特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重

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第10章 -青龍の住む島、龍の巣編Ⅰ-

†第10章† -10話-[氷垢のステルシャトー]

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 人や魔物、自然魔力を消失させるだけでは足りなかったのか、
 6本もあるオベリスクの効果範囲は今までで最大の1㎞となっていた。

 頭上を泳ぐ鎧魚の死角から大広間へと体を潜り込ませた瞬間、
 オベリスク6重の重圧が俺とノイにのし掛かり、
 一瞬土精霊纏エレメンタライズが解けそうになる感覚に襲われたが、
 自身を包む魔力放出量を上げて二つに分かれそうになった俺たちは、
 再び重なり合う感覚に持ち直した。

 オベリスクまでの距離が1㎞ということは、
 俺の魔力縮地まりょくしゅくちが1歩で10m・・・ならば、
 1000m先に着くまでに100歩が必要となる。
 その間、俺は魔力縮地まりょくしゅくちの制御と移動に伴う風の流れで察知されないように制御で抑え、
 クーはシンクロ状態で得られる情報から簡易隠遁ミスディレクション虚蝉うつせみで敵からの攻撃回避を主とし、
 ノイはクーの回避が出来なかった際の最終防壁としてオプションの聖壁の欠片モノリスをいつでも出せる準備を整えて・・・。

 まず1歩。
 これで鎧魚の半分まで体は進み、
 途中で下鰭したびれに当たりそうになり首をとっさに曲げて回避した。
 2歩で鎧魚を抜けた俺たちの視界は広がり、
 300m程先では俺が助けたフロスト・ドラゴンが潜口魚かいこうぎょと戦っているけれど、
 どこに魚がいるのか索敵出来ずに防御を固めるだけで対抗出来ていない。

 死ななければいいから今はそのまま囮として戦い続けていてくれ。

『(マスター、雪が積もっていて舞いそうですっ!)』
「(風の逆巻きが地面まで届いていないから軽い雪が積もってるのかっ!?)」

 ノイの忠告から慌てて地面から離れる。
 雪が多少積もっていることは元より認識はしていたから、
 足跡が付かないようにと若干浮かせて駆け抜けていたのだが、
 どうやらもう少し高い空中を駆けないと危ないらしい。

 後ろの戦闘音が遠ざかり、
 右側での戦闘が視界から外れ、
 俺たちは残り300mというところまで一気に駆け抜ける事に成功した。
 オベリスクに近づけば近づく程に増していく重圧に出す足が重くなり、
 1歩前に出すこの一瞬一瞬があまりに長く感じ過ぎて、
 敵に丸見えなのではないかと不安な気持ちになる。

 ・・・ュッ。
 不安を感じながら前に進み、残るは200mというところまで来た時。
 何かが視界に映ったような気がすると時を同じく、
 耳にも何かが通ったという情報が残る。

『(お父さま!前方から何かが高速で接近し攻撃されていますっ!)』

 始めに気づいたのはクー。
 自身の魔法で作り上げた虚蝉うつせみが俺の代わりに被弾し、
 その姿が消え失せた為、慌てて俺に状況報告をする。

『(互いが高速で向かい合っている為視認は出来ません。
 おそらく向こうはそれほど速くはありませんが、
 数は多く撃ってきている模様。正確な位置は把握されていないと思われます)』
「(当てずっぽうの1発が当たったってか?
 だが、魔神族はあのポーズから動いてないぞ?)」
『(であれば、元から設置していたということです。
 ここまで近くまで来てやっと攻撃が開始されたということは、
 防衛型の攻撃と予想するです!)』
「(ノイ、後ろを確認できるか?)」
『ちょっと待つですよ・・・、あれは・・・・あれも魚ですよ!
 普通サイズの魚が弾丸のように飛び回っているです!』

 纏うことで俺を軸に360°を視認出来るノイが、
 通り過ぎた物体Xを確認することで予想外の正体が判明した。
 それはアレに比べれば小さい個体ではあるが、
 数えるのも面倒な程に数が多く、
 デカイ二匹が攻撃主体で小さい群れが防衛を担当しているのだろう。

 ・・・ュッ・・・ュッ・ュッ・・・ュッ・・・ュッ!

 視界には一瞬しか映らなくとも、
 音とその姿で通り過ぎていく数がブルー・ドラゴンに近づくにつれてどんどん多くなっていくのがわかる。

 ・・・ュッュッ・・ュッ・・ュッ・・ュッ・ュッ・・・ュッ!
 ・・・ュッ・・・ュッ・ュッ・ュッ・・・ュッュッ・・・ュッ!

