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閑話休題 -フォレストトーレ奪還戦争までの1か月-
閑話休題 -33話-[大戦対策と集まる仲間]
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フラムは末っ子として簡単に受け入れられた。
初の男の子、つまりは末っ子にして長男!
他は姉ばかりの環境だ。
俺との契約もまだないからどうだろうとも思ったけれど、
娘達は思いの外問題なく受け入れてくれた。
『フラムかわいい~!』
『お姉さま、そうも抱きしめてばかり居てはフラムもストレスですよ』
『ニルも遊びたいですわ-!』
『困ったら助けてあげるですけど、
アクアみたいに構い過ぎるのはどうかと思うですね』
『無精王に頼ってもいいんですよぉ~』
アクアはクーによく注意されていた。
フラムは核の強制加階分が足りていないので、
アクアとの位階差は2つある。
2歳児が人形を抱きしめているくらいのサイズ差があるのだ。
流石に無茶苦茶な扱いはしていない。
優しく姉の愛で包み込んでいるのだ。
晩ご飯が終わってからの寝る前の今の今までな。
「アクア、お前もベッドに入れ。
フラムも寝るからクーの言うとおり離してやれ」
『一緒に寝たい~』
「同じベッドだから一緒に寝ることになるだろ。
明日からもずっと一緒なんだから離しなさい。
それとも初日で苦手意識を植え付けたいのか?」
『嫌われるのは嫌・・・。
ごめんね、フラムゥ~』
『あ、あ、主ぃ~~~~!!』
フラムは初顔合わせの姉たちに面食らっていた。
自分には生き別れの姉がこんなに居たのかと。
違う。
初めて顔を合わす他属性の幼女達が親しげに甲斐甲斐しく構ってくるのだ。
当然戸惑う。
「おうおう、よしよし。1年前のアクアみたいに甘えん坊だな」
『アクア、そんなに甘えん坊じゃ無いよぉ~?』
「ほぉ・・・。じゃあシンクロして思い出させてあげような』
『あ~!もう寝る時間だ~!
ほらほらますた~もクー達も寝るよぉ~!』
形勢不利を悟ったアクアはベッドへ飛び込んだ。
何かを叫んでいるけど布団で籠もってしまい聞き取りづらい。
『お姉さまったら・・・。
お父さま、フラムと一緒に寝ても良いですか?』
「いいよ。フラムもお姉ちゃん達に早めに慣れなさい」
『うぅ~、主ぃ~・・・』
クーに掌に乗るフラムを差し出すと、
離れたくないと訴えるフラムをクーは容赦なく首根っこを加えて布団に潜っていく。
俺も寝る為に上げていた上半身をベッドへと投げだし、
枕の位置を整える。
ともすればお腹の上に軽い感触が登ってきた。
これはクーだ。
そしてその中心がいつもより暖かくなったことから母猫のように体の内側にフラムを抱き込んで寝始めたのだろう。
『ソウハチー・・・』
『ボク達もフラムと寝ても良いです?』
珍しい。
ニルとノイが長男坊と眠りたいと言い出したのだ。
流石は初の男兄弟!そんなに可愛いく映るのだろうか。
「別にいいよ。
アニマル形態であればそこまで重くないし」
『ありがとですわー!おやすみーのチュッ!』
『あ、じゃあおやすみ・・・です。っ!』
枕に沈み込んでいたので顔が近かったのもあり、
許可を出したらニルが去り際にほっぺたへキスをしてきた。
まぁ今はアニマル形態、つまりは子ウサギなので髭が当たってこそばゆい程度のもんだ。
続けてノイ。
こいつはニルの凶行をみて声を漏らした。
そして去り際に同じくキスをしてきたのだが、
こっちはトカゲなのでキスと言うより接触みたいな感触だった。
「みんな、おやすみ」
風の制御力を使って部屋のランプを消す。
クーの指定席は4人も寝ている事もあっていつもより圧迫感を感じるけれど、
姉弟が仲良くする為の儀式みたいなものだ。
父親は黙って我慢するものだ。寝てしまえば重さも気にならないし。
そんな物思いにふけっていると、
抑えてはいるものの布団の中からぎゃーぎゃーと声が聞こえ始めた。
『なんでみんな一緒に寝てるの~?』
『フラムと寝る為ですよ、お姉さま』
『フラムの近くは暖かくて気持ちいいんですのー』
『初日くらいは安心させる必要があるですからね』
『えぇ~、みんなズルいよ~。アクアも寝たかったのにぃ~』
長女が一番子供っぽい発言なのはどうなんだ、アクアよ。
『寝るならアニマル形態でお願いします、お姉さま』
『わかった~。おやすみ~フラム~』
『おやすみ、アクア姉様』
5姉妹から6姉弟になったが関係は良好に行きそうだ。
フラムはまだ契約してないけどね。
でも俺の匂いがするとかでみんな普通に受け入れていた。
俺ってそんなに臭いかな?
