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ラグナロク編
228話 GOD EQUIP
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-アビスダンジョン 最下層-
『ああ、シノブの揺れる心を感じます。希望や喜びから絶望や虚無感への振れ幅が造る波と波紋が今までに無い新たな可能性を作り出す。』
見えない床に突っ伏し絶望の中で輝く生命の光を見つめる。
皆も壮絶な光景を目の当たりにして立ち尽くしていた。
破壊神ヨグトスは私の感情の揺らぎを楽しんでいる様だ。
『この世界で現在生き残っているのは、この場に居るアタナ達9人だけです。そして私は先程見て頂いた光景をいつでも再現出来ます。それでもまだ「遊び」ますか?』
それはつまり、魔人ハスタを始めとする今まで戦って来た強大なモンスターをいつでも創造する事が出来ると言う事だ。
私達が全滅しかけた暗黒神ザナファや古代神カノプスが同時に出現したら、戦闘経験を積んだ今の私達でも最終的に限界を迎えるだろう。
上級者に近付けば近付く程に勝てる戦いと負ける戦いの予測が容易に出来てしまうのだ。
俗に言う「投了」と言う状況になる。
足掻く事は出来るがその先に待つのは死と消滅だ。
私は立ち上がり不敵な表情の破壊神ヨグトスの黄金色の瞳を見つめる。
『シノブ私の手を取り、共に次元上昇しましょう。そうすれば元々の「深紅の薔薇」のメンバーは安全に元の世界に戻します。そしてNPCの方々は安寧を与えましょう。』
破壊神ヨグトスは改めて右腕を私に向かって差し出して来る。
あの手を掴めば皆が傷付く事無く安全に現実世界に戻れる。
シャルやクリス君達も痛みを感じる事無く周囲を舞うエネルギー体へとなれる。
それは最善なんじゃないか?
破壊神ヨグトスは圧倒的な力を持って私を確実に捕らえる。
阻止しようとする皆をギリギリまで痛めつけて私の心を揺さぶり続けるだろう。
・・・そして最終的に一人ずつ殺す。
私の右腕が無意識に彼女の手を求めて上がり始める。
その私の腕を不意に誰かに掴まれる。
「止めるでござるシノブ殿、拙者は認めないでござる。」
「・・・・サクラ。」
怒っている様な表情のサクラが私の腕を力強く掴んで放そうとしない。
「ミカエル殿!シノブ殿は拙者が命に代えても守る!皆に指示をしてくれ!」
何を言っているんだこの馬鹿は!10分もしない内に機械都市ギュノス国を廃墟にした力を目の当たりにして尚皆に戦いをさせるつもりなのか?
「デイア!は全員に 能力向上魔法を!咲耶は物理・魔法障壁を!回復も2人に任せます!DOSは中距離から攻撃を!出し惜しみはするな!クリス、シャル、セーニアは私に続け!」
ミカさんの指揮を基に皆が素早く陣形を整え、破壊神ヨグトスに攻撃を仕掛ける。
破壊神ヨグトスは微笑み、皆を迎え撃つかの様に両手を広げる。
その瞬間彼女の両手が輝き始め、驚いた事に目の前で武器が生み出される。
右手には伝説の大剣【聖剣エクスカリバー】、左手には伝説の神刀【【天之尾羽張】。
プレイヤーの誰もが夢にまで欲した伝説の武器が目の前に現れた。
そしてその身を包むのは伝説の防具の中でも最高難易度の激レア素材量を誇る【梵天奏真威】を着用している。
「・・・聖剣エクスカリバーか。」
ミカさんが息を飲み聖剣に釘付けになる。
【聖剣エクスカリバー】は様々なゲームでも使われる。
「アーサー王伝説」に出る武器をモチーフにSMOでも戦士職最強武器で実装されていた。
