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ラグナロク編
226話 余裕と余裕
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第2形態と言った所か、【黒猫スーツ】姿で目の前に出現した破壊神ヨグトスは先制攻撃を仕掛けて来た。
破壊神ヨグトスが1番始めに使って来た特殊技能は【影分身】。
私の使用率の高い特殊技能だ。
特殊技能レベルにより最大3体の分身個体を作り出せる。
しかし情報改竄された破壊神ヨグトスの【影分身】は私達と同人数の10体の分身体を作り出し、それぞれ皆に襲い掛かる。
しかも何故か全員が【黒猫スーツ】姿で襲い掛かり、本体は微動だにしていない。
皆に二刀流を所持した各1体の分身体が強襲し、私には2体の分身体が体術を仕掛けて来る。
2体で私を取り押さえようとしているのか?
SP温存する為に【破壊刀イレース】は抜けない。
小太刀【五月雨】は先程破壊されて塵と化した。
長刀【村雨】のみで応戦をする。
このままでは不利だ。
間合いを読みながら分身体と交戦するサクラへと近づく。
「サクラ!【鐵斫】を貸して!!」
私の叫びに気付いたサクラは分身体の刀を自身の二刀流で上手く受け流し、片方の刀を鞘に納めた瞬間に片手で懐のアイテムストレージから長刀【鐵斫】を取り出し私に向けて投げる。
投げ終わった瞬間に体を捻り鞘に納めた【乱れ桜吹雪】を抜き放ち、分身体の攻撃を受ける。
その間わずか5秒。
彼の近接戦闘のレベルが上がっている。
流石だ。
投げられた長刀を力強く受け取り素早く鞘から抜く。
薄銀色に輝く刃が宙を舞い分身体の1体を掠める。
両手に刀を携え両手を左右に大きく広げ間合いを広げる。
分身体を警戒しつつ周囲を確認すると、全ての分身体が職業の枠に捕らわれない異なった特殊技能を使用している。
やはり破壊神アザドゥと同じく、全ての特殊技能を使用可能なのかも知れない。
間合いを開いた事で2体の分身体が移動しながら魔法詠唱を始めた。
自分の姿で魔法詠唱をしている姿を見るのは凄く新鮮だ。
・・・関心している場合ではない!
魔法に詳しくないが分身体の足元に出現した魔法陣はオレンジ色に発光している所を見ると、能力弱体魔法や状態異常系の魔法に間違いない。
どちらか1体の魔法は確実に喰らう事になるが、やむを得ない。
私も【影分身】を発動しダーゲット逸らしと分身体1体に目標を絞り集中攻撃を行う。
「剣技!【不知火八連】!」
破壊神ヨグトスの分身体1体に対して私と3体の分身体が一斉に攻撃し、魔法発動前に身体を貫き消滅させる。
左後方の敵分身体が高確率単体状態異常魔法【ヴィルステイト】を発動する。
その瞬間にミカさんが私を庇いつつ【シールドバッシュ】で敵分身体を吹き飛ばす。
ミカさんの装備する【アイギスの鎧】の特殊効果により状態異常効果を完全無効化する。
「剣技!【十文字刹那・極】!」
後方より縮地で距離を詰めたサクラが敵分身体を十文字に斬り裂き消滅させる。
DOS達も陣形を構築し全ての分身体を消滅させていた。
「シノブの姿だから攻撃し難いな。」
「本当ですよ!私なんて抑えるだけで一杯一杯でした。」
「シャルは後ろから抱き着いて胸を揉んでいただけだろう!セーニアは動けない分身体を謝りながら拳でボコボコに殴り倒していたじゃないか。」
「私は防具破壊を狙って見ましたが、分身体には意味が無かったですね。」
「咲耶さんはそんな高度な狙いをしながら攻撃していたのですね。」
「クリス殿、多分そいつの狙いは猥褻犯罪的な意味でござる。しかし、目の付け所は悪く無いでござるな。」
「・・・・」
何故かDOSが頭を抱えている様に見えるが大丈夫だろうか?
『素晴らしい連携ですね。では、次行きます。』
破壊神ヨグトス本体の前に3本柱の影が現れて、徐々に姿を人型に形成して行く。
その影は魔人クトゥルと魔人ハスタと魔人アルラトが姿を形造った。
アルラトの姿が視界に入った時、怒りと困惑の入り混じった様な複雑な感情が湧いてくる。
そっくりだが違う!