『精霊好きする魔力を持っているという事ですよ』
「本当か?」
お腹の上の娘達が寝静まった頃。
俺の心の声を聞いたのかアニマが姿を現した。
『まぁ四六時中一緒ですからね、なんだかんだで絆が強くなっているのですぅ。
あと精霊は魔力も匂いで感じるので臭いわけではないですぅ』
「臭くないならいいや」
そういえばアニマが顔を出したのは久々だ。
あまり他の姉妹と絡むのも苦手意識を持っているみたいだし、
呼び掛けた時か2人きりの時しか姿を現さないのだ。
「アニマさ、お前進化いつするんだ?」
『ワタクシ達無精は回復魔法しか基本は扱えません。
他の姉妹のように攻撃魔法だったり防御魔法だったりと多様な魔法が創れないですぅ。
宗八はそもそも回避ばかりでダメージを負わないでしょう?
ワタシクの回復魔法も効果時間を延ばしたり回復量を上げたものしかありませんから難しいのは宗八もわかってますよね?』
そうなのだ。
アクアは攻撃魔法、クーは支援魔法、ニルも支援魔法、ノイは防御魔法と特色がある。
フラムは火属性だからおそらく攻撃特化。
アクアよりも威力があっても他の色々が出来ないかもしれない。
しかし、無精は特色が無い。
戦闘中以外に出来ることがないので成長率も悪いのだ。
「わかっちゃいるけどさ・・・。
精霊王様がずっと小さいままってのもなぁ。
出来れば俺が居なくなったあとに独り立ち出来るくらいには成長してて貰いたいんだよ」
『ニルとほぼ同時期だったからそう思うのはわかるですぅ。
でも宗八の心配は杞憂。
ワタクシ達無精の成長が遅いのはいつものことですし、
サブマスターも必要ないですぅ』
「サブマスターは候補の検討も着かないな。
他の姉妹とお前は違うし不必要ってことなら探す手間が掛からずに済んでお得と考えるさ。
自分ではいつ頃の進化だと思っているんだ?」
『ん~~~、そうですねぇ。
おこぼれで成長もしていますからそろそろだと思いますよ?
なんだか申し訳ないですぅ。
これでも相当早い加階ですからねぇ』
アハハと頭をかきながら姉妹への感謝を口にするアニマ。
そろそろ進化という事は3ヶ月くらいか?
核からの進化であれば1度目の進化はだいたい英才教育で1ヶ月。
無精は諸事情により英才教育が出来ないけれど、
純粋培養の精霊に比べればまだまだずいぶんと早い。
『わわっ!何をするんですぅ!』
「馬鹿、静かにしろ。馬鹿」
突如夜中に騒ぐアニマの原因。
それは俺が枕元に立っていたアニマを掻き抱いたからだ。
『ば、馬鹿とはなんですか!それも2度も!
こんな態でも精霊王ですよっ!そう簡単に絆されないですぅ!』
そういうとアニマの感触が軽くなる。
瞬間理解した。
いつもの浮遊精霊の鎧に戻ろうとしているな、と。
「アニマを追い出せ、絶対に戻すな」
『あ、ちょちょっと!
貴方たち!王と精霊使いとどちらが偉いと思っているのですか!
