織田信長IF… 天下統一再び!!

華瑠羅

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第一部『序章』

第八話

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信長は本願寺と同盟を組んだ事により伊勢・北畠家に侵攻を開始する。


【北畠具教(キタバタケトモノリ)。北畠家八代当主。信長の伊勢侵攻で信雄を養子に貰う事を条件に和解した。その後、隠居して信雄に謀殺された。】


伊勢の長島は、一向衆の根城だが本願寺と同盟関係になった信長には無害となり、すんなり北畠家に対し攻撃を仕掛ける事が出来た為、差ほど時間をかけずに攻め滅ぼす事が出来た信長は次に目を付けたのは、言わずと知れた伊勢・志摩・紀伊南部の海を支配していた九鬼水軍(熊野水軍)だ。


【熊野水軍(クマノスイグン)。紀伊南部の海域を支配していた水軍で別名・熊野海賊と呼ばれる。源平合戦で活躍した事を有名。】

【九鬼水軍(クキスイグン)。熊野水軍の流れを組む水軍で、信長の水軍として活躍した。】

【九鬼嘉隆(クキヨシタカ)。北畠家に属してた嘉隆は織田家家臣・滝川一益の仲介で信長に仕え、石山本願寺攻めでは本願寺に組する毛利水軍(村上水軍)を信長が考案した「鉄甲船」で蹴散らし海賊大名として名を世に知らしめた。】

【村上水軍(ムラカミスイグン)。瀬戸内で海賊行為をしていたが、厳島の合戦で毛利家の傘下に。】

【鉄甲船(テッコウセン)。世界初の鉄で出来た船とか、ただの大型木船に鉄板を貼り付けて船と言われてる船。】


九鬼水軍を束ねていた九鬼嘉隆に信長の配下である滝川一益を何度も通わせていた。


嘉隆「織田家に仕えろって件か?」
「今日こそ良い返事が欲しいのだが?」

嘉隆「滝川殿!何度も言うが織田家に仕えるつもりは無い!ワシは自由気ままに海賊やってる方が楽なんだ。」
「信長様に仕えて手柄を立てると城持ちにも成れると思うがな。何が不服だ?」

嘉隆「織田信長…様だっけか?どうも気に食わん。どうしてもと言うなら、滝川殿の下なら考えなくわないが…」
「ワシの下とは配下の事か?」

嘉隆「そうだ。それなら仕えてやってもいいぞ。」
「ワシは一向に構わぬが、それでは出世が遅れるぞ?本当によいのだな?」

嘉隆「くどい!そう織田殿に伝えろ!」
「致し方ないな。ではそのように致す。」


滝川一益は九鬼嘉隆の説得に成功したが、信長に報告するのが凄く嫌であった。



その頃、信長はまた越後に密書を送っていた。


越後では
「お館様!織田様から文が届いておりますぞ!」

「ほう。今度はどんな注文だ?何々…」


その内容は
〔ご無沙汰しております、謙信殿。我らの次の標的は浅井家に成り申した。そこで謙信殿には越中・加賀を平らげ越前の朝倉を攻撃して欲しい。もちろん、落とした領土は謙信殿の方でご自由に使って下され。但し、越中・加賀~越前までの道中に一向門徒の寺院等は攻撃なさらぬようにお願い致す。この者達には上杉家と同盟していると伝えておりますので、軍の行軍の妨げには成らないと思います。六角・三好が京の町でやりたい放題し治安を悪くしているらしいので、最終的には近畿一円全て治める所存ですので報告しておきます。織田信長。『天下布武』〕


景綱「織田様はなんと?」
「うむ。我らに越中・加賀・越前を落として欲しいとの事だ。」

景綱「しかし、その間に厄介な一向衆がおりますが?」
「その事については問題ない。織田殿が、その大元の石山本願寺・本願寺顕如と友好関係にあると聞き及んでるからな。」

景綱「あの本願寺と… さすが、目の付け所が違いますな。」
「なんでも、京の町の治安回復に六角・三好を倒し近畿一円を掌握するとか。」

景綱「では上洛するつもりでしょうか?しかし、足利様はご健在では?」
「その事じゃ。ワシも気掛かりなのは。織田殿は、あの将軍をどうするつもりなんじゃ?」

景綱「今は、ほぼお飾りの将軍ですからな。権威が失墜しておりますが、将軍は将軍ですからな。」
「うむ。まあ、ワシが思ってるのだから当然、織田殿も何かしらの手を考えてるに違いない。我らは織田殿の言う通り三国を攻め取る事に専念しようではないか。」

景綱「ですな。この話は上杉家に取っても悪い話では有りませんからな。すぐに返事を送りますか?」
「うむ。そうだ織田殿にも加勢を願おうかの、加賀に攻め込む際に飛騨から越中・富山城の神保に攻撃を行ってもらいたいと。」