アレはさっきの【影分身】と同じ様なモノだ。
・・・アルラトの魂は私の目の前で完全に消滅したのだ。
「あのアルラトは偽物だ!惑わされるな!」
DOSが皆に向かって叫ぶ。
その言葉で心の動揺が少し軽減した様な気がする。
「デイア!私と電撃でクトゥルを狙うぞ!マザーズルームに居ないマザーブレインなら2人で余裕だ!ミカエル他は任せますよ!」
「この杖の出番と言う訳だな、良かろう!」
「加勢する。」
電撃属性の弾丸を込めた【アグネイヤ】を持つDOSと【雷槌ミョルニル】を構えた咲耶と長杖【ケラウノス】を携えたデイアが攻撃態勢に入る。
魔人クトゥルの弱点は電撃属性だ、しかしクリスタルタワー最下層のマザーズルームは電撃魔法無効となっている為電撃魔法は使えない。
しかし今は違う。
弱点剥き出しの状態で電撃属性弾丸と【雷槌ミョルニル】と電撃属性強化をする長杖【ケラウノス】で最大火力が出せるのだ。
「ハーデスの形見の杖でキサマを葬ってくれるぞ!」
「死んで無いって!」
「咲耶は腕を狙え!デイアは本体のみを狙え!」
「りょ!」
「分かった!」
地下洞窟内の為、【神ノ雷】の効果は半減する。
物理攻撃主体の攻撃で地面に生えた複数の腕を破壊しながら本体へと進む咲耶とデイア、DOSは魔人クトゥルの射程外から腕に対して援護射撃を行い破壊する。
以前苦戦したのが嘘の様な快進撃だ。
暗黒神ハーデスがいれば最速記録が出せるレベルかも知れない。
「我々も偽アルラトを倒すぞ!魔人ハスタは後回しだ!」
偽アルラトは6本の大鎌【六道輪廻】を6本の腕に装備し攻撃をして来る。
私が2本、サクラが2本、ミカさんとクリス君が1本ずつ大鎌の攻撃を受止める。
そして隙が出来た偽アルラトの腹部にシャルの鍵爪とセーニアの拳がクリーンヒットする。
偽者と分かっていてもダメージで歪んだアルラトの表情は心が少し痛む。
皆も表情を見ると同じ気持ちなのが分かる。
私は【村雨】と【【鐵斫】を鞘に納め、【破壊刀イレース】を鞘から抜く。
『お、やっと僕の出番?』
「消えろ偽者!【地獄ノ業火】!」
私は思いっきり偽アルラトの首を両断する。
破壊神ヨグトス本体まで使うつもりは無かったが、偽者とは言えアルラトの苦痛の表情は見るに堪えられない。
偽アルラトの首から上のテクスチャが崩れ消滅し身体の動きが止まる。
その隙に全員が総攻撃を行い偽アルラトの身体は全て消滅する。
『たいした事なかったね。』
「・・・・・」
レイが嬉しそうに問いかけるが私は答える事が出来なかった。
勝っても嬉しいと言う感情は一切湧かなかったからだ。
悲しいと言うより悔しいとかムカツクとかの感情に近いかも知れない。
SPが一気に半減した感覚で少しよろける。
私達は1撃も攻撃を喰らう事は無かったが精神的なダメージを負った様な気がした。
偽アルラトを倒すと同時にデイアの強化された電撃系最強の極大攻撃魔法【マジクアンダイン】が2連続で炸裂し、16対の巨大な電撃の龍がうねり放電現象を起こしながら魔人クトゥルを飲み込み消滅させる。
再充填時間を無視するレイドボス特有の特殊才能「複数回攻撃」と、電撃属性を増幅する長杖【ケラウノス】の威力は鬼だ!