 何匹いるんだよっ!?
 幸い簡易隠遁ミスディレクションで姿が見えないように細工しているとはいえ、
 初めの虚蝉被弾からおおよその位置をあの群れが計算し始めているのか、
 近くを通っていく個体が徐々に増えていく。

 残り50m、残り・・・5歩!

『(ここっ!)』

 ガギィィィィィィィィン!
 左胸に当たる1m手前で正面から高速で向かって来た魚の1匹が、
 六角形の盾に防がれて目の前でブルブルブルと反動で震えているのが見える。
 攻撃を防いだのはノイのオプションである[聖壁の欠片モノリス]。
 合計8つの六角形の小さな盾群から成るオプションで、
 魔力を付与すれば一回り大きな魔力盾を精製する防御に特化したアイテムだ。

 そのひとつで防がれた物体は鼻先が剣のように鋭利な形をしており、
 聖壁の欠片モノリスに刺さった反動が収まると、
 ギロリを俺を見た後に鼻先を外して離れていった。
 魚と目が合う機会なんてないから後から思い出すだけでも気味が悪いんだよなぁ。

『(バレました!)』
「ノイ!」
『おおおおおおおおおおおおおお!!』

 1匹が俺たちの位置を正確に把握してからは、
 群れ全体が俺達目掛けて切っ先を刺そうと襲いかかってきたのを、
 ノイが気合いの入った声をあげながら8つの小盾を変幻自在に操って、
 全て防いで行く。
 結果、1つの小盾に4~6匹の魚が刺さることとなり、
 防衛魚群を突破した俺たちは改めて魔神族の前へと躍り出ることとなった。

 魚群の突進で勢いの削がれた俺たちが、
 オベリスクに向けて再度踏み込む一瞬に魔神族の少女と視線が絡む。
 ゾクッ・・・。
 その瞳には底の見えぬ闇が見え、
 ネジが飛んでいるだとか狂っているだとか、
 そんな陳腐な言葉では言い表しようのない深淵を垣間見た気がして、
 背筋が一気に冷え込んだ。

「あら、あの龍たちが何故ここに来られたのかと疑問に思っていたのだけれど、
 まさかこんな辺境の島に人間が紛れているなんて・・・不覚なのだわ」

 耳に届く綺麗な声とは裏腹に、
 腹の底からは不快感がムカムカと主張を始め、
 目の前の女は生理的に受け付けないぞと伝えてくる。
 その言葉に従い、
 魔神族の言葉を無視して俺たちは最も近いオベリスクへと近づき殴打を繰り出す。

「それはダメなのだわ。
 せっかく長い時間楽しみに待っている事を取り上げるなんて、
 ひどい人間が居たものだわ」

 しかしその拳は、
 素早く精製された氷の盾に防がれてしまいオベリスクへは一歩届かぬところで止められてしまった。
 俺たち最大の重撃であるノイを纏った[不動]の一撃をだ。

「貴方たちに壊すことは絶対に出来ない氷なのだわ。
 諦めて帰るなら見逃してあげるのだわ」

 単純に不動の特性で重く威力のある拳を止められたからと言って、
 ここで引くことも最早出来ない!
 氷が砕けないのであればその向こうへ届かせればいい話!
 後ろで引き絞っていた左拳を前に出しながらシンクロしているもう1人の愛娘へと託す。

「クーっ!」
『(お任せを!思い切り振り抜いて下さいっ!)』
『「おおおおおおおおおお!!」』

 俺たちの咆哮と共に振り抜かれる左腕は、
 次の瞬間には強固な氷の盾に触れる事なく貫通してオベリスクへと届き破壊を成す。
 6重苦の現状では魔力消費が大きく普段であれば厳しい運用だが、
 今は魔力タンクがいるから遠慮無く魔力を惜しげも無くつぎ込み、
 クーの時空制御によって拳は氷の手前で消え失せ、
 その向こうに繋がるゲートから再び出現してオベリスクを一本ようやっと破壊することに成功した。

「っ!どういう事なのだわっ!」

 見た目だけであれば無手である俺たちが、
 時空を超える拳を持ってオベリスクを破壊するなど夢にも思っていかなかったのか、
 魔神族と思しき少女は血相を変えて立ち上がり怒りに満ちている。

「私の楽しみを奪うという事がッ!
 どういう事かッ!分かっているのだわッ!?」
「分かりたくはないですねぇ~っと!」
「何ッ!?」

 突如発生した暴風に腕でガードしつつ眼を細める。
 視界には翠色の羽?いや、大きさ的には翼を言っても過言では無い。
 言葉を吐いた相手ではなく居もしない女の声が、
 氷の少女の背後からバキバキンッ!とオベリスクが追加で破壊されるような音2つと共に響いてきた。

