夕暮れアイデンティティ

水望 彗

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曖.

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  6時50分。
 目が覚めてしまった。
毎日朝目が覚めず永遠に眠れることを願って眠りにつき朝が来る。
──今日も生きてる。
 制服に着替え、母親に急かされながら朝ごはんを食べ学校へ向かう。

 ちゃんと笑顔を作れているか鏡で確認が済むと2年2組の教室へ入った。
そこには顔なじみの放送部員が数名いる。
「あ、らいちゃんおはよ!」
「おはよぉ~」
手を振りつつ窓際の隅の席へ座っているグループに近づく。
はるか今日集会開く?」
まだ少し眠たげに両手で肘をついている部長に話しかけた。
「んー、どうしよか。今日話すことある?」
「一応途中経過をお互いに報告しといた方が動きやすいかな。」
「じゃあそうしよっか!らいちゃん招集頼める?」
「うん、ええよ。じゃあ他の子らにも伝えとくね」
「ありがと~」
万遍の笑みで言う遙の周りには本当に花か蝶々か飛んでいそうなほど和やかだ。癒された。
「てことでれいちゃんも今日部活出れる?」
私は遙の隣に座り推しのカードを眺めている怜果れいかに話を振る。
「おん!行くで~」
れいちゃんはカードから目を離さず手を軽く振りながら返事した。その表情は幸せそうに緩んでいる。
「そっか、じゃあ頼んだね」
笑顔で応じ2組を出て自分の教室の4組へ向かった。

 教室に入ると一軍の男子が既に登校しており固まってスマホゲームをしている。
「夕蝉さん今日も早いね!おはよ!」
その中の数名が私に気づき声をかけてくれた。
だがクラスが替わり夏休みも越した今でもまだこの声掛けがただの挨拶なのかネタにされてるのかがわかんない。
陰キャには陽キャが害がなくても少し怖かった。
とりあえずいつも通り笑顔で挨拶は返しておく。
クラスにはもう1つグループが既に登校しており自分がよく絡むのはこっちの方だ。
既にグループのほとんどの子が登校していた。
「おはよ~」
適当に挨拶をしながらグループに混じり同じクラスの放送部員を探す。
男子7、8人の中に女子が4人いればいい方のこのグループはとても騒がしい。
グループの中に放送部員が見つからないのでとりあえず聞いてみる。
「今日野田くんは?」
「まだ来てなーい」
遊三ゆうざくんが盛大についたままの寝癖をひょこひょこさせながら答える。
本人が動く度に寝癖も一緒に動くので目線が寝癖に向いてしまう。
「…寝坊?」
「いやサボりだろ」
「ですよね~!(泣)」
「放送部大変ですねぇ~」
「ほんとだよ!!(泣)」
その後数名と会話をしつつ放送部員が来るのを待った。


「らいちゃん」
 1年、2年のフロアを周りながら放送部員に招集をかけていると後ろから声をかけられた。
振り向くとももちゃんとあこちゃんが2年1組の前でだべっていた。
「あ、おはよ!」
私も駆け寄り話の和に入る。
この2人とは話しやすくいわゆるイツメンに近い感じだ。
よくアニメやネット配信者の話で盛り上がる。
しばらくすると先生が朝礼の呼び掛けをしながら歩いてくるのが見えたので解散した。
「じゃ、あこちゃんまた後で!」とももちゃんが言うと
「達者でな!」とだいたいあこちゃんはいつも言う。
「なんだそれ(笑)」
これが楽しくて面白くて自分は好きだった。



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