景綱「そうですな。神保家と畠山家は同盟を結んでますからな。それが宜しいかと。」
「では、書き留めるゆえ織田殿に送りつけておきてくれるか?景綱。」



その報は信長に届く。


「謙信殿も食えん男じゃな。越中・加賀攻めに援軍を出せと言ってきておるわ。」

猿「という事は飛騨から越中に援軍を差し向けて神保を攻撃させると?」
「猿!その通りだ。朝倉を攻撃してもらう代償だ、致し方ないからの。」

猿「浅井攻めと時に朝倉の援軍が来ると面倒ですから…」
「そうだ。浅井を落とせば次は六角なんじゃが、問題が一つある。何かわかるか?」

猿「将軍様だすね?」
「その通りだ!六角と何やら同盟らしき関係らしい。どうした物かと思っているのだ。」

猿「無闇に攻めると上杉殿に不快感を持たれますし。殿、とりあえずは浅井を落とし神保の嫌がらせに専念した方が良いと思われます。」
「うむ。ここは猿の作戦で行こうかの。」

猿「某の作戦では有りません!全て、殿の作戦です!」
「おお!そうであったな!わっはっはっは!っと、忘れておったわ。謙信殿に了解の旨を通達して置かねばな。」


今後の織田家の方針は、上杉家の越中・加賀攻めを助力し、織田家が浅井を上杉家が朝倉をほぼ同時に攻める事に決定したのだった。


天下統一まで、まだまだ遠いと信長は思ったのだった。





現在までの織田家の詳細


織田家と世間的に同盟中なのは本願寺・徳川。

世間的にでは無く隠してるのは上杉。

徳川にいたっては偽同盟で信長の妹の市が家康に嫁いでいる。

織田家の領土等は尾張・美濃・伊勢志摩・三河・遠江・駿府で俗に言う所の東海一円である。

後、飛騨、上野の厩橋城・相模の小田原城に甲斐の黒川金山。

上野の厩橋城は柴田勝家が守っているが世間的には上杉家の城で、相模の小田原城も世間的には織田から独立した徳川の城という事になってる。

武器は三間槍・種子島・一巴筒・馬上短銃・大筒を所有。

水軍は九鬼水軍だが鉄甲船はまだ無い。




                   ★




西暦1561年三月、上杉謙信は能登の畠山義綱居城・七尾城に兵を差し向け、それと時を同じくし織田信長も越中の神保長職居城・富山城に向け出陣したのだった。


畠山家と神保家は同盟関係で、先に信長が富山城に向け兵を動かしたという情報が神保家を通じ畠山家に伝わった。


【畠山義綱(ハタケヤマヨシツナ)。義続の子。隠居した父の後を継ぐが政策に家臣が反発し追放。】

【畠山義続(ハタケヤマヨシツグ)。世襲制で家督を継ぎ、息子に家督を譲るが息子と共に追放させられた。】

【神保長職(ジンボナガモト)。神保家が越中での地位を確立させたが謙信に敗北した。】


義続「長職殿は何と?」
「美濃の織田がついに動いたとの事です。父上。」

義続「やはりか、飛騨を落としてから随分月日が流れたが… これは援軍を出さねばなるまいな。」
「そうでぎざるな。すぐ援軍を送る準備を致せ!」


畠山義綱は神保家の援軍を送るとの書状を早馬で知らせ、準備する事にしたが、思わぬ一報が義綱の耳に飛び込んできた。


そう、上杉謙信が七尾城に向け進軍中という最悪な一報が…


義綱「父上!大変ですぞ!上杉が、この七尾城に進軍との知らせが!」
「なんじゃと?!この頃合で上杉が来るとは、まるで織田と擦りあわしたかのようだな。」

義綱「父上、それはあり得ません。上杉と織田が同盟など組んでいるという情報はございませんので。」
「しかし、頃合が良すぎやせんか?まぁ良い。それより、上杉じゃ!どうするのじゃ!」

義綱「父上!そう怒鳴れずとも… ここは篭城しかございますまい!」


それからまもなくし、織田軍が富山城を攻撃している一報が謙信に伝わった。


柿崎「お館様、まるでこちらの進軍をどこかで見ていたような… ですな。」
「うむ。織田殿は、空に目であるのかの?冗談はさておき、本当に良い頃合で富山城に攻撃を仕掛けてくれたわ。」

柿崎「ですな。」

斉藤「お館様!先鋒はこの斉藤朝信に!!」
「うむ。先鋒は朝信じゃ!七尾城を織田殿が攻めてる富山城より先に落とすぞ!皆の者、かかれぇぇぇ!!」


”うおおぉぉぉぉぉぉ”


謙信の城攻めが始まったのだった。



その頃、織田は
「猿!城門に大筒を食らわせぇぇぇぇ!!」

猿「はっ!心得ました!大筒隊、放てぇぇぇぇ!!」」


富山城の大手門に向け大筒10門が火を吹き一斉射撃した!


”どどどどおぅぅんんん”


大手門は木っ端微塵に吹き飛び、織田軍は一気に城内になだれ込んだ!