 中空を舞う折れたオベリスクは俺が壊したものがひとつ。
 そして。

「これで残るは3つ!」
『パパッと壊しますわー!』

 天井から見える大きく開いた空から強襲を掛けたマリエルとニルが破壊したのが2つ。
 残るはマリエルの言う通り3つだが、
 位置が連続して破壊出来るものではなかったのでひとまずは手を止めざるを得なかった。
 しかし、俺はそれどころではなかった。

「マ・・・ッ!?」

 リエル!?と続きそうになった言葉を飲み込む。
 魔神族サイドに俺も含めて仲間の情報をすっぱ抜かれないように、
 名前も敵の前では呼ばないようにした為だ。
 というか、俺はアルシェと合流しろと指示を出したのになんでここに来てるんだよ!

「(ニル!制限をかけろっ!)」
『あいさーですわー!』

 俺の指示でニルがマリエルに掛かっている魔法の[限定解除リミットリリース]を再制限すると、
 マリエルの足に装着された魔法で出来た靴から生えた翠色の翼は態を潜め、
 急激に収縮して行くと元から無かったかのように完全に翼は消失した。

「・・・貴方たち、何者なのだわ?
 シュティーナの言っていた人間とは貴方たちの事なの?」
「シュティーナが誰かは存じ上げないが、
 とりあえずこの島は龍が平穏に住む土地なんでな・・・、
 部外者は出て行ってくれないか?」

 オベリスクが破壊しきれては以内ものの、
 3本破壊したことで背後のフロスト・ドラゴン達が多少持ち直してくれると邪魔を気にしなくて良くなるんだが・・・。
 残念ながら視線を向ける余裕は無さそうだ・・・。

 およそ説得とも言えない戯れ言で退去願いを口にしている正面で、
 氷の少女の圧力がどんどんと増大していくのがわかる。
 このプレッシャーなら間違いないだろう。

 こいつは・・・魔神族だ。


 * * * * *
 氷の少女が腕を振るうと豪奢なメイスがそこに出現し、
 怒りの赴くままに乱暴な手つきでそれを手にした。

「生きて帰しはしないのだわ。
 氷垢ひょうくのステルシャトーが貴方たちを代わりの玩具にするのだわ」
「それは御免被る。ガキはもう家に帰ったほうがいい」

 ステルシャトーは名乗りを上げながら自身を隠すフード付き外套を外すと、
 メイスをこちらへと向けながら強い言葉を発する。
 外套の下から出てきた衣装は、
 見たことも無いゆったりした魔法使い然とした格好に、
 肩部分から体から浮いていて引き摺るレベルで長いマントを装備している。
 はためいている事から布の類いである事は間違いなさそうなのに、
 以前の報告通りに魔力の導線のようなラインが服とマントの至る所に施されている。

「(マリエルは動けないか?)」
『(真正面から初めて魔神族の威圧を受けましたから無理ですわねー)』

 ちらりと横目で確認しても顔色がよろしくはない。
 最悪ちびってる。

「(俺たちが時間を稼ぐから、
 一旦下がってアルシェ達と合流しろ)」
『(かしこまりですわー!)』

 どっちにしろ今の魔力消費量で二人分の全力戦闘は、
 メグイヌオールでも長くは持たないだろう。
 残る3本をなんとか破壊するまでは、
 魔力のやりくりもなかなかシビアで難しいところだ。

「隊長っ!」

 ニルから念話の内容を聞いたらしいマリエルが憤慨してこちらに噛み付いてきた。

「せめてフロスト・ドラゴンを説得して魔力タンクの役割に据えないと無理。
 パンツも替える必要があるだろ?」
「余計なお世話ですっ!漏らしてませんからっ!」

 とは言え自分でも相対するには厳しいことがわかっているのか、
 噛み付く勢いはすぐに衰え視線は魔神族の娘へと向かう。

「じゃあ、任せますよ・・・・」
「あっちは状況が多少好転したとは言え劣勢だ。
 なんとか介入して説得すればお前も鎧魚の相手をして上に上がれ」
「了解です」
「死ぬ前の相談は終わったのだわ?」

 メイスを彼女が振るう度に、
 先ほど俺たちを襲ったソードフィッシュが彼女の周りを回遊し、
 その数が徐々に増え始めている。
 ノイのオベリスクである聖壁の欠片モノリスに刺さっていた魚たちもいつの間にか姿を消していた。

