特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重

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第12章 -廃都フォレストトーレ奪還作戦-

†第12章† -50話-[瘴気に狂う高貴な樹姫⑨]

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「ダンジョンコア、破壊しました!」
「《アンロック!》」

『《ループホール!》』

 ゲートが城門前に繋がった瞬間にクーが魔法を発動させる。
 すると、固く閉ざされ人力ではなかなか開門も一苦労する大扉の中心から直径6mの穴が広がった。
 当然穴の向こうは城門を隔てた先の城内に繋がっているわけで。

 俺たちは合図もなしに揃って駆け出す。

 民家よりも天井が高めのフロアを抜け、
 正面に見える6人程度が歩く事の出来る幅の怪物階段を各々が駆け上がる。
 ある者は一息に飛び越え、ある者は手すりを滑り昇り、ある者は空を飛ぶような機動で跳ね超えた。

「セリア先生」
「えぇ。 《ソニック》」
「かたじけない」

 身体の大きな拳聖けんせいはその称号に似合う速度で俺たちの移動に並走してスタートしたものの、
 やはり城内を一気に駆け上がる工程においてはどうしても速度が落ちてしまうらしい。
 そこを丁度エゥグーリアに抱き上げられているセリア先生に魔法でサポートを入れてもらった。

「次は真上だぞ!」

 長い階段を上り終え時に念のため声掛けをするが、これにも誰も返答はしない。

「《エアキックターン!》」
「すぅ……フンッ!」

 俺は上り終えたその場で本来は空で方向転換する際に利用する魔法を応用して3階へと跳ね上がった。
 続いてエゥグーリアは体術のみで付いてきたうえにセリア先生へ負担の掛からない様に細心の注意を施している。
 アクア達は[アクアライド]でスケートボードの様な動きで3階の高さまで飛び上がり、
 そのまま態勢を整えると空を少しだけ滑走すると3階の床に着地して追いかけて来た。

 3階は王族だけのフロアらしい。
 王様や妃、ご子息たちの部屋、専属侍女や近衛の部屋などが続く長い廊下の先に見えるは目的地。
 最短距離でここまで上がってきたけど、
 やはり予想通りに城内に入ってから軋みや壁が崩れる音が聞こえる。
 実際に壁や天井にはヒビが急速に広がる光景を目にしながら奥へ奥へと急ぐ。

「《ループホール!》」

 謁見の間の扉も大きいとはいえ城門ほどではない。
 それでもわざわざ立ち止まって開けるほど時間に余裕があるわけでもないので、
 ここでもクーが魔法で向こうへと繋げた。

 踏み込みまず視界に入るのは床に広がる魔法陣の上に立つ勇者PTとクライヴ氏。
 勇者はエクスを片手に持ちながらパラパラと破片の落ちる天井をキョロキョロし、
 側には魔法使いミリエステと死体のフェリシアを抱える騎士マクライン。
 そして、死体のヒューゴを肩に担いでいる片腕を失ったクライヴ氏。

 腕は……柱に矢で縫い付けられているか。

「全員準備!クーは柱の腕を回収したら2人を予定通り影に!」
『はい!』

 それぞれが俺やエゥグーリアや[守護者の腕マイストガーディアム]から降りて、
 俺から引き継ぎ指示を始めたアルシェの命令に従って位置取りを開始する。
 俺はこの数秒の間にメリオに近寄る。
 メリオとミリエステにもプレイグ氏から[揺蕩う唄ウィルフラタ]で話は通っているだろうが、
 念のために様子を伺おうと足を運んだ。

「どこまで聞いた?」
「ここでキュクレウス=ヌイを倒すと」
「役割は?」
「浄化を担当すればいいのでしょう? ただ、魔力がもうほとんど残っていなくて……」
「そこは問題ない」

「《魔力接続ビータイリンク!》」

 クレイヴ氏の腕を回収してきたクーがタイミング良くメリオの背中に閻手えんじゅで魔法を刻んだ。
 これでフロスト・ドラゴンエルレイニアから[魔力吸収ガイストアプション]で吸収した魔力をメリオにも配給出来るようになった。