城内は大混乱していた。


それもそのはず、物凄い轟音が鳴り響き城全体が、まるで地震と雷が一緒に来たみたい揺れたのだ。


電光石火の織田軍に翻弄され、神保長職は何がなんだか分からない内に家臣達共々、皆殺され神保家は滅んだのであった。


時間にして半日の出来事だった…



猿「大殿。いつ見ても、大筒は凄まじい威力ですな。」
「そうであろう?これも皆、尾張鉄砲鍛冶達と黒川金山の成せる技じゃ!わっはっはっは!」

猿「こんなに早く落ちるとは、さすがの謙信様も思ってないでしょうな。」
「うむ。どうせ、我らより早く落としてやろうと思ってるに違いないわ!謙信殿に早馬で知らせておけよ。謙信殿の悔しがる顔を見えないのが心残りだが、すぐに美濃に帰るぞ!次は浅井攻めじゃ!!」


その知らせはその日の内に謙信が知る事になり、信長の予言通り凄く悔しがった…


信長が富山城に向う際、三河の徳川に援軍の要請を頼んでいた為、織田軍が帰還すると家康が信長を出迎えた。


家康「織田殿、いつもながら城を落とすのが早い!行ったと思ったら帰って来る…」
「家康も大義!援軍要請すれば、すぐに駆けつけてくれるのは誠に頼もしい限りじゃ。感謝するぞ!」

と、家康の配下の者や織田の家臣達の前で家康に対し、信長が深々と頭を下げた。

家康「信長様、辞めてくだされ!某は織田信長様の家臣に過ぎません!」
「いや、ワシは感謝したいのじゃ。それに家康は家臣と言ってもワシにとっては義弟に成る身内ではないか。昔のように接してくれると良いぞ。」

家康「信長様には敵いませんな。分かり申した。しかし、それは身内で会う時に致しませんか?」
「うむ。それもそうじゃな。気を遣われたな、許せ。」

家康「またぁ!一家臣にそうそう謝らないで下さい!義兄上…」
「おお!良い響きじゃ!では、また後でな。」


信長は家康と別れ、岐阜城本丸の奥座敷へ足早に向った。


そう、濃に会う為に他ならない…


「濃!帰ったぞ!神保家なんぞ一捻りであったわ!」

濃「またそのような事を… それは全て家臣達の働きがあっての事。」
「それはそうじゃが…」

と、信長は濃の前では威厳も糞も無くなる始末。


濃「それより、私は旦那様が無事に帰って来てくれる事こそ有り難いと思っています。」
「うむ。濃独りには絶対にさせん。(ワシが死んだ事でさぞ悲しんだと聞いた。今度はそんな思いはさせとうないからな。)」

濃「その言葉、信じています。で、今日はごゆるりと過ごせるのですか?」
「うむ。たまには一緒に風呂でも入らんか?」

濃「え?一緒にで、ございまするか?」
「嫌なら、よいぞ?」

濃「嫌なんて一言も言っておりませんよ。では支度をして参ります。」
「うむ。風呂で待っておるぞ!」


信長は、濃と二人で風呂に入り、その夜に濃は獣になった…


(濃は堪ってるのかのぅ、色んな意味で… 今夜も好きにさせよう。)

と、その夜に無抵抗な信長が濃に蹂躙されたのは言うまでもない…



次の日、まだ上杉からの七尾城陥落の知らせが無かったので、家康に市の話を聞く事にした。


「家康、市は息災か?」


家康は顔を引きつらせて
「はい!それはもう… 元気が有り余ってる感じでして… 夜の方も激しくて…」

「それはワシも身に覚えが… お互い妻には気苦労が堪えんな…」

「え?!信長様もですか?お淑やかに見える濃姫様が… 夜は変貌するのですね?」

「そうじゃ!まさに獣にな…」

「某と同じです。おなごは怖い生き物ですが、それも良いと思っております。」

「それはそうじゃな。いや、今日は家康と語りあえた事が気分転換になって良かったわい。また妻の愚痴の言い合いをしようではないか!」

「ははっ!喜んで!話は変わりますが、上杉様の七尾城攻略は思いのほか手間取っていそうですね。」

「そうだな。あまり遅いようなら、別の手があるにはあるのだが…」



その頃、謙信は思わぬ展開に困惑していたのだった。


それはまさかの…




                   ★





謙信が頭を悩ませたのは、加賀の一向宗であった。


加賀の一向宗が上杉に加勢したのは良いが、農民が鍬や草刈で武装しただけの御粗末な兵だった為、上杉の兵達が思うように戦闘が出来ず遅延していたのだ。


柿崎「これは、全く予想していなかったですな。お館様。」
「うむ。普通に敵対していた時の方が対処出来たと思うが、今は味方だが如何せんこれは辛い物があるな。」

柿崎「ですな。これは織田殿に報告して織田殿から石山本願寺に文を送ってもらうしかないのだは?」
「うむ。これでは埒があかないしな。すぐに早馬で美濃の岐阜城に使いを出せ!」