「《来よ!アイスピック!》」

 俺の呼び掛けに応じ、
 胸元に魔力も満杯となった状態の蒼剣そうけんこと、
 アイスピックの加階かかいVer.が出現する。

 水無月宗八みなづきそうはちの固有魔法[宝物庫]。
 時空魔法の制御と召喚サモンの技術が根底にあるのだが、
 簡単に言ってしまうとクーの影倉庫シャドーインベントリの個人運用版である。
 違いと言えば、
 広さが無い事・時が止まっている事・詠唱で呼び出せる事の三点。
 今までであればこの時点から剣を出して、
 魔法を吸わせて加階かかいしてと時間も掛かっていたし、
 魔力が溜まるまで待たなければ成らなかったが、
 この宝物庫に事前に用意している魔法剣達はいつでもチェンジ可能で、
 いつでも戦闘を開始する事が出来る。

「いつでもどうぞ」

 俺のその言葉が彼女の中でスタートと同義となったらしく、
 眼を開いて歪んだ笑顔を浮かべてメイスを振るうと、
 周囲を回遊していたソードフィッシュの群れが一斉に俺たちに向かった襲いかかってきた。

「時間を稼ぐ!」
『了解です!』
「退きます!」
『すぐ戻りますわー!』

 開始と同時にマリエルは俺を盾にするように背後を取ると、
 一気に加速して離脱を謀る。
 俺とノイの役割は彼女たちを離脱させ、
 巨大魚を抑えつつフロスト・ドラゴンの協力を得る事のサポート、
 列びにあわよくば残存オベリスクの破壊である。

 ほとんどをノイの聖壁の欠片モノリスで防ぎつつ、
 俺も蒼剣そうけんでパリィを行う。
 前に四枚の聖壁の欠片モノリスと後ろにも抜けた魚を止める為の聖壁の欠片モノリスが四枚張った。
 これで総勢何匹いるのかも分からないソードフィッシュの群れと斬り結んでいく。

 前面部以外は普通の魚と大差はないらしく、
 少しずつではあるが斬り捨てる事で数も徐々に減り始めた。
 だからこそだろうか。
 魚の群れの向こうからその詠唱も数が減る毎に大きく響き聞こえるようになってきた。

「《鮫、鮫、鮫。我が嘆きは津波となりて涙を隠す。
 我らの大敵は今まさに眼前ぞ!全てを洗い!世界を浄化せよ!》」

「《ライニグングウェイブ!!》」

 詠唱と共にステルシャトーの前に光の波紋が発生し、
 そこから半透明ではあるがちょっと特別感のある鮫がぬったりと上昇しながら登場している。
 ニルとの繋がりからどのくらい離れたかと確認をしたが、
 流石にまだ大広間の外までは遠い・・・。

 詠唱が進むにつれて水の飛沫音と共に、
 鮫の出てきた光の波紋から水が溢れ始めて大きく渦を巻いているのが見える。
 魔法名の前半は意味が分からないけれど、
 後半だけであればこれから何が起こるのかくらいは予想が出来た俺は、
 慌てて口からマリエルの名前を出さないようにニルへと念話を飛ばす
 。

「(ニル、一旦戻れ!広範囲魔法が来るぞ!)」
『(えぇぇー!?もうー忙しいですわねー!)』

 マリエルは指示を聞いてからすぐにきびすを反して、
 俺を盾にする事を意識して真っ直ぐにこちらへと掛け始める。
 しかし、マリエルの行動とほぼ同じタイミングで前方の様子も一気に様変わりをした。

「死んじゃえだわ」

 その言葉を皮切りに波紋から溢れていた水の量が増水し、
 名前の通りに津波へと成長して、
 今も尚俺たちに突撃しているソードフィッシュを考慮することも無く俺たちに向かってくる。

「何あれぇ!?」
「ノイ!ドーム状で防御陣っ!」
『全部の魔力盾を解放するですよ!』
『フロスト・ドラゴンはどうするんですのー!?』
「今は俺たちが生き残ることが先決だ!
 魔神族の使う魔法の威力がどの程度かもわからんのに護ってられるかっ!」

 距離もそこまで離れていなかった為、
 ノイの聖壁の欠片モノリスによる全力防御の展開が完成すると、
 すぐに津波は俺たちを飲み込んだ。

 魔力盾は黄色い魔力で出来ているが半透明なので周囲の状況を確認できる。
 当然ながら普通の水ではない魔法の津波に飲まれている俺たちの視界は、
 薄い水色に発光する津波に水没している事で何も見えなくなってしまっていた。

「ノイ、耐えられそうか?」
『属性的な話で言えば氷や水が相手ならボクでも余裕で耐える自身はあるですけど、
 これ・・・ギリギリ拮抗してるですよ。
 何ですかこの魔法・・・っ!』