しかし作成難易度の高さから所持しているプレイヤーは居ない程の超絶激レア装備だ。
その性能は凄まじく、「防御力無視」「障壁貫通」「中距離物理攻撃」「HP自動回復(中)」を特殊効果として備えている。
そして左手には神刀【天之尾羽張】を握られていた。
日本神話をモチーフにした長刀は忍者と侍の最強装備で「防御力無視」「障壁貫通」「常時発動型特殊技能:【神速】」を備えている。
そして鎧として着用している【梵天奏真威】は魔法職最強防具で「魔法攻撃力向上(大)」「確率物理・魔法無効」「状態異常無効」「SP自動回復(中)」を備えている。
何も無い空間から装備出来る職業を無視した最強装備を作り出した。
皆も驚き動きが鈍る。
「あれは昔噂となった・・・God_Equipでござるな。」
「何それは?」
サクラが言うにはサービス開始当初に現れた外国人チーターが情報改竄で作り出した特殊才能で職業限定された装備を無視して全ての武器・防具を装備出来ると言う物らしい。
しかし、レイドボスがあんなCoCo壱全トッピング並みの装備を付けたらどんなステータスになるんだ。
「サクラ!皆を止めないと!あんなの絶対に勝てない!!」
「・・・そうかも知れないでござるな。でも誰も諦めてないでござるよ。」
レア装備【セブンリーグ】で敏捷性と回避性能の上がったシャルは特殊技能【縮地改】と【影分身】を使い誰よりも速く破壊神ヨグトスに攻撃を仕掛ける。
閃光の様に素早く両手に装備した鍵爪【聖龍ノ爪】で攻撃をする。
しかし左手の神刀【天之尾羽張】で簡単にいなされる。
ミカのさんとクリス君の同時連続攻撃も右手の【聖剣エクスカリバー】で全て捌かれ、セーニアも【紅蓮】と【ヴィザール】で体術による連続攻撃をするが全て回避される。
隙を付いたDOSの銃撃も命中率を向上させていたおかげで直撃するが装備品の特殊技能により、即座に回復する。
デイアの回復魔法と咲耶の防御障壁で持ちこたえてはいるが、破壊神ヨグトスは装備のでHP・SPは常時回復するのでほぼ無傷だと思う。
クリス君が【魔剣ティルヴィング】を抜き、【ドラグスレイヤー】との二刀流に持ち替え攻撃回数を増やす。
ミカさんと同時に攻撃をして約3人分の攻撃を片手で捌いている。
以前DOSの言っていた「命中率を上げないと攻撃が当たらないかも知れない」が現実になっている。
遊ぶように防戦を楽しんでいた破壊神ヨグトスは皆が捉えられない様な速さでサクラが得意とする特殊技能【十文字刹那・極】を放ち、ミカさんの装備する【アネモイの盾】を一撃で破壊する。
その斬撃による衝撃波でクリス君とシャルとセーニアがそれぞれ片腕を斬り飛ばされて地面に蹲る。
「【ハイエリクサー】を使え!」
DOSが【イグナイトストライク】を放つと同時に叫ぶ。
数少ない課金弾薬を最大火力で放ち心臓部分に直撃、同時にデイアの放った2発分の極大攻撃魔法【マジクアンダイン】二連発を重ね大爆発が起きた。
いくら最強の装備とはいえノーダメージでは済まない攻撃だ。
一瞬突風が吹き周囲を包んでいた砂塵が吹き飛ぶ。
そこには無傷の破壊神ヨグトスの姿が有った。
2人の渾身の一撃を防いだのは魔人ヨグトスの鎧の効果「確率物理・魔法無効」が発動した様だ。
完全回復薬【ハイエリクサー】を使い欠損部位を回復したシャル達が立ち上がる。
しかし、その光景を目にして呆然とする。
もしかしたら全てのステータスがカンストし、確率さえも乱数調整の様な事を行っているんじゃないかと思ってしまう。
結局、完全回復薬【ハイエリクサー】を使う時間しか稼げずに1ダメージも当てれていない状況だ。