「ミリエステも同じ魔法で魔力の供給をするからそこは気にしなくていい。
 ともかくメリオの役割は核を砕くまで浄化をし続けること。これだけだ」
「……わかりました」
「エクスも一緒なんだから気負い過ぎなくていい。
 この床の魔法陣は[サンクチュアリ]だろ? これも念の為に出しっぱなしにしてほしい」
「すぅ…はぁ……。わかりました、任せてください!」

 強張った顔と少し腫れた目元。
 その表情が一呼吸で落ち着いたのはシンクロしているエクスのおかげだろう。
 きっと念話で一言添えてくれたのだと思う。

「全員準備はいいかっ!始めるぞっ!」
「「「「はいっ!」」」」

 仲間に声を掛けたつもりだったのに、
 フランザ達に囲まれたミリエステまでも元気な返答に混ざっているのは何故だ?
 何でもいいや。やる気になってるなら何でもえぇ。

「フランザ!」
「始めます!」

 命令に従いフランザとミリエステが構えた手の先から火球が発生し、
 広範囲を狙う為それは急速に大きくなりはするものの、
 着弾点を見失わない様に視界は失わないギリギリに調整される。
 さらに魔力も制御できるギリギリまで注ぎ込むように指示していた為、火球の温度が上がり色も変わっていく。

 その二人に挟まれる形で赤く発光する弓と燃え盛る魔法矢を構えているのはトワイン。
 こちらは武器にどれだけ精霊石の紛片が含まれているかで魔法弓は最大威力が変わってくるので、
 魔法使いのように魔力を使えばいいというものでは無い。
 練習の時はトワインが用意していた普通の店売り弓だったが、
 威力アップの為に高品質な弓を[影倉庫シャドーインベントリ]の在庫を出すことにした。

「《エクスカリバーッ!!!》」

「《ブレイズレイド!!》」
「《ブレイズレイド!!》」

「《火竜一矢かりゅうのいちや!!》」
『《ウインドブレッシング!》』

 謁見の間の天井で一番高い尖塔部分はすでにキュクレウス=ヌイの修復で壊され、
 そこに見えるのはキュクレウスの幹の内側。
 表面には瘴気のオーラを纏っているが、
 メリオが放った[エクスカリバー]で一瞬のうちに片っ端から浄化されていく。

 ドッ!!
『《風珠かざだま!》』

 幹を清められたキュクレウスの内部へ業火球が2つ迫り、
 遅れて射られた燃え盛る矢も寸分違わず業火球の間に合流した後に着弾。大爆発を起こした。
 それによって発生した爆音と熱風は事前調査通りにセリア先生の魔法で俺たちには届かず、
 続いてアルシェ達が動き出す。

「《アブソリュート・ブレイカー!!》」
『————ッ!!!!』

 アルシェはお鉢が回ってくる前に用意を進めていた。
 魔力マシマシの炎熱組の広範囲と熱気に負けない威力をアルシェ達も用意をしなければならなくなった為、
 事前調査の際には使用していなかった全力全開Ver.で雪の結晶型の[クリスタルビット]が4つ、[アイシクルアンカー]が2つ。
 自身も入れて7点からの放射で広範囲とブルー・ドラゴンフリューネが協力して均等な威力で一気に冷却を果たす。
 続けて飛び込むのは拳聖けんせいエゥグーリアと俺の2人。

「《セリオウスブロウ!!》」
「《守護者の波動ガーディアムブラスト!!》」

 片や元の巨体から放たれる大きな拳。
 気で身体能力を極限まで使いこなせるようになった拳聖けんせいの強烈な一撃で先の攻撃で脆くなった幹は砕け堕ちる。
 片や生身の拳ではなく岩石で出来た精巧な巨腕から放たれる拳。
 属性相性は最悪ではあるが[波動ブラスト]は接触面から魔力を相手に送り込んで炸裂させる防御力無視攻撃だ。
 広い接触面からの[波動ブラスト]で脆くなったキュクレウスの幹を広範囲に抉り飛ばす。