 ノイの聖壁の欠片モノリスでの防御も様子見をするつもりで配置している現状、
 あまり芳しくは無いらしい。
 前に翳す俺の腕にもこの魔法の重圧にいつ負けるかもしれないほどの威力を感じさせる。

「マリエル、ニル」
「何ですか?」
「合流しろと言ったはずだが・・・アルシェの指示か?」
『ソウハチの指示は合流まででしたものねー!
 アルシェが念のために壊せそうだったり上から侵入して壊せって指示を出したのですわー!』

 俺が近くに居れば俺の命令が優先されるけれど、
 俺が別行動中はアルシェの指示に従うようにうちのPTは命令系統を決めている。
 今回は上手くは行ったから良い物の、
 俺の懸念していることが無駄に終わったみたいで空しい・・・。

 空しくても現状を打破する為の切り替えて指示だしをしよう。

「この状況は相手からも俺たちの様子は見えないと仮定して、
 お前達だけを上空に無理矢理転移させる」
『可能ですのー?
 ノイ姉さまの聖壁の欠片モノリスに制御力のほとんどを今使っていますわよねー?』
「今はノイとクーの2人とシンクロしているが、
 これにアクアの制御力を合わせればなんとかなる」

 オベリスクが邪魔すぎてマリエル達が足手まといとなっている現状を打破する為に、
 この場で一度無理をするのはやぶさかでは無い。
 俺たちだけであればノイの聖壁の欠片モノリスも間隔を詰めてもっと頑強に防御も出来るようになる。

「やるなら指示通りに離脱します」
「よし。上に上がったら限定解除リミットリリースして飛んで行け。
 範囲外は保証するが、
 全力で転移させるからちょい離れすぎる可能性は考えておけ」
『「了解」ですわー!』

「(アクア、シンクロするぞ)」
『(あいさー!)』

 念話でコンタクトを取ると何も聞かずにシンクロを発動してくれる長女。
 まぁシンクロすれば否が応にも状況は理解するか・・・。

 初めは黄色い魔力だけだったオーラが、
 クーの漆黒が混ざり、いまそこに蒼天のオーラも混ざった。

『(おぉ~、大ピンチだ~!)』
『(マリエルさん達を急いで上空に飛ばしましょう。
 制御はこちらでお姉さまの制御力を使って調整します)』
「(頼む)」

「飛ばすぞ」
「いつでもどうぞ!」
『(《短距離転移ショートテレポ!》)』

 詠唱が直接マリエル達には聞こえなくとも発動した魔法によって、
 2人はゲートなどを介さずに姿を飛ばされた。
 今はすでに上空のどこかだろう。

『防御範囲を狭めて持ち直すです』

 人間2人分の範囲を守っていた聖壁の欠片モノリスの防御範囲が、
 俺達1人となったことで壁の密度を上げられるようになったので、
 すぐさまノイの調整が入って守りはより京子となった。

「つぎはオベリスクの破壊を優先しないといけないんだが、
 あっちの防衛がどうなっているのか視認出来ないのが痛いな・・・」
『次はボク達が転移して破壊です?』
「魔法の当たり感覚は聖壁の欠片モノリスで防いでいる限り誤魔化せる。
 問題は正確な距離と位置が直前までのイメージでしか設定出来ないことと、
 多分群れの一部はあいつの周りを今も回遊している。
 おそらく普段は潜伏状態で、
 敵が接近したのを何らかの方法で感知した際に姿を現して攻撃してる」

 あの巨大魚やソードフィッシュの群れ然り、この大魔法然り、
 俺たちがいつも触れてきた魔法の感覚が全くない為、
 やはり魔法に似ていても別物の攻撃なのは理解している。

 だからこそ手の内も読みづらいのだが、
 オベリスクを破壊しなければ結局アルシェ達も中に突入することが出来ず、
 状況がいつまで経っても好転する事もない。
 いずれにせよ俺たちに選択肢はないのだ。

「転移は最後にカメラアイで記憶に残したからそれを参照してクーに任せよう」
『(お任せ下さい。極力次のオベリスク近くを目指します)』

 現代でも実際に存在が確認されている超能力がひとつ瞬間記憶能力。
 別名を[カメラアイ]と言うのだが、
 別に俺自身が瞬間記憶能力者というわけではなく俺のは頭に疑似と付く真似事の類いだ。
 元の世界から利用している真似事で、
 カメラのシャッターを意識した瞬きをトリガーとして記憶に焼き付ける方法だが、
 割と馬鹿に出来ない記憶力を持てるので多くの人に実践してもらいたい。