謙信は織田殿に早馬を送って2日後に美濃・岐阜城に着いた。


猿「殿!上杉様より早馬が来ました!」
「ようやく来たか!これで浅井に攻めて行けるな!どれでれ、は?」

猿「どうされたのでござるか?」
「加賀の一向宗が上杉に加勢してるらしい。」

猿「なんと、まぁ… では殿は石山本願寺に使いを出しますか?」
「うむ。すぐに… とは言っても3,4日かかるな。家康には一時、帰還させておく必要があるな。」

猿「ですね。いつまでも美濃に滞在してるわけにもいきませんしね。」
「うむ。これはワシがまた直接、石山本願寺へ出向く必要があるな…」


信長は家康に事情を話し、一旦三河の岡崎城に帰らせ、信長本人は一路石山本願寺に向ったのだった。


その頃、前世では4年後に起こるはずの日ノ本での大事件が勃発した!!


室町幕府十参代将軍・足利義輝が三好三人衆と松永久秀によって殺害されたのだ!!


信長は伊勢志摩から紀伊を通り摂津の石山本願寺に向った為、その訃報を全く知らなかった。



【本来は西暦1565年に十参代将軍・足利義輝が三好三人衆と松永久秀によって殺害された。その歴史上の事変を『永禄の変』と言う。】



石山本願寺に着き、本堂に通された信長は顕如から京の二条御所での訃報を聞かされた。


(馬鹿な?!まだ4年も先の出来事だぞ?ワシが安易に歴史を変えた事の弊害がここにも出て来たか…)

顕如「まさか将軍が殺されるとは… 逆賊・三好!私も三好には色々因縁があります。あっ、話がそれましたな。今回の用向きは?」
「そうですな。ワシが顕如殿に上杉殿は同盟してると文を送ったのを覚えていますか?」

顕如「おお!覚えています!上杉軍が加賀を通る際は見てみぬフリをしろと伝えたのですが、それが何か?」
「上杉殿から、加賀の一向宗が能登の七尾城攻めに加勢して思うように攻撃が出来ないと連絡がありまして…」

顕如「あいたた!それは失礼致しました。まさか加勢するとは、すぐに文を送り沈静化させます。」
「お願い致します。」

顕如「朝倉は我が同胞を殺し過ぎました。その同盟の浅井も同罪です!その仇を討ってくれる上杉を助けたい一心で、加勢に行ったのでしょう。」
「そういう事だったのか… それなら余計に早く文を送って下さい!!加賀の一向宗の命が消えるのは顕如殿にとっても不本意でござろう?」

顕如「織田殿がそこまで一向門徒衆を気にかけてくれるとは思いもよらなかった… いや、失礼。織田いや、信長殿!この本願寺顕如、織田殿に感銘を受けた。この同盟は未来永劫続き、信長殿を支援して行くと誓いまする!」
「それは有り難い!今後共、お頼み申しあげる。」

顕如「おお!こちらこそです!」
「(ついでだ、比叡山延暦寺の事も聞いておくか。)つかぬ事を聞きますが顕如殿は延暦寺との交流が有ったりしますかな?」

顕如「比叡山のですかな?」
「はい。」

顕如「あります。それがどうなされましたか?」
「どうも浅井と朝倉にも交流があるのですが…」

顕如「それは誠ですか?!あの憎い朝倉と交流が?」
「それで、もし浅井か朝倉を匿う事があれば燃やしても良いでしょうか?」

顕如「信長殿、本気で言ってるのですか?あの比叡山延暦寺を燃やすと?」
「はい。その許可を今、顕如の口から頂きたいのです!」

顕如「分かりました。もし浅井・朝倉のどちらかを匿う事があれば遠慮なく灰にして下さい…」
「願わくばそんな事が無いように、したいので浅井・朝倉は完膚無きまで根絶やしにします!」

顕如「そうですね。私も願わくば、あの比叡山延暦寺が消えて欲しくないですからね…」


信長は比叡山延暦寺を燃やす事を顕如から取り付けたはしたが、あの男の事が気になっていた。


足利義輝が死んだという事はその弟である足利義昭が朝倉を頼って行くが、その付き人に抜擢されたのが織田信長にとって最大の敵・明智光秀だという事だった。


(あの金柑め!前世では世話になったが… この世界では、どうしてくれようかのぅ。)

と、独り言を呟いていた信長だった。



【足利義輝(アシカガヨシテル)。室町幕府第十参代征夷大将軍。永禄の変で京都二条御所にて殺害された。】

【足利義昭(アシカガヨシテル)。義輝の弟。室町幕府最後の将軍。よく知られてる話は信長を毛嫌いして、ある事ない事を他の諸大名に言い触らし信長を苦しめた?が、信長に追放させられた。】