皆の状況を確認すると、どうやら武器破壊攻撃は誰も喰らわなかった様だ。
まだ余裕の色が見える。
私達は様々な戦闘経験から確実に強くなっているんだ。
距離を取って控える魔人ハスタは、私達が2人の魔人と戦っている間も攻撃する事無く悠然と空中を浮遊していた。
その後ろに控えるのは破壊神ヨグトス本体、彼女もまた手出しする事無く私達の戦闘を余裕の表情で見つめていた。
破壊神ヨグトスもまだ本気ではない。
破壊神ヨグトスが1番始めに使って来た特殊技能は【影分身】。
私の使用率の高い特殊技能だ。
特殊技能レベルにより最大3体の分身個体を作り出せる。
しかし情報改竄された破壊神ヨグトスの【影分身】は私達と同人数の10体の分身体を作り出し、それぞれ皆に襲い掛かる。
しかも何故か全員が【黒猫スーツ】姿で襲い掛かり、本体は微動だにしていない。
皆に二刀流を所持した各1体の分身体が強襲し、私には2体の分身体が体術を仕掛けて来る。
2体で私を取り押さえようとしているのか?
SP温存する為に【破壊刀イレース】は抜けない。
小太刀【五月雨】は先程破壊されて塵と化した。
長刀【村雨】のみで応戦をする。
このままでは不利だ。
間合いを読みながら分身体と交戦するサクラへと近づく。
「サクラ!【鐵斫】を貸して!!」
私の叫びに気付いたサクラは分身体の刀を自身の二刀流で上手く受け流し、片方の刀を鞘に納めた瞬間に片手で懐のアイテムストレージから長刀【鐵斫】を取り出し私に向けて投げる。
投げ終わった瞬間に体を捻り鞘に納めた【乱れ桜吹雪】を抜き放ち、分身体の攻撃を受ける。
その間わずか5秒。
彼の近接戦闘のレベルが上がっている。
流石だ。
投げられた長刀を力強く受け取り素早く鞘から抜く。
薄銀色に輝く刃が宙を舞い分身体の1体を掠める。
両手に刀を携え両手を左右に大きく広げ間合いを広げる。
分身体を警戒しつつ周囲を確認すると、全ての分身体が職業の枠に捕らわれない異なった特殊技能を使用している。
やはり破壊神アザドゥと同じく、全ての特殊技能を使用可能なのかも知れない。
間合いを開いた事で2体の分身体が移動しながら魔法詠唱を始めた。
自分の姿で魔法詠唱をしている姿を見るのは凄く新鮮だ。
・・・関心している場合ではない!
魔法に詳しくないが分身体の足元に出現した魔法陣はオレンジ色に発光している所を見ると、能力弱体魔法や状態異常系の魔法に間違いない。
どちらか1体の魔法は確実に喰らう事になるが、やむを得ない。
私も【影分身】を発動しダーゲット逸らしと分身体1体に目標を絞り集中攻撃を行う。
「剣技!【不知火八連】!」
破壊神ヨグトスの分身体1体に対して私と3体の分身体が一斉に攻撃し、魔法発動前に身体を貫き消滅させる。
左後方の敵分身体が高確率単体状態異常魔法【ヴィルステイト】を発動する。
その瞬間にミカさんが私を庇いつつ【シールドバッシュ】で敵分身体を吹き飛ばす。
ミカさんの装備する【アイギスの鎧】の特殊効果により状態異常効果を完全無効化する。
「剣技!【十文字刹那・極】!」
後方より縮地で距離を詰めたサクラが敵分身体を十文字に斬り裂き消滅させる。
DOS達も陣形を構築し全ての分身体を消滅させていた。
「シノブの姿だから攻撃し難いな。」
「本当ですよ!私なんて抑えるだけで一杯一杯でした。」
「シャルは後ろから抱き着いて胸を揉んでいただけだろう!セーニアは動けない分身体を謝りながら拳でボコボコに殴り倒していたじゃないか。」
「私は防具破壊を狙って見ましたが、分身体には意味が無かったですね。」
「咲耶さんはそんな高度な狙いをしながら攻撃していたのですね。」
「クリス殿、多分そいつの狙いは猥褻犯罪的な意味でござる。しかし、目の付け所は悪く無いでござるな。」
「・・・・」
何故かDOSが頭を抱えている様に見えるが大丈夫だろうか?
『素晴らしい連携ですね。では、次行きます。』
破壊神ヨグトス本体の前に3本柱の影が現れて、徐々に姿を人型に形成して行く。
その影は魔人クトゥルと魔人ハスタと魔人アルラトが姿を形造った。
アルラトの姿が視界に入った時、怒りと困惑の入り混じった様な複雑な感情が湧いてくる。
そっくりだが違う!