 その強く残るイメージを参考にしてクーとアクアの制御力を持って、
 再度の奇襲からのオベリスク破壊を決行する。

『(行きます!)』
「応よ!」
『いつでもどうぞです!』
『(ゴ~ゴ~!)』

 アクアの念話の次の瞬間には俺たちも短距離転移ショートテレポで飛ばされ、
 視界にはややズレてはいるが流石はうちのクーの転移だ。
 ステルシャトーから5mほど離れたオベリスク近くの中空に俺たちは出現したらしい。

『やっぱり察知してきたです!』

 出現と同時にソードフィッシュが十数匹すぐに察知したらしく、
 こちらへと急加速をして先端の刃を突き立てて向かってくるのを蒼剣そうけんでパリィで捌き隙あらば斬り捨て攻撃を防ぐ。

「落とせっ!」
『重力増大!』
「《雷神衝らいじんしょう!》」

 ノイの重力制御で既に重い体がさらに意図的に重くなり落下速度が上がり、
 生き残ったソードフィッシュの攻撃が頭上を通過していく。
 このまま重量による落下でオベリスクが折れればいいのだが、
 確実性を取る為に今回は魔法を使っていく。

 空いた左手を弓の如く思い切り引き絞り、
 真下でブルー・ドラゴンに刺さったまま横向きに腹を見せているオベリスク目掛けて掌底しょうていをぶち当てる。
 オベリスク相手に発生する雷は無意味でも、
 生体電気を操って人体に許される最速で打ち込まれる掌底しょうていは魔法では無く純粋な物理!

 バキンと砕ける音と雷のエフェクトが残るなか、
 ブルー・ドラゴンの上の方から声がする。

「いつの間にこっちに来ていたのだわっ!?
 転移まで使うなんてシュティーナと同じ事が人間に出来るということっ!?
 厄介なのが遊び場に来たのだわ・・・」

 焦りながらも状況を整理していくステルシャトーの声がブルー・ドラゴンの向こうから聞こえてくる。
 厄介なのはいつもお前達魔神族だよ・・・。


 * * * * *
 これで残るは2本。

『(お父さま視界を下さい!)』

 そうだ、クーに視界情報を与えなければ次の転移場所の指定が出来ない。
 瞬間移動からの重撃破壊を続けてあとの2本も早めに破壊したい。
 幸いステルシャトーは未だに状況整理に思考を持って行かれている様だしな。

「次は・・・あっちか!」
『(飛ばします!)』
『バッチコイです!』

 すぐに視界は切り替わり、
 拳を振り抜けば破壊出来る近距離に俺たちは姿を現した。

『横から鎧魚急速接近!』
「アニマ!」
『(いえ、ワタクシだけでは・・ノイ!)』
『《金剛こんごう!》』

 聖壁の欠片モノリスは囮として津波に飲まれたままで有り、
 中空にいる現状でノイの防御魔法もブルー・ドラゴンが邪魔で発動できない。
 そんな状況であの鎧魚の攻撃を防ぐか、
 オベリスクの破壊を優先するかの瀬戸際・・・。
 俺は迷い無く破壊を選択し、防御についてはアニマの名前を叫ぶ。

 バキン。
 振り抜いた左拳は確かにオベリスクの破壊に成功したものの、
 瞬間遅れで左からの怒濤の衝撃に飲まれ地面に叩きつけられる。

「ぐふっ!」
『想像以上に痛いです・・・』
『これでも浮遊精霊ふゆうせいれいを総動員して左側面に集中した、です!
 どちらかといえば、その所為で防御の薄くなった右側が地面との衝撃で痛かったと思う、です!』

 その通りですけどね。
 まぁ、鎧魚の突進をまともに受けて耐え切れたのはひとえに、
 ノイを纏った[不動]が防御特化であった事とアニマの浮遊精霊ふゆうせいれいの鎧操作があったからと言えた。

「いつまで・・・押しつけてんだっ!!」

 ガギイィィィィィィィン・・・ッ!
 と、およそ魚を殴った音とは思えぬ音を体から発しながら少し離れた隙に、
 壁と魚の間から脱する。

「ノイの拳でダメージ無しとは恐れ入る」
『ということは、ボク達かマリエル達のどちらかでしか対応出来ないという予想は間違いなかったですね』

 鎧魚は俺たちから離れるとステルシャトーの方へと戻っていくと、
 そのまま彼女を護るように側でぐるりと周囲をひと回りして俺たちを警戒するような素振りを見せる。
 鎧魚がこちらに来た件で、
 戦っていたはずのフロスト・ドラゴンがどうなったのかと視線を流すと、
 津波の魔法が直撃したらしく壁際でぐったりしているのが見えた。

