないんでしょ?
 ゴチャゴチャ考えてないでさっさとアクアーリィを呼び出しなよ』
「……そうだな」

 諦めよう。面倒な事は後回しでいいや。

「(アクア~)」
『(な~にぃ~)』
「(こっちに来て欲しいんだけど、今そっちは暇?)」
『(ちょっと待ってて~)』

 念話で呼び掛けたアクアは変わらない緩い口調でアルシェ達に確認をすると伝えてくると一旦アクアの声が途切れた。
 返答を待つ間に念のためネフィリナに重ねておねだりしてみよう。

「精霊鉄の欠片って貰えますか?」
「欠片ぁ? う~ん、これなら惜しくないしいいかな」
「ありがとうございます」

 あとでノイに食べさせて精霊鉄の増産をしてみよう。
 やっぱりこの島でエルダードワーフのう〇こを撒いて繰り返し採掘出来るとはいえ希少は希少。
 俺の装備や今後増える精霊使いや勇者の仲間の事を考えれば、
 足りるとも思えないし数を確保できる様に試せるだけ試してみよう。
 ちなみに精霊石は天然魔石の為精製出来なかったが今回は[鉄]と付いてるし一縷の望みを賭けて精製出来てくれ!

『(こっちはいいから明日までそっちに居て良いって~。
 召喚サモンじゃなくてゲートでそっち行くねぇ~)』
「(悪いな。待ってるよ)」
「そうそう。籠手はガントレット型で造るから手袋はアンタで早めに用意しておくれよ」
「素材に指定とかありますか?」

 アクアとの連絡がらタイミング良くネフィリナから声を掛けられた。
 籠手と言っても俺の戦闘スタイルなら徒手空拳も含まれるしガントレット型は願っても無い。

「魔石がまだ用意出来るならそうだねぇ…、このくらいの魔紐にしてあげるよ。
 それで手袋を造ればさらに無駄の無い[武器]になると思うけど?」
「魔石は予備のワンランク低いのがあるからまたフリューネに生成してもらう事は可能です。
 縫ってくれる人も早めに探しておきます!」


 * * * * *
『第一長女アクアーリィ!家族に這い寄る悪は全て洗い流す~!魔法少女アクアちゃん、参☆上☆!』
「おー、いらっしゃいおチビちゃん。親父の籠手を造るネフィリナってもんだ」
『パパがお世話になります。よろしくぅ~♪』

 愛らしいアクアと漢らしいネフィリナとの挨拶を見届けてから抱きあげる。
 嗚呼…。
 ひんやりしてモチモチしているアクアの頰に舌鼓を打ちつつ寝転がるフリューネを背もたれにしてして座り込む。
 流石に10時間も立ちっぱなしで魔力を放出するのは勘弁願いたかったため、
 アクアを待っている間に交渉をして仕事をする彼女の隣で楽な姿勢になることの許可をもらっていたのだ。

「ネフィリナさんがフリューネの魔石とインゴットを合成する間、
 フリューネを含めた俺たちの魔力を10時間近く注ぎ続けないといけないんだ。
 アクアもシンクロして手伝って欲しい」
『あ~い!その間抱っこね!』
「はいはい。もちろんそのつもりだよ」

「『《シンクロ》』」

 アクアとのシンクロは久しぶりな気がするな。
 アクアも嬉しいのか喜色の感情がアクアから流れ込んでくるので胸に抱く彼女の頭も撫でてやる。
 撫でられながらもアクアはさっそく仕事に取り掛かっており、
 俺と自身とフリューネの身体から漏れ出る魔力を必要分だけを均等に混ぜてネフィリナの手元に送り始めた。

「じゃあこっちも始めるからね。
 アンタたちも良い物造りたかったら最後まで気を抜くんじゃないよ!」
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