追い出さないで~~!!』
「残念だったな」
『宗八ぃ~~~~~』
ぷるぷるして怒る精霊王様。
ぽかぽかと俺を殴っているけれど所詮核での加階しか済んでいないので痛くもかゆくもない。蚊に刺されたようなとはこのことだろう。
「今日は全員布団の中だから甘えてるところ見られないぞ」
『それでもですぅ・・・。
王の威厳とかこの核を通じて発生していると思われるこの想いとか。
まだ慣れないんですぅ・・・』
「王様は大変だな。
少しはアルシェを見習ったらどうだ?」
『あれは親愛じゃないですから参考にならないですぅ。
もういい。宗八もさっさと寝なさい!』
「はいはい、おやすみアニマ」
『抱きしめるのは止めませんか?』
「おやすみアニマ」
『んも~!おやすみなさい宗八』
アニマのクレームを無視し続けると彼女は諦めて寝始めた。
アニマは大昔の精霊だし、
誰か特定の人と親しくなる人生を送ったことが無いのだろう。
それこそ精霊の中でも伝説になるほどなのだから、
誰にも頼らずとも事を成せる完璧精霊としても一面もあると思う。
最初に核に込めるのは魔力は俺の魔力オンリー。
そして次の進化の際には俺と精霊の魔力が半々となり専用核が造られる。
どちらにしろ俺の魔力が核に使われており、
契約も重なると親に対する無条件の愛が産まれてもおかしくは無い。
その愛にアニマは戸惑っているのだ。
だから待とう。
この小さな王様が自分から甘え始めるその時まで。
朝のなると何故かアニマが俺に抱きついて寝ていると姉妹が話し合っていた。
誰かがトイレに起きた際に俺とアニマが並んで寝ている姿を見たのだろう。
あとで真っ赤な顔のアニマに蹴られたのは甘んじて受けた。
* * * * *
フラムが仲間に加わりまた数日が過ぎた。
その間に強化依頼していた指輪の受け取りと夏の避暑についてユレイアルド神聖教国に行った。
ついでに光属性の装備を使う人材を選出した。
対象者は純戦士ではなく魔法にもステータスを振り分けている万能型。
敵の多くは瘴気を纏う瘴気モンスター。
纏った状態だと浮遊精霊の鎧と同じ効果を発揮し、
体を斬って殺す事が出来ずHP勝負になってしまう。
それを回避する為には瘴気を払う光竜一閃または類する攻撃。
もしくは光属性武器での直接攻撃。
前者は祓う事が目的なので広範囲を浄化し、
剥がされたモンスターをお仲間が殺すという感じ。
後者は光属性武器の装備者がそのまま戦う事を意味するので対象は1体のみだ。
候補者は全員スライムの核で無精と契約させた。
以降の専用核についてはまだ伝えていない。
無精は無精王アニマのおかげで、
俺の使える魔法がアニマを通して無精全員が通常の3割程度の威力で他属性魔法が扱える。
光魔法は[ライトボール]。明かりを確保する魔法だ。
これはカティナに魔導書を用意して貰った。
無精の役割は剣に魔法を込める事と限界値のサポートの2つ。
魔法を込めた光属性武器で序盤は戦う。
倒した瘴気モンスターはその場に瘴気を残して時間が経てばそこから別のモンスターが産まれる。
しかしその程度の規模ならば光属性武器でさっと祓える。
魔法は剣の内部で反復増幅し続けるが、
魔力が低いので溜まるには時間が掛かる。
そして限界に近づいたら魔法剣をぶっぱなして広範囲を祓う。
普通の武器でもいいけど、
その都度武器も壊れる事を考えるとあまり得策じゃ無い。
なぜなら瘴気は祓わない限りほぼ無尽蔵にモンスターを生み出し続けるのだから、
武器を消耗品扱いしていては費用も物資も終わりが無くなってしまう。
それを土の国にも同じように行った。
選抜者の使い方は各国に任せるが、
うまく扱わないといつまで経っても前進出来ないだけではなく消耗するだけになる。
なんといっても今回はどのくらい期間が掛かるかわからないほど事が大きいのだ。
夜の運用も考えないといけない。
アスペラルダは早いうちから将軍達に無精の契約をさせていた。
訓練方法なども最新の情報を一番に受け取れていたのも大きい。
レベルの低い兵士の中には万能型が多くなった。
魔法訓練にその兵士達が混ざる事も増え扱いに慣れている者の中には普通の剣でも壊さないラインでコンスタントに一閃が扱える奴が出てきている。
正直めっちゃ頼もしい。
将軍達もレベルが上がった分を魔法に回して同じく普通の武器でも扱えるようになっていた。
これもデカい。
アスペラルダは俺が出なくても瘴気モンスターの処理に手が回るので、
他の国を支援する余裕が産まれた。
まぁ、余裕と言えるかどうか微妙だけど。
それと助っ人も来てくれることになった。
「あっちに行く当日に迎えに行ってあげてちょうだい」
「本当によろしいのですか?