 っていうか、二体共ぐったりしている。
 嫌な予感がする・・・。

「という・・ことはぁ~・・・・」
『お父さま!下です!』
「《影縫かげぬい!》」

 下からの攻撃を予測する俺の冷や汗が流れると同時に、
 クーの声とメリーの詠唱が耳に届く。
 2人の肉声が聞こえた方向から黒い手裏剣が数枚俺の周囲の影に刺さるとその場の空間を固定した。

「もう、突入してきたかっ!?」
『津波も治まっているですから、
 聖壁の欠片モノリス防御接続ガードリンク発動するですよ』

 その場を急いで飛び退くと、
 一瞬の間の後に影に刺さった黒い手裏剣が全て砕け散り潜口魚が地面から姿を現した。
 危なかった・・・、敵ながら良い連携をしてくるじゃないか・・・。
 囮に使っていた聖壁の欠片モノリスもノイの元へと戻ってきたので、
 仲間に分配して防御を固める。

『はあああああああ!!《流星突き!》』

 鬼気迫る声と共に急速接近してくるポシェントが、
 俺を見失った潜口魚の無防備な腹に細波さざなみのランスを突き立てると、
 刺さった槍先からさらに魔法の槍が出現し、
 潜口魚を勢いよく吹き飛ばす。

「ご主人様。
 オベリスクの数が減った事とフロスト・ドラゴンが危ないとアルシェ様が判断致しました」
「そりゃそうだわな。あれ生きてんのか?」
「辛うじて。腕の無い方が危ないですが」
『今はアルシェ様とお姉さまが・・・』

「《ピラミッドランサー!》」
『シュート!』

 2人と話している間にさらに後方から魔法が発動し、
 俺たちの横を通り過ぎていった挙げ句、
 苦労して壊したオベリスクの残り1本を砕いて魔力へと消えていった

『・・・魔石を口に含ませると聞いていたのですが、
 隙でも見つけたのでしょうか?』

 メリーとクーが俺の隣に着地して状況の説明をしてくれている隙に、
 アルシェとアクアが魔法を合わせて一直線に撃ち抜きやがった。
 まぁ、フロスト・ドラゴンが2体ともダウンしたなら、
 次の目標は俺たち1人だけになるし、
 3対1なんて状況はもちろん望むべくもない。
 救援のタイミングとしては最高だろう。

「2人だけかと思えば・・・まだ居たのだわ・・・。
 これじゃあ落ち着いて竜玉りゅうぎょくも奪えないのだわ」

 なんかステルシャトーが低い声でブツブツ言っているのが聞こえてくるが、
 戦闘に集中していた俺は集音をすることが出来ず、
 内容については把握が出来なかった。

『無事か、宗八そうはち
「生きては居ますよ。ナイスタイミングでした」
『俺はアルカンシェの指示に従っただけだ。
 この後は予定通りでいいのか?』
「はい。今ぶっ飛ばした魚をメリー達と協力して抑えて下さい。
 鎧魚はマリエルが空で抑えますから、
 外で戦えるようであれば誘導して欲しいです」
『・・・まぁ努力はしてみよう』

 鎧魚であれば蹴り飛ばす事で誘導出来るけれど、
 潜口魚に関しては地面に潜る特性上位置の把握も難しく誘導も上手くいかない可能性は高い。

「とりあえず、あいつは俺達とアルシェ達でやりますから、
 邪魔に入らせないようにしてくれればいいです」
『潜った時はクーデルカに任せるしかないがな』
『動きの妨害がどこまで上手くいくかはわかりません。
 クー達とは違う時空を利用しているようなので、
 出現や潜る瞬間を遅らせる事は出来ましたけど、
 どこまで効果が出るかはこれからの実験次第ですね』

 クー達と話をしている間に俺の体に魔法が掛けられる。
 この感覚であればアニマの回復魔法[リジェネイション]だな。
 某有名ゲームと同じで常時少量ながら持続回復を行ってくれるので、
 長い戦闘を行う際などにはとても有用な魔法だ。

「(ありがとう、アニマ)」
『(先のダメージはこれでしばらく待てば回復する、です。
 とはいえ、このまま待つだけとはいかないでしょうから、
 都度回復は行ってあげる、です)』

 眼前では潜口魚もステルシャトーに合流を果たし、
 彼女もずっとブツブツ文句を言っているだけかと思いきや、
 黒いもやが体から漏れ始めていた。

「これは・・・瘴気・・・じゃない?」
「もっと受け入れ難い感覚がありますね・・・」
『もしかしたら破滅の本質に近いものかも知れません。
 心が震えるような感覚がします』
『クーに同意するです。
 これに立ち向かえなければ世界云々なんて無理です』