【朝倉義景(アサクラヨシカゲ)。足利義昭を擁し上洛の大義名分を得るが失敗。織田家に攻められたが織田信長にではなく、義景の従兄弟によって自害に追い込まれた。】

【朝倉景健(アサクラカゲタカ)。義景を補佐し、義景が死んだ後一向一揆の責任を問われ処刑された。】

【明智光秀(アケチミツヒデ)。言わずと知れた『本能寺の変』の立役者。三日天下で秀吉に破れ農民に殺されたとある。】



その足利義昭が朝倉を頼って越前・朝倉義景の居城・一乗谷城に身を寄せていた。


義景「足利義昭か… また厄介な御仁が来たものよのぅ。どうしたものか…」

景健「殿、こんなややこしい案件は光秀に任せておけば良いのでは?」
「おお!そうであったな。たしか、京言葉も話せると聞いた事もあるしな。光秀を呼べ!」


暫くすると、明智光秀が朝倉義景の元に来た。


義景「よう来たな光秀。お主が流浪しておる際にこの朝倉家へ仕える事になって随分月日が経つ。そこでお主に大役を任そうと思う。それは、殺された足利義輝様の弟君である足利義昭の付き人じゃ。」

光秀「そのような大役を、某に?」
「なんじゃ?不服と申すか?」

光秀「いえ、滅相もございません。謹んで拝命仕ります。」
「うむ。義昭公の身の回りの世話等を頼んだぞ!(これで厄介払いが出来たわい。)」


こうして明智光秀は足利義昭の世話係りを任されたのであったのだが、この数日後に上杉謙信が攻めてくるとは、さすがの光秀も朝倉家当主・義景すら思いもしなかったのだ…




                   ★




明智光秀が朝倉義景の命で足利義昭の世話係りをして五日が過ぎた頃。

義昭「こりゃ、光秀。ワシを上洛させる為、義景殿はいつ京に出発してくれるか催促してくれぬか?」
「某は義景様からその話を聞いていません。」

義昭「何?聞いておらぬのかや?お前は、義景殿から信頼されていないのか?」
「いえ、そのような事は無いと思うのですが、上様が朝倉家に来た目的が上洛だったのですね?」

義昭「朝倉家がこの界隈で一番上洛を望んでると耳にして、態々来たのだ!」
「そうだったのですね。分かりました。すぐ義景様に確かめて参ります。」

義昭「うむ。頼んだぞ!そして、いつ出立出来るかというのも聞いて参れ!」


光秀が一乗谷城本丸にいる義景を訪ねたが…
「義景様、どうされたのですか?」

義景「おお、光秀か!また一向宗が騒ぎ出して、加賀に出陣する破目になったのじゃ。」
「またですか?」

義景「まぁ、ワシは行かないがな。景健に向わせるようにしたので問題ない。で、何用だ?」
「義昭様が上洛の日時が知りたいと申しておりますが?」

義景「上洛?ああ、そんな戯言を言ってたな。あれは本気だったのか?」
「某に聞かれても…」

義景「加賀の一向宗をどうにかさんと、上洛は無理だ。日時ははっきり言えんが、もう少し待たれよと伝えておいてくれ!」
「分かりました。」

義景「頼んだぞ。(光秀め、上洛など夢物語を引き合いに出すな。ワシは上洛など望んでおらんわ。)」



光秀は武家屋敷に戻り義昭に話した。


義昭「そうか。まあ準備に時間がかかるのは、いたし方ないな。」
「はい。某も毎日、義景と交渉致しますので…」

義昭「うむ。頼りにしてるぞ!」


景健が出陣して二日目に事態が急変した。


義景「何いぃぃぃ?!景健が討ち死だと?!一向宗如きに殺されたと申すのか?」
「我らは命からがら逃げて来ましたが、敵は一向宗ではございません!上杉軍です!」

義景「上杉とは越後の上杉か?あの武田に圧勝した上杉か?」
「はい!今も北ノ庄を攻められております!」

義景「不味い!北ノ庄を落とさせる訳にはいかん!すぐに兵を北ノ庄へ!ワシも出る!それから浅井家にも応援を頼め!」
「はっ!早馬を向わせます。」


しかし、その浅井でも浅井家家臣・磯野員昌が守る佐和山城を織田軍が攻めていたのだった。


朝倉の使者と浅井の使者が越前と北近江の国境でかち合い両家の事情が分かり、両家の早馬が引き返す破目になった。


その頃、織田軍は佐和山城を包囲して浅井久政・居城の小谷城からの援軍を迎え撃つ為に待ち構えていた。


家康「大殿。久政は来ますかね?」
「来ないなら来ないで磯野員昌を調略し、我が軍門に引き入れるだけじゃ。」

家康「その手があったか… 信長様には敵いませんな。」
「褒めても何も出んぞ?あと二刻待って来ないなら猿を交渉に向わせる。」

家康「木下様は人を誑かすのが得意ですから適任ですな。」
「うむ。あれは天性じゃな。」


同日、北ノ庄に来ていた義景の元に浅井の援軍が来ない事が報告された。


義景「何じゃと?!織田が佐和山城を攻撃してるだと?なんという偶然じゃ!ええい!皆の者、北ノ庄は上杉にくれてやれ!撤退する!」


義景は浅井が来ると確信してので兵力を温存しての出陣だった為、退却しか方法がなかったのだ。


北ノ庄は援軍の義景軍が退却した為、留守居の足軽達だけでは上杉軍の攻撃には耐え切れず降伏し、上杉の軍門に落ちたのだった。


慌てて帰った義景は早急に家臣達を一乗谷本丸に集め、上杉に対抗する会議が執り行われた。


その会議に光秀と義昭の姿は無かった…


義景「光秀は何処に行った?義昭公もじゃが。」
「屋敷はもぬけの殻でした!」

義景「逃亡したか?くそっ!あれだけ目をかけてやったのに!!」

景連「殿。今は光秀の事など、どうでもいい。それより浅井の援軍が来ないのであれば篭城しか手はないですぞ。」
「そんな事は分かっておるわ!しかし、篭城して冬まで兵糧が持てば良いが…」