この戦いの最中、私達は2度目の絶望を味わっていた。
『ああ、シノブの揺れる心を感じます。希望や喜びから絶望や虚無感への振れ幅が造る波と波紋が今までに無い新たな可能性を作り出す。』
見えない床に突っ伏し絶望の中で輝く生命の光を見つめる。
皆も壮絶な光景を目の当たりにして立ち尽くしていた。
破壊神ヨグトスは私の感情の揺らぎを楽しんでいる様だ。
『この世界で現在生き残っているのは、この場に居るアタナ達9人だけです。そして私は先程見て頂いた光景をいつでも再現出来ます。それでもまだ「遊び」ますか?』
それはつまり、魔人ハスタを始めとする今まで戦って来た強大なモンスターをいつでも創造する事が出来ると言う事だ。
私達が全滅しかけた暗黒神ザナファや古代神カノプスが同時に出現したら、戦闘経験を積んだ今の私達でも最終的に限界を迎えるだろう。
上級者に近付けば近付く程に勝てる戦いと負ける戦いの予測が容易に出来てしまうのだ。
俗に言う「投了」と言う状況になる。
足掻く事は出来るがその先に待つのは死と消滅だ。
私は立ち上がり不敵な表情の破壊神ヨグトスの黄金色の瞳を見つめる。
『シノブ私の手を取り、共に次元上昇しましょう。そうすれば元々の「深紅の薔薇」のメンバーは安全に元の世界に戻します。そしてNPCの方々は安寧を与えましょう。』
破壊神ヨグトスは改めて右腕を私に向かって差し出して来る。
あの手を掴めば皆が傷付く事無く安全に現実世界に戻れる。
シャルやクリス君達も痛みを感じる事無く周囲を舞うエネルギー体へとなれる。
それは最善なんじゃないか?
破壊神ヨグトスは圧倒的な力を持って私を確実に捕らえる。
阻止しようとする皆をギリギリまで痛めつけて私の心を揺さぶり続けるだろう。
・・・そして最終的に一人ずつ殺す。
私の右腕が無意識に彼女の手を求めて上がり始める。
その私の腕を不意に誰かに掴まれる。
「止めるでござるシノブ殿、拙者は認めないでござる。」
「・・・・サクラ。」
怒っている様な表情のサクラが私の腕を力強く掴んで放そうとしない。
「ミカエル殿!シノブ殿は拙者が命に代えても守る!皆に指示をしてくれ!」
何を言っているんだこの馬鹿は!10分もしない内に機械都市ギュノス国を廃墟にした力を目の当たりにして尚皆に戦いをさせるつもりなのか?
「デイア!は全員に 能力向上魔法を!咲耶は物理・魔法障壁を!回復も2人に任せます!DOSは中距離から攻撃を!出し惜しみはするな!クリス、シャル、セーニアは私に続け!」
ミカさんの指揮を基に皆が素早く陣形を整え、破壊神ヨグトスに攻撃を仕掛ける。
破壊神ヨグトスは微笑み、皆を迎え撃つかの様に両手を広げる。
その瞬間彼女の両手が輝き始め、驚いた事に目の前で武器が生み出される。
右手には伝説の大剣【聖剣エクスカリバー】、左手には伝説の神刀【【天之尾羽張】。
プレイヤーの誰もが夢にまで欲した伝説の武器が目の前に現れた。
そしてその身を包むのは伝説の防具の中でも最高難易度の激レア素材量を誇る【梵天奏真威】を着用している。
「・・・聖剣エクスカリバーか。」
ミカさんが息を飲み聖剣に釘付けになる。
【聖剣エクスカリバー】は様々なゲームでも使われる。
「アーサー王伝説」に出る武器をモチーフにSMOでも戦士職最強武器で実装されていた。
しかし作成難易度の高さから所持しているプレイヤーは居ない程の超絶激レア装備だ。
その性能は凄まじく、「防御力無視」「障壁貫通」「中距離物理攻撃」「HP自動回復(中)」を特殊効果として備えている。