全員役割があってその地域に派遣しているのでしょう?」
「命令したわけではないもの。
呼び出してどうしたいかを確認したのよ」
俺と対話しているのはナデージュ王妃様だ。
あ、アルシェの母親ね。
「私も後ろから祈るだけというのも嫌ですからね。
自分で動かないのは申し訳ないけど・・・」
「いえ、お立場を考えれば最良の手段ですし、
こちらとしては助かるのでこれ以上にない支援です」
「ふふふ、席を外している間の代理は立てています。
迎えに行ったときに会えるでしょう。
それでも何かあればすぐに戻って貰うことになる可能性も捨て置けないので」
「わかりました。
いつでも戻せるように準備だけはしておきます。
しかし3人共とは驚きました。
連絡したときはそんな事言っていませんでしたし」
「聴取はそれなりに早いうちにしたのよ?
もしかしたら驚かせたくて黙っていたのかも・・・。
悪いことしたかしら」
お上品に頬に手を当て首コテン。
流石は王妃様だ。
しかし、水精の3人が助っ人に来てくれるのは正直助かる。
まずスィーネ。
こいつはポルタフォール周辺の守護者だ。
基本的にアクアの先生になってもらう事が多いが見た目は中学生くらい。
もちろん実年齢は純粋培養の精霊なので100は超えている。
次にボジャ様。
この方はアクアポッツォ周辺の守護者で、
大精霊の一歩手前の精霊に当たる上位位階の精霊だ。
位階はボジャノーイ。
元はめちゃくちゃデカい蛙だったけど、
カエル妖精の村に行く際に人型になってもらったからアスペラルダの兵士と合流しても驚かれることはないだろう。
見た目はエラがあるおじいちゃんだ。
この2人は守護者。つまりは護り特化の精霊。
防御は任せてうちのPTが前に出やすくなるってことだ。
大変にありがたい好意に感謝しかない。
最後にポシェント。位階は攻撃特化のポセイドン。
こいつも上位位階の精霊のはずだけど、
見た目も20台後半って感じだし一緒に戦闘もこなした事で戦友って感覚。
槍の技もすごく心強い。
いや、先に合流しておいてアクアとアルシェの訓練に付き合って貰おうかな?
「王妃様、最短での合流はいつ頃になりますか?」
「代理の者は近くにいる精霊を向かわせています。
丁度今頃到着していることでしょう。
今日中に確認しておきましょう」
「ありがとうございます」
大戦まで1週間はある。
十分技術や経験を補う時間はあるな。
俺も迷宮を探索したい。
迷宮はダンジョンと違って自然に出来上がった代物だ。。
アルカトラズ様の様な管理者もいないので、
優しさで敵も再配置される事がなければ暗闇で先が本当に見えないし、
宝箱も配置されていない。敵も全て魔物。
お宝は一番奥に集められていて、
その迷宮で一番強い魔物がBOSSとして存在しているらしい。
さながら魔物マンションが迷宮というものだ。
大家さん殺せば宝が貰えるタイプのな・・・。
現実世界ならマンションの権利書とかが宝なのかな?
攻略に時間が経てば経つほどモンスターは世代交代して強くなっていく。
相応に宝の質も良くなるけれど、
高くなりすぎると攻略するために犠牲が多く出る。
アーティファクトも迷宮の奥に流れ着くらしいし、
手に出来るチャンスがあればやりたいとは常々考えていた。
でも実際エンドコンテンツなのだ。
敵のランクが安定せず高いときはレベル100の冒険者PTでも殺される時がある。
ちょこちょこ調査は行っているとのことだが、
ちょっとの期間を開けただけで3ランク上がっている事もあるらしい。
そんな感じでフォレストトーレ大戦の準備は着々と進んでおります。
初の男の子、つまりは末っ子にして長男!