「うわ・・・もっと酷くなってる・・・」
「あれが魔神族というわけですね」

 俺たちもヤバさを肌で感じてゆっくり後ろへと下がっては居たのだが
 、
 背後からは外から回ってアルシェと合流したマリエル達と、
 フロスト・ドラゴンの対処が終わったアルシェ達が歩み寄ってきた。

「どうなった?」
「ひとまず戦闘継続は難しそうだったので、
 体だけ小さくして貰い通路まで移動させました」
『魔石も食べさせた~!』
『魔力の協力も約束してくれましたわー!
 クー姉さま達は後で魔法を掛けてくださいませー!』
「今のうちに行きましょうか」
『ですね。お父さま、少し離れます』
「あぁ、行ってこい」

 現状、魔力はいくらあっても足りない。
 魔神族との相対が始まってからというもの、
 割と消費の大きい魔法を連発している関係でメグイヌオールの魔力量が気掛かりだった。

 ただ、残り2匹も魔力が回復するまではしばらく掛かるだろうな・・・。
 おっと、ステルシャトーが動き出したか。

 新体操で見るバトンのようにメイスをクルクル回しながらブルー・ドラゴンから飛び降りた。

「《貴方の光はどこにあるの?海の底で帰りを待つ。
 幾百幾年月の中で私は大きく大きく成長したわ。
 全ての光を貴方に還す。その力の名前は愛!》」

「《ヒーリングコーラル!》」

 次の魔法は彼女の通り過ぎた背後。
 つまりはブルー・ドラゴンの正面に光の波紋が広がり、
 1人と1体の間の地面からはゴゴゴッとクッソデカイ珊瑚礁が迫り上がってきた。

 ヒーリングコーラル・・回復する珊瑚でいいのかな?
 英語は苦手だ。
 敵が使うにしろ綺麗な珊瑚であるが、
 その珊瑚を戦闘をして多少なりと傷ついた巨大魚2匹が齧り付くと、
 緑色のエフェクトと共に目に見えた傷が癒えている。
 今更回復したところで弱った龍から受けたダメージなんてたかが知れてるから別に悔しくは無い。

 珊瑚も食われた部分がすぐにニョキニョキ生え替わり、
 隙間からはソードフィッシュの幼魚が数十匹見えるし、
 斬り捨てた分があの珊瑚から補充されているように見える。
 カードゲームとかでありそうな魔法だな・・・。

 あの小さいのは攻撃力と数だけの有象無象だけど、
 だからこそ処理に手間取り厄介だ。
 あれに時間を掛けるとアルシェ達が無防備になっちまうからな。

「コーラルを優先した方が良さそうですね」
『あの魚の群れならアクアがやるよ~。
 ますたーはあの人の相手してくれればいいよ~』
「あれ・・・か?ちゃんと使えるのか?
 お前遊ぶときくらいしか使ってるところ見た事無いぞ・・・」
『問答無用~!《お魚さんソード!》』

 小さな左のお手手の平に握り拳をパチンと当てると魔法陣が発動し、
 刀を抜くように両手を離していくとそこにはいつぞやの町で見たレイボウフィッシュで出来た刀身の小さな小さな剣を創り出した。

『《おいでませませ~、お魚さ~ん♪》』

 全く持って洗練されていない適当な振り回しをしながら詠唱したアクアの剣から、
 水で出来た魚が次々と湧き出てきて群れを成して、
 俺にコバンザメの如くワラワラとくっついてくる。

 邪魔にならない程度に引っ付くスペースが無くなった群れの残りは、
 俺の周りでフワフワと回遊を始める。

「お兄さん、アクアちゃん任せましょう」
「アルシェはこの魔法の本当の姿を知ってるってか・・。
 じゃあ任せるけど、俺達とアルシェでオベリスク・コーラル・ステルシャトーの相手だな」
「3つのうち2つは破壊すればいいだけなのですから、
 まだ希望は有ると思いますけど?」

 メンバーはこの場に揃っちゃったし、
 フロスト・ドラゴンも死なずに魔力タンクになってくれている。
 ステルシャトー側もやる気満々のようだし、
 ここでの局面も次のステージで最後になるか・・・。

「自分らの担当はわかってんな、お前ら!」
「私とニルちゃんで」『鎧魚ですわー!!』
「私とクーデルカ様」『そして、俺で』『潜口魚ですね!』
「最後に私とアクアちゃん」『ますたーの3人で~』「残り全部だ!」

 さぁ、決戦だ!
 ブルー・ドラゴンどころじゃ無くなってきたけど、
 あの巨体を逃がす術も今は手札にないし、
 せめて戦闘に巻き込まれない事を願う。

 まぁ、大広間の中心に寝転んでるから無理かな・・・。
 壁際にぶっ飛ばしてからあとの展開は考えるか・・・。
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