『《短距離転移ショートジャンプ!》』
『《テンペスト!》』

 飛び出した勢いにジャストアタックでキュクレウスへ攻撃を加えた俺たちはそのまま自然落下を始める。
 このままだと次のフランザ達の射線に重なり邪魔となるのでクーに時空魔法で回収してもらった。
 これも事前にエゥグーリアには攻撃後は着地態勢で落下するよう伝えていたので床近くに転移されても慌てず着地を終えられた。

 ただ、俺たちの破壊行為の結果。
 細かな木屑は[風珠かざだま]に吸い込まれていくのだが、
 大きな形を保ったまま落下してくる木片もあり、
 それらは短く発動したセリア先生の上級魔法じょうきゅうまほうで壁際へと吹き飛ばしてメンバーの安全を確保してくれた。

 1周目は特に何も問題なく完走できたけど、
 この短い間に謁見の間の壁は幹の修復で破壊され俺たちに迫り少々手狭になった。
 実際に調査の段階で約15秒ほどで修復は完了していたから、
 1周でだいたい30~40秒くらいはどうしても掛かってしまうので、
 奥行き5mの修復でソレなら本当に出来てあと2周だな……。

「《ブレイズレイド!!》」
「《ブレイズレイド!!》」

「《火竜一矢かりゅうのいちや!!》」

 ズズッ…ズズッ…と壁が迫ってくる。
 すでに本来の壁は全壊していて床はキュクレウス自身によって支えられている状態だ。

『水無月君!壁の向こうから高速で何かが近づいてきますわよ!』
「(クー、メリーと対処してくれ。
 あと処置が完了して協力出来そうなら影に避難させた2人にも手伝わせろ)」
『(かしこまりました、お父様)』

 現在、俺たちは隣に居ながら互いに声を届けることは出来ない。
 それが可能なのは防風魔法を使っているセリア先生本人だけであり、
 彼女は風精霊の上位位階でもあるからか壁から発生する異音にいち早く気が付いてくれた。

「《アブソリュート・ブレイカー!!》」
『————ッ!!!!』

 俺の念話を受けたクーも素早く動き出し、
 アルシェ達の攻撃の陰でメリーとマクラインとクライヴの3名も出撃したタイミングで迫る壁の一部に直径1m程度の穴が空き、
 そこから顔を出した虫の種類を俺は知っていた。

(テッポウムシ…!? こっちにもカミキリが居やがるのかよ!)

 木に穴を掘って中心部まで来られるならこういう奴くらいだよな…。
 射角などを考えれば部屋の中心から俺たちは動くわけにはいかないから、
 狭い範囲で彼らには防衛をしてもらう必要がある。
 少なくとも2分は保ってもらえればすべてが終わる手筈だから疲れているだろうけれど頑張ってもらうしかない。

「《セリオウスブロウ!!》」
「《守護者の波動ガーディアムブラスト!!》」

『《短距離転移ショートジャンプ!》』
『《テンペスト!》』

 良いテンポで核への道作りは進んでいるのに、
 2周目の破壊を終えた現時点でもまだ核に到達できない。
 どうやら修復速度が加速しているっぽいな……。
 自身の幹を削ってでもカミキリムシを数匹突っ込ませたのも危機を感じての影響か。

「アルシェ!次で核を砕けなかったら打ち込んでくれ!」
「わかりました!」

 3周目の俺かエゥグーリアのどちらかの攻撃が決定打になる可能性は高いと思うけど、
 念のため最後のチャンスを活かせなかった場合を想定してアルシェに希望を残す。

「《ブレイズレイド!!》」
「《ブレイズレイド!!》」

「《火竜一矢かりゅうのいちや!!》」

 部屋がかなり狭くなってきた。
 マクラインとクライヴのおっさんも無理を押して戦ってくれてはいるが、
 こっちの邪魔にならない様に戦っているが為に攻撃をせずに防御や回避で時間稼ぎに重点を置いている。
 メリー達の[影縫かげぬい]や[八重結やえむすび]が無ければこっちまで押し切られていたかもしれない。

「《アブソリュート・ブレイカー!!》」
『————ッ!!!!』

 あと一歩。

「やべぇ!!抜かれたっ!!」
風玉ふうぎょく!』

「《セリオウスブロウ!!》」
「《守護者の波動ガーディアムブラスト!!》」

 おっさんの可愛くもねぇ悲鳴が聞こえた気がしたけど、
 そっちは仲間を信頼して俺は俺の仕事に専念して拳を振るう。

 メキィ…パキパキ……バキバキパキ……ピシッ!