他は姉ばかりの環境だ。
俺との契約もまだないからどうだろうとも思ったけれど、
娘達は思いの外問題なく受け入れてくれた。
『フラムかわいい~!』
『お姉さま、そうも抱きしめてばかり居てはフラムもストレスですよ』
『ニルも遊びたいですわ-!』
『困ったら助けてあげるですけど、
アクアみたいに構い過ぎるのはどうかと思うですね』
『無精王に頼ってもいいんですよぉ~』
アクアはクーによく注意されていた。
フラムは核の強制加階分が足りていないので、
アクアとの位階差は2つある。
2歳児が人形を抱きしめているくらいのサイズ差があるのだ。
流石に無茶苦茶な扱いはしていない。
優しく姉の愛で包み込んでいるのだ。
晩ご飯が終わってからの寝る前の今の今までな。
「アクア、お前もベッドに入れ。
フラムも寝るからクーの言うとおり離してやれ」
『一緒に寝たい~』
「同じベッドだから一緒に寝ることになるだろ。
明日からもずっと一緒なんだから離しなさい。
それとも初日で苦手意識を植え付けたいのか?」
『嫌われるのは嫌・・・。
ごめんね、フラムゥ~』
『あ、あ、主ぃ~~~~!!』
フラムは初顔合わせの姉たちに面食らっていた。
自分には生き別れの姉がこんなに居たのかと。
違う。
初めて顔を合わす他属性の幼女達が親しげに甲斐甲斐しく構ってくるのだ。
当然戸惑う。
「おうおう、よしよし。1年前のアクアみたいに甘えん坊だな」
『アクア、そんなに甘えん坊じゃ無いよぉ~?』
「ほぉ・・・。じゃあシンクロして思い出させてあげような』
『あ~!もう寝る時間だ~!
ほらほらますた~もクー達も寝るよぉ~!』
形勢不利を悟ったアクアはベッドへ飛び込んだ。
何かを叫んでいるけど布団で籠もってしまい聞き取りづらい。
『お姉さまったら・・・。
お父さま、フラムと一緒に寝ても良いですか?』
「いいよ。フラムもお姉ちゃん達に早めに慣れなさい」
『うぅ~、主ぃ~・・・』
クーに掌に乗るフラムを差し出すと、
離れたくないと訴えるフラムをクーは容赦なく首根っこを加えて布団に潜っていく。
俺も寝る為に上げていた上半身をベッドへと投げだし、
枕の位置を整える。
ともすればお腹の上に軽い感触が登ってきた。
これはクーだ。
そしてその中心がいつもより暖かくなったことから母猫のように体の内側にフラムを抱き込んで寝始めたのだろう。
『ソウハチー・・・』
『ボク達もフラムと寝ても良いです?』
珍しい。
ニルとノイが長男坊と眠りたいと言い出したのだ。
流石は初の男兄弟!そんなに可愛いく映るのだろうか。
「別にいいよ。
アニマル形態であればそこまで重くないし」
『ありがとですわー!おやすみーのチュッ!』
『あ、じゃあおやすみ・・・です。っ!』
枕に沈み込んでいたので顔が近かったのもあり、
許可を出したらニルが去り際にほっぺたへキスをしてきた。
まぁ今はアニマル形態、つまりは子ウサギなので髭が当たってこそばゆい程度のもんだ。
続けてノイ。
こいつはニルの凶行をみて声を漏らした。
そして去り際に同じくキスをしてきたのだが、
こっちはトカゲなのでキスと言うより接触みたいな感触だった。
「みんな、おやすみ」
風の制御力を使って部屋のランプを消す。
クーの指定席は4人も寝ている事もあっていつもより圧迫感を感じるけれど、
姉弟が仲良くする為の儀式みたいなものだ。
父親は黙って我慢するものだ。寝てしまえば重さも気にならないし。
そんな物思いにふけっていると、
抑えてはいるものの布団の中からぎゃーぎゃーと声が聞こえ始めた。
『なんでみんな一緒に寝てるの~?』
『フラムと寝る為ですよ、お姉さま』
『フラムの近くは暖かくて気持ちいいんですのー』
『初日くらいは安心させる必要があるですからね』
『えぇ~、みんなズルいよ~。アクアも寝たかったのにぃ~』
長女が一番子供っぽい発言なのはどうなんだ、アクアよ。
『寝るならアニマル形態でお願いします、お姉さま』
『わかった~。おやすみ~フラム~』
『おやすみ、アクア姉様』
5姉妹から6姉弟になったが関係は良好に行きそうだ。
フラムはまだ契約してないけどね。
でも俺の匂いがするとかでみんな普通に受け入れていた。
俺ってそんなに臭いかな?