景連「なんとかするしか無いです。」


しかし、当の上杉軍はこれ以上の進軍はしないで帰り支度をしていた。


柿崎「お館様、もう帰り支度で良いのですか?」
「うむ。これ以上進むと雪で帰れなくなるからな。能登で手間取ってなければ朝倉を滅ぼせたのだが、後は数日動かずにいようと思う。」

柿崎「我らの軍がここに居座る事で、織田殿にとっても有利ですからな。」


そうとは知らない義景は篭城を冬までやる破目になったのは言うまでもない…


そして、織田軍はというと久政の援軍が来ないので猿を佐和山城に向わせ磯野の説得に成功し織田家の軍門に下った。


すぐさま、織田軍は二手に分かれ今浜城と小谷城を同時に攻め浅井家は滅亡し、浅井長政も織田軍の手にかかり惨殺された… 享年17歳だった。


【浅井長政(アザイナガマサ)。信長の妹・市を娶り友好関係を築くが盟友の朝倉を攻めたので織田家を裏切ったが市の機転で朝倉と挟撃未遂に終わった。その後、信長に居城・小谷城を攻められ自害して果てたとある。】


信長は佐和山城に美濃の大垣城を守っていた森可成の居城を佐和山城に移し六角家の監視を申し付けた。


上杉軍は北ノ庄城を色部勝長を城主に任命し、兵を一万を預け越後に引き上げた。



【色部勝長(イロベカツナガ)。謙信の父の代から仕え活躍した。川中島の合戦では血染めの感謝状を受け取ったとされてる。】



こうして浅井は滅び、信長は北近江を手中に収め、謙信も能登・越中と朝倉の北の要の城・北ノ庄城を落としたのだった。


光秀と義昭はというと、朝倉から浅井に身をよせようと国境まで移動したが小谷城に多くの織田家の旗が見え、城が燃えてるのに気付き、織田家の庇護を受ける為、今浜町に義昭を残し光秀が単身で美濃・岐阜城に向う。


岐阜城に帰った信長の元に重要な事を伝えたいとの事で目通りしたいと来たの者を藤吉郎が見つけ信長に報告した。


藤吉郎「信長様、何でも将軍足利何がしを保護して欲しいと、頼んで来た御仁が来てるのですが、如何いたしましょう?」
「(金柑め、やっとお出ましか…)将軍か… 構わん通せ!」

藤吉郎「はっ!」


しばらくすると藤吉郎が光秀に
「信長様の御前だ!謹んで拝謁しろ!」

光秀「織田様に拝謁出来た事を感謝致します。某は足利義昭様を上洛させるのが本来の目的で失礼とは思いますが、なにとぞお願い出来ませんでしょうか?」
「不躾な物言いよの?おぬし、名前はなんと申す?(早よ名乗れ!金柑!)」

光秀「某は明智光秀と申します。どうか、お願い致します。」
「その足利殿は何処におわす?それに今まで何処に仕えていた?」

光秀「今は席を外しております。某は元朝倉義景様に仕えていましたの身ですので…」
「朝倉にか!上杉に攻められたと聞くが、逃げて来たのか?」

光秀「いえ、義昭様のお世話係になったので義昭様の身に何かあっては本末転倒なので、朝倉を見限りこの界隈で一番強いと噂の織田様にお願いに参った次第です。」
「ほう。そんな噂が?おい、猿!そんな噂、聞いた事あるか?」

藤吉郎「さあ、某は聞いた事ありませんが…」
「こう申しておるが?」

光秀「この界隈とは京周辺の事なので織田様と家臣達にはまだ伝わってないだけです。」
「(苦しい言い訳だな。さて、前世の如くこの誘いに乗るか辞めるか思案のしどころだな。)まずは、一晩岐阜の町で泊まって行け。ワシは連日の戦で疲れている。明日の牛の刻にまた来い。」


光秀は岐阜城を後にした。


光秀「(織田様なら義昭様にもう一度夢を与えてあげてくれると信じて交渉してみるしかない。)今日はワシも疲れた。明日こそは織田殿を説得してみせる!」

と、ぶつぶつ言いながら夜が更けていった…



 
                   ★




次の日、光秀は信長に義昭公を擁しての上洛の件について聞いた。


光秀「昨日の件ですが…」
「明智光秀… と申したの… 上洛する為の大義名分という土産は有り難いがワシは上洛するつもりは無い。京がどうなろうとワシにとっての利点が無い。ちがうか?」