そして左手には神刀【天之尾羽張】を握られていた。
日本神話をモチーフにした長刀は忍者と侍の最強装備で「防御力無視」「障壁貫通」「常時発動型特殊技能:【神速】」を備えている。
そして鎧として着用している【梵天奏真威】は魔法職最強防具で「魔法攻撃力向上(大)」「確率物理・魔法無効」「状態異常無効」「SP自動回復(中)」を備えている。
何も無い空間から装備出来る職業を無視した最強装備を作り出した。
皆も驚き動きが鈍る。
「あれは昔噂となった・・・God_Equipでござるな。」
「何それは?」
サクラが言うにはサービス開始当初に現れた外国人チーターが情報改竄で作り出した特殊才能で職業限定された装備を無視して全ての武器・防具を装備出来ると言う物らしい。
しかし、レイドボスがあんなCoCo壱全トッピング並みの装備を付けたらどんなステータスになるんだ。
「サクラ!皆を止めないと!あんなの絶対に勝てない!!」
「・・・そうかも知れないでござるな。でも誰も諦めてないでござるよ。」
レア装備【セブンリーグ】で敏捷性と回避性能の上がったシャルは特殊技能【縮地改】と【影分身】を使い誰よりも速く破壊神ヨグトスに攻撃を仕掛ける。
閃光の様に素早く両手に装備した鍵爪【聖龍ノ爪】で攻撃をする。
しかし左手の神刀【天之尾羽張】で簡単にいなされる。
ミカのさんとクリス君の同時連続攻撃も右手の【聖剣エクスカリバー】で全て捌かれ、セーニアも【紅蓮】と【ヴィザール】で体術による連続攻撃をするが全て回避される。
隙を付いたDOSの銃撃も命中率を向上させていたおかげで直撃するが装備品の特殊技能により、即座に回復する。
デイアの回復魔法と咲耶の防御障壁で持ちこたえてはいるが、破壊神ヨグトスは装備のでHP・SPは常時回復するのでほぼ無傷だと思う。
クリス君が【魔剣ティルヴィング】を抜き、【ドラグスレイヤー】との二刀流に持ち替え攻撃回数を増やす。
ミカさんと同時に攻撃をして約3人分の攻撃を片手で捌いている。
以前DOSの言っていた「命中率を上げないと攻撃が当たらないかも知れない」が現実になっている。
遊ぶように防戦を楽しんでいた破壊神ヨグトスは皆が捉えられない様な速さでサクラが得意とする特殊技能【十文字刹那・極】を放ち、ミカさんの装備する【アネモイの盾】を一撃で破壊する。
その斬撃による衝撃波でクリス君とシャルとセーニアがそれぞれ片腕を斬り飛ばされて地面に蹲る。
「【ハイエリクサー】を使え!」
DOSが【イグナイトストライク】を放つと同時に叫ぶ。
数少ない課金弾薬を最大火力で放ち心臓部分に直撃、同時にデイアの放った2発分の極大攻撃魔法【マジクアンダイン】二連発を重ね大爆発が起きた。
いくら最強の装備とはいえノーダメージでは済まない攻撃だ。
一瞬突風が吹き周囲を包んでいた砂塵が吹き飛ぶ。
そこには無傷の破壊神ヨグトスの姿が有った。
2人の渾身の一撃を防いだのは魔人ヨグトスの鎧の効果「確率物理・魔法無効」が発動した様だ。
完全回復薬【ハイエリクサー】を使い欠損部位を回復したシャル達が立ち上がる。
しかし、その光景を目にして呆然とする。
もしかしたら全てのステータスがカンストし、確率さえも乱数調整の様な事を行っているんじゃないかと思ってしまう。
結局、完全回復薬【ハイエリクサー】を使う時間しか稼げずに1ダメージも当てれていない状況だ。
この戦いの最中、私達は2度目の絶望を味わっていた。
応援ありがとうございます!
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