『精霊好きする魔力を持っているという事ですよ』
「本当か?」
お腹の上の娘達が寝静まった頃。
俺の心の声を聞いたのかアニマが姿を現した。
『まぁ四六時中一緒ですからね、なんだかんだで絆が強くなっているのですぅ。
あと精霊は魔力も匂いで感じるので臭いわけではないですぅ』
「臭くないならいいや」
そういえばアニマが顔を出したのは久々だ。
あまり他の姉妹と絡むのも苦手意識を持っているみたいだし、
呼び掛けた時か2人きりの時しか姿を現さないのだ。
「アニマさ、お前進化いつするんだ?」
『ワタクシ達無精は回復魔法しか基本は扱えません。
他の姉妹のように攻撃魔法だったり防御魔法だったりと多様な魔法が創れないですぅ。
宗八はそもそも回避ばかりでダメージを負わないでしょう?
ワタシクの回復魔法も効果時間を延ばしたり回復量を上げたものしかありませんから難しいのは宗八もわかってますよね?』
そうなのだ。
アクアは攻撃魔法、クーは支援魔法、ニルも支援魔法、ノイは防御魔法と特色がある。
フラムは火属性だからおそらく攻撃特化。
アクアよりも威力があっても他の色々が出来ないかもしれない。
しかし、無精は特色が無い。
戦闘中以外に出来ることがないので成長率も悪いのだ。
「わかっちゃいるけどさ・・・。
精霊王様がずっと小さいままってのもなぁ。
出来れば俺が居なくなったあとに独り立ち出来るくらいには成長してて貰いたいんだよ」
『ニルとほぼ同時期だったからそう思うのはわかるですぅ。
でも宗八の心配は杞憂。
ワタクシ達無精の成長が遅いのはいつものことですし、
サブマスターも必要ないですぅ』
「サブマスターは候補の検討も着かないな。
他の姉妹とお前は違うし不必要ってことなら探す手間が掛からずに済んでお得と考えるさ。
自分ではいつ頃の進化だと思っているんだ?」
『ん~~~、そうですねぇ。
おこぼれで成長もしていますからそろそろだと思いますよ?
なんだか申し訳ないですぅ。
これでも相当早い加階ですからねぇ』
アハハと頭をかきながら姉妹への感謝を口にするアニマ。
そろそろ進化という事は3ヶ月くらいか?
核からの進化であれば1度目の進化はだいたい英才教育で1ヶ月。
無精は諸事情により英才教育が出来ないけれど、
純粋培養の精霊に比べればまだまだずいぶんと早い。
『わわっ!何をするんですぅ!』
「馬鹿、静かにしろ。馬鹿」
突如夜中に騒ぐアニマの原因。
それは俺が枕元に立っていたアニマを掻き抱いたからだ。
『ば、馬鹿とはなんですか!それも2度も!
こんな態でも精霊王ですよっ!そう簡単に絆されないですぅ!』
そういうとアニマの感触が軽くなる。
瞬間理解した。
いつもの浮遊精霊の鎧に戻ろうとしているな、と。
「アニマを追い出せ、絶対に戻すな」
『あ、ちょちょっと!
貴方たち!王と精霊使いとどちらが偉いと思っているのですか!