光秀「いや、しかし織田様。義昭公を将軍にすれば織田殿の名声も全国に轟くし義昭公から副将軍の地位を貰えれば…」

「光秀よ。ワシは義昭公から、そんな名誉や地位を貰わなくても自分で取ると決めてるので無用の長物なのだ。悪いが他を当ってくれるか?」

光秀「そんな… 織田殿以外、頼れる大名はいません!なにとぞ!なにとぞ!」
「光秀よ。そなたは何故そこまで、義昭公に拘るのじゃ?義昭公に仕えても出世は出来んぞ?」

光秀「某は平和な世の中に成るのを切に願ってるだけです。義昭公が将軍に成り織田殿が治安を致せばと思った次第です。」
「平和な世の中か… それはワシも望んでるが、そう容易くはいかんのが現状じゃ。京の回りには六角、三好、波多野と敵対するかもしれない大名達が居る中で、いくら義昭公が将軍に成っても平和な世の中なぞほど遠いのではないか?」

光秀は頭を抱えて悩みだし、それを畳み掛けるように信長が
「光秀よ。いっそ義昭を見限って、ワシに仕えてみてはどうじゃ?」

光秀「そうですね。織田様の言う通りですね。何の力も無い義昭公に付いていても現状は変わりませんし、義昭公には悪いですが、いつまでも今浜の町で滞在して貰いましょう。某は織田様の下で働きます。」
「そうか。(まぁ、何とあっさりと見限ったな…)では足軽から、のし上がって参れ!」

光秀「はっ!今日からお願い申し上げます!」

こうして明智光秀は信長の家臣と成り、義昭公はというと永遠に痛い人となり今浜の町で暮らす破目に成り、この信長が生き返った世界での役割が終わるのであった。



西暦1563年


信長の元に一人の老人が来た。その老人の名は松永久秀。



【松永久秀(マツナガヒサヒデ)。三好家家臣で大和・信貴山城城主。義輝襲撃に加担し、三好を裏切り織田に付くものの、何度も裏切り最後は爆死したとも。】



久秀「織田信長様、某を家臣の一員に加えて下さいませんか?」
「ほう。貴殿があの大罪人で逆賊の松永久秀であるか?」

久秀「いやはや、凄い言われようですな。いかにも、某は松永久秀でござる。して返答は?」
「そう慌てるな。土産はあるのだろうな?松永殿…」

久秀「はい。某が大事にしている茶器を献上します。これは九十九髪茄子という茶入です。」
「ほう。それは良い心がけじゃな。良し、おぬしを織田家に末席に加えてやろう。」

久秀「はっ!あり難き幸せ!」
「そうじゃ、ワシはこれより六角を滅ぼす為、南近江の観音寺城と日野城を落とす。そこで、おぬしは日野城の援軍に来い!」

久秀「早速こき使うとか、さすが織田殿ですな。分かり申した。すぐさま城に帰り、日野城援軍の用意にとりかかるとしましょう。」
「うむ。早く来んと手柄が、この猿に取れれるぞ!」

久秀「猿?ああ、そう言えば良く似てますな。これは失礼、木下殿、噂はかねがね…」
「松永久秀殿… おぬしの噂も色々聞いてますぞ?」

久秀「ほう。これからは仲間ですし、仲良くしましょうぞ。がっはっはっは!では織田様、御免。」


松永久秀は六角の日野城への援軍の準備の為、帰って行った。


信長「猿に命ずる。8000の兵を率いて六角の日野城を攻略せい!ワシは観音寺城を落とす。明日早朝に出陣する。」
「はっ!仰せのままに。」


こうして、南近江の攻略に乗り出す信長であった。



                   ★



籐吉郎は信長に兵8000で南近江の日野城を落とすように命じられ、その人選で悩んでいた。


籐吉郎「小一郎、どうしたものか。ワシの配下には小六の他に無いからな。」
「それなら、光秀殿を誘ってみては?」

籐吉郎「それは名案だな。ではワシの補佐役にして働かせてみるか。」


籐吉郎は早速、光秀が居る足軽屋敷を訪れた。


籐吉郎「明智光秀殿はおるかな。」
「あのどちら様ですか?」

籐吉郎「某は、そこもとが岐阜本丸で信長様に拝謁していた時、信長様の横におった者だが、覚えてないか?」
「あー、そういえば… 猿が座っておるのは知ってましたが…」

籐吉郎「誰が猿じゃ!某は織田家侍大将・木下籐吉郎という名前があるわ!」
「人の言葉を話す猿ですかな?いやはや、織田様は凄い猿を飼っているのですな。」


籐吉郎は人を垂らしこむのが得意だが、ここまで馬鹿にされたのは初めてで
「ムキー!!某は人間じゃ!」


光秀は籐吉郎の怒る顔を見て少し可笑しくて
「ふふ、冗談ですよ。そう、怒しますな。して、木下籐吉郎様は某に何用ですかな?」

籐吉郎「笑い事ではないぞ!光秀殿!まぁ良い。某はこれより南近江の日野城に向け出陣するのだが、光秀殿に某の補佐役を頼もうと思うておる。どうじゃ?」

「ふふ、良いですよ。しかし、某は一介の足軽ですが宜しいのですか?」

籐吉郎「それは問題ない。信長様から人選は任されておるゆえ、身分は関係ない。某は、元々農民の出じゃ。身分で言うたら光秀殿の方が上じゃからな。どうじゃ?このワシを補佐してみんか?」
「ふふ、某に猿回しをしろと仰せですか?」