アレはさっきの【影分身】と同じ様なモノだ。
・・・アルラトの魂は私の目の前で完全に消滅したのだ。
「あのアルラトは偽物だ!惑わされるな!」
DOSが皆に向かって叫ぶ。
その言葉で心の動揺が少し軽減した様な気がする。
「デイア!私と電撃でクトゥルを狙うぞ!マザーズルームに居ないマザーブレインなら2人で余裕だ!ミカエル他は任せますよ!」
「この杖の出番と言う訳だな、良かろう!」
「加勢する。」
電撃属性の弾丸を込めた【アグネイヤ】を持つDOSと【雷槌ミョルニル】を構えた咲耶と長杖【ケラウノス】を携えたデイアが攻撃態勢に入る。
魔人クトゥルの弱点は電撃属性だ、しかしクリスタルタワー最下層のマザーズルームは電撃魔法無効となっている為電撃魔法は使えない。
しかし今は違う。
弱点剥き出しの状態で電撃属性弾丸と【雷槌ミョルニル】と電撃属性強化をする長杖【ケラウノス】で最大火力が出せるのだ。
「ハーデスの形見の杖でキサマを葬ってくれるぞ!」
「死んで無いって!」
「咲耶は腕を狙え!デイアは本体のみを狙え!」
「りょ!」
「分かった!」
地下洞窟内の為、【神ノ雷】の効果は半減する。
物理攻撃主体の攻撃で地面に生えた複数の腕を破壊しながら本体へと進む咲耶とデイア、DOSは魔人クトゥルの射程外から腕に対して援護射撃を行い破壊する。
以前苦戦したのが嘘の様な快進撃だ。
暗黒神ハーデスがいれば最速記録が出せるレベルかも知れない。
「我々も偽アルラトを倒すぞ!魔人ハスタは後回しだ!」
偽アルラトは6本の大鎌【六道輪廻】を6本の腕に装備し攻撃をして来る。
私が2本、サクラが2本、ミカさんとクリス君が1本ずつ大鎌の攻撃を受止める。
そして隙が出来た偽アルラトの腹部にシャルの鍵爪とセーニアの拳がクリーンヒットする。
偽者と分かっていてもダメージで歪んだアルラトの表情は心が少し痛む。
皆も表情を見ると同じ気持ちなのが分かる。
私は【村雨】と【【鐵斫】を鞘に納め、【破壊刀イレース】を鞘から抜く。
『お、やっと僕の出番?』
「消えろ偽者!【地獄ノ業火】!」
私は思いっきり偽アルラトの首を両断する。
破壊神ヨグトス本体まで使うつもりは無かったが、偽者とは言えアルラトの苦痛の表情は見るに堪えられない。
偽アルラトの首から上のテクスチャが崩れ消滅し身体の動きが止まる。
その隙に全員が総攻撃を行い偽アルラトの身体は全て消滅する。
『たいした事なかったね。』
「・・・・・」
レイが嬉しそうに問いかけるが私は答える事が出来なかった。
勝っても嬉しいと言う感情は一切湧かなかったからだ。
悲しいと言うより悔しいとかムカツクとかの感情に近いかも知れない。
SPが一気に半減した感覚で少しよろける。
私達は1撃も攻撃を喰らう事は無かったが精神的なダメージを負った様な気がした。
偽アルラトを倒すと同時にデイアの強化された電撃系最強の極大攻撃魔法【マジクアンダイン】が2連続で炸裂し、16対の巨大な電撃の龍がうねり放電現象を起こしながら魔人クトゥルを飲み込み消滅させる。
再充填時間を無視するレイドボス特有の特殊才能「複数回攻撃」と、電撃属性を増幅する長杖【ケラウノス】の威力は鬼だ!
皆の状況を確認すると、どうやら武器破壊攻撃は誰も喰らわなかった様だ。
まだ余裕の色が見える。
私達は様々な戦闘経験から確実に強くなっているんだ。
距離を取って控える魔人ハスタは、私達が2人の魔人と戦っている間も攻撃する事無く悠然と空中を浮遊していた。
その後ろに控えるのは破壊神ヨグトス本体、彼女もまた手出しする事無く私達の戦闘を余裕の表情で見つめていた。
破壊神ヨグトスもまだ本気ではない。
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