追い出さないで~~!!』
「残念だったな」
『宗八ぃ~~~~~』
ぷるぷるして怒る精霊王様。
ぽかぽかと俺を殴っているけれど所詮核での加階しか済んでいないので痛くもかゆくもない。蚊に刺されたようなとはこのことだろう。
「今日は全員布団の中だから甘えてるところ見られないぞ」
『それでもですぅ・・・。
王の威厳とかこの核を通じて発生していると思われるこの想いとか。
まだ慣れないんですぅ・・・』
「王様は大変だな。
少しはアルシェを見習ったらどうだ?」
『あれは親愛じゃないですから参考にならないですぅ。
もういい。宗八もさっさと寝なさい!』
「はいはい、おやすみアニマ」
『抱きしめるのは止めませんか?』
「おやすみアニマ」
『んも~!おやすみなさい宗八』
アニマのクレームを無視し続けると彼女は諦めて寝始めた。
アニマは大昔の精霊だし、
誰か特定の人と親しくなる人生を送ったことが無いのだろう。
それこそ精霊の中でも伝説になるほどなのだから、
誰にも頼らずとも事を成せる完璧精霊としても一面もあると思う。
最初に核に込めるのは魔力は俺の魔力オンリー。
そして次の進化の際には俺と精霊の魔力が半々となり専用核が造られる。
どちらにしろ俺の魔力が核に使われており、
契約も重なると親に対する無条件の愛が産まれてもおかしくは無い。
その愛にアニマは戸惑っているのだ。
だから待とう。
この小さな王様が自分から甘え始めるその時まで。
朝のなると何故かアニマが俺に抱きついて寝ていると姉妹が話し合っていた。
誰かがトイレに起きた際に俺とアニマが並んで寝ている姿を見たのだろう。
あとで真っ赤な顔のアニマに蹴られたのは甘んじて受けた。
* * * * *
フラムが仲間に加わりまた数日が過ぎた。
その間に強化依頼していた指輪の受け取りと夏の避暑についてユレイアルド神聖教国に行った。
ついでに光属性の装備を使う人材を選出した。
対象者は純戦士ではなく魔法にもステータスを振り分けている万能型。
敵の多くは瘴気を纏う瘴気モンスター。
纏った状態だと浮遊精霊の鎧と同じ効果を発揮し、
体を斬って殺す事が出来ずHP勝負になってしまう。
それを回避する為には瘴気を払う光竜一閃または類する攻撃。
もしくは光属性武器での直接攻撃。
前者は祓う事が目的なので広範囲を浄化し、
剥がされたモンスターをお仲間が殺すという感じ。
後者は光属性武器の装備者がそのまま戦う事を意味するので対象は1体のみだ。
候補者は全員スライムの核で無精と契約させた。
以降の専用核についてはまだ伝えていない。
無精は無精王アニマのおかげで、
俺の使える魔法がアニマを通して無精全員が通常の3割程度の威力で他属性魔法が扱える。
光魔法は[ライトボール]。明かりを確保する魔法だ。
これはカティナに魔導書を用意して貰った。
無精の役割は剣に魔法を込める事と限界値のサポートの2つ。
魔法を込めた光属性武器で序盤は戦う。
倒した瘴気モンスターはその場に瘴気を残して時間が経てばそこから別のモンスターが産まれる。
しかしその程度の規模ならば光属性武器でさっと祓える。
魔法は剣の内部で反復増幅し続けるが、
魔力が低いので溜まるには時間が掛かる。
そして限界に近づいたら魔法剣をぶっぱなして広範囲を祓う。
普通の武器でもいいけど、
その都度武器も壊れる事を考えるとあまり得策じゃ無い。
なぜなら瘴気は祓わない限りほぼ無尽蔵にモンスターを生み出し続けるのだから、
武器を消耗品扱いしていては費用も物資も終わりが無くなってしまう。
それを土の国にも同じように行った。
選抜者の使い方は各国に任せるが、
うまく扱わないといつまで経っても前進出来ないだけではなく消耗するだけになる。
なんといっても今回はどのくらい期間が掛かるかわからないほど事が大きいのだ。
夜の運用も考えないといけない。
アスペラルダは早いうちから将軍達に無精の契約をさせていた。
訓練方法なども最新の情報を一番に受け取れていたのも大きい。
レベルの低い兵士の中には万能型が多くなった。
魔法訓練にその兵士達が混ざる事も増え扱いに慣れている者の中には普通の剣でも壊さないラインでコンスタントに一閃が扱える奴が出てきている。
正直めっちゃ頼もしい。
将軍達もレベルが上がった分を魔法に回して同じく普通の武器でも扱えるようになっていた。
これもデカい。
アスペラルダは俺が出なくても瘴気モンスターの処理に手が回るので、
他の国を支援する余裕が産まれた。
まぁ、余裕と言えるかどうか微妙だけど。
それと助っ人も来てくれることになった。
「あっちに行く当日に迎えに行ってあげてちょうだい」
「本当によろしいのですか?