籐吉郎「おぬしは相当頭が良いと見える、そして度胸も良い!その猿回しを頼む!」


光秀は籐吉郎の度量の大きさに感服し
「某が籐吉郎様に話した冗談を受け流し、誘い文句にする心の広さ… この明智光秀、木下籐吉郎様の手足となり付き従いましょうぞ!」


籐吉郎「おお!頼りにしておるぞ!」


こうして、籐吉郎の本来の補佐役だった竹中半兵衛の定位置が明智光秀に変わったのだった。



【竹中半兵衛(タケナカハンベエ)。稲葉山城を十名程度で奪い取った知将。秀吉の軍師として絶大な信頼を得た。】



籐吉郎が南近江の日野城に向け出陣する朝、信長が激励に訪れた。


籐吉郎「これは信長様、態々のお越し感謝致しまする。」
「我が織田家の為、ひいては日ノ本の為、出陣すろ者達を激励するのは主君として当然の義務じゃ。」

籐吉郎「はっ!これより尾張・伊勢街道を通り日野城には明日の卯の下刻には包囲を完成しているかと。」
「うむ。ワシも一刻後に出立するが… おい!猿、そこに居るのは光秀ではないか?」

籐吉郎「はっ!某の補佐役に抜擢致しました!」
「ほう。(まさか光秀がのぅ…)では、日野を落とし北上しワシと合流を果たせ!」


籐吉郎の軍8000は出陣し、一刻後に信長15000が観音寺城に向け出陣して行った。


その頃、観音寺城を守る六角承禎は織田軍がいつ攻めて来ても良い様に朽木谷城に居る父である定頼に兵5000を織田軍の背後から襲う手筈に成っていた。


「六角様、物見の知らせによれば、佐和山城付近に織田の大軍がこちらに向って進軍中との事!」




承禎「ついに来たか!すぐに親父殿へ早馬を送れ!それから日野城にも援軍の要請を急がせろ!(信長め、浅井のようにはいかんぞ!)」


次の日、夜明け前に
「六角様、日野城に織田の別動隊が現れ包囲してる模様です!」

承禎「何だと?むう。篭城に切り替えるしかない!親父殿の軍はどうなっておる?」
「それは予定通り、牛の刻に織田の後方から攻撃を仕掛けるかと。」

承禎「分かった!(ぬかったわ!まさか日野に攻めて来るとは、筒井や三好の目があるからと油断したわ。)」


織田軍は予定通りに大手門を大筒での破壊を試みる。


”どかあぁぁぁぁんん!!”


大筒の事を知らない六角軍は大混乱した。


承禎「何じゃ!今の音は!!」
「織田軍の攻撃による物だと!」

承禎「火縄銃にしては音が大きすぎる!ええい!状況はどうなっておる?」
「今、大手門が壊され織田軍がなだれ込んで来ました!!」

承禎「早過ぎる!!これでは親父殿が到着する前に、この城が落ちるぞ!ならば、裏手門より朽木谷城に撤退する!皆の者、撤退!撤退じゃあああああ!!!」



六角承禎が率いる手勢わずか300は定頼が守る朽木谷城へ撤退したのだった。



そして、信長軍に日野城を落とした藤吉郎が合流した。


藤吉郎「大殿!もう落とされてのですか?」
「猿!くるのが遅い!大手門を壊し総攻めに取り掛かった矢先、裏手から逃げて行きおったわ!」

藤吉郎「凄い速さで大手門を壊された六角は、さぞや肝が冷えたのでしょうな。驚く顔が目に浮かぶようで気分が良いです。」
「そうじゃな。ワシはその顔を見損なったが次に取っておくかの。」

藤吉郎「それが良いかと。追撃はしないのですか?」
「たぶん朽木谷城に逃げ込んだのだろうが、あの城の回りには多くの大名が存在している。まだワシらの手の内を隠す必要がある。あえて、追撃はせん!」

藤吉郎「そのような事をお考えに成っていたのですね。」
「そうじゃ、ここからが正念場じゃ。近畿にはまだ強敵が沢山いる… しかし、我ら織田家の目指すのは天下統一じゃ!突き進むしか平和がやって来ないのだ。前へ前へと天下統一を必ず成し遂げてみせる!それには、おぬし達が必要じゃ!ワシと遥かなる高みを目指し邁進してゆこうぞ!!」


織田信長の天下統一はまだまだ遠いのであった…
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