 3度目の破壊行為が完了して自然落下をしながら目と耳に集中する。
 視界的にはボロボロと落ちてくるキュクレウスの材木ばかりで核に届いたかどうかは判断できなかったが、
 隣のエゥグーリアもピクッと反応した事からも俺の耳に届いた音は核にヒビが入った音で間違いないだろう。

「アルシェ!!」

 俺たちの攻撃が届いたなら、
 多少修復されたところでアルシェの攻撃を防ぐことは出来まい。

「《シューーーット!!!》」

 念のためエゥグーリアと揃って空中で体を反らすと、
 浄化の光と木屑の舞う空間を突っ切る様に少女が扱うには少々大き目な槍剣そうけんが通り過ぎる。
 そのまま光の向こうへと消えていき、
 俺たちが着地する前にガラス玉が砕けるような繊細な、それにしては鈍いガシャンッ!という音が真上から響いてきた。




 全員が息を潜めて天井を見上げている。




 メリオもエクスカリバーの放射を止め、
 メリー達も魔力を多めに使ってカミキリムシを拘束し、
 火力組も冷却組もセリア先生も全員が、天井を見上げて自分たちのその結果を見届けようと経過を見守る。

 まず、壁の縮小が止まった。
 次に暴れていたカミキリムシが動きを止め、
 やがて小さな黒墨が点々と生まれるとそのまま全身が真っ黒になると液状の瘴気へと姿を変えていく。

「全員、風精を探せ。ここを出るぞ」
『見つけましたわ!すぐ出ますわよ!』

 身内だからか流石の素早さでセリア先生がぐったりした風精を抱きかかえてこちらへ駆け戻って来た。

「《解錠アンロック》」

 繋げた先は当然出発したアスペラルダ陣営。
 足を踏み出した草原には夕暮れが訪れており、何とか夜が来る前に対処出来たと息を吐く。
 アインスさんやまだ残ったままだったラフィート王子も俺たちが戻ったことは認識しているけれど、
 やはり無言で夕焼けに浮かぶ巨樹の姿を凝視していた。

「マリエル、どうなってる?」
〔各地で戦闘をしていた巨蟲型は液状の瘴気に戻りましたが、
 これは兵士たちが対応して浄化作業に当たっています。
 触手はキュクレウスの本体と繋がっていたらしく穴に引っ込んだっきり姿を現しません。
 キュクレウス=ヌイ自身は枝葉の端から瘴気に戻り始めています〕

 空から響いていたマリエル達の演奏は止まっていたので[揺蕩う唄ウィルフラタ]ですぐに状況の確認を行った。
 アスペラルダ方面の戦闘が停止しているのは全体を見なくとも静まり返って巨樹を見上げる一部を見ればわかるが、
 他国も同様なのかは予想は出来ても現実も同じかは報告を聞かないと安心はできない。
 まぁ、どうやら3カ国とも同じ状況と判断していいだろう。

「メリオ、教国陣営に戻れ。
 エゥグーリアはアーグエングリン陣営に送りますから」
「わかりました。
 あの……2人の遺体は……」
「まだ終わった訳じゃない。
 状況終了と判断出来たら渡すからひとまずは気を抜かずに教国に戻っとけ」
「……はい」

 勇者は素直に従ってくれた。
 俺もクーの[影別荘シャドーモーテル]にあまり死体を放置しておきたく無いけど、
 最後に気を抜いて取り返しの付かない事になるのが一番戦犯なので気にしない様に意識から外しておく。

「《解錠アンロック》」
「感謝する」
「まだ何かあるかもしれません。
 その際はギルマス経由で連絡するので近くに居たほうがいいです」
「了解だ」

 エゥグーリアも送り届けた。
 これで戦力は戻せたから何かトラブルがあってもそれなりに時間稼ぎは出来るだろう。
 それから数分ほど眺め続けたが、
 やっと肉眼でも枝葉の端から溶けていっているのが見え始めた。

〔すいません、隊長。
 念のための確認なんですけど、キュクレウスの根元に瘴気の液体が結構貯まって来た気が……〕
「やべっ。瘴気の浄化を忘れていたな。ナイスだぞマリエル。
 アインスさん、各国の光精を浄化に向かわせてください」
「了解です」

 キュクレウス=ヌイは戦闘中ずっと地下に形成されていた瘴気の結晶体から瘴気を吸収していたはずだ。
 瘴気の液状化をした魔物から見ても、
 それらを使って魔物たちも作り出していたと考えれば注意が必要かもしれない。

〔あ!根元から液状化が始まりましたよ!!隊長!これヤバイですよ!!
 すごい勢いで液化して嵩が増してますっ!!〕
「《コール》ALL」

 ポポポポロン♪ポロン♪ポポポロポロンポロン♪

 ギルマス達に渡している物とは別にグループ分けされた[コール]で強制呼びかけを行い、
 俺の身内ばかりに連続して繋がっていく。
 これには協力してくれた光精や土精や闇精も含まれている。
 そんな接続音を聞きながら次の指示を急いで整理して口にする。

「瘴気の波がキュクレウスを中心に広がる。
 液体の瘴気は気体に比べても毒性が強いから絶対に兵士たちに届かない様に土精と水精は壁の生成を。
 闇精は渡していた[キー]でゲートを開いて各国への避難準備を開始しろ。
 マリエルとセリア先生は[エコー]で避難勧告を。フリューネとアルシェは壁作りに参加しろ」
「「「〔〔〔了解!〕〕〕」」」

 平穏無事に終わらんかったか…。
 いや、予想は出来たはずなのに頭が回っていなかっただけだな。

「クー、わかっているな?」
『お任せください、お父様。 《解錠アンロック》」
「アインスさん達も念の為ほどほどで避難してくださいね」
「はい。誘導の手伝いをしてから避難します!」

 アスペラルダ城下町近くの広い原っぱへの避難は当初から予定はされていた。
 本当に避難をするかは別にしてだが。
 避難訓練なんぞは全く出来ていないから、
 その辺りは全部城に残っている連中に整列などの指示出しをさせよう。
 これは俺の中で決めていたことで口にしていないのでクーが先に城まで飛んでいき責任者に伝えてもらうことにしていた。

「フランザ達はゼノウ達と合流してこっちに戻っとけ。
 兵士を先に逃がしてお前らは最後な」
「「了解です!」」

 2人からの返事を聞いてから俺は空へと上がった。
 瘴気を防ぐ壁の1枚も作れないし浄化もここまで広範囲が対象になればちょっと手の出しようがない俺は、
 とりあえず空から自分の目で状況を確認してから方針を決めようと思っての行動だ。

「さって、さてさて。どうなってるかな…」
『気付くのが遅れたとはいえ壁のおかげで人的被害は出なさそうですね。
 ニル達を空に配置していて正解だったです』
「フリューネの息吹ブレスとアルシェの氷の壁作りが異常に早いな。
 逆に土精は移動に時間が掛かっているな」

 人的被害が出ない可能性が高いとはいえ、
 このまま放置することも出来ないから早いうちに瘴気は全部浄化する必要がある。

「通路を壁で作れば俺と勇者と光精の3方向で浄化できるかも」
『放置していてもまた地面に染み込むとやり直しですからね。
 でも、最後に見た限りでは流石に勇者は限界が近いです』
「限界が来たら壁で閉じられるように側に土精を控えさせていれば休み休み出来るだろ。
 俺だけで良いからノイも休憩できるし良い作戦じゃん」
『剣が疲労で壊れるかもしれないですし、
 魔神族が出てこないとも限らないですよ。
 ボクがちゃんとマスターのサポートを最後までするです』

 愛い奴め。
 方針が決まれば最後の締めまでやりきりますか。
 一応各国の意見を聞いてから動き出す必要があるけど、
 他の意見がそう出るとも思えない。

 避難もこの分なら必要ないだろうし、
 その辺りも要相談ってところだな。
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