全員役割があってその地域に派遣しているのでしょう?」
「命令したわけではないもの。
呼び出してどうしたいかを確認したのよ」
俺と対話しているのはナデージュ王妃様だ。
あ、アルシェの母親ね。
「私も後ろから祈るだけというのも嫌ですからね。
自分で動かないのは申し訳ないけど・・・」
「いえ、お立場を考えれば最良の手段ですし、
こちらとしては助かるのでこれ以上にない支援です」
「ふふふ、席を外している間の代理は立てています。
迎えに行ったときに会えるでしょう。
それでも何かあればすぐに戻って貰うことになる可能性も捨て置けないので」
「わかりました。
いつでも戻せるように準備だけはしておきます。
しかし3人共とは驚きました。
連絡したときはそんな事言っていませんでしたし」
「聴取はそれなりに早いうちにしたのよ?
もしかしたら驚かせたくて黙っていたのかも・・・。
悪いことしたかしら」
お上品に頬に手を当て首コテン。
流石は王妃様だ。
しかし、水精の3人が助っ人に来てくれるのは正直助かる。
まずスィーネ。
こいつはポルタフォール周辺の守護者だ。
基本的にアクアの先生になってもらう事が多いが見た目は中学生くらい。
もちろん実年齢は純粋培養の精霊なので100は超えている。
次にボジャ様。
この方はアクアポッツォ周辺の守護者で、
大精霊の一歩手前の精霊に当たる上位位階の精霊だ。
位階はボジャノーイ。
元はめちゃくちゃデカい蛙だったけど、
カエル妖精の村に行く際に人型になってもらったからアスペラルダの兵士と合流しても驚かれることはないだろう。
見た目はエラがあるおじいちゃんだ。
この2人は守護者。つまりは護り特化の精霊。
防御は任せてうちのPTが前に出やすくなるってことだ。
大変にありがたい好意に感謝しかない。
最後にポシェント。位階は攻撃特化のポセイドン。
こいつも上位位階の精霊のはずだけど、
見た目も20台後半って感じだし一緒に戦闘もこなした事で戦友って感覚。
槍の技もすごく心強い。
いや、先に合流しておいてアクアとアルシェの訓練に付き合って貰おうかな?
「王妃様、最短での合流はいつ頃になりますか?」
「代理の者は近くにいる精霊を向かわせています。
丁度今頃到着していることでしょう。
今日中に確認しておきましょう」
「ありがとうございます」
大戦まで1週間はある。
十分技術や経験を補う時間はあるな。
俺も迷宮を探索したい。
迷宮はダンジョンと違って自然に出来上がった代物だ。。
アルカトラズ様の様な管理者もいないので、
優しさで敵も再配置される事がなければ暗闇で先が本当に見えないし、
宝箱も配置されていない。敵も全て魔物。
お宝は一番奥に集められていて、
その迷宮で一番強い魔物がBOSSとして存在しているらしい。
さながら魔物マンションが迷宮というものだ。
大家さん殺せば宝が貰えるタイプのな・・・。
現実世界ならマンションの権利書とかが宝なのかな?
攻略に時間が経てば経つほどモンスターは世代交代して強くなっていく。
相応に宝の質も良くなるけれど、
高くなりすぎると攻略するために犠牲が多く出る。
アーティファクトも迷宮の奥に流れ着くらしいし、
手に出来るチャンスがあればやりたいとは常々考えていた。
でも実際エンドコンテンツなのだ。
敵のランクが安定せず高いときはレベル100の冒険者PTでも殺される時がある。
ちょこちょこ調査は行っているとのことだが、
ちょっとの期間を開けただけで3ランク上がっている事もあるらしい。
そんな感じでフォレストトーレ大戦の準備は着々と進